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第2回 従業員50人未満の小さな企業でのメンタルヘルス対策

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3

多くの企業で抱えていると思われるメンタルヘルス関連の事案に対し、社会保険労務士の2人がリレー方式で答えていきます。

※これらの内容は、あくまでも1つの事例である旨、ご了承ください。

【Q】質問

50人未満の小さな企業でのメンタルヘルス対策はどうしたらいいですか?

ポイント

  • 中心となる「事業場内メンタルヘルス推進担当者」等を決めること
  • 担当者だけに負担がかからないように相談できる体制を作ること
  • プライバシーへの配慮に関する決まりを作成すること

【A】回答

専門的知識を持つ人が社内にいないことが多い50人未満の企業でも、メンタルヘルス不調を訴える社員は出ますので、その対策が必要です。

小規模事業場でのメンタルヘルスケアの取り組みにあたっては、厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」によると、まず事業者がメンタルヘルスケア実施の表明をして、セルフケア、ラインケアを中心とした実施可能な取り組みを始めます。その際、メンタルヘルス対策を推進する担当者として、「事業場内メンタルヘルス推進担当者」を選任すると良いでしょう。

50人以上規模の企業では、衛生管理者等の選任及び衛生委員会等の設置と活動が義務付けられているのはご存知かと思います。では、50人未満の企業ではどうでしょうか?事業場規模10人から49人の事業場については、労働安全衛生法第12条の2において、安全衛生推進者(一定の業種については「衛生推進者」)の選任が義務付けられています。これら安全衛生推進者は「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること」等がその職務に含まれており、事業場内産業保健スタッフがいない場合には中心となって推進していくことになります。この安全衛生推進担当者が、「メンタルヘルス推進担当者」になることもよいと思います。しかしながら、あくまでも中心であって、「メンタルヘルス推進担当者」となった人だけが担当するのではありません。事業主や人事労務担当者等と相談、協力できるようにし、一人だけに負担が集中しない体制作りが重要となります。

また、メンタルヘルス不調者のプライバシーへの配慮が求められます。例えば診断書を提出して貰うとき、どのような経路で書類が回り、その内容を誰が知るのかなど社内での担当者の役割とルールをはっきりさせておくことが社員の安心感につながります。情報が勝手に独り歩きしないための「職務において知り得た個人情報」の扱いに関する決まりが必要になるのです。 社内に専門的な知識を持つ人がいない、もしくは少ないという状況においては、「産業保健総合支援センター」や「地域産業保健センター」等の外部支援も積極的に活用することも、一つの方法となるでしょう。

本山恭子(もとやま きょうこ)

本山恭子(もとやま きょうこ)
「本山社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 産業カウンセラー 消費生活アドバイザー」
不動産、建設、ホテル、レストラン業のある一般企業の総務・人事部門に約9年間所属し、業種の違う業務を経験。平成19年に独立開業。企業の就業規則作成・変更及び労務相談、手続き全般等を中心に、産業カウンセラーの知識も活かし企業のメンタルヘルス対策支援を積極的に行い企業活性化を図る活動を展開している。

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