こころの耳
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PDF版について

このコーナーでは、一人でも多くの方に正しい認知行動変容アプローチを学んでいただくことを目的として、ホームページに掲載された情報と同じ内容のデータのPDF版をご用意しています。PDF版は、認知行動変容アプローチを学ぶ、広めるという目的の範囲内において、印刷や内容の部分抜粋など自由にお使いいただくことが可能です。注意事項を良くお読みの上、ご利用ください。

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目次

1.認知行動変容アプローチとは
2.認知行動変容アプローチの考え方のポイント
3.対応のコツ

eラーニングで学ぶ 15分でわかる認知行動変容アプローチ

気持ちが揺れたときに自分の考えや行動に目を向けると、自分の感情とつきあいやすくなります。認知行動変容アプローチの考え方や対応のコツを毎日の生活のなかに取り入れて、これまで以上に自分らしく生きていきましょう。
※学習時間の目安は15分です。

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1.認知行動変容アプローチとは

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1.認知行動療法と認知行動変容アプローチ

「認知行動療法」は、極端な考えや行動を修正することによってうつ病などの精神疾患を治療するために開発され効果が実証された精神療法(心理療法)で、世界的に使われています。
最近では、認知行動療法の考えに基づいた「認知行動変容アプローチ」がストレス対処法にも役に立つことがわかって、職場や地域、学校など、医療場面以外でも使われるようになってきています。

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2.認知行動変容アプローチの考え方のポイント

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1.感情に影響する自動思考に目を向ける

認知行動療法では、感情が動いたときに瞬間的に頭をよぎる考えに注目します。そうした考えは、ほとんど意識されないまま自動的に浮かんで消えていくので「自動思考」と呼ばれています。
私たちの感情は、そのときのとっさの考え、自動思考の影響を受けて変化します。感情を意識的に変えることはできませんが、考えであれば変えることができます。認知行動療法はその考えに働きかけるのですが、それは、考えが変われば感情を変化させることができるからです。

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2.良いことも良くないことも含めて情報を集める

思いがけず良くない出来事に直面したときにとっさに良くない可能性を考えるのは、自分の身を守ろうとする自然な反応です。しかし、何らかのきっかけでネガティブな考えから抜け出せなくなると、つらい気持ちが続くことになります。そのようなときに、そこで何が起きているか、良いことも良くないことも含めて情報を集めることができれば、気持ちが落ち着いてきて、工夫しながら問題に対処するこころの力がわいてきます。

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3.決めつけ思考に注意する

つらい気持ちになったとき、「いつもこうなんだ」、「絶対うまくいかない」、「どうせ何をやってもダメだ」など、決めつけ思考になっていないかどうか確認してみましょう。〇×試験の問題に、「必ず」や「絶対」などの決めつけ言葉が入っていたら×をつけるのが普通ですが、頭のなかで考えているときには自然に受け入れてしまっています。そうした決めつけ思考に気づいたときには、良いことも良くないことも起きている現実に目を向けて、先に向かう工夫をしてください。

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4.自分に優しくなる

他の人から一方的に、「ダメ人間」、「嫌われ者」、「お先真っ暗」と言われると腹が立つでしょう。それなのに、つらくなっているときには、こうしたひどい言葉を自分が自分に投げかけていることがよくあります。このように、自分、人間関係、将来に対して悲観的に考える状態を「否定的認知の三兆候」と呼びますが、それでは本来持っている自分の力を発揮することはできません。
つらいときこそ、自分が自分に寄り添うことが大事です。

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5.今の自分を大切にする

ストレスがたまってくると、私たちは、過去を振り返って後悔したり、将来のことを考えて不安になったりしやすくなります。しかし、過去は変えることができません。将来がどのようになるかもわかりません。私たちにできるのは、過去を今に生かすことです。将来のために今準備することです。
ですから、認知行動変容アプローチでは、今起きている出来事に目を向けて、問題に上手に対処しながら、自分らしく生きていけるように手助けします。

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6.今に目を向けるマインドフルネス

マインドフルネスは、五感を使って今に集中する方法です。呼気や吸気を感じながらゆっくり腹式呼吸をしたり、五感を意識しながら食べ物を食べたり、大地を感じながら静かに歩いたりするなど、いろいろな方法があります。そのようにして今に目を向けることで、過去や将来へのとらわれから自由になり、自分やまわりに思いやりを持って生きていけるようになります。

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7.三大ネガティブ感情

うつ、不安、怒りは、「三大ネガティブ感情」と呼ばれていて、こうした感情が強くなると心の痛みが強くなります。こうしたネガティブ感情を感じないですめば良いと考えてしまいがちですが、これは体の不調を伝える体の痛みと同じで、何か危険が迫っているということを伝える「こころセンサー」の役割を果たしています。
つらくなっているときには立ち止まって、何か問題がないかどうかを確認する勇気を持つようにしてください。

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8.感情は考えに左右されます

感情と考えは密接に関係しています。落ち込むのは「何か大切なものをなくした」と考えるからです。不安になるのは「危険が迫っている」と考えるからで、腹が立つのは「ひどいことをされた」と考えるからです。もちろんその考えが正しい場合もありますが、それが行きすぎると自分がつらくなりすぎたり、人間関係のトラブルが起きたりします。そうしたことを避けるためには、もう一度現実に目を向け直して、問題に対処するようにすると良いでしょう。

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3.対応のコツ

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1.やる気を出すコツ

しないといけないとわかっていても、やる気が出なくて行動に移せないこともよくあります。でも、やる気は待っていても出てきません。行動しないことで、ますますやる気はなくなってきます。
そうしたときに、やりがいを感じられることや楽しめることをすれば、またやってみたいという気持ちになります。それも、大がかりな行動ではなく、ごく日常的な行動の積み重ねがこころを元気にします。これが、「行動活性化」と呼ばれる方法です。

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こうした行動には、最近楽しかった活動ややりがいを感じた活動、過去にやって良かった活動ややりたかった活動、考えすぎないですむ活動(体を動かす、片付け、漫画を読む、喫茶店で息抜き、ウインドウショッピング、部屋を飾る、メールに返事、手芸、絵を描く、キャッチボール、植物の水やり、など)、気分にそぐわない活動(落ち込んでいるときに明るい服を着る、鼻歌を歌う、スキップする、わざとニコニコする、子どもと遊ぶ、カラオケに行く、など)、何もしない活動(ぼーっと空を眺める、ゆっくり風呂に入る、入浴剤を入れる、寝室でお香を焚く、など)いろいろなものがありますので、自分にあったものを選ぶようにしてください。

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2.考えを切りかえるコツ

考えを切りかえようとしても、同じ考えが頭のなかをグルグル回ってうまくいかないことがあります。そのようなときには、自分から距離を置いて、何が起きているかを丁寧に見てみると良いでしょう。そうすれば、良くないことも、良いことも目に入ってきて、的確な判断ができるようになります。こうした方法は、「認知再構成法」と呼ばれています。極端に良い可能性と良くない可能性を考えてみたり、他の人の立場に立って考えてみたりしても、工夫につながる考え方ができるようになります。

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3.問題解決のコツ

問題解決に取り組むときには、解決できそうな問題から、ひとつひとつ取り組むようにしましょう。解決策も、最初からひとつに決めるのではなく、できるだけ多くの異なった解決策を考えてみるようにしましょう。これを「数の法則」と呼びます。そのためには、役に立つかどうかの判断は後回しにします。これを「判断遅延の法則」と呼びます。解決策が出そろったところで、実行しやすく解決する可能性の高い方法を選んで問題に取り組みましょう。

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4.コミュニケーションのコツ

悩んでいるときには、信頼できる人に相談してみましょう。人に悩みを話すだけで考えが整理できることもあります。また、人と話をするときには、一方的に自分の考えや気持ちを伝える強すぎる言い方と、相手の考えや気持ちだけを考えて自分の考えや気持ちを伝えない弱すぎる言い方を意識すると、ほどよい言い方が浮かんできやすくなります。

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「ミカンていいな」と呼ばれる方法も役に立ちます。見(ミ)える事実と感(カン)じている気持ちを伝えて提(テイ)案するのです。否(イナ)定された場合には、別の提案をすると良いでしょう。例えば、家族から「どうして頼んだ品物をすぐに買ってきてくれなかったの」と責められたときに「遅くなって悪かったね」と気持ちを伝え、「品切れですぐに手に入らなかったんだ」と事情を説明し、「これで良いかな」と買ってきたものを示すといった話し方です。
また、問題が起きたときに「どうして」「なぜ」という「原因探し」の問いかけをすると相手を責めることになっている印象を与えやすいので、問題があるときにはどうすれば良いかという「手立て探し」の問いかけをするようにしましょう。

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5.将来に目を向ける

問題が起きると、私たちは、その問題にばかり目が向くようになります。それは問題を解決するために必要な態度ですが、問題に目を奪われてしまうと、自分にとって大事な目標を見失ってしまうことがあるので、注意しなくてはなりません。
つらい気持ちになっているときには、これからどのようになると良いと考えているのか、自分の身近な夢に目を向けるようにすることで、先に進むために工夫できるようになることがよくあります。

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6.こころを元気にする4つのステップ

「認知行動変容アプローチ」を毎日の生活のなかで生かすためには、次に挙げる4つのステップを意識すると良いでしょう。

  1. こころセンサーに気づく
  2. 一息ついて自分を取り戻す
  3. 考えを整理する
  4. 自分の身近な夢に向かって行動する
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これで、「15分でわかる認知行動変容アプローチ1」は、終わりです。
お疲れ様でした。