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何はともあれ実態の把握から!
わが社の従業員は、何を必要としているのか?アンケートをとれば分かるのか、社歴の長い方へヒアリングをすれば答えが見えてくるのか、複数部門の従業員と飲みに行けばいいのか、どれも妙案とは思えずなかなか先に進めないことに苛立ちを感じてしまいました。
ひょっとしたら、メンタルヘルス推進室は必要なかったのでは?!なんてことも考えてしまったり、そうは思いつつも無料セミナーなどに出かけていくと「やっぱり必要だよね」と思い直したり。悶々とする中で、もっとしっかりした骨子があると考えやすいな~と思う自分がいました。もっとしっかりした骨子・・・。
大枠のイメージをつかみ、目的別に情報収集
あったじゃないか~!と自分に突っ込みを入れながら、ネットで検索をして見つけ出したのが、平成18年に厚生労働省が出した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」。これ以上にしっかりとした骨子があるわけがないと、いま一度、真剣に目を通しました。
かくして自分がポイントを置いたのは、『人事スタッフ、産業保健スタッフ、管理監督者、事業場外資源の連携の重要性』を、この指針が強調しているというところです。連携は、企業の中で「メンタルヘルス推進担当者」が私一人、という点をカバーするためにもきっと有益だ、という風に考えました。次に連携の仕方、これはもう少し先に考えることにしました。まだ活動の実態がないので、連携イメージが全くなかったからです。骨子を得たことで、目指したい大枠のイメージをもつことができ、次に情報収集を進める検討を始めました。
ネット検索、セミナー、書籍、雑誌など、情報は意外と多く出ていますが、カタカナが多かったり、英語が多かったり、メディアから絞り込んで情報を取得していくことは難しいと判断し、さっそく行政が開催している講習会、セミナー、研修、講演会、ワークショップや企業が主催している無料セミナーなどに参加し、その場で質問をしてしまう、といった具合で社外情報を集め始めました。そのようなことと、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の確認を繰り返しながら、情報の種類を分類していきました。それが以下のような種別です。
○職場環境の実態把握
○衛生委員会での意見聴取・調査審議
○「心の健康づくり計画」の策定
○メンタルヘルスケア体制の整備(社内外相談窓口の設置)
○メンタルヘルスケアに関する教育・情報提供
○職場復帰支援プログラムの策定
何から始める??
先に挙げた6つの項目は、取り組みの中でも重要で、どうやら取り組んだ方がよさそうだ、という直感がまず先にありました。「え?直感だけで?そんな無責任な!」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際にセミナーや研修などに行く中で、必ず出てくることがやはり上記のものだったのです。「やっぱりこれらは外せないのだな」という納得感が本音です。 次に欲しい情報が、社内従業員のニーズでしたが、これがやはりどう聞いてよいのか難しいものでした。「こんな仕組みがあったら嬉しいですか?」と聞くことも一つかもしれませんが、それにはその仕組みを具体的に説明する必要がありました。
さらに本来であれば、衛生委員会の審議事項として、委員の皆さんの意見をまとめていくことも、考えなくてはいけないことであり、また、そもそもなぜメンタルヘルスケアが必要なのかを説明する必要もありました。また、「いっそのこと研修をやるべきなのではないか?」とも思いましたが、まだ時期尚早と考え、実行には至りませんでした。 そこで、まずは具体的に行動してみて、従業員の反応を見ながら、仕組みや機能のあり方を変えていってもよいかもしれない。そんな思いに至ったのです。実際、上司も同様の考えだったこともあり、ようやくホッとした私はこれに勇気づけられ、また元気に頑張りだしてしまうのでした。
そして、上司にゴリ押ししてもらい、次回の衛生委員会に初めて出席することとなりました。そこで、衛生委員会での調査審議としてメンタルヘルスのことを取り上げるチャンスがやってきたのです。
次回へ続く・・・
東 ちはる(あずま ちはる)
産業カウンセラー・心理相談員
新たに設置した「メンタルヘルス推進室」の担当者となり、「事業場内メンタルヘルス推進担当者」として活動することに。
社内のメンタルヘルス対策の実現に向けて、そこには孤軍奮闘の日々が待っていました。
何も分からない手さぐりの状態から、『出来ることから一つずつ』をモットーに現在進行形で取り組んでいきます。※創作ストーリーのため、架空の人物です。
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