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竹之内運送株式会社
(京都府京都市)

花野さん
竹之内運送株式会社は、大正初期に創業。1977年(昭和52年)に法人化し、一般廃棄物や産業廃棄物の収集運搬、浄化槽清掃などの事業を展開している。その他の法人と併せて4つのグループ会社で構成されている。
従業員数は竹之内運送株式会社単体で14名、グループ全体では74名(2026年6月時点)で、それぞれの事業場の従業員数は50人未満である。50代前後のベテラン従業員が多い一方、新卒入社など35歳以下の若手も3割を占めている。
今回は、管理部の花野広行さんにお話を伺った。
過去の事故がきっかけで、会社として安全への意識が高まり、従業員の心身の健康についても力を入れて取り組むようになった
健康経営やメンタルヘルス対策に取り組むきっかけと、その内容についてお話を伺いました。
安全に事業運営するために、従業員の健康が欠かせないと考え、長年取り組んできました
「当グループでは、健康経営をグループ全体の重要な取組として位置づけ、従業員が心身ともに健康で、安全に長く働き続けられる職場環境づくりを目指しています。単に病気ではない状態を目指すだけでなく、従業員が元気にイキイキと働けることも重視しています。今後、生産年齢人口が急速に減少する中、従業員に『できるだけ長くこの会社で働きたい』と思ってもらえるよう、心身の健康に加え、社会的な健康の実現に向けて少しずつ歩みを進めています。」
「これほどまでに健康と安全を重視する背景には、約50年前に社内で発生した交通死亡事故という痛ましい経験がありました。その後、会社を挙げて交通安全の取り組みを徹底しています。全日本トラック協会が認証する“安全性優良事業所(Gマーク事業所)”は、制度開始時から20年以上連続で取得しています。また、2025年には国土交通省が創設し日本海事協会が認証している“働きやすい職場認証制度(運転者職場環境良好度認証制度)”も取得しました。安全運転を実現するには、従業員一人ひとりの心身の健康が不可欠です。この考えが、現在の当社の健康経営の土台となっています。」
毎年取り組み内容を改善しながら、従業員の健康づくり活動を継続しています 「2017年には、協会けんぽ京都支部の“京(きょう)から取り組む健康事業所宣言”を行い、従業員の健康経営に対する参加意識向上に努めました。毎年取り組みをバージョンアップさせながら継続した結果、2024年に“健康経営優良法人(中小規模法人)”、2025年と2026年には“健康経営優良法人(ネクストブライト1000)”の認定も取得しています。」
健康事業所の宣言に合わせてストレスチェック制度を導入。健康診断と合わせて、従業員の健康管理につなげている
次に、ストレスチェックの取組みについてお話を伺った。
「健康事業所宣言」の取組みの一つとして、ストレスチェックを始めました 「当社は事業場ごとの従業員数が50人未満のため、実施義務はありませんが、“健康事業所宣言”を行ったときからストレスチェック導入に向けて準備を進めました。健康診断機関や医療機関、ストレスチェック業者から見積もりや情報を取って比較検討した結果、普段から連携が取りやすく、健康診断も委託している近隣の健診機関に依頼することに決めました。健康診断の時期に併せて実施することで、従業員が受検しやすい体制を整えています。」
「調査票は職業性ストレス簡易調査票(57項目)を使用しています。当初は紙方式でしたが、今年から同機関で始まったWeb方式に変更したところ、結果が早く確認できるメリットを感じています。毎年の受検率は100%を維持しています。医師による面接指導が必要と判定された高ストレス者には声掛けを行う体制をとっています。」
地域産業保健センターや外部の相談窓口を有効活用しています
「まだ医師による面接指導の申出はありませんが、申出があった場合は、地元の地域産業保健センターの利用を想定しています。普段から、健康診断結果に関する医師からの意見聴取をセンター経由で地域の登録産業医に依頼しているため、連携体制はできており安心です。また、従業員が無料で利用できる外部の相談窓口(会社が加入している生保・損保会社が提供するサービス)をまとめて案内しています。多様な窓口があることを事前に知らせておくことが、従業員の安心感につながっていると思います。」
ストレスチェックの結果を職場環境改善に活用しています 「集団分析結果は、個人が特定されないよう配慮しつつグループ会社ごとにまとめています。衛生管理者と私(花野さん)で傾向を確認し、改善案を経営層に提案しています。例えば、“身体的負担度”が高いという結果を受け現場を確認したところ、屋外作業での夏場の暑さ対策が課題だと判明しました。そこで、空調服の導入や冷風機の設置を行いました。分解作業場の屋根を広げて日陰を増やす工事も完了しました。また、“働きがい”が低いという結果と従業員の声から、置き型社食サービスの設置も検討・提案しました。導入には全拠点同時が望ましいとの判断から現在は検討中となっていますが、集団分析結果を根拠に経営層へ環境改善の必要性を伝える良いサイクルができています。」
健康づくりの取り組みが職場のコミュニケーション活性化につながりました 「集団分析において、“職場の対人関係のストレス”は低い傾向にあります。その要因の一つが、社内で大いに盛り上がったウォーキングイベントだと考えています。アプリで歩数を記録し、チームや事業場単位で競う協会けんぽ京都支部の企画に参加したところ、チーム順位やメンバーの歩数がお互いに見えるため、部署や拠点を越えた交流が生まれました。接点の少なかった従業員同士が歩数を話題にコミュニケーションを取るようになり、雰囲気が明るくなりました。こうした活動が職場の横の繋がりを強化し、最近採用した若手従業員の定着にも寄与していると感じています。また、この約20年間、メンタルヘルス不調が主な原因で休職や退職をした従業員はいません。」
既存の仕組みや体制に併用することで、小さな規模の会社でも無理なく継続して運用していくことができる
最後に、長年にわたって取り組みを継続できているコツについて伺いました。
できることから始めて少しずつ、根気強く提案しています
「健康経営の取組みは、一度に大きく進めるのではなく、健康診断項目の充実として胃の健康に関する検査の追加、熱中症対策、ストレスチェック、メンタルヘルス相談窓口の周知、健康セミナー、ウォーキングイベントなど、毎年少しずつできることから積み重ねてきました。もちろん、経営的な判断からすぐに実現しない提案もありました。それでも諦めず、根拠を示しながら根気強く提案を続けた結果が、少しずつの環境改善につながっています。経営層も『健康への取組を充実させたい』という想いは同じです。」
既存の仕組みと合わせた運用を行っています 「少人数だからこそ、会議や書類を新たに増やすと負担になってしまいます。そのため、すでにある仕組みや体制に併せて実施するよう工夫しています。例えば、当社はISOを取得しているため、定例のISO委員会に併せて安全衛生委員会や健康経営会議を開催し、そこでストレスチェックの議題も扱っています。」
「メンタルヘルス関連のセミナーは、交通安全教育と併せて行っています。協会けんぽ京都支部が無料で行っているサービスを利用して、オンライン動画を従業員全体で視聴する場合もあれば、少人数のグループに分かれて集合形式で受講する場合もあります。また、生保会社でも毎年無料で健康セミナーを実施していただいています。協会けんぽによる“事業所健康度カルテ”、生保会社による全従業員を対象に行った“健康習慣アンケート”結果、そして、ストレスチェックの集団分析結果などを参考にしながら、その時々の課題に合ったテーマを選んでいます。先日は、“よりよい人間関係を築くためのコミュニケーションのコツ”をテーマに研修を実施し、従業員には好評でした。その他、協会けんぽ京都支部では、高機能体組成計や骨密度検査などの健康測定機器のレンタル貸出も無料で行っているので、当社の従業員のニーズに合うものは選んで、皆で活用しています。」
「当社でも従業員の高年齢化と若手不足は課題ですが、健康経営を通じて働きやすい環境づくりの手応えを感じています。今後も取り組みを充実させ、若手からベテランまで長く安心して働ける環境を目指していきます。」
【取材協力】竹之内運送株式会社
(2026年7月掲載)
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