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看護職が生活リズムのサポートまで行ったことで改善につながった事例

1 概要

入社2年目にうつ状態で休職し、復職後遅刻と欠勤を繰り返す一人暮らしの25歳の男性で、営業事務職の社員。

2 症状

X年秋に、風邪をきっかけに月曜日になると休みがちとなりました。

徐々に「体が重く、朝が起きれない」と訴えて、遅刻が多くなり、最終的には自宅にひきこもり状態となっていました。上司の勧めで精神科クリニックを受診し、うつ状態と診断されました。通院が不定期なため、何度も看護スタッフや産業医より定期的受診を勧め、医学的管理がキチンとできると症状が安定してきました。

X+1年に復職し、同じ営業事務として再就労をしました。復職後しばらくは業務量、残業制限をして症状も安定したため、復職後半年を経過した時点で月に10時間までは残業を可能として業務量は制限して様子を見ていました。解除して2か月目くらいから再び遅刻が多くなり、会社を休みがちになりはじめました。

3 職場の状況・問題行動

そこで、主治医が本人と上司に面談しました。本人の話では「複数の上司、先輩より指示があり、断わり切れず、仕事を抱え込んでしまい体調を崩した」とのこと。しかし上司の話では、仕事の指示もかなり配慮したもので、指示もせいぜい2人までのもので無理強いはしていませんでした。また本人が仕事上の不明な点を誰にも聞かず、思い込みで進めてしまい、トラブルが発生してしまうことが多かった、と言っています。本人に月曜日の朝に起きられない状況について細かに聞いてみると、トラブルが発生すると気分が落ち込んできて週末は自宅で夜更かししてインターネットやビデオを観てしまい、月曜日の朝になると吐き気、頭重感、疲労感が強くなり、朝、定時に起床できない生活になるという悪循環に陥っていました。

また一方で気分の波もあり、調子がいいときは、回りから見ても多弁となり、元気すぎる状態で仕事を進め、その翌週の月曜日には疲労がとれなくて休んでしまうという状態も見られました。通院も本人が勝手に中断していました。

4 対処

  1. 本人の仕事上のスキルの問題と対処

    本人が勝手に思い込みで仕事を進め、トラブルになってから事例が明らかになっていましたので、わからないときは上司に指示を仰いでその経過も報告することとしました。
    また、定期的に上司が仕事の進捗状況を確認して助言することとしました。

  2. 本人の生活の自己管理の問題

    ストレスがたまってくると週末に夜更かしをして昼夜が逆転した生活になります。そのため、月曜日に定時起床ができない。
    この悪循環を断ち切るため、週末の生活リズムが崩れないように、週末のストレス解消法について話し合い、休日もある一定の時間には起床し、だらだら寝ないことにして、週明けに健康管理室の看護師に報告することとしました。

  3. 気分の波があり、仕事の能率や取り組み方に差が大き

    気分の波が仕事に影響していることも考えられますので、主治医に定期的に受診し医療的サポートを継続することとしました。

5 考察

風邪を契機にしてメンタルヘルス不調になり休職後、しばらくは就労が継続できていましたが、徐々に本人の問題から休み明けに遅刻や休みが多くなりました。

復職に当たっては、職場はかなりの配慮をしており、再発の要因に職場の問題が絡んでいるとは考えられませんでした。気分の波があるという点では、医療的サポートも必要でしたが、そのことも本人は自覚ができていませんでした。また一人暮らしであったため、生活のリズム管理が困難になっていたので、私生活まで介入しにくいところでしたが、就労を継続させるためには介入を必要としました。本来は家族のサポートを必要とするのでしょうが、家族関係からのサポートが困難な状況で、単身者であったため、看護職からのサポートが有効でした。

また、仕事上のスキルも未熟であったため、指導、管理の仕方もあらためて、調整し直しました。結果として徐々に症状、問題行動を軽減することができました。