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「積極的傾聴法」は、このような態度で相手の話を聴くことを学ぶための方法で、集団を対象として行われます。日本では産業保健の領域、特に管理職研修で職場のコミュニケーションの改善、上司による部下への人間尊重の態度、すなわち、上司による部下の支援も強化する目的などで広く活用されています。
実際の研修では、インストラクターによって、傾聴のポイントを先に教えたうえで、グループで傾聴練習を行う方法から、傾聴練習の際に、先に傾聴のやり方を教えることなく、参加者自身が自分で聴き方を工夫して、自分が持っている傾聴の能力を引き出し、自らの能力に気づき、これを職場での実践につないでいこうとする方法まで、指導する側によっていくつかの方法が実施されています。
ここで紹介する方法は、三島、久保田らによって開発された、「体験的発見的学習方法」(※1参照)です。この方法は、新たに技法を覚えてもらうのではなく、元々参加者が持っている傾聴能力を引き出して、自らの能力や職場での実践の必要性への気づきを促進する方法なので、職場で実践しやすく、その有効性に関しては多数の報告があります。この方法は、一度実習に参加すれば、2回目からは専門家でなくても、誰にでも研修の指導ができます。従って、メンタルヘルス教育担当者のためのプログラムとしては適していると考えられます。もちろん、より効果的でスムースな進行を行うためには、それなりの準備は必要です。
※1 三島徳雄、久保田進也 「積極的傾聴を学ぶ‐発見的体験学習法の実際」 中央労働災害防止協会 2003
※「メンタルヘルス教育研修担当者養成研修テキスト」(平成22年厚生労働省・中央労働災害防止協会)を参考に作成