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第4回 大切なことは関連部門との連携!

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計画の実行は、経営者の承認をとってこそ!

 衛生委員会には、産業医も毎月の巡視の日に日程を合わせて、出席してもらうなど委員会のメンバー構成の見直しに関しても合意をとることができました。

 さてさて、深掘りするとまずは課題の整理が必要となり、メンタルヘルスで対応の課題、人事制度的な課題、組織の課題、仕組みの課題と色々な種類の話題が出ていたことがよく分かりました。こういった点からも、会社にとっても何が問題になっているのかといった情報が一度に集まることにもなるので「事業場内メンタルヘルス推進担当者」としては、特に整理が必要なことは、人事労務、総務との明確な方針の違いです。

 あくまでも、組織や人事的なことはメンタルヘルス推進室より直接的なアプローチをしないということ、対従業員の個別的な問題ケースを集めて、組織的な課題である点を指摘、報告していくことが重要だからです。意外にも人事、総務だけの既存機能ではそこが網羅されていないことが分かりました。そのあたりの仕分けを慎重に行い、組織的、部門的な問題を整理しました。そして、メンタルヘルスアプローチをそれぞれの問題に対してどのように行いたいのかをまとめました。

【メンタルヘルスケア推進の実行計画案】

  1. 事業場のメンタルヘルスケアに関する方針を明確にし、年間の実施計画を策定する
  2. 事業場のメンタルヘルスケアの施策はメンタルヘルス推進担当者が推進する
  3. 要望、問題、課題は整理してかならず対応進捗、対応策を立てて関係者と、連携する
  4. メンタルヘルス推進室に相談窓口を設置し従業員へ周知する
  5. セルフケア、ラインによるケアを推進するための従業員教育、管理監督者教育を実施する
  6. ストレスチェックを全社実施し、個人へのフィードバックを行うと共に、その組織的な分析報告を経営者へ報告する

 まだまだ、始めの一歩といった感は強いのですが、他部門間で色々と業務、職務上特色だった問題を出し合い、共有しておくことでそれぞれのやるべきことが見えてきたというのが何よりも収穫で、それを活かさない手はない、と計画案としてさっそく経営者に提出することとなりました。経営者に直接発言するなんて、という企業も多いかもしれませんが、今回は参加した各部門の管理監督者からの要望で経営者に伝えてほしい、といった意向を受けての流れがありました。管理監督者としては、限られた時間の中で業務上の報告に加えて経営者に訴えかけることが困難である側面があると思います。それらについて比較的、発言しやすい場所というのが衛生委員会なのかもしれません。

 そういった管理監督者の声も交えて、経営者に報告とあわせて今後取り組んでいきたい旨を説明しました。思わぬ反応としては、多忙な経営者は、やはり従業員の状況や実態についてはみんな関心があるということもあり、しかもその情報が他部門の管理者も参加して行われた会社全体の声が集約されたもの、となると必要な情報であり、そこで出てきた問題は、ぜひ取り組んでほしいといったものでした。

 こうして、ようやく全面的なGoサインをとりつけることができました。社長名を入れた文書形式で、衛生委員会の中で意見の聴取、調査審議された実行項目について全社通達を行いました。社長から「メンタルヘルスケアの推進への協力をお願いします」といった趣旨の呼びかけはとても効果的です。この手の通達は見ている従業員と見ていない従業員とに分かれてしまうという側面もありますが、トップの承認を得た形式で取り組みを進めていくということは、何よりも説得力があり、その取り組みがあることを知った従業員にとっては安心材料となる効力があります。これはトップダウンの一番のメリットでもあり、最大の効果であるといえるでしょう。

次回へ続く・・・

東 ちはる(あずま ちはる)
産業カウンセラー・心理相談員
新たに設置した「メンタルヘルス推進室」の担当者となり、「事業場内メンタルヘルス推進担当者」として活動することに。
社内のメンタルヘルス対策の実現に向けて、そこには孤軍奮闘の日々が待っていました。
何も分からない手さぐりの状態から、『出来ることから一つずつ』をモットーに現在進行形で取り組んでいきます。※創作ストーリーのため、架空の人物です。

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