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メンタルヘルス関係

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育児時間
生後1年未満の生児を育てる女性は、休憩時間(労働基準法第34条)とは別に1日2回各々少なくとも30分、授乳や世話などのために育児時間を請求できます。使用者は、この時間就業させることはできません。なお、請求できる時間帯、託児所等の往復時間、育児時間中の賃金、変形労働時間制のもとで就業している場合の取り扱い等は、通達で示されています。
1年単位の変形労働時間制
1箇月を超え1年以内での期間を設定し、1週間あたりの労働時間が40時間を超えない定めをした場合には、1週40時間・1日8時間の法定労働時間にかかわらず、特定の週に40時間を、また特定の日に8時間を超えて労働させることができる制度です。実施にあたっては、対象となる労働者の範囲や対象期間等を労使協定で定め、労働基準監督署に届出が必要です。
1箇月単位の変形労働時間制
1箇月以内の期間を設定し、1週間当たりの労働時間が週の法定労働時間を超えない定めをした場合で、特定の週または特定の日にそれぞれの法定労働時間(週:40時間、日:8時間)を超えて労働させることができる制度です。実施に当たっては、労使協定又は就業規則等で定め、労働基準監督署に届出が必要です。月末が繁忙になる場合などに有効な方法です。
1週間単位の非定型的変形労働時間制
1日の法定労働時間(8時間)にかかわらず、特定の1週間当たりで1日について10時間まで労働させることができる制度です。日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じることが多く、かつ、これを予測して各日の労働時間を特定することが困難な零細規模の一部のサービス業について認められます。実施にあたっては労使協定を結び、労働基準監督署に届出が必要です。

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医師による勧告・指導
過重労働対策においては、医師は、長時間労働をしている作業者と面接して得たデータから、脳・心臓疾患(脳出血などの脳血管疾患及び心筋梗塞などの虚血性心疾患等)やメンタルヘルス不調の判定と評価を行います。「診断区分」、「就業区分」、「指導区分」の3判定区分を決め、「生活指導」、「就業指導」、「医療機関受診」等の指導の必要性を判断します。事業者に対しては、作業者の労働時間の短縮、職場状況や作業の変更などの具体的意見を勧告します。事業者は医師の意見に沿った改善に努めなければなりません。
医師による面接指導
長時間労働によって脳・心臓疾患(脳出血などの脳血管疾患及び心筋梗塞などの虚血性心疾患等)やメンタルヘルス不調等、“心とからだ”への健康影響が懸念されていますので、事業者は、労働安全衛生法に定めるところによって長時間労働をしている作業者に対して、医師による面接指導を行います。医師は、面接指導を受けた作業者本人に対して、健康上・生活上の指導や医療機関への受診指導を行うとともに、事業者に対して面接指導後の措置に関する意見を述べます。
衛生委員会
業種を問わず常時50人以上の労働者を使用する事業場では、事業者は衛生委員会を設置し、毎月一1回以上開催をしなければなりません(安衛法第18条)。委員は、1)事業を統括管理する者(総括安全衛生管理者)、2)衛生管理者、3)産業医、4)労働者で衛生に関し経験を有する者、で構成され、委員の半数は労働組合又は労働者の過半数代表者の推薦であることが必要です。議題は、経営に関する以外のことで職場の安全衛生が中心。議事の労働者への周知及び3年間の保存の義務があります。
衛生管理者
業種を問わず常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者を選任しなければなりません(労働基準監督署への選任報告が必要)。有害業務のある製造業等では「第一種衛生管理者免許」が必要ですが、有害業務のない業種では「第二種衛生管理者免許」でかまいません。衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備や作業方法、衛生状態に問題があるときは直ちに必要な措置を講じなければなりません。
衛生推進者
小規模事業場(常時使用する労働者の数が10人以上50人未満である事業場)では、安全管理者又は衛生管理者の選任が義務付けられていないことから、職場の安全衛生活動を行わせるために、安全衛生推進者(安全管理者の選任を要する業種以外の業種の事業場にあっては衛生推進者)を選任し、その者に安全衛生業務を担当させなければなりません。衛生推進者にあっては、衛生に係る業務に限っての担当となります。

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遺族給付
→遺族補償給付を参照してください。
遺族補償給付
遺族補償給付(通勤の場合は遺族給付)は、仕事(通勤)が原因となって死亡した場合に、遺族の請求により給付基礎日額をもとに算定された額が支払われるものです。労働者の死亡当時にその者の収入により生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のうち最先順位にある者に対し遺族補償年金が支払われ、該当者がなく、又はいなくなったときは、一定額の範囲で遺族補償一時金が支払われます。

メンタルヘルス関係

脳・心臓疾患
→過労死を参照してください。
年次有給休暇
労働基準法第39条により、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10日の有給休暇を与え、その後1年ごとに1~2日追加し、最大年間20日の有給休暇を与えなければならないこととされています。有給休暇は原則として自由利用が認められます。
業務遂行性
業務起因性が認められるためには、その前提として原因を受けたのが仕事中であることが必要になりますが、その状態を業務遂行性があるといいます。業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態をいうもので、一般にいう「仕事中」より広く、業務に従事している状態のほか、休憩時間において事業場構内でスポーツをしているとき、休憩室での休憩中、用便中などは事業主の支配・管理下にあるとされ、業務遂行性が認められます。
業務起因性
業務起因性とは、仕事と負傷、疾病、障害又は死亡との間に因果関係がある状態をいい、仕事中(事業主の支配下にある状態)に原因を受けて負傷、疾病、障害又は死亡に至ったと認められることをいいます。労働者の不注意などがあっても、故意がある場合を除き、因果関係の否定材料にはなりません。
業務上疾病
業務上疾病とは、仕事が原因となってかかった疾病をいいます。負傷と異なり、疾病の原因は分かりにくいため、どのような疾病が労災補償の対象なるのかを労働基準法施行規則別表第1の2と関係の告示に列挙しています。具体的に掲げられていない疾病であっても、業務起因性の認められたものは労災補償の対象となります。
過労自殺
→精神障害等を参照してください。
過労死
長時間労働などの過重な仕事に就労したことにより、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患(心臓の筋肉の血管が詰まることによる疾病)等にかかったり、その結果死亡に至ることがあり、これを過労死と呼んでいます。一般の人にも仕事に関係なく起こることの多い疾病ですが、過重な仕事に従事することにより、血管がもろくなったり、詰まりやすくなり、あるいは血圧が高くなることなどがあって発病することがありますので、業務上の疾病として労災補償の対象となります。
薬物依存
薬物依存とは、耐えがたい欲求のために連続的ないし周期的にその薬物を摂取することをいいます。薬物の種類としては、睡眠薬、非麻薬性鎮痛剤、抗不安薬、麻薬、幻覚発現剤(LSD-25、大麻など)、覚せい剤(ヒロポンなど)、有機溶剤(シンナー、接着剤など)、コカイン、喘息薬など多岐にわたります。治療行為から派生した医原性ともいえる側面や、反社会的(違法性)といった側面から理解していく必要もあります。なお、反復使用することで薬物の効果が減り、使用量が増加する現象を耐性と呼び、使用中断による心身の病的症状を離脱症状(禁断症状)と呼びます。精神科医療施設での治療に加えて、以下のような自助組織の活用が考えられます。
AKK(アディクション問題を考える会)、NA、Nar-Anon(ナラノン)
安全配慮義務
労働者は、通常の場合、指定された場所で、提供された設備、器具等を用いて労働に従事しますので、労働契約の内容として具体的に定めていなくても、労働契約を結ぶことに伴って信義則上当然に、使用者は、労働者がその生命、身体等の安全(心身の健康を含みます。)を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をすべきこととされています。このことは、陸上自衛隊事件の最高裁判決(昭和50年2月25日)などの判例で確立した考え方となっており、労働契約法第5条に定められています。
就業規則
それぞれの事業場における労働条件を定めた規則で、10名以上の労働者を雇用する事業場では、就業規則を作成し、労働者代表の意見を聴取したうえで、労働基準監督署に届け出る必要があります。規則には、始業、就業の時刻や休憩時間、休日、休暇、賃金、賞与、退職(解雇事由を含む)などについて書かれています。
3A(absenteeism、alcohol、accident)
メンタルヘルス不調は血液検査などで明らかな異常値がでるわけでもないため、早期発見は困難と思われています。しかし、absenteeism・alcohol・accident、すなわち勤怠状況の変化・飲酒問題・様々な事故の発生に注目することにより、メンタルヘルス不調を早期に発見できるとされ、頭文字をとって「三つのA(3A)」と言われています。
NIOSH職業性ストレスモデル
米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が作成したもので、仕事上の要因(仕事量や質、人間関係、裁量度、温度や騒音等)をうけて急性ストレス反応(心理面、生理面、行動面への変化)がおき、やがてストレスに関連した病気や作業能率低下などの問題が生じる、という一連の流れを示します。その流れに影響を及ぼすものとして、仕事以外の要因や年齢・性別・性格といった個人要因、上司・同僚・家族からの支援などの緩衝要因が挙げられます。
Total Health Promotion Plan (THP)
「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づくすべての働く人を対象とした心とからだの健康づくり運動のことをいいます。健康測定を行い、その結果に基づいた運動指導、保健指導、栄養指導、メンタルヘルスケアを行うことが基本です。
ICD-10
「疾病及び関連保健問題の国際統計分類 (International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems )」のことであり、死因や疾病の国際的な統計基準として世界保健機関(WHO) によって公表された分類です。略称はICDで、現在は2003年に改訂され第10版(ICD-10)となっています。
IT産業
IT産業とは、コンピュータメーカーや通信事業者、ソフトウェアメーカー、システムインテグレータなど、情報・通信技術に関連する産業を総括した名称です。コンピュータやその周辺機器の製造・販売、ソフトウェアの開発や販売、ネットワークの構築、通信サービス、企業の情報システムの構築など、非常に幅広い分野を含みます。
青い鳥症候群
現実の自分や、取り巻く環境、待遇などを受け入れられず、自分にはもっと力があり、もっと能力を発揮できる場所があるはずだ、という考えを捨てられず、理想の職場を求めて転職を繰り返す人のことをメーテルリンクの童話「青い鳥」にちなんで”青い鳥症候群”と呼ぶことがあります。今の自分は本当の自分ではないと思い込み、本当の自分という青い鳥を探し求めて、右往左往します。具体的な目的がないため転職を繰り返が、理想の職場は見つからず、最終的に絶望感にさいなまれうつ病像に移行することもあります。
空巣症候群
子どもが成長し巣立って、巣(家)が空っぽになってしまったことが、一種の喪失体験となり、寂しさなどを感じることを空の巣症候群といいます。精神医学的にはうつ状態、うつ病の一種であることが多いものです。特に内向的で人付き合いが苦手、外出より家にいる方が好きで、子育てを生きがいとしてきた専業主婦に多くみられます。空の巣症候群には更年期によるホルモンバランスの変化や、夫が仕事人間、あるいは単身赴任のため不在といった家庭的要因の影響も関係していることが多いものです。
アサーション訓練
相手の気持ちや考えを尊重しながらも、自分の気持ちや考えをその場に適切な表現で相手に率直に伝える訓練です。
アスペルガー症候群
自閉症の一種で、高機能自閉症と呼ぶこともあります。通常の自閉症と違い知的障害はありませんが、相手の感情や雰囲気を察することができず、人や社会とのコミュニケーションに支障をきたしやすいという特徴があります。
一次予防
疾病予防や健康増進を行うことで、健康診断など(二次予防)と異なり、原因の排除やリスクの低減を図ることをいいます。具体的には、生活習慣の改善や生活環境の改善、健康教育による疾病予防や健康増進を図ったり、予防接種等による疾病の発生予防、事故防止による傷害の発生を予防することです。過重労働対策としては、時間外労働の短縮や年次有給休暇の取得促進が一次予防となります。
医療保護入院
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第33条に規定されている入院形態で、1名以上の精神保健指定医の診察により医療及び保護のため入院が必要と判断され、かつ精神障害者本人の同意が得られない場合、保護者の同意によって成立します。なお、保護者とは後見人、配偶者、両親(患者が20歳以上の時は裁判所の選任が必要)、居住地の市長村長などから決められます。
飲酒教育
飲酒教育とは、学校、地域、職域等において過度の飲酒の弊害や「適正飲酒」の知識を広げることであり、アルコール関連障害の予防に重要です。
EAP
EAPは、「Employee Assistance Program」の略であり、「従業員支援プログラム」と訳されています。元々は米国で発展したもので、その目的は従業員が業務に影響する個人的な問題を解決するために専門的サポートをタイムリーに提供することによって、職場でのパフォーマンス(業績、生産性)の向上・維持をすることです。こうした米国型(パフォーマンス型)EAPに対して、「産業保健を基盤とし、職場との連携を重視する」産業保健型(医療併設型)EAPが我が国にはなじむようです。
うつ病
精神活動が低下し、抑うつ気分、興味や関心の欠如、不安・焦燥、精神運動の制止あるいは激越、食欲低下、不眠などが生じ、生活上の著しい苦痛や機能障害を引き起こす精神疾患です。診断としては、ICD-10(国際疾病分類第10回修正)やDSM-Ⅳ(米国精神医学会)といった診断基準により、症状のそろった状態像を操作的に診断することが一般的です。治療としては、「休養」「薬物療法」「精神療法」を組み合わせます。最近では、生物学的な観点からの研究も多く、薬物療法はセロトニンやノルアドレナリンといった脳内神経伝達物質の働きの促進を目的とした抗うつ剤が開発され、現在の治療の主流となっています。精神療法としては認知行動療法が有効とされています。その他、経頭蓋磁気刺激法、断眠療法、光療法、電気けいれん療法などがあります。
うつ病の自己評価尺度(SDSなど)
SDS(Zung Self-rating Depression Scale)などが自己評価尺度としてあります。これらはスクリーニング用に使用されることがありますが、いわゆるカットオフ値を超えてもあくまでうつ病の「疑い」であり、診断を下すためのものではないということが大切な点です。逆にカットオフ値以下でも「疑い」がないわけではありません。臨床場面では診断をする際に補足的に用いられます。
All or none
物事をとらえる際に「全か無か」の二分法でしか考えないという思考の癖のことを指します。たとえば、少しでもミスがあればそのミスを過大に取り上げ、80点~90点の出来だったとしてもそれを認めることができず、全体としては完全な失敗だと理解してしまう傾向をいいます。このように認知が歪んでいる状態は、自分自身ばかりか相手を傷つけることにもなり、やがて心の病気を引き起こす遠因となることが指摘されています。
介護ストレス
介護における身体的な負担とともに精神的な不調によってストレスを感じることをいいます。腰痛や肩こりといった健康面での不調や、自分ひとりで介護を抱えてしまうことで不安やイライラを感じたり、疲れやすいなどの症状が現われます。対処方法としては、社会的支援を活用して自分の時間を持ったり、健康づくりを習慣にして健康管理を行うなどのほか、自分自身の考え方を切り換えるなどしてストレスを軽減することが大切です。
快適職場づくり
労働者は生活の3分の1を職場で過ごし、職場はいわば労働者の生活の場の一部ともいえます。そこで、事業者は作業環境や施設設備についての現状を的確に把握し、職場の意見・要望等を聞いて計画的に着実に職場の改善をすすめることを示します。労働安全衛生法第71条の2において、事業者は快適な職場環境を形成するように努めなければならないとされており、疲労やストレスの少ない職場づくりを目指すこととされています。
買い物依存症
ひとは自分の収入の範囲内で買い物をしていますが、ストレス発散などの言い訳のもと、次第に買い物をする回数も増え、必要のないものまで買ってしまうことがあります。高額な買い物を繰り返し借金もかさみ、自分でも生活に支障をきたしていることに気づいても買い物をやめることができない状態のことを買い物依存症といいます。
カウンセラー(産業カウンセラー、臨床心理士)
何らかの問題を抱えている人から相談を受け、適切な援助を与える職種をいいます。職域においては(財)日本臨床心理士資格認定協会の認定資格である臨床心理士や(社)日本産業カウンセラー協会の認定資格である産業カウンセラーなどが活躍しています。
カウンセリング
何かしらの問題・悩みを抱えた人を対象に、専門的な技術や知識を用いて、言語的または非言語的コミュニケーションによって行われる相談・援助活動一般のこと。ガイダンスの一方法としての相談・助言から、心理療法としての治療的援助活動まで幅広く含まれることが多い。
過換気症候群
精神的な不安によって過呼吸になり、その結果、手足や唇のしびれやどうき、めまいなどの症状が引き起こされる心身症の一つです。若年者や女性でストレスを受けやすい人によくみられます。発作が起こったときは、小さめの紙袋を口に当てて反復呼吸させます。必要ならば抗不安薬を内服します。発作を繰り返す場合、安定期に心理療法、行動療法を行うとよい場合があります。
過食症
拒食症とともに摂食障害のひとつで、ほとんど女性に発症します。拒食症に伴うことも、拒食症から移行することも、単独で起こることもあり、最近、拒食症以上に激増しています。自分で制御できないほどのむちゃ食いの後、体重増加の恐怖から、自ら吐いたり、下剤を乱用したり・・・その後、気分が落ち込み、無気力となり、自分をだめな人間だと思う・・・これを繰り返します。治療はカウンセリング、さらに必要に応じて薬も用います。
仮面うつ病

うつ病は、精神症状が一般的ですが、なかには身体症状の方が前景にたつケースも少なくありません。身体疾患の仮面をかぶったうつ病という意味で、仮面うつ病と呼ばれています。主体となる苦痛が身体症状となると、内科、産婦人科、などの心の専門医以外の診療科を受診し誤診されてしまうこともあります。

寛解と治癒
精神科領域では、対象となる障がい特性を考慮して、回復度合いを定義しています。症状が完全に消失し精神的に安定した場合は完全寛解と呼ぶことが一般的で、身体医学の治癒に相当する。アメリカ精神医学会による「DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の分類と診断の手引」によれば、「完全寛解とは、その疾患の症状や徴候はまったく存在していないが、なお、その疾患を記しておくことに臨床的意味があるー例えば、以前に双極性障害のエピソードのあった人がこの3年間リチウム投与で症状が消失している場合、完全寛解が一定期間続いた後には、その人が回復してしまっているため、その疾患を現在の診断としてコード番号をつける臨床家はいないであろう。完全寛解と回復との区別には多数の因子を考慮することが必要であり、例えば、その疾患の特徴的経過、障害の最後の期間からの経過時間、障害の全持続期間、経過観察または再発予防治療の必要性などがある。」と記載されています。さらに、症状が多少残っていても精神状態は安定し社会生活がある程度可能な場合は不完全寛解などと呼ばれ、社会生活を営めるほどには症状が消失してない場合は軽快、症状が不変、増悪している場合は未治と呼ばれています。
感情鈍磨
統合失調症にみられる陰性症状のひとつで、感情表現が乏しくなり、情緒性や道徳感などが低下する程度から、快・不快、喜怒哀楽の感情反応が消失するものまでさまざまです。
希死念慮
自殺念慮とほぼ同一の思考内容をさしています。これらの意味の差異としては、自殺念慮の場合、強い感情を伴った自殺に対する思考あるいは観念が精神生活全体を支配し,それが長期にわたって持続するのに対し、希死念慮では、思考あるいは観念として散発的に出現する場合を指すことが通例であり、「消えてなくなりたい」、「楽になりたい」などが希死念慮の具体的な表現型です。
季節性うつ病
ある季節のみうつ病になるものを指します。季節性感情障害、季節性気分障害などとも言われます。日照時間の短縮が関与しているといわれている「冬季うつ病」の治療には、早朝の数時間にわたって5000ルックス以上の光を照射する光療法が有効とされています。冬季のみでなく、夏季や雨季などの季節性うつ病も存在します。
気分障害
感情障害ともいわれ、うつ病、躁うつ病などが含まれる分類を意味します。抑うつあるいは高揚といった気分の変調が持続することにより、生活上の苦痛や機能障害を呈する精神疾患の総称といえます。気分変調性障害、気分循環性障害も含まれます。
気分変調症
典型的なうつ病ではありませんが、うつ病性の障害とされており、それほど重篤でないもののより慢性的持続的(一般的に2年以上)なものをさします。従来、抑うつ人格、抑うつ神経症、神経症性うつ病などと呼ばれています。最近、新型うつ、などと呼ばれるディスチミア親和型うつは気分変調性障害と類似しているものとも言われます。
記銘力障害(記憶障害)
精神機能としての記憶は、記銘、保持、追想、再認の四素からなっています。この四要素のどれが障害されるかによって記憶障害が起こり、それぞれ記銘力障害、記憶保持障害、追想障害、再認障害と分類されています。一般に記憶障害は器質性脳障害の症状ですが、心因反応でも解離性障害でも起こることがあります。記銘障害とは、新たに知覚し、体験した情報を記憶の中に取り入れ留めておくことの欠損のことですが、具体的な障害としては、さまざまな認知症の中期から後期にしばしば現れ、特に、コルサコフ症候群においては記銘力障害、逆行健忘、作話、失見当識が主症状です。
急性ストレス反応
主に生死に関わるような要因でトラウマ(心的外傷)を経験した後、これによるフラッシュバック(トラウマの原因となった出来事が繰り返しはっきりと思い返されたり、悪夢を見たりする)、回避(トラウマに関する出来事や、関連する事柄を避けようとする傾向)、過覚醒(神経が高ぶった状態が続き、不眠や不安などが強く現れる)なの症状が出現します。ただし、これらの症状は一過性であり、通常数時間から数日以内でおさまります。
共感
カウンセリングでいう共感とは、あたかもこのように感じていたり考えていたりするのだろうと、相手の気持ちを慮って理解しようとすることをいいます。相手と感情を共有するということではなく、同情とは区別されます。
強迫性障害
不安をベースとする精神障害(不安障害)の一つです。自分でもそんなことはない、とわかってはいても拭い去れない考え(強迫観念)に基づいた行動(強迫行為)を繰り返し、日常生活に支障をきたします。例えば、何かに触れた直後から、“~病になってしまうのではないか”→“そして誰かにうつしてしまうのではないか”という心配から抜け出せずに手洗いを止められない、など。自分の不完全さに基づく確認強迫も代表的です。
拒食症
痩身が美しいとされる現代の社会的風潮に相まって、ここ数十年、激増している心の病気です。9割以上は女性です。強いやせ願望と肥満恐怖、そのために極端なダイエットを敢行します。著しい痩身なのに、やせていると自覚していないのも大きな特徴です。相当やせてもなお活発です。生理はほぼ止まります。過食症に移行することも多い一方で、やせが進むと身体の合併症も伴い、死の危険も生じる、決してあなどれない病気です。
ギャンブル依存症
ギャンブル依存症とは、パチンコ、パチスロ、競輪、競馬、競艇などのギャンブルによって経済的、社会的、精神的に自分の生活に支障をきたしていることに気がついていても、ギャンブルをやめることができない状態のことを言います。
傾聴
「こちらの聞きたいこと」を「聞く」 (Hear)のではなく、「相手の言いたいこと、伝えたいこと願っていること」を受容的・共感的態度で「聴く」 (Listen)ことであり、相手が自分自身の考えを整理し、納得のいく結論や判断に到達するよう支援することです。つまり、「聴く」の文字が表しているように、「耳と目と心できく」のが「傾聴」の基本です。
健康管理
健康管理は、健康診断およびその結果に基づく事後措置、健康測定結果およびその結果に基づく健康指導ならびに面接指導およびその結果に基づく事後措置まで含めた幅広い内容を有しています。メンタルヘルス対策も健康管理が中心です。健康管理は、健康診断、健康測定あるいは面接指導を通じて労働者の健康状態を把握し、作業環境や作業との関連を検討することにより、労働者の健康障害を未然に防ぐこと、さらに健康の増進につながるようなことが含まれます。
健康教育
健康教育とは、健康に関る諸問題に対して正しい知識を与え、健康増進につながるようなライフスタイルをとるように個人の行動を変化させることです。健康教育により健康状態に影響を及ぼす個人の習慣や個人の行動、組織における変容を引き起こします。メンタルヘルス対策における労働者、管理監督者等への教育も健康教育の一環といえます。
健康保険組合
健康保険組合は、仕事と無関係に起きたケガや病気(私傷病)などに対して保険給付を行う組織で、主に大企業の社員が加入します。主な保険給付には医療機関で診察・治療を受けたときの費用負担や、私傷病で休んでいるときの生活保障(傷病手当金)などがあります。なお中小企業の社員は全国健康保険協会に加入します。
月経前症候群
排卵から月経がくるまでの2週間ないし1週間くらいの間に、イライラ、落ち込み、腹痛、乳房緊満感、腰痛、頭痛・頭重感、眠気などの症状が繰り返し出現し、人間関係や日常生活に支障をきたす障害のことをいいます(症状は月経開始とともに殆どが消失します)。出現頻度は、月経のある人のうち数%とする報告から約80%とする報告まで様々あります。薬物療法や食事療法などによる治療が試みられています。
幻覚
実際にはない刺激を知覚することをいい、錯覚とは区別されます。幻覚の種類には幻聴、幻視、幻味、幻臭、体感幻覚などがあります。幻覚は統合失調症、アルコール依存症、薬物依存症、器質性精神病、心因反応、躁うつ病などに見られますが、統合失調症で最も多くみられる症状です。
現職復帰の原則

メンタルヘルス不調で休んでいた人が職場復帰する場合には、まずは元の職場(休み始めたときの職場)に戻すのが原則です。新しい環境に適応することが心理的な負担になるためです。ただし異動がきっかけで発症したような場合は、適応できていた以前の職場などへの復帰が良い場合もあります。なお、職場復帰については、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(平成24年7月改定。厚生労働省発表)を参考とするとよいでしょう。

現代型うつ病

正式な医学病名ではなく、従前からの典型的なうつ病と違うものを意味する総称として名前が一人歩きしている傾向があり、専門家の間でも見解は一致していません。「新型うつ病」などとも言われ、あたかも最近新しく生じたうつ病のようですが、実は古くから「ディスチミア親和型」「逃避型うつ病」「アパシー」「退却神経症」「パーソナリティ障害(境界性、自己愛性など)」「甘え、怠け、わがまま、自己中心的な性格の問題」など専門家の間では様々な見方をされてきています。本人だけの問題と考えられがちですが、社会が生んでいるという観点も重要と思われます。DSM-Ⅳ-TR(米国精神医学会)にはメランコリー型に対し非定型うつ病の診断基準の記載があり、1)気分の反応性:楽しい出来事には気分が明るい、2)食欲の増加、体重増加、3)過眠、4)鉛様の麻痺(身体が鉛のように重い)、5)拒絶過敏性(他人の言動にひどく敏感)、などを特徴としています。

行為障害
反抗的で攻撃的な非行行為を繰り返す状態をいいます。この非行行為は年齢相応に必要な社会的規範や規則から著しく逸脱しています。その非行行為を引き起こす原因としては脳の障害、精神的な障害、人格発達のゆがみ、家庭環境や社会的環境の影響などがあります。
抗うつ薬
抗うつ薬には、気分の落ち込みの解消、意欲の亢進、不安興奮鎮静の3つの薬理作用があります。代表的なものには、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬などがあります。近年は、「第3世代抗うつ薬」と呼ばれるSSRIやSNRIによる治療が主流ですが、従来からの薬も見直されつつあります。効果が出るには、1~2週間かかり、少なくとも薬効の評価には1か月間は定期的に服薬することが必要です。
高照度光療法

整えられた環境の下、蛍光灯に似た2500ルクス~10000ルクスの照射を、読書や食事をとりながら1分ごとに数秒は光源を見る、一日1時間~2時間、1週間~3週間行います(一般家庭の蛍光灯の照度は数百ルクス)。なお、曇り空は約10000ルクスと光療法としての照度は十分あると言われています。一部のうつ病や睡眠障害に有効といわれています。

向精神薬
主に脳の中枢神経系に作用し、その薬理作用が思考・感情・意欲などの精神機能にある薬剤を向精神薬と呼んでいます。精神医学の用語としては、向精神病薬は、その薬理作用に応じて、抗精神病薬(主に幻覚・妄想の治療に用いられる)、抗うつ薬、抗不安薬、気分安定(調整)薬、睡眠薬(または睡眠導入剤)、抗痙攣剤(主にてんかんの治療に用いられる)などに分けて使われています。
行動療法
人間の問題行動は誤った学習から生じたものとみなし、その学習を消去し正しい行動へ導くという考えに基づいた療法の総称です。個人の内面よりも具体的行動やそれを引き起こす条件を重視します。弱い不安から段階的に、不安に直面させ不安な出来事は起こらないことを学習させる、問題行動のたびに嫌悪刺激を与えて抑制する、望ましい行動を強化する、対人関係において適切に行動できるよう訓練することなどがあります。
抗不安薬
不安や緊張などを改善し、自律神経を安定させる効果があります。身体疾患に基づく不安にも用いられます。程度の差はありますが、眠気を誘う、筋肉のこわばりを緩める作用もあり、車の運転などは避けたほうがよろしいでしょう。向精神薬の中でも安全性は高く副作用も少ないのですが、連用による依存性が生じることがあり、処方医の指示を守ること、漫然とした長期投与は常用量依存を生じることがあり、避けることが必要です。
交流分析
人間行動に関する理論体系およびそれを応用した心理療法の手法の1つです。自分の考え方や行動、他人との交流パターン、無意識に繰り返される悪い癖、人生のシナリオの4つを自己分析した上で、よりよいセルフコントロールの手がかりを得ます。ありのままの自分を生かす方法について、自分自身で答えを見いだせるように促すことが特徴です。心療内科などの医療分野、学校、企業内研修などで活用されています。
心の健康づくり計画
メンタルヘルスケアは、中長期的視野に立ち継続的・計画的に行うこと、事業者が労働者の意見を聴きつつ事業場の実態に則した取組みを行うことが必要です。このため衛生委員会などで十分調査審議を行い、事業者が同ケアを積極的に推進する旨の表明に関すること、事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること、事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関することなどを計画することが必要です。
心の健康づくり専門スタッフ
事業場内における心の健康の保持増進に関する専門スタッフであり、教育研修の企画や実施、職場環境等の評価と改善、労働者及び管理監督者からの専門的な相談対応等を行います。心理相談担当者(心とからだの健康づくり(THP)専門スタッフ)もその一つです。
個人情報保護
氏名、生年月日等により特定の個人を識別できる情報に係る個人の権利利益を保護することをいいます。職場におけるメンタルヘルス対策を含む健康管理におきましては、種々の健康情報があり、個人情報のうちでもとくにセンシティブ(機微)な情報として保護すべきもので、「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について」(平成16年10月29日付け基発第1029009号)が示されています。職場でメンタルヘルスケアを円滑に行うためには、個人情報保護への十分な配慮が必要です。もし配慮が不十分なら労働者が事業場内のメンタルヘルスケアに安心して参加できません。
コーチング
相手が目標を達成する際に必要なスキルや知識を特定し、それが身につき、目標を達成するまで質問したり、具体化するなど戦略的な会話を中心に継続的に関わり続けることです。コーチングはもともと、相手の能力や才能をうまく引き出している人が実際にどういう会話をしているのか、その方法やコミュニケーション量を観察し体系化されました。
作業環境管理
作業環境管理は、作業環境中の種々の有害要因を取り除いて適正な作業環境を確保するもので、職場における労働者の健康障害を防止するための根本的な対策の一つです。たとえば、作業環境測定とその結果の評価を行い、その評価結果から局所排気装置など各種の設備の改善や適正な整備を行い、作業環境を適正に維持することです。
作業管理
有害な物質やエネルギーが人に及ぼす影響は、作業の内容や作業の方法によっても異なりますが、これらの要因を適切に管理して、労働者への影響を少なくすることが作業管理です。たとえば、作業に伴う有害要因の発生を防止・抑制したり、ばく露が少なくなるように作業の手順や方法を定めたり、作業方法の変更などにより作業の負荷や姿勢などによる身体への悪影響を減少させたり、保護具を適正に用い、暴露を少なくすることなどがあります。
産業医
産業医とは、労働者の健康を保持するため労働者の作業環境や作業管理、健康管理に関して専門的立場から助言・指導を行う医師のことを示します。産業医は労働安全衛生法に基づき常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任する事業者の義務があります。
産業保健スタッフ
事業場内の産業保健スタッフとは産業医等、衛生管理者等、保健師等あるいは心の健康づくり専門スタッフなどを指し、人事労務管理スタッフや事業場外資源などと連携して、メンタルヘルスケアに取り組みます。産業医と衛生管理者は労働者数50人以上の事業場で選任が義務付けられています。保健師等は選任義務はありませんが、身近な専門職として重要です。
産褥期うつ病
産褥期とは分娩後、母体が妊娠前の状態に回復するまでの期間をさし、通常6~8週までの期間をいいます。この期間にはうつ病を発症しやすく、産後うつ病とも呼ばれます。急激な身体的変化、ホルモンの変化のみならず育児といった心理社会的変化も同時に起こるため、時に自殺や無理心中などのおそれもありますので注意を要します。育児を抱え込ませない社会的サポートが重要です。
三次予防
すでに疾病が発病し、疾病として完成した後に、リハビリテーションや再発防止をすることで、社会復帰できる機能を回復させ、またそれを維持することをいいます。
仕事のストレス判定図
仕事のストレス判定図は、職業性ストレス簡易調査票の一部の項目(12項目)を利用して作成したものです。仕事の量的負荷、仕事のコントロール、上司・同僚の支援などの調査結果から、職場ごとの健康リスクを判断することができます。職場環境の改善を通じたストレス対策に役に立ちます。
仕事要求度-コントロールモデル
仕事のストレスを説明する理論の1つです。仕事の要求度(仕事量や責任)が大きく、それに比べて仕事のコントロール(自由度や裁量権)が低い場合にストレスが生じやすいとされています。
嗜癖
ある特定の物質・行動過程・人間関係を、特に好む性向をいいます。酒やタバコの物質嗜癖、パチンコやショッピングの過程嗜癖、家族や恋人と生じる関係嗜癖などがあります。
社会的再適応評定尺度
アメリカのホームズ(Holmes,TH)らが開発したストレス測定法の1つです。ライフイベント(生活の出来事)法と呼ばれ、結婚に対するストレス度を50点とし,それを基準に0~100点の範囲で、ストレスに対して再適応に要するエネルギー量を評価します。すなわち点数でストレスの程度を示します。厚生労働省の「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」の心理的負荷の強度基準(強度、中程度、軽度)の根拠の一つとして使われています。
社会不安障害
不安とは、明確な対象を持たない恐怖の事を差します。社会不安障害(social anxiety disorder、SAD)は、社会や人前で嫌な思いをしたり、他人に辱められることに対する不安が強く、行動などに障害を及ぼすものです。
主治医と産業医の連携
心の健康問題を有する労働者を治療する主治医と主治医の判断に基づいて就業上の措置に関する意見を事業者へ述べる産業医が、お互いに医学的な情報を交感し、密に連携することによって労働者がその病状を悪化させることなく、円滑な業務の遂行を支援することが可能となる。主治医からの不十分な情報や不適切な復職支援や就業上の措置に関する意見は、結果として労働者の不利益となり、さらに職場の生産性低下に直結することになる。
守秘義務
医師、保健師、看護師等の医療職は職務を通して他人の秘密を聞いてしまうことがあるので、刑法や身分法が正当な理由なくその秘密を漏らしてはならないことを罰則付きで規定している。医療職以外でも職場で実施される健康診断に関係した者には、労働安全衛生法が同様に規定している。なお、個人情報保護法は、生命、身体の保護や公衆衛生の向上等に必要な場合で本人の同意取得が困難なときは、目的外利用や第三者提供を認めている。
昇進うつ病
正式な医学病名ではなく、昇進に伴う環境の変化により誘発されたうつ病をいいます。嫌なストレスがうつ病に結びつきやすいというのはイメージしやすいが、本来喜ばしいこともうつ病のきっかけとなり得ます。昇進は出世と同時に職場での責任や役割の変化を伴います。最近は責任が重くなるので出世を拒む人も見られます。
職業性ストレス簡易調査票
職業性ストレス簡易調査票は、職場で簡便に使用できる自己記入式のストレス調査票です。仕事のストレス要因、ストレス反応、修飾要因の3つで構成されています。仕事のストレス要因では、仕事の量的負担、質的負担、身体的負担、コントロール、対人関係によるストレスなどが、ストレス反応としては、抑うつ、イライラ感、疲労感、活気、身体愁訴などが評価できます。あらゆる業種の職場で使用でき項目数は57と少なく約10分で回答が可能です。
嘱託産業医
産業医の選任形態のひとつで、専属産業医以外で非常勤で勤務する産業医のことをいいます。常時50人以上かつ999人以下の労働者を使用する事業場の産業医のほとんどが嘱託産業医としての選任であり、開業医や勤務医が診療業務の傍ら産業医業務を担ってます。
職場環境改善
職場環境とは、職場における化学的・物理的な有害要因のみではなく、職場のストレス、労働条件、休憩室などの設備等の働く人を取り巻く全ての事象を指します。この職場環境を改善することは、労働安全衛生法の目的の一つである「快適な職場環境形成促進」につながります。
職場巡視
職場巡視とは、作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態が働く人に有害な影響を及ぼすおそれがないか確認して行く行為で、労働安全衛生規則では、衛生管理者には週に1回、産業医には月に1回の実施が義務付けられています。無論、有害な影響を及ぼすおそれがある場合、健康障害を防止するために必要な措置を講じる必要があります。
職場ストレス
職場で生じるストレスの総称です。係長や課長などへの昇進、支店から本社への抜擢、通常の転勤、仕事の内容の変化、同じ部内での配置換え、上司や同僚、部下との対人関係葛藤、リストラ、単身赴任など多彩なものがあります。適応障害や職場不適応症の発症要因の1つになっています。明らかに職務適性がない場合やパワーハラスメント、セクシヤルハラスメントなどのケースに対して、治療的配置転換(原則1回限り)は有効です。
職場復帰

心の健康問題により休業している労働者が増加しているとする調査結果や休業後の職場復帰支援がスムーズに進まないという近年の調査結果等もあり、職場復帰支援に関する社会的関心が高まっていいます。事業場向けマニュアルとして、平成16年に厚生労働省により「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」が作成され、平成21年には改訂が行われ、それが利用できるようになっています。

職場復帰支援プログラム

メンタルヘルス不調による長期休業者の職場復帰は簡単ではなく、再発や離職もなく少なくありません。長期休業者のスムースな職場復帰は本人のみならず企業や職場にとっても重要な課題になっています。しかし、人材確保とスムースな職場復帰を可能にするため、多くの企業で職場復帰支援プログラムが用意されています。主治医と産業医の意見をもとにして、管理監督者、人事労務担当者、産業保健スタッフなどが、職場環境や作業の内容、作業時間などの調整をしたり、健康面のケアをしたりして、職場復帰を総合的に支援するためのものです。

職場不適応
職場ストレスと個人要因の関連性から発症し就業への不安や恐怖、緊張、焦燥症状を呈し、うつ気分や意欲の低下も認められます。職場不適応には以下の4つの意味があります。すなわち
1. 軽い不適応状態を示す場合
2. 職場不適応症を指す使い方
3. 職場ストレスと個人要因の関連性を示している場合
4. 状態を示す使い方
1-4のどれに該当するかを知ってほしいです。
新型うつ病
→「現代型うつ病」を参照。
心気症
神経症もしくは身体表現性障害の一種です。心身の些細な不調にとらわれ、検査などによっても所見が得られず、医学的な保証によっても納得できず、重大な病気の兆候ではないかと恐れ、執拗に訴える状態です。
神経科
神経疾患を扱う専門分野です。脳と脊髄などの中枢神経系、末梢神経系、自律神経系、それに筋肉系などの神経疾患を扱います。神経科では中枢神経系の障害による身体や神経の麻痺、知覚障害、筋萎縮、歩行や言語障害などを扱うのに対して、精神神経科では思考や感情などの精神面や行動面を人間関係や社会との関連で扱います。
神経症
心理的要因による精神の機能障害ですが、脳や神経の解剖学的変化はなく、特有な症状群ないし状態像をもち、精神病、心身症、性格障害などを除外したものをいいます。
 代表的なものには、不安神経症、心気症、神経衰弱、ヒステリ-、抑うつ神経症、強迫神経症、恐怖症、離人神経症などがあります。
神経伝達物質
神経細胞から他の細胞への情報伝達は、そのほとんどが化学物質により行われており、神経伝達物質とよばれています。神経伝達物質と推定されている脳内活性物質には、アセチルコリンのほかに、セロトニン、ド-パミン、ノルアドレナリン、アドレナリンなどがあります。精神神経疾患との関連では、統合失調症や躁うつ病、それにパ-キンソン病やアルツハイマ-型老年認知症などとの関連が研究されています。うつ病は脳内のセロトニンやノルアドレナリンの不足が想定されています。
神経内科
神経疾患を扱う専門分野です。脳と脊髄などの中枢神経系、末梢神経系、自律神経系、それに筋肉系などの神経疾患を扱います。中枢神経系の障害による身体や神経の麻痺、知覚障害、筋萎縮、歩行や言語障害などを治療対象とします。
新健康フロンティア戦略
国民の健康寿命の延伸に向け、予防を重視した健康づくりを国民運動として展開するとともに、病気を患った人や障害のある人も持っている能力をフルに活用して充実した人生を送ることができるよう、技術と提供体制の両面から支援することを目的につくられた国策です。新健康フロンティア戦略賢人会議(平成19年4月)にて策定され、新健康フロンティア戦略アクションプランで具体的な取り組みについて施策を掲げています。
心身症
体の病気ですが、その発症要因や慢性化にストレスが関与している病気の総称で、病名ではありません。心療内科医による診断や治療が中心になります。胃・十二指腸潰瘍、過敏性大腸炎、本態性高血圧症、神経性狭心症(狭心症)、過呼吸症候群、気管支喘息、甲状腺機能亢進症、摂食障害、メニエ-ル症候群、更年期障害が代表的なものです。治療は身体疾病の治療、心身相関のメカニズムへの気づき、ストレスへの対応などが中心になります。
身体表現性障害
従来は神経症の概念に含まれていましたが、国際的な診断基準であるDSM-Ⅳ-TRやICD-10では、ひとつの診断カテゴリーとして採用されています。身体の病気がないのに、身体の症状が出るのが特徴です。例えば、歯は健康なのに歯が痛む、足腰は問題ないのに立てない、歩けない、声帯には問題ないのに声が出ない、などです。身体の症状を極端に気にして、何か重大な病気に罹ったと思い込む心気症も、このカテゴリーに含まれます。
深夜業
午後10時から午前5時までの業務のことをいいます。労働基準法により満18歳未満の年少者や妊産婦を深夜業に就業させることが禁止されており、また、従事者に対する割増賃金の支払いが義務付けられています。労働安全衛生法により特定業務の一つとして深夜業従事者の健康診断(年2回)や一定要件を満たす労働者の自発的健康診断などが定められています。
心理検査
心身の健康状態や認知・思考(受け止め方や考え方など),行動・性格傾向など,対面するだけでは分かりにくい様々な心理状態・傾向について,インタビューや自己記入式の質問紙などを用いて精査することです。心理検査により,適切な治療や支援のための情報を整理し,結果を被検者に説明することで,自己理解を深めることができます。一方で、心理検査のみで病気などの診断を下すためのものではありません。
心理相談担当者
働く人の心とからだの健康づくりを推進するため、事業者の努力義務として昭和63年からTHP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)が展開されています。このなかで、産業医の指示のもとに必要な対象者にメンタルヘルスケアを提供するのが心理相談担当者です。心理相談を通して、ストレスに対する気付きの援助、リラクゼーションの指導等を行います。受講資格者が中央災害防止協会主催の研修を受講して担当者になることができます。
心療内科
身体疾患を身体的側面だけでなく、心理面、社会面をも含めて総合的にみてこうとする診療分野です。扱う代表的なものに、気管支喘息、ストレス性心疾患や胃潰瘍、アトピ-性皮膚炎などがあります。
心理療法(サイコセラピー)
主に対話を通して専門家によって行われる心理的問題の解決を図る方法です。カウンセリングと同じ意味で使われることが多いですが、カウンセリングよりも治療的な意味合いが強くなります。精神療法ともいいますが、心理士が行う場合は特に心理療法ということが多いようです。
CES-D
このスケールは米国国立精神保健研究所の疫学研究センターが一般集団におけるうつ病の疫学研究用に開発した20項目の自己評価尺度です。1週間の症状の頻度を4段階で尋ねています。各回答には0点から3点の得点が与えられ、総得点が0点~60点で示されます。開発者らはカットオフ値を16点以上とし、得点が高い場合は抑うつ状態を疑います。日本語版(島悟)があり、正常対照群、感情障害群、神経症群、精神病群を対象に臨床的有用性が検討されています。
CAGE
アルコール依存症を自己判断する質問紙の一つです。酒量を減らさなければいけないと感じたことがあるのか(Cut down)、周囲の人に自分の飲酒について批判されて困ったことがあるのか(Annoyed by criticism)、自分の飲酒についてよくないと感じたり、罪悪感をもったことがあるのか(Guilty feeling)、朝酒や迎え酒を飲んだことがあるのか(Eye-opener)、という4項目中2項目以上当てはまった場合可能性が高いとされています。
事業場外資源によるケア
メンタルヘルスケアを行う上で、事業場が抱える問題や求めるサービスに応じて、メンタルヘルスケアに関し専門的な知識を有する各種の事業場外資源を活用することをいいます。労働者が相談内容等を事業場に知られることを望まないような場合にも、事業場外資源を活用することが効果的です。事業場外資源とは事業場外の医療機関や地域保健機関、従業員支援プログラム(EAP)機関などのことを指します。
事業場内産業保健スタッフ等によるケア
事業場内産業保健スタッフ等が、労働者や管理監督者に対する支援を行い、具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案、メンタルヘルスに関する個人の健康情報の取り扱い、事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口となること等、心の健康づくり計画の実施にあたり中心的な役割を果たすことです。事業場内産業保健スタッフとは産業医や衛生管理者、保健師、心の健康づくり専門スタッフなどを指します。
自助グループ
同じような病気や体験を抱えて悩み苦しんでいる人たち自身やその家族同士が連帯することで、互いに支え合うグループのことです。断酒会やA.A(Alcoholic Anonymousアルコール依存症者匿名協会)などは、その典型例で、アルコール依存症を患う人々の職場復帰・社会復帰の大きな支えとなるものです。家族(遺族)の例としては、犯罪被害者家族の会や、自殺者の家族が支え合う自死遺族のつどいなどがあります。
自律訓練法
注意の集中、自己暗示の練習により、全身の緊張を解き、心身の状態を自分でうまく調整できるようにした段階的訓練法です。
具体的方法は、(1)目を閉じて、上を向いてゆっくりと体を横たえる。(2)気持ちが落ちついているという、決められた暗示の言葉を頭の中でくりかえす。(3)さりげない集中(受動的注意集中)を行い、段階的に練習していく。
 この方法は広く、心身症、神経症、などの治療の他に、ストレス解消や健康増進を目的に行われています。
自律神経失調症
一般内科で不定な症状を訴え、それに見合った所見の得られない病態に対して用いられている用語です。
 神経症型、心身症型、本態性自律神経失調症、それに抑うつ型にわけて治療します。身体症状として、全身倦怠感、めまい、頭痛、動悸など、それに種々の臓器の機能障害をきたし、心理的ストレスにより症状が変動もしくは増悪をきたしやすい特徴があります。
 治療は心身両面から行い、生活指導として健康習慣を身につけ、心身のリラックスを図ります。精神安定剤などの薬物療法などがあります。また自律訓練法も改善に役立ちます。
事例性
職場関係者や家族はメンタルヘルスの専門家ではないので、メンタルな問題を感じた際には事例性と疾病性との2つに分けて把握すると理解しやすいでしょう。事例性とは業務を推進するうえで困る具体的事実で、「就業規則を守らない」「仕事の能率が低下している」「同僚とのトラブルが多い」など関係者はその変化にすぐに気がつくことができます。一方、疾病性とは症状や病名などに関することで、「幻聴がある」「統合失調症が疑われる」など専門家が判断する分野です。職場での問題把握の第一歩は、病気の確定(疾病性)以上に、業務上何が問題になって困っているか(事例性)を優先する視点が求められます。
人事労務管理スタッフ
企業の経営資源には、労働力、生産手段及び資本の3つ要素から成り立っています。このうち労働力を対象とする管理活動を人事労務管理と言い、具体的には、雇用管理(採用、人材配置、人事考課)、雇用条件(労働期間や賃金)の管理、人材教育、福利厚生、組合対策などを行うことで、これらの業務を行う人々を人事労務管理スタッフと呼びます。
GHQ
精神健康調査票の1つです。心身の健康状態を“精神健康度”から評価する自己記入式の質問紙で神経症を早期に発見するための質問紙として国際的に広く使用され,その有効性が実証されています。60項目から構成される原版の他に,いくつかの短縮版が開発され,短縮版では,身体的症状や不安,不眠,社会的活動の障害,うつ傾向といった下位分類が用意され,多面的に“精神健康度”を検討できます。
睡眠覚醒リズム障害

ヒトの体内時計の周期は約25時間で、私たちは毎日これを24時間に調整して生活しています。睡眠・覚醒のリズムがうまく調整できなくなった状態を概日リズム障害といい、海外出張(時差ぼけとなる)や、交替勤務でも起こります。他に、就寝と起床がどんどん後ろにずれ込む睡眠相後退症候群があり、職場ではだらしない朝寝坊の遅刻魔と見なされがちです。このタイプの治療には、明るい光の照射や、ビタミンB12などが用いられます。

睡眠教育
睡眠は一定時間唯寝ていれば良いというものではなく、質の良い睡眠をとる必要があります。睡眠のメカニズムや快眠法などに対する正しい知識を持ち、生活習慣を工夫することが重要であり、そのための教育を睡眠教育といいます。発育途上で睡眠が重要な課題である学校や、仕事が忙しく睡眠が規則正しく取れない職場において実施されています。
睡眠障害

日本人は、最近50年間で急速に、睡眠時間減少、かつ宵っ張りに傾いています。睡眠の問題を訴える労働者も増加中です。睡眠障害にはさまざまな種類があり、単純な不眠のほか、日中に強い眠気を呈する「睡眠時無呼吸症候群」や「ナルコレプシー」、交替制勤務や海外出張などに伴う「睡眠覚醒リズム障害」、さらに、睡眠時随伴症として、寝ていると脚がむずむずして眠れなくなる、高齢者に多い「脚むずむず症候群」などがあります。

睡眠薬
寝つけない、途中何度も目が覚める、朝早くに目が覚める、深く眠れない、これらを不眠と呼びますが、睡眠薬には作用時間の長さなどによって4つのタイプがあり、症状に合わせて処方されます。何を飲むにしても、計画的に減らすにしても医師の指示を正しく守ること、話し合うことが必要ですが、副作用や止められなくなることへの必要以上の心配はいりません。寝る前の飲酒は良好な睡眠の妨げになるだけです。
ストレス
ストレスとは、もともと金属学で用いられていた言葉で、歪み(ゆがみ、ひずみ)のことです。ストレスは、ストレス刺激となるもの(ストレッサー)と、ストレス刺激を受けて生体に歪みが生じた状態(ストレス反応)とに分けて考えることができます。元来は後者のみをストレスと称していましたが、現代ではストレス刺激となるものを指してストレスという場合もありますし、ストレス反応とあわせて全体を称してストレスという場合もあります。
ストレス関連疾患
心理的・社会的ストレスから生じる病気や、ストレスによって経過が悪くなると考えられる病気をストレス関連疾患と呼びます。胃・十二指腸潰瘍、本態性高血圧症、過換気症候群、片頭痛、心臓神経症、神経症、自律神経失調症その他多くの疾患があります。
ストレスコントロール
生活上のストレッサーを認識し、ストレスの影響を知り、ストレスレベルをコントロールすることをストレスコントロールといいます。これによって、ストレッサーに適切に対処し、リラックスすることができるようになります。
ストレス脆弱性
その人の生まれ持った素質(先天的な要素)と学習・訓練などによる生まれてからの能力やストレスへの対応力(後天的な要素)などに関連してその人が持っている病気のなりやすさを意味します。
ストレス耐性
ストレスに対する抵抗力のことで、次のような要素があります。 ストレスに気づくか気づかないかという「感知能力」、ストレスを作りやすい性格かどうかという「回避能力」、ストレッサーをなくしたり、弱めたりする「根本の処理能力」、ストレス状態に陥ったとき、そのストレスの意味を良い方向に捉え直すことができる「転換能力」、ストレスそのものの「経験」、ストレスをどのくらいためていられるかという「容量」です。
ストレス反応
外からの刺激を受けて引き起こされる様々な反応で、抑うつ、不安、職務不満足感などの心理的反応、血圧上昇や心拍数増加などの生理的反応、過食や過飲、喫煙や薬物使用、事故などの行動面での反応があります。
ストレスマネジメント
ストレッサーを取り除いたり、ストレスを大きくしないための工夫や、ストレスによって生じている緊張状態やストレス反応の緩和など、ストレス生成のあらゆるプロセスに包括的に働きかけることを言います。
ストレス要因
ストレス要因とは、一般的にストレッサーとなる可能性のあるものを指します。それが実際に各個人のストレッサーとなるかは、各個人の性格や状況により異なってきます。
ストレス・コーピング
「コーピング」は「対処する」「切り抜ける」という意味を持ちます。
ストレスコーピングとは、特定のストレスフルな問題や状況に対するストレス対処方法のことで、問題解決型(状況を変化させる、問題を明確にする、別の解決方法を見つけてそれをあわせて評価する)と情動焦点型(問題に対する情動的な反応をコントロールしたり変化させたりする、逃避したり最小化したりする、情動的な苦痛の軽減を目指す)があります。
ストレッサー
ストレス反応を起こす外部環境からの刺激をストレッサーと呼びます。
 ストレッサーは、物理的ストレッサー(寒冷、騒音等)、化学的ストレッサー(酸素、薬物等)、生物的ストレッサー(炎症、感染等)、心理的社会的ストレッサー(人間関係の葛藤や社会的行動に伴う責任、将来に対する不安等)に分類されます。
成果主義
昇進・昇給の基準を「仕事の成果」におく人事評価制度のことをいいます。年齢や勤続年数に応じて報酬が増えていく年功賃金制に代わり、各労働者が達成した成果に応じて報酬を支払うことで年齢や階級によらない思い切った処遇ができるようにし、労働者の意欲を向上させることを目的としています。短期的な視野に立った仕事振りが目立つなどのデメリットにも注目されつつあります。
精神科専門医
精神科専門医とは、社団日本精神神経学会の精神科専門医制度によって精神科医療に関する学識および経験を有する医師として認定された者です。
精神分析

フロイトによって創設されたもので、神経症やパーソナリティー障害などのケースに対し、自由連想法を用いて行う系統的精神療法の1つです。精神分析医や分析家によって行われます。発祥の地であるヨーロッパよりアメリカで最も普及しています。自分で知ることができない無意識(深層心理)の世界と現実的、かつ理性的に働く「自我」や親から受け継いだ「超自我」の相互作用、特に無意識の世界の内容を受診者に意識化させるのがポイントとなります。

精神保健指定医
精神保健指定医は、厚生労働大臣が指定する特別の国家資格に準ずる法的資格制度(精神保健福祉法第18条)であり、医学の各分野に学会等が設けている専門医制度とは異なります。その職務は、措置入院や医療保護入院、隔離や身体拘束など行動制限の判定等があります。
精神療法
薬物を用いた薬物療法や身体に物理的に働きかける身体療法などに対し、精神療法は治療者が心理的な手段を用いて患者の心身に働きかける療法です。カウンセリング等の簡易精神療法、行動をよりよい方向に改善していく行動療法、患者の誤ったものの見方を改める認知療法、こころの奥底を分析していく精神分析療法、集団精神療法、自律訓練法、箱庭療法、遊戯療法、森田療法等があります。
セカンド・オピニオン
治療は主治医(かかりつけ医)と患者さんの間でなされます。しかし主治医の判断が絶対ではありませんし、患者さんにとって主治医の見立てなどに不安が生じやすい傾向があります。そこで患者さんが主治医以外の専門家に相談や受診し、その診断や治療、経過、予後などについて判断や意見を求めます。このようにして得られる主治医以外の専門家による一般的な意見をセカンドオピニオンといいます。アメリカで癌の診断や治療に関して使われた方法であり、精神科や心療内科でも使われています。
セクハラ

セクシュアルハラスメントの略で、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること」又は「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること」をいいます。男女雇用機会均等法により事業者にその対策が義務付けられています。

積極的傾聴法(アクティブ・リスニング)
心理相談の技法の一つです。メンタルヘルス対策のなかでも相談しやすい体制づくりとともに、重要視されています。来談者の話を受容し共感しながら聴き、本人の表現する言葉の本当の意味をとらえ、真の問題を理解しようとすることが重要となります。
摂食障害
強い肥満恐怖からダイエットに走る拒食症と、むちゃ食いで特徴づけられる過食症。摂食障害にはこの2種類が挙げられ、両方とも女性が圧倒的多数です。最近数十年間に激増しており、特に過食症に著しい増加がみられます。従来は若い女性の病気とされてきましたが、最近では、小学生から結婚後の年齢層まで広がり、職場でも増加しています。拒食症から過食症への移行もよく見られます。
セルフエスティーム
自尊感情ともいい、自分自身を価値あるものとして尊重する感覚をいいます。基本的な価値を実感することにより、自分自身を信頼し、様々な事柄に前向きに取り組む意欲や満足感につながります。このような自己の尊重は、自分自身だけでなく、周囲の人々のありのままを受け入れる上でも重要となり、環境への適応や精神的健康と密接に関連しています。
セルフエフィカシー
自己効力感ともいい、自分が周囲の期待や要請に対して、十分に対応できているという確信・自信をいいます。自らの意志で、主体的に行動しているという確信のもとに得られる感覚であり、その後の目標設定や自身の行為の結果の見通しに影響を与えます。自己効力感は、目標を達成するための努力を促し、結果的に成功の可能性を高め、自分自身の生き方を肯定的にとらえるためにも重要な要素として位置づけられます。
専属産業医
専属産業医とは本務としての仕事が産業医であり、一つの当該事業場のみに属している者をいいます。労働安全衛生規則により、常時1000人以上の労働者を使用する事業場および一定の有害業務(安衛則第13条第1項第2号に定める業務)に常時500人以上の労働者を従事させる事業場においては、専属産業医の選任が義務付けられています。
躁うつ病
双極性障害ともいわれます。躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患です。躁状態の程度により大まかに双極Ⅰ型(顕著な躁状態)、双極Ⅱ型(軽躁)に分類されます。いずれも気分が高揚し開放的で、頭の回転が良くなった感覚を覚え、思い立つと行動に移すのも早いなどの特徴があります。睡眠欲求が減少(寝てる時間が惜しい、寝なくても疲れない)するのも特徴的です。職場では、軽躁状態では仕事の生産性が高まることがありますが、顕著な躁状態では、自尊心も肥大し、周囲と激しい口論をするなどトラブルを起こし、かえって仕事の生産性が落ちます。この時期は乱費、性的逸脱行為も増えやすい。躁状態のあとのうつ状態では自殺のリスクが高いため、積極的に専門家の治療を受けるべきです。
双極性障害
この障害の基本障害は気分あるいは感情の変化であり、抑うつや高揚気分へと繰返し変化します。またほとんどに再発傾向があり、発症の多くはストレスとなる出来事や状況と関連します。躁的状態は平均4か月間、うつ的状態は平均6か月間とされています。
早朝覚醒

睡眠障害の一つの形で、朝早く目覚め、再度眠ることができない状態をいいます。老化現象の結果として起こる場合もありますが、ストレス過多でも出現します。特にうつ病では比較的早期からみられる症状でもあります。朝の気分が憂鬱であれば、その可能性があるので注意が必要です。

組織公平性
1987年にGreenbergによって提唱された概念で、「自分の属している組織がどれほど公平であると感じるか」の尺度です。手続き公平性、分配公平性、人間関係公平性などを含み、自分の評価(給料、昇進など)がどの程度公平に行われたと感じたか、自分を一人の人間として尊重してもらっているとどの程度感じたか等で評価します。
組織心理
社会的環境の中で、「人」と「環境」は相互に作用しあって行動を引き起こしています。組織心理では、個人が組織の中でどのように考え、どのように行動し、どのような態度を形成するかに焦点を当てます。
措置入院
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第29条に規定されている入院形態で、自傷他害(自殺や他者に危害を加えるなど)の恐れのある事例に対し、2名以上の精神保健指定医の診察結果の一致により成立します。一番強制力のあるもので、警察官通報によるもの(同法第24条)が多いようです。
 なお、緊急避難的な制度として、72時間を限度に精神保健指定医1名による緊急措置入院があります。
ソーシャルサポート
個人を取り巻く有形、無形の社会的支援のことをいいます。特に、家族、友人、上司、同僚、部下など人的支援を意味することが多く、ソーシャルサポートが多くあることがストレス軽減につながると言われています。
ソーシャル・スキル・トレーニング
社会適応能力を改善することを目的に行う技法訓練です。精神障害や人格障害の再発を防ぎ、社会適応や職場への復帰を円滑に進めるために、必要とする技術を訓練によって段階的に得ていきます。
退却神経症
退却神経症は精神科医の笠原嘉博士によって提唱された概念です。適応障害の1つとも言えます。博士はウオルーターズが定義した学生アパシー(選択的無気力)の研究から退却神経症を考えました。「『本業』とでもいうべき生活部分がある。サラリーマンならサラリーマンの、大学生には大学生の、主婦には主婦の本業がある。そこからの選択的退却である。そのことだけに無気力、無関心になる。そういう神経症(ノイローゼ)である」と定義しました。
タイプA
タイプAは「タイプA行動パターン」ともいい、競争心が強く、仕事に熱中し、攻撃的で,イライラし易く、他人とよく対立するといった行動様式です。タイプAの人は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に罹る率が高く、頭痛,消化器症状、睡眠障害などの訴えも多いといわれます。タイプAの人は怒りを感じやすく、血圧や心拍数が増加することが多く、心臓などに負担がかかりやすいためと考えられています。
試し出勤

病気のため長期にわたって休業した労働者が職場復帰をする際に、正式な職場復帰に先がけて、出勤あるいはそれに近い取組みを行ってみる制度をさします。「リハビリ出勤」などと称されることもあります。労働者本人にとっては、職場復帰に対する不安を軽減できるという効果が期待でき、職場の側にも労働者が勤務可能かどうかをある程度見極められるという利点があります。

断酒会
断酒会とは、アルコール依存症にかかった人たちが集まり、お互いに励まし合い酒害からの回復と人としての成長を目指す集団です。また、同じ酒害者としての立場から酒害問題に悩んでいる人への援助活動も行っています。体験談を語る場である「例会」への出席と組織活動である様々なプログラムに参加することで断酒を続けます。
注意欠陥性多動障害
DSM-Ⅳ(アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル)によって初めて注意欠陥多動性症候群という診断名が使われることになりました。DSM-Ⅳ-TRによれば1.不注意、2.多動性―衝動性のうちどちらかが、さらには症状のうち6つ以上がすくなくとも6か月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないものをいいます。対象者に特別支援教育が行われるようになってきました。
中途覚醒
夜中に何回も目覚め、再入眠が困難な場合がしばしばあります。一般的に睡眠は眠りについて最初の3時間くらいがもっとも深く、その後、明け方に向かって浅くなっていきます。ストレスなどで脳の覚醒水準が高くなると、その人の睡眠が全体として浅くなり、睡眠最初の深い眠りの時期にはなんとか眠れても、入眠後3時間くらいの睡眠が浅くなる時期になると目が覚めてしまうのです。
通勤訓練

通勤訓練は、メンタルヘルス不調により休業した労働者が職場復帰に向けて一般的に行う訓練の一つです。自宅から職場の近くまで通常の出勤時間、出勤経路で出勤をシミュレーションします。通勤に必要な体力の確認や生活リズムを整えるといった効果が期待できます。

通勤ストレス
通勤ストレスという特別な用語はありませんが、ここでは一応「通勤に伴う様々なストレス要因」と定義します。具体的には、①寒暑、風雨などの物理的障害、②歩行等による肉体的疲労、③運転等(事故防止の注意等)による精神的疲労、④混み合う乗り物の中の圧迫感や周囲との軋轢、⑤家庭という保護された空間から離れる不安・恐怖、などが想定されます。
適応障害
ストレスと個人要因の相対的関係で、主として職場や学校などの「場」における適応が上手くいかなくなり臨床症状を呈した状態です。ICD-10によれば、強度のストレスがあるのが診断の前提になっており、個人的素質あるいは脆弱性は適応障害の発症の危険性と症状の形成においてより大きな役割を演じているとされています。症状は多彩であり、抑うつ気分、不安、心配(あるいはこれらの混合)などがあります。DSM-4にも診断基準があります。
適正配置
職場(作業環境や作業内容)と労働者(技能や健康状態)の最適な組み合わせを図ることをいいます。事業者は、健康障害防止の観点から、健康診断や長時間労働者に行う面接指導の結果に基づいて、医師(産業医等)から意見を聴き、就業場所の変更、作業の転換等の必要な措置を講じることが求められています。
テクノストレス症候群
1984年にアメリカの臨床心理学者クレイグ・ブロードが名づけた。『テクノ不安症』と『テクノ依存症』に分けられます。『テクノ不安症』は、中高年に多く見られ、コンピューターへの苦手意識から、パソコンの前に座っただけで不安になり、冷や汗、震えなど、拒否反応を示し、高じるとイライラ、強い絶望感、抑うつ状態に陥ることもあります。『テクノ依存症』は、OA環境に没頭しパソコン、インターネットなどにのめり込み、部屋に閉じこもって対人関係を嫌い、実生活にも支障をきたすものを指します。精神医学的には多くは適応障害の範疇に属するが高じると不安障害、気分障害にもなり得ます。
てんかん
悩が反復的に電気的に異常興奮するためにてんかん発作が出現する疾患です。発作時に脳波を記録すると、てんかん性突発波が記録されることが多いとされています。てんかんの出現頻度は一般人口のおよそ0.3%で、基本的には小児科疾患で,多くが小児期から思春期にかけて発症します。てんかんは臨床発作型を基礎に,全般てんかんと部分てんかんに分けられます。全般てんかんは全般発作をもつもので,部分てんかんは部分発作をもつてんかんのことを指します。また、てんかんの基礎となる脳障害が見出されない場合を特発性全般てんかんといい,基礎となる外傷等の脳障害が見出されるものを続発性全般てんかんといいます。さまざまな抗てんかん薬の定期的な服用によって、てんかん発作はコントロールされることが多くなり、日常生活や社会生活に支障が出ることは多くはありません。
DSM-IV
「精神障害の診断と統計の手引きDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM)」として、米国精神医学会American Psychiatric Association(APA)により定められた診断指針です。米国だけではなく、全世界の精神科医療で幅広く使用されています。現在は第四版修正版 (DSM-IV-TR) となっており、2013年5月に第五版 (DSM-V) の発表が予定されています。
デイケア

施設への通所によって行う治療訓練です。精神障害などで治療により病状が改善し安定状態となると、日常生活を行いながら社会復帰や職場復帰を目標に行う、計画的段階的な訓練です。再発を防ぎ、必要とする対人関係能力や社会適応能力、職業能力などの改善を目指します。

統合失調症

かつて本邦では、英語ではschizophrenia、ドイツ語ではSchizophrenieという障害名を,精神分裂病と訳してきました。しかし,この病名は、患者に対する社会的な偏見や差別を生み出し,また患者や家族もその病名に不快さを感じるということもあって,2002年8月に,統合失調症という病名に変更することが決められました。厚生労働省もすぐにこの決定に対応し,行政レベルでも本病名の使用が公認されました。統合失調症の症状としては、幻覚、妄想、興奮、意欲障害、思考障害、睡眠障害等が認められます。しかし、最近では、副作用の少ない向精神薬の使用が可能となり、日常生活や社会的生活に支障が出ることは少なくなっています。また、リハビリテーション等によって社会参加が可能になる場合も多くなり、障害者雇用促進法でも一定の配慮がなされ、就労する機会も多くなっています。

逃避型抑うつ

うつ病により、職場不適応が生じると、些細な失敗を恐れて「ひきこもり」が生じることがあります。しかし旅行に行く、仕事以外の社会活動には活発、というような現実問題から逃避しているかのような状態をさします。いわゆる「現代型うつ病」のひとつの類型と考えられています。

トラウマ(心的外傷)
個人が一般の生活では経験しないような死に直面するような心理的に強い負荷となる出来事のことを指します。この出来事には、戦争や交通事故等による生命の危険、他者からの個人の尊厳の強い毀損等があります。心的外傷は突然の出来事によっても、慢性的に反復的に加えられる場合にも発生します。突然の出来事によって心的外傷が起こった場合には、急性ストレス反応として、感情麻痺、関心の喪失、現実感の喪失、解離性健忘などが起こりえますが、多くの場合、1か月以内に症状は消失するといわれています。心的外傷の後遺症として外傷後ストレス障害がみられることがあり、フラッシュバック、反復的な苦痛な夢、再体験、睡眠障害等の過覚醒、回避行動などが多くの場合では、出来事から半年以内に起こってくるとされています。治療としては、精神療法と薬物治療としては選択的セロトニン再取り込み阻害薬や睡眠導入剤の投与などがあり、多くの場合回復可能ですが、さまざまな要因により慢性化することもあります。
ドメスティック・バイオレンス
家庭内で行われる家族間での暴力行為をさします。例示しますと、親による子どもへの虐待,配偶者による暴力,子どもによる親への暴力,老人への虐待などがよく知られています。子供に対する暴力は、児童相談所で対応され、配偶者間等のいわゆるドメスティク・バイオレンスは女性相談センター等で相談されます。また、被害者やその事実を知ったものが通報し、警察等の公権力の支援を受けることも可能で、加害者からの保護が必要な場合には接近禁止等の処分が下されることがあります。また、最近では、離婚しても配偶者に対する対処と同様に扱われるようになりました。精神科的対処としては被害者本人に対する精神療法と必要であれば薬物療法によりますが、加害者に対する心理的指導も必要であることも理解されるようになり、場合によっては家族療法的対応が行われる場合もあります。
努力-報酬不均衡モデル
ドイツの社会学者Siegristらによって提唱された職業生活における「努力」と「報酬」の二つの軸をもとに慢性的なストレス状況を把握する理論的モデルのことをいいます。「職業生活において費やす努力と,そこから得られるべき,もしくは得られることが期待される報酬がつりあわない」(高努力 / 低報酬)の状態をストレスフルと定義しています。
内因性精神障害

精神障害の病因は内因・外因・心因の3つに分類されてきました。これらの分類は1994年以前に用いられていたもので、現在は公式には用いられません。遺伝や脳の働き方(素因)といったもともとの個人の病気のなりやすさ(脆弱性)を内因といい、これを病因とする精神障害を内因性精神障害といいます。診断名でいうと、統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害(躁うつ病)などが含まれます。外因は脳に直接影響を与える物質や外傷、全身疾患などを、心因は社会生活上の出来事を指します。

難治性うつ病
うつ病のタイプや重症度を意味するものではなく、様々な治療(薬物療養、精神療法など)を一定期間以上行っても改善しない状態を意味するものです。必ず専門家に相談する必要がありますが、抗うつ剤と違う「甲状腺ホルモン薬」や「ドーパミン作動薬」などを用いたり、薬物以外として、通電療法(電気けいれん療法)、磁気刺激療法(経頭蓋磁気刺激法)、光療法、断眠療法などがあります。
二次予防
すでに健康異常が出現している段階で、早期発見、早期治療を行うことで、疾病や障害の重症化を予防することです。たとえば発生した疾病や障害を検診などにより早期に発見し、早期に治療や早期に保健指導などの対策を行うことにより疾病が重症化することを予防します。具体的には、健康診断による有所見者への事後措置、面接指導により必要とされた者に対する事後措置、これらにより疾病が見出された者への早期治療などがあります。
任意入院
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第22条の3に規定されている入院形態です。精神障害者本人の同意のうえで入院するもので、原則的には開放的な環境での処遇が求められています。
認知行動療法
認知療法とも言い、人間の感情や行動が認知のあり方の影響を受けることから、認知に働きかけて気分や行動を変化させることを目的とした短期の精神療法です。認知行動療法は、うつ病に対する治療法として開発され、薬物療法に匹敵する効果があり、再発予防は薬物療法以上であることから注目されました。その後、不安障害、ストレス関連障害、双極性障害、統合失調症、不眠症、ストレス対処など、適用範囲は広がっています。
認知症(痴呆症)
脳器質性疾患によって慢性的に生じた認知機能障害によって日常生活や社会生活が障害されることを指しています。65歳以上の老人の約4~5%に認知症症状がみられるとされていますが、最近では若年性アルツハイマー型認知症等の存在にも注意が払われるようになりました。認知症の分類としては、アルツハイマー型認知症として、初老期(65歳以前)に発症するアルツハイマー病(初老期認知症)と,老年期(65歳以後)に発症するアルツハイマー型老年認知症があります。また、虚血性脳血管障害によって起こる認知症として、脳卒中後認知症,多発梗塞性認知症等を合わせて血管性認知症と呼びます。アルツハイマー型痴呆が女性に多いのに比べて血管性痴呆は男性に多いとされています。アルツハイマー型認知症では認知機能障害が認知と行動に全般的に認められるのに対し、血管性認知症では、認知機能障害は、まだらであり、動揺性で階段に増悪することが特徴的です。現在では、アルツハイマー型認知症の薬物治療としてドネペジルなどが投与され、一定の効果が期待されますが、介護施設や介護に従事する人的資源などか不足していることが問題となっています。
脳神経外科
大脳、小脳、延髄などの脳神経障害を外科的に扱う診療科です。おもに頭部外傷、それに脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、脳腫瘍などの治療をします。
発達障害

障害の原因が、精神あるいは身体的、またはその両面にわたっており、自立した生活能力や言語機能、学習などいくつかの領域で、機能的に制限があります。子どもの発達の側面は多様であり、それらは相互に関連性を持っているため、ある側面に何らかの障害が見られる場合は、ほかの側面にも悪影響を及ぼしている可能性を考えなければなりません。

ハラスメント

いやがらせやいじめのことをいいます。職場においては、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)、モラルハラスメント(モラハラ)が問題となることがあります。

半構造化面接
診断の確定や治療効果の研究のために用いる一連の順序だった、決められた質問によって構成された面接のことを構造化面接といいます。これに対し、あらかじめ面接の目的や質問をある程度決めておくけれども、状況や相談者の反応によって面接者が自由に質問を変えていくものを半構造化面接といいます。質問を何も決めずに行う面接を自由面接(非構造化面接)といいます。
パニック障害

強い不安感を主な症状とする精神疾患のひとつでパニックディスオーダー(panic disorder)とも呼ばれ、従来不安神経症と呼ばれていた疾患の一部です。パニック発作と呼ばれる状態が繰返されます。

パニック発作

突然強いストレスを覚え、動悸、息切れ、めまいなどの自律神経症状と強い不安感に襲われるものです。「死ぬのではないか?」などの恐怖感もよく感じます。手足のしびれやけいれん、吐き気、胸部圧迫感、息苦しさなども生じ、症状を抑えようとしても抑えられず、逆に症状は悪化し、救急搬送されることも多いようです。しかも、これらの症状は、特別な処置がなくとも、しばらく安静に過ごしていれば多くは回復します。

パワハラ

パワーハラスメントの略で、職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く関係を悪化させ、あるいは雇用不安を与えることをいいます。うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります。

非定型うつ病

専門家の間でも見解は一致していない「現代型うつ病」のひとつの類型と考えられています。DSM-Ⅳ-TR(米国精神医学会)にはメランコリー型に対し非定型うつ病の診断基準の記載があり、1)気分の反応性:楽しい出来事には気分が明るい、2)食欲の増加、体重増加、3)過眠、4)鉛様の麻痺(身体が鉛のように重い)、5)拒絶過敏性(他人の言動にひどく敏感)、などを特徴としています。

非定型向精神薬
抗精神病薬には、1950年代に開発された定型抗精神病薬と1980年代後半から(日本では1996年から)使用されている非定型抗精神病薬の2つのタイプがあり、特に統合失調症の治療の中心になっています。主に幻覚や妄想などの症状に有効です。非定型抗精神病薬は、現在では統合失調症治療の第一選択薬となっています。
病識
自分自身の異常体験や行動が病気あるいは病気であったことを判断し、自覚していることです。統合失調症、アルコール依存症などのメンタルヘルス不調の場合は病識がないことも多く、そのために治療がうまく進まないこともあります。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
強烈な精神的衝撃を受け、数週~数か月の潜伏期間の後に、長期にわたり恐怖感、無気力、睡眠障害、悪夢など様々な症状を示す障害です。地震、洪水、火事のような災害、または事故、戦争といった人災、監禁、虐待、強姦など犯罪など、多様な原因によって生じます。
不安障害
不安とは、明確な対象を持たない恐怖のことを指します。不安により発汗、動悸、頻脈、胸痛、頭痛、下痢などといった身体症状も現われますが、不安そのものや不安による身体症状が強く生活に支障がある病的な状態を不安障害と呼びます。治療には、薬物療法・認知行動療法などがあります。
不安神経症

不安を主症状とする神経症が不安神経症ですが、現在では「神経症」という用語は使われなくなっています。不安神経症は現在の「パニック障害」か「全般性不安障害」になります。

不定愁訴
身体の状態について、何となく体調が悪いという感覚や様々な自覚症状を訴え、検査をしても原因となる病気が見つからない場合を指します。「頭が重い」、「目の奥が痛い」、「疲れが取れない」、「よく眠れない」などと訴えることも多くあります。
ブリーフサイコセラピー
短期間、あるいは少ない面接回数で行おうとする心理療法です。ブリーフサイコセラピーにはいくつかの流派があって、面接の進め方は様々です。必ずしも短期であることを強調しているわけではなく、効率的、効果的な方法を目指していると言った方がよいでしょう。
ブルーマンデー
休み明けの月曜は「また1週間仕事か」と思い、気分がのらず、憂鬱な気分で迎えることを表現しています。世界的にBlue Mondayは休日明けの物憂い月曜日として誰しも経験し広く認識されており、このレベルではうつ病、うつ状態とはいえません。
プライバシーの配慮
プライバシーの範囲は個人ごとに異なりますが、健康情報は特にセンシティブな情報ですから、セキュリティを確保して取り扱います。病名や検査値などの生データは、医療職以外が不用意に取得や利用をしないようにします。また、目的外使用や第三者への提供の際には、本人に事情を説明して同意を得ます。ただし、本人の生命や健康を守る必要がある場合は、積極的に活用しましょう。研究や公表のための利用では、匿名化しましょう。
ペットロス症候群
「ペットを失う」ことによりさまざまな心身の症状が生じるものを指します。愛情を持って接していた飼い主ならだれもが経験する正常な感情体験であり、症状の程度は個人差が大きいものです。様々な症状が生じますが、ペットロスをきっかけにうつ状態、うつ病に至ることもありますので、その場合には治療が必要となります。
保健指導
健康診断の判定結果に基づいて精密検査の受診、医療機関での治療、生活習慣の改善などの指導を実施することを指します。
労働安全衛生法により、健康診断の結果が有所見である労働者に対して、事業者が医師または保健師により実施させるよう努めなければならないこととされており、実際は「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」を参考に行われています。
慢性疲労症候群
原因不明の強い疲労が長期間(一般的に6か月以上)続く病気です。治療による完治は5?10%ですが、症状はある程度改善すると言われています。病気の知識が広まっていないため、適切な診断を受けていないか、うつ病・更年期障害・自律神経失調症などと考えられていることも多いようです。
無断欠勤
職場に事前に届け出なく休むことです。単に届け出がない場合だけでなく、届け出があってもその理由が正当なものと認められないときも同様に無断欠勤という扱いにしている企業もあります。企業ごとに、就業規則によって定義を明確にしておくことが必要です。
メンタリング
メンタリング(mentoring)とは、知識や経験の豊かな人々(=メンター)が現時点で経験の少ない人々(メンティ)に対して、キャリア(成功体験)の実現のために、個別にキャリアや心理・社会的な側面から一定期間継続して行う支援行動のことです。
メンタルヘルス教育
メンタルヘルス教育とは,メンタルヘルスケアが適切に実施されるために,労働者等にメンタルヘルスに関する知識等を付与することです。「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では,労働者には「セルフケア」を促進するための教育を,管理監督者には「ラインによるケア」を促進するための教育を行うものとされています。また,「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」を促進するため,それらスタッフにも教育を行うものとされています。
メンタルヘルス指針

2006年3月に厚生労働省から公表された「労働者の心の健康の保持増進のための指針」のこと。事業場で推進されるべきメンタルヘルス対策のあり方を包括的に記しており、2000年8月に示された「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」の増補改訂版にあたる。労働安全衛生法第70条2第1項に基づくものと位置づけられており、この指針に沿った取り組みを行うことは、事業者の努力義務となっている。

メンタルヘルス推進担当者
メンタルヘルス推進担当者とは、産業医等の助言、指導等を得ながら事業場のメンタルヘルスケアの推進の実務を担当する者であり、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、メンタルヘルス推進担当者を「選任するよう努める」ことが事業者に求められています。メンタルヘルス推進担当者としては、衛生管理者や常勤保健師等が望ましく、人事労務管理スタッフからの選任も考えられます。
燃え尽き症候群

アメリカの心理学者フロイデンバーガーが1980年に提唱した概念で、それまで人一倍活発に仕事をしていた人が、なんらかのきっかけで、あたかも燃え尽きるように活力を失ったときに示す心身の疲労症状をいいます。主要症状として、心身の疲労消耗感のほか、人と距離をとり感情的接触を避ける、達成感の低下などが認められています。精神医学的にはうつ病と診断されることもあります。エネルギッシュで高い理想をもって仕事に取り組む性格特徴の人に多いと言われています。

モラルハラスメント

言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることをいいます。パワハラと同様に、うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります。

森田療法
1920年ごろ森田正馬が創始した精神療法で、不安、葛藤、恐怖という症状を取り除くことに主眼をおかず、人間本来が持っている心理との共存を目指す。不安などを心の異物として除去する多くの心理療法とは異なります。症状を完全になくしてから行動するのでなく、「あるがまま」に感じながら、現実的な「本来の欲望」に向かって行動に移すことを目的とします。見方によっては認知療法、行動療法的側面を持ち合わせますが、森田療法の方が歴史的には古いことになります。
薬物療法
化学的に作られた物質で、特にヒトや動物に投与したときに何らかの生理的な作用を及ぼすものを薬物といいます。その中で病気の治療、予防、診断といった用途に使用されるものを医薬品といい、医薬品を使用して病気や症状の改善を目指すことを薬物療法と言います。
要求度-コントロールモデル
仕事の量が多ければ多いほど、また質的要求も高ければ高いほど(主観的に感じる仕事の要求度)労働者のストレスは高まりますが、一方で労働者側に仕事のコントロール能力や裁量権が与えられていれば(主観的に感じる仕事の裁量権)、仕事ストレスは緩和されることが分かっています。この両者の関係を用いて、職場を分析したり(仕事ストレスの要求度が高い低い×仕事の裁量度が高い低い)、改善に役立てたりすることができます。
抑うつ状態

気分が落ち込み、憂うつになる状態をいいます。抑うつ状態を呈する代表的な疾患としては、うつ病が知られていますが、不安障害、統合失調症、適応障害、パーソナリティ障害、などあらゆる精神疾患の併発症状となり得ます。

4つのケア
4つのケアとは、「労働者の心の保持増進のための指針」において示されたメンタルヘルスケアのことで、労働者が自らのストレスに気付き予防対処する「セルフケア」、管理監督者が心の健康に関して職場環境等の改善や労働者に対する相談対応を行う「ラインによるケア」、事業場内の産業医等の産業保健スタッフ等が心の健康づくり対策を提言・推進し、労働者、管理監督者等を支援する「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、事業場外の機関及び専門家を活用し、その支援を受ける「事業場外資源によるケア」のことを指します。
来談者中心療法
相談者の考え方や感じ方をカウンセラーが共感的に理解していくことで、相談者自身の気付きや成長を促し、問題解決を目指していくカウンセリングの方法です。相談者のことを来談者(クライエント)と呼ぶためこのような名称になっていますが、最近はパーソン・センタード・アプローチと言われるようになっています。
ライフイベント
ホームズとレイは人生に起こる代表的なできごとを抽出し、それぞれのストレス度を点数化しました(Holmes and Rahe stress scale)。一般に、大きなライフイベント(家族との死別、結婚等)は大きなストレスとなり病気を招くと考えられていますが、日常のささいなライフイベント(職場のトラブル等)もそれらが重なったり続いたりすると、同様のメカニズムにて体調に影響があると考えられています。
ラポール
相談などに際しての心の繋がりのことです。受診や相談などで安心して話せる環境が重要ですが、特にラポ-ルは問題解決に向けて相談などを継続して進めるための基本となります。初回でのラポ-ル形成はその後の成果に大きく影響します。
リストカット症候群

1960年代にアメリカで大流行し、その後、西欧、日本へとひろがりました。自分の手首をカッターナイフや剃刀などで傷つける自傷行為をさす、手首(wrist)と切る(cut)を合わせて作られた和製英語です。10~20代、未婚の女性に多く、何度も繰り返し行い習慣化する傾向があります。手首の他には、腕、足、顔、腹部などを切ることもあります。情緒的には慢性的な空虚感や抑うつ感を抱いていており自己愛が傷つきやすいと言われています。自分が生きているという実感が薄いため、自傷行為に伴う痛みや出血によって実感を取り戻すという嗜癖行為であるとの指摘もあります。

リスナー教育
職場のメンタルヘルスケアの一つとして、管理監督者が部下の悩みを上手に聴くことが求められています。メンタルヘルスの問題の多くは、話を聞いてもらう過程で、自分自身で自然に解決できるからです。話の聴きかたとしては、批判的あるいは指示的な態度ではなく、相談者の気持ちを受け入れ、共感し、支持する態度がより効果的です。職場の風通しがよくなることなども期待できるため、企業では管理監督者に対して、話の聴きかたについて「リスナー教育」が行われています。
リハビリ出勤

一般には「試し出勤」として職場復帰前に職場復帰の判断等を目的として、無給で本来の職場などに試験的に一定期間継続して勤務することを指します。「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」によると、通常の勤務時間と同様な時間帯で時間を過ごす模擬出勤、通勤訓練などがあります。この制度の導入に際しては、「試し出勤」の際の人身事故時の対応や人事労務管理上の位置づけ等を、あらかじめ検討し、就業規則等で定めておく必要があります。

労災病院
労働者災害補償保険法に定められている「社会復帰促進等事業」の一環として、(独)労働者健康福祉機構が設置・運営している病院です。全国に34病院(総合せき損センター、吉備高原医療リハビリテーションセンターを含みます。労災病院としては30です。)あります。これらの病院は、働く人々を取り巻く多様なニーズに対応した勤労者医療を展開していますが、労災保険以外の各種保険も取り扱っており、誰でも受診できる地域の中核病院としての役割も果たしています。
労災病院勤労者メンタルヘルスセンター
労災病院のうち、12病院に勤労者メンタルヘルスセンターが設置されています。
近年増加している勤労者のメンタルヘルスに関する需要に総合的に対応するため、健康セミナーをはじめ、ストレスドックの実施による健康管理を含めた心身医学分野の総合的医療を提供しています。
労災補償

労働者災害補償保険(労災保険)は、労働基準法に定める使用者の災害補償義務に基づいて、仕事が原因で起きたケガや病気、障害、死亡などに対して保険給付を行う制度です。原則的に、パートや日雇い労働者などを含め全ての労働者が対象になります。精神障害や自殺が労災に該当するかどうかは、厚生労働省から出されている指針に基づいて労働基準監督署長が判断します。

労働衛生教育
労働者が働くに当たり必要な安全衛生に関する知識を与えるための教育をいいます。
安全衛生規則等の法的な教育として、雇い入れ時教育、作業内容変更時の教育、一定の有害業務への配置時の特別教育、職長等教育を規定しています。安全衛生業務従事者や有害業務従事者に対する能力向上教育(努力義務)、安全配慮やリスクアセスメントのための教育など、その領域は拡大しています。
ワークエンゲイジメント
職場の活性化、個人の活性化、の観点から、仕事と個人との関係性をもっと積極的にとらえ直そうという概念として提唱されています。ワークエンゲイジメントは、活力(仕事に対して積極的に努力する高いエネルギー)、献身(熱意、プライド)、没頭(集中し夢中になっている)、で構成されており、「仕事にやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て職場でもプライベートでも活き活きしている状態」をさす概念です。

ア行

アルコール依存症
薬物依存症の一種です。常習飲酒の結果、飲酒によって得られる精神的・肉体的な薬理作用にとらわれてしまい、自らの飲酒行動を制御不能になった状態です。血中のアルコール濃度を保とうとする身体的飲酒欲求(渇望)が強く、意志の力では飲酒をやめられません。その結果、病的な飲酒パターン、社会的・職業的機能障害、身体的依存などが生じます。
安全配慮義務
労働者は、通常の場合、指定された場所で、提供された設備、器具等を用いて労働に従事しますので、労働契約の内容として具体的に定めていなくても、労働契約を結ぶことに伴って信義則上当然に、使用者は、労働者がその生命、身体等の安全(心身の健康を含みます。)を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をすべきこととされています。このことは、陸上自衛隊事件の最高裁判決(昭和50年2月25日)などの判例で確立した考え方となっており、労働契約法第5条に定められています。
縊死
死因の一つで、紐状のもので頸部を圧迫することにより呼吸や血流を止め、脳や身体の臓器に回復不能なダメージを与えることで死亡することです。
いのちの電話
さまざまな悩みをひとりで抱え込み、その結果死ぬことまで考える人がいます。いのちの電話はいつでも電話をうけられる体制をとり、相談員としての認定を受けたボランティアが誰にも相談できずに悩んでいるひとの話し相手になることで、再び生きる活力を与えようとする組織です。名前は告げる必要はなく、相談内容の秘密は守られます。相談は無料ですが、金銭的な援助は受けられません。
いのちの日
心の健康問題に関する正しい理解の普及・啓発を行うための日です。厚生労働省の健康日本21の自殺予防活動の一環として2001年に設定されました。

ア行

安全配慮義務
労働者は、通常の場合、指定された場所で、提供された設備、器具等を用いて労働に従事しますので、労働契約の内容として具体的に定めていなくても、労働契約を結ぶことに伴って信義則上当然に、使用者は、労働者がその生命、身体等の安全(心身の健康を含みます。)を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をすべきこととされています。このことは、陸上自衛隊事件の最高裁判決(昭和50年2月25日)などの判例で確立した考え方となっており、労働契約法第5条に定められています。
ICD-10
「疾病及び関連保健問題の国際統計分類 (International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems )」のことであり、死因や疾病の国際的な統計基準として世界保健機関(WHO) によって公表された分類です。略称はICDで、現在は2003年に改訂され第10版(ICD-10)となっています。
IT産業
IT産業とは、コンピュータメーカーや通信事業者、ソフトウェアメーカー、システムインテグレータなど、情報・通信技術に関連する産業を総括した名称です。コンピュータやその周辺機器の製造・販売、ソフトウェアの開発や販売、ネットワークの構築、通信サービス、企業の情報システムの構築など、非常に幅広い分野を含みます。
青い鳥症候群
現実の自分や、取り巻く環境、待遇などを受け入れられず、自分にはもっと力があり、もっと能力を発揮できる場所があるはずだ、という考えを捨てられず、理想の職場を求めて転職を繰り返す人のことをメーテルリンクの童話「青い鳥」にちなんで”青い鳥症候群”と呼ぶことがあります。今の自分は本当の自分ではないと思い込み、本当の自分という青い鳥を探し求めて、右往左往します。具体的な目的がないため転職を繰り返が、理想の職場は見つからず、最終的に絶望感にさいなまれうつ病像に移行することもあります。
空巣症候群
子どもが成長し巣立って、巣(家)が空っぽになってしまったことが、一種の喪失体験となり、寂しさなどを感じることを空の巣症候群といいます。精神医学的にはうつ状態、うつ病の一種であることが多いものです。特に内向的で人付き合いが苦手、外出より家にいる方が好きで、子育てを生きがいとしてきた専業主婦に多くみられます。空の巣症候群には更年期によるホルモンバランスの変化や、夫が仕事人間、あるいは単身赴任のため不在といった家庭的要因の影響も関係していることが多いものです。
アサーション訓練
相手の気持ちや考えを尊重しながらも、自分の気持ちや考えをその場に適切な表現で相手に率直に伝える訓練です。
アスペルガー症候群
自閉症の一種で、高機能自閉症と呼ぶこともあります。通常の自閉症と違い知的障害はありませんが、相手の感情や雰囲気を察することができず、人や社会とのコミュニケーションに支障をきたしやすいという特徴があります。
一次予防
疾病予防や健康増進を行うことで、健康診断など(二次予防)と異なり、原因の排除やリスクの低減を図ることをいいます。具体的には、生活習慣の改善や生活環境の改善、健康教育による疾病予防や健康増進を図ったり、予防接種等による疾病の発生予防、事故防止による傷害の発生を予防することです。過重労働対策としては、時間外労働の短縮や年次有給休暇の取得促進が一次予防となります。
医療保護入院
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第33条に規定されている入院形態で、1名以上の精神保健指定医の診察により医療及び保護のため入院が必要と判断され、かつ精神障害者本人の同意が得られない場合、保護者の同意によって成立します。なお、保護者とは後見人、配偶者、両親(患者が20歳以上の時は裁判所の選任が必要)、居住地の市長村長などから決められます。
飲酒教育
飲酒教育とは、学校、地域、職域等において過度の飲酒の弊害や「適正飲酒」の知識を広げることであり、アルコール関連障害の予防に重要です。
EAP
EAPは、「Employee Assistance Program」の略であり、「従業員支援プログラム」と訳されています。元々は米国で発展したもので、その目的は従業員が業務に影響する個人的な問題を解決するために専門的サポートをタイムリーに提供することによって、職場でのパフォーマンス(業績、生産性)の向上・維持をすることです。こうした米国型(パフォーマンス型)EAPに対して、「産業保健を基盤とし、職場との連携を重視する」産業保健型(医療併設型)EAPが我が国にはなじむようです。
うつ病
精神活動が低下し、抑うつ気分、興味や関心の欠如、不安・焦燥、精神運動の制止あるいは激越、食欲低下、不眠などが生じ、生活上の著しい苦痛や機能障害を引き起こす精神疾患です。診断としては、ICD-10(国際疾病分類第10回修正)やDSM-Ⅳ(米国精神医学会)といった診断基準により、症状のそろった状態像を操作的に診断することが一般的です。治療としては、「休養」「薬物療法」「精神療法」を組み合わせます。最近では、生物学的な観点からの研究も多く、薬物療法はセロトニンやノルアドレナリンといった脳内神経伝達物質の働きの促進を目的とした抗うつ剤が開発され、現在の治療の主流となっています。精神療法としては認知行動療法が有効とされています。その他、経頭蓋磁気刺激法、断眠療法、光療法、電気けいれん療法などがあります。
うつ病の自己評価尺度(SDSなど)
SDS(Zung Self-rating Depression Scale)などが自己評価尺度としてあります。これらはスクリーニング用に使用されることがありますが、いわゆるカットオフ値を超えてもあくまでうつ病の「疑い」であり、診断を下すためのものではないということが大切な点です。逆にカットオフ値以下でも「疑い」がないわけではありません。臨床場面では診断をする際に補足的に用いられます。
All or none
物事をとらえる際に「全か無か」の二分法でしか考えないという思考の癖のことを指します。たとえば、少しでもミスがあればそのミスを過大に取り上げ、80点~90点の出来だったとしてもそれを認めることができず、全体としては完全な失敗だと理解してしまう傾向をいいます。このように認知が歪んでいる状態は、自分自身ばかりか相手を傷つけることにもなり、やがて心の病気を引き起こす遠因となることが指摘されています。

カ行

解雇の予告
労働者の突然の解雇による生活の困窮を緩和するため、使用者は、労働者を解雇する場合、少なくとも30日前に予告するか又は予告手当を支払わなければなりません。ただし、天災事変等のため、事業の継続が不可能となった場合や労働者の重大な又は悪質な義務違反などがあった場合は、使用者の解雇予告義務は免除されていますが、その事由について労働基準監督署長の認定を受けなければなりません。
監視・断続労働者の適用除外
監視又は断続的労働に従事する者については、労働基準監督署の許可を得た場合、労働基準法に定める労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されません(労働基準法第41条第3号)。これらの業務に従事する者は、いわゆる手待時間の多い業務であることから、労働基準監督署長の許可を条件に適用除外を認めています。                                   監視に従事する者とは、原則として、一定部署にあって監視するのを本来の業務とし、常態として身体又は精神的緊張の少ないものをいいます。また、断続的労働に従事する者とは、例えば寄宿舎の賄人のように休憩時間は少ないが手待時間が多いものをいいます。さらに、断続的な宿直・日直の勤務についても、それが非常事態に備えての待機等を目的とし、ほとんど労働をする必要の無い勤務であること、通常の労働の継続でないこと等に限って許可することとされています。
管理監督者等の適用除外
事業の種類に関わらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取扱う者については労働基準法に定める労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されません(労働基準法第41条第2号)。監督又は管理の地位にある者とは、労働条件の決定や労務管理について経営者と一体的な立場にある者のことであって、一般的には、部長、工場長等がこれに当る場合がありますが、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものであり、労働時間、休憩、休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様もこれらの規制になじまないような立場にある者に限って認められるものです。ただし、適用除外となるのは労働時間、休憩及び休日に関する規定であって、年次有給休暇の付与、深夜労働の割増賃金の支払い等は排除されるものではありません。
企画業務型裁量労働制
事業の運営に関する事項についての企画・立案・分析等の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するためにはその遂行の手段や時間的配分を大幅に労働者の裁断にゆだねることとし、その業務に従事する労働者の労働時間の算定は、事業場内に設けられた労使委員会で決議された時間労働したものとみなす制度です。実施に当たっては、労使委員会において対象業務やみなし労働時間数などを決議し、労働基準監督署に届出が必要です。なお、対象労働者の同意を得ることも必要です。     
休業手当
使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合、休業期間中平均賃金の6割以上の手当を支払うことが義務付けられており、これを休業手当と言います(労働基準法第26条)。使用者の責めに帰すべき事由とは、天変地異といった不可抗力を除き、経営難、工場・店舗の移転・増改築、機械設備の故障等であり、これによる休業の場合は、休業手当支払い義務があるとされています。新規学卒採用内定者の自宅待機についても就労始期が繰り下げられた期間について休業手当の支払い義務があるとされています。また、休業手当は賃金と解されており、所定賃金支払日に支払うこと、1日に満たない休業についてもその日について平均賃金の6割が保障されるべきこととされています。
休憩
労働基準法では、休憩は、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上を労働時間の途中に、一斉に与えることとされています。ただし、一斉付与についてはサービス業などの例外があります。また、労働者はその休憩時間を自由に利用することができます。
休日
休日は、労働義務を負わない日のことで、午前零時から午後12時までの暦日をいいます。労働基準法上、休日は毎週少なくとも1回与えることとされており、週休制が基本となっていますが、4週間に4日の休日という変形性も認められます。週休2日制の場合、どちらの休日が法律上のものであるかを特定する必要があります。
強制貯金の禁止
雇入れの条件として、又は雇入れ後の雇用継続の条件として、労働者に社内預金をさせたり、使用者の指定する金融機関(銀行、郵便局、保険会社等)などに預金させることは禁止されています。労働者から委託を受けて使用者が貯蓄金を管理することは出来ますが、その場合、労使で貯蓄金管理協定を締結し労基署に届け出るほか、貯蓄金管理規定の作成・周知、一定利率以上の利率による利子の付与、返還請求に速やかに応じる等の義務があります。
強制労働の禁止
暴行や脅迫、監禁をして、その他一般的に許されない程度に心身の自由を制限して無理やり働かせることは禁止されています。労働基準法第5条に規定されており、違反者には懲役又は罰金が科せられます。かつての「たこ部屋」、「監獄部屋」などに閉じ込めて働かせるような場合が典型的な例ですが、多くの場合、暴行罪や脅迫罪、監禁罪などの刑法犯罪にも当たります。
業務上傷病者等の解雇制限
労働基準法は、労働者が解雇後の就業活動に困難を来すような場合に、一定の期間について、解雇を一時的に制限しています。解雇ができない期間は、(1)労働者が業務災害で療養のため休業する期間とその後30日間、(2)産前産後の女性が休業する期間とその後30日間です。ただし、(1)については、使用者が打切補償を支払った場合、また、(1)及び(2)について、天災事変等のため事業の継続が不可能となった場合は、解雇することができます。ただし、天災事変の場合においては、使用者は、その事由について、労働基準監督署長の認定を受けなければなりません。

カ行

快適な職場環境の形成
労働安全衛生法第71条の2に、事業者は快適な職場環境を形成するように努めなければならないとされており、その具体的内容としては「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」が公表されています。この指針は、仕事による疲労やストレスを感じることの少ない、働きやすい職場づくりを目的としており、その目標や講ずべき措置、考慮すべき事項等が示されています。
過重業務
医学経験則に照らして、脳血管疾患及び虚血性心疾患等の発症の基礎となる血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ得ることが客観的に認められる負荷を「過重負荷」というものとされており(過労死等の認定基準)、このような負荷のある仕事を「過重業務」といいます。なお、ここでいう自然経過とは、加齢、一般生活等において生体が受ける通常の要因による血管病変等の形成、進行及び増悪の経過をいいます。
過重労働対策
長時間にわたる過重な労働は、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因であり、医学的にも、脳・心臓疾患の発症との関連性が強いという知見もあることから、「過重労働による健康障害防止のための総合対策について(平成18年3月17日付け基発第0317008号)」が示され、事業者は、時間外・休日労働時間の削減に努めるとともに、当該労働者への面接指導の実施、衛生委員会における調査審議、メンタルヘルス不調者への対応等を講ずるよう求められています。
管理区分(診断区分、就業区分、指導区分)
健康診断や面接指導において、心身の現在の負担状況を評価して健康管理を実施する上での区分をいい、診断区分・就業区分・指導区分の3区分の決定を行います。診断区分では医学的判断に基づいて、異常なし・要観察・要医療に分けます。就業区分では労働者の体調に見合う就業条件の判断を行い、通常勤務・就業制限・要休業に分けます。指導区分では指導不要・要保健指導・要医療指導の3段階に分けて必要な指導を行います。
基礎疾患
脳・心臓疾患(脳出血などの脳血管疾患及び心筋梗塞などの虚血性心疾患等)の背景となる動脈硬化を引き起こす病気のことで、高血圧や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、肥満などを指します。高血圧、脂質異常症、糖尿病があるとそれぞれ単独でも動脈硬化が進みますが、併発する場合には動脈硬化が一層進みやすく、脳・心臓疾患のリスクが相乗的に高まります。これらの疾患の重なりは内臓脂肪蓄積で起りやすく、これがメタボリックシンドロームの概念につながっています。
狭心症
冠動脈の動脈硬化を背景に、心筋への酸素の需給バランスがくずれて酸素不足となり発症する病気です。前胸部の圧迫感や絞めつけられる感じが主な症状です。運動や力仕事時、強いストレス時などに起る労作性狭心症の他、睡眠中などに起る安静時狭心症などがあります。
過去3週間に発作の頻度が増してきている場合は不安定狭心症と呼ばれ、心筋梗塞に移行しやすい危険な状態です。早急に精密検査を受け,適切な治療を受けましょう。
虚血性心疾患
心臓への血液の流れが悪くなり、心臓の筋肉に必要な酸素や栄養の供給が不十分となり起こる心臓病です。虚血が高度で心筋の壊死を伴う心筋梗塞と虚血が一過性で心筋壊死を伴わない狭心症とに分類されますが、虚血の起き方や程度により様々の病態があります。虚血性心疾患の多くは冠動脈の動脈硬化によって起きますが、精神的ストレスによる冠血管の収縮や血栓の発生による冠血流の減少が関わる場合があることが知られています。
業務上災害
業務に起因する負傷・疾病・障害・死亡を意味します。業務上災害と認められるためには、「業務起因性」が認められなければなりません。業務上災害は、労働基準法上の災害補償ないし労災保険法上の保険給付の対象となります。
業務上疾病のリスト
労災補償の対象となる疾病を業務上疾病といい、労働基準法施行規則別表第1の2とこれに基づく2つの告示によりリストが示されています。平成22年5月7日の同規則改正により、過労死等や精神障害がリストに具体的に明示されました。なお、日本も批准しているILO第121号条約「業務災害の場合における給付に関する条約」により法令でこのようなリストを定めること、又はこれに替わる措置が求められています。
業務による精神的負担
厚生労働省から発表された「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」(平成21年4月6日一部改正)において、業務上外の判断を迅速・適正に行うために業務による精神負担(心理的負荷の強度)が職場における具体的な出来事毎に基準化されました。具体的な出来事とは、事故や災害の体験、仕事の失敗・過重な責任の発生等、仕事の量・質の変化等が挙げらています。
健康診断
事業場で行われる健康診断はさまざまな種類がありますが、通常は一般定期健康診断を指します。事業者が常時使用する全ての労働者に対して1年以内ごとに1回行わなければならないもので、健診項目の多くは循環器系の基礎疾患の有無を評価するものです。
高血圧
血管内の血液の圧力である血圧が、正常範囲を越えて高く保たれている状態です。一般的には収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上が高血圧とされますが、日本高血圧学会より詳細な診断・治療基準のガイドラインが発表されています。高血圧は脳血管障害や虚血性心疾患の大きなリスクファクターです。また、高血圧の中で90%以上を占める本態性高血圧の原因は単一ではなく、遺伝的素因や食事・ストレスなどの生活習慣・環境が関わっていると考えられています。治療としては、種々の降圧剤による薬物療法とともに食事療法(体重のコントロール、塩分制限)、アルコール量の制限、運動療法、ストレスの解消など非薬物療法も重要です。
拘束時間
労働基準法において「労働時間」とは、休憩時間を除いた、「実労働時間」をいいます(同法第32条)。この「実労働時間」と「休憩時間」が、使用者の拘束のもとに置かれている時間となり、これを「拘束時間」といいます。同法において「拘束時間」は、特に定めはありませんが、過重労働の判断要素として考慮され得ます。中でも自動車運送業においては、長時間労働となりやすいことから、特に規制が告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」によってなされています。
構造化面接
質問の内容、順序、使用する言葉(表現)まで定められた面接法を言います。均質化された一定の面接によって、診断や評価のばらつきを抑えることを狙いとしており、精神疾患に関する大規模な(疫学)調査などでよく用いられてきました。職場の健康管理においても、長時間労働者に対する医師面接などで、活用されることが推奨されています。
交代制勤務
連続した生産やサービスの提供などの事業活動を、複数の勤務時間帯にわけて労働者が交代しながら仕事を行う勤務形態をいいます。生産を止められない石油化学プラント、連続してサービス提供の必要な医療機関、コンビニエンスストアー、営業時間が所定労働時間より長い店舗など、いろいろな分野で行われています。

カ行

業務起因性
業務起因性とは、仕事と負傷、疾病、障害又は死亡との間に因果関係がある状態をいい、仕事中(事業主の支配下にある状態)に原因を受けて負傷、疾病、障害又は死亡に至ったと認められることをいいます。労働者の不注意などがあっても、故意がある場合を除き、因果関係の否定材料にはなりません。
業務上疾病
業務上疾病とは、仕事が原因となってかかった疾病をいいます。負傷と異なり、疾病の原因は分かりにくいため、どのような疾病が労災補償の対象なるのかを労働基準法施行規則別表第1の2と関係の告示に列挙しています。具体的に掲げられていない疾病であっても、業務起因性の認められたものは労災補償の対象となります。
過労自殺
→精神障害等を参照してください。
過労死
長時間労働などの過重な仕事に就労したことにより、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患(心臓の筋肉の血管が詰まることによる疾病)等にかかったり、その結果死亡に至ることがあり、これを過労死と呼んでいます。一般の人にも仕事に関係なく起こることの多い疾病ですが、過重な仕事に従事することにより、血管がもろくなったり、詰まりやすくなり、あるいは血圧が高くなることなどがあって発病することがありますので、業務上の疾病として労災補償の対象となります。
業務遂行性
業務起因性が認められるためには、その前提として原因を受けたのが仕事中であることが必要になりますが、その状態を業務遂行性があるといいます。業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態をいうもので、一般にいう「仕事中」より広く、業務に従事している状態のほか、休憩時間において事業場構内でスポーツをしているとき、休憩室での休憩中、用便中などは事業主の支配・管理下にあるとされ、業務遂行性が認められます。
介護ストレス
介護における身体的な負担とともに精神的な不調によってストレスを感じることをいいます。腰痛や肩こりといった健康面での不調や、自分ひとりで介護を抱えてしまうことで不安やイライラを感じたり、疲れやすいなどの症状が現われます。対処方法としては、社会的支援を活用して自分の時間を持ったり、健康づくりを習慣にして健康管理を行うなどのほか、自分自身の考え方を切り換えるなどしてストレスを軽減することが大切です。
快適職場づくり
労働者は生活の3分の1を職場で過ごし、職場はいわば労働者の生活の場の一部ともいえます。そこで、事業者は作業環境や施設設備についての現状を的確に把握し、職場の意見・要望等を聞いて計画的に着実に職場の改善をすすめることを示します。労働安全衛生法第71条の2において、事業者は快適な職場環境を形成するように努めなければならないとされており、疲労やストレスの少ない職場づくりを目指すこととされています。
買い物依存症
ひとは自分の収入の範囲内で買い物をしていますが、ストレス発散などの言い訳のもと、次第に買い物をする回数も増え、必要のないものまで買ってしまうことがあります。高額な買い物を繰り返し借金もかさみ、自分でも生活に支障をきたしていることに気づいても買い物をやめることができない状態のことを買い物依存症といいます。
カウンセラー(産業カウンセラー、臨床心理士)
何らかの問題を抱えている人から相談を受け、適切な援助を与える職種をいいます。職域においては(財)日本臨床心理士資格認定協会の認定資格である臨床心理士や(社)日本産業カウンセラー協会の認定資格である産業カウンセラーなどが活躍しています。
カウンセリング
何かしらの問題・悩みを抱えた人を対象に、専門的な技術や知識を用いて、言語的または非言語的コミュニケーションによって行われる相談・援助活動一般のこと。ガイダンスの一方法としての相談・助言から、心理療法としての治療的援助活動まで幅広く含まれることが多い。
過換気症候群
精神的な不安によって過呼吸になり、その結果、手足や唇のしびれやどうき、めまいなどの症状が引き起こされる心身症の一つです。若年者や女性でストレスを受けやすい人によくみられます。発作が起こったときは、小さめの紙袋を口に当てて反復呼吸させます。必要ならば抗不安薬を内服します。発作を繰り返す場合、安定期に心理療法、行動療法を行うとよい場合があります。
過食症
拒食症とともに摂食障害のひとつで、ほとんど女性に発症します。拒食症に伴うことも、拒食症から移行することも、単独で起こることもあり、最近、拒食症以上に激増しています。自分で制御できないほどのむちゃ食いの後、体重増加の恐怖から、自ら吐いたり、下剤を乱用したり・・・その後、気分が落ち込み、無気力となり、自分をだめな人間だと思う・・・これを繰り返します。治療はカウンセリング、さらに必要に応じて薬も用います。
仮面うつ病

うつ病は、精神症状が一般的ですが、なかには身体症状の方が前景にたつケースも少なくありません。身体疾患の仮面をかぶったうつ病という意味で、仮面うつ病と呼ばれています。主体となる苦痛が身体症状となると、内科、産婦人科、などの心の専門医以外の診療科を受診し誤診されてしまうこともあります。

寛解と治癒
精神科領域では、対象となる障がい特性を考慮して、回復度合いを定義しています。症状が完全に消失し精神的に安定した場合は完全寛解と呼ぶことが一般的で、身体医学の治癒に相当する。アメリカ精神医学会による「DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の分類と診断の手引」によれば、「完全寛解とは、その疾患の症状や徴候はまったく存在していないが、なお、その疾患を記しておくことに臨床的意味があるー例えば、以前に双極性障害のエピソードのあった人がこの3年間リチウム投与で症状が消失している場合、完全寛解が一定期間続いた後には、その人が回復してしまっているため、その疾患を現在の診断としてコード番号をつける臨床家はいないであろう。完全寛解と回復との区別には多数の因子を考慮することが必要であり、例えば、その疾患の特徴的経過、障害の最後の期間からの経過時間、障害の全持続期間、経過観察または再発予防治療の必要性などがある。」と記載されています。さらに、症状が多少残っていても精神状態は安定し社会生活がある程度可能な場合は不完全寛解などと呼ばれ、社会生活を営めるほどには症状が消失してない場合は軽快、症状が不変、増悪している場合は未治と呼ばれています。
感情鈍磨
統合失調症にみられる陰性症状のひとつで、感情表現が乏しくなり、情緒性や道徳感などが低下する程度から、快・不快、喜怒哀楽の感情反応が消失するものまでさまざまです。
希死念慮
自殺念慮とほぼ同一の思考内容をさしています。これらの意味の差異としては、自殺念慮の場合、強い感情を伴った自殺に対する思考あるいは観念が精神生活全体を支配し,それが長期にわたって持続するのに対し、希死念慮では、思考あるいは観念として散発的に出現する場合を指すことが通例であり、「消えてなくなりたい」、「楽になりたい」などが希死念慮の具体的な表現型です。
季節性うつ病
ある季節のみうつ病になるものを指します。季節性感情障害、季節性気分障害などとも言われます。日照時間の短縮が関与しているといわれている「冬季うつ病」の治療には、早朝の数時間にわたって5000ルックス以上の光を照射する光療法が有効とされています。冬季のみでなく、夏季や雨季などの季節性うつ病も存在します。
気分障害
感情障害ともいわれ、うつ病、躁うつ病などが含まれる分類を意味します。抑うつあるいは高揚といった気分の変調が持続することにより、生活上の苦痛や機能障害を呈する精神疾患の総称といえます。気分変調性障害、気分循環性障害も含まれます。
気分変調症
典型的なうつ病ではありませんが、うつ病性の障害とされており、それほど重篤でないもののより慢性的持続的(一般的に2年以上)なものをさします。従来、抑うつ人格、抑うつ神経症、神経症性うつ病などと呼ばれています。最近、新型うつ、などと呼ばれるディスチミア親和型うつは気分変調性障害と類似しているものとも言われます。
記銘力障害(記憶障害)
精神機能としての記憶は、記銘、保持、追想、再認の四素からなっています。この四要素のどれが障害されるかによって記憶障害が起こり、それぞれ記銘力障害、記憶保持障害、追想障害、再認障害と分類されています。一般に記憶障害は器質性脳障害の症状ですが、心因反応でも解離性障害でも起こることがあります。記銘障害とは、新たに知覚し、体験した情報を記憶の中に取り入れ留めておくことの欠損のことですが、具体的な障害としては、さまざまな認知症の中期から後期にしばしば現れ、特に、コルサコフ症候群においては記銘力障害、逆行健忘、作話、失見当識が主症状です。
急性ストレス反応
主に生死に関わるような要因でトラウマ(心的外傷)を経験した後、これによるフラッシュバック(トラウマの原因となった出来事が繰り返しはっきりと思い返されたり、悪夢を見たりする)、回避(トラウマに関する出来事や、関連する事柄を避けようとする傾向)、過覚醒(神経が高ぶった状態が続き、不眠や不安などが強く現れる)なの症状が出現します。ただし、これらの症状は一過性であり、通常数時間から数日以内でおさまります。
共感
カウンセリングでいう共感とは、あたかもこのように感じていたり考えていたりするのだろうと、相手の気持ちを慮って理解しようとすることをいいます。相手と感情を共有するということではなく、同情とは区別されます。
強迫性障害
不安をベースとする精神障害(不安障害)の一つです。自分でもそんなことはない、とわかってはいても拭い去れない考え(強迫観念)に基づいた行動(強迫行為)を繰り返し、日常生活に支障をきたします。例えば、何かに触れた直後から、“~病になってしまうのではないか”→“そして誰かにうつしてしまうのではないか”という心配から抜け出せずに手洗いを止められない、など。自分の不完全さに基づく確認強迫も代表的です。
拒食症
痩身が美しいとされる現代の社会的風潮に相まって、ここ数十年、激増している心の病気です。9割以上は女性です。強いやせ願望と肥満恐怖、そのために極端なダイエットを敢行します。著しい痩身なのに、やせていると自覚していないのも大きな特徴です。相当やせてもなお活発です。生理はほぼ止まります。過食症に移行することも多い一方で、やせが進むと身体の合併症も伴い、死の危険も生じる、決してあなどれない病気です。
ギャンブル依存症
ギャンブル依存症とは、パチンコ、パチスロ、競輪、競馬、競艇などのギャンブルによって経済的、社会的、精神的に自分の生活に支障をきたしていることに気がついていても、ギャンブルをやめることができない状態のことを言います。
傾聴
「こちらの聞きたいこと」を「聞く」 (Hear)のではなく、「相手の言いたいこと、伝えたいこと願っていること」を受容的・共感的態度で「聴く」 (Listen)ことであり、相手が自分自身の考えを整理し、納得のいく結論や判断に到達するよう支援することです。つまり、「聴く」の文字が表しているように、「耳と目と心できく」のが「傾聴」の基本です。
健康管理
健康管理は、健康診断およびその結果に基づく事後措置、健康測定結果およびその結果に基づく健康指導ならびに面接指導およびその結果に基づく事後措置まで含めた幅広い内容を有しています。メンタルヘルス対策も健康管理が中心です。健康管理は、健康診断、健康測定あるいは面接指導を通じて労働者の健康状態を把握し、作業環境や作業との関連を検討することにより、労働者の健康障害を未然に防ぐこと、さらに健康の増進につながるようなことが含まれます。
健康教育
健康教育とは、健康に関る諸問題に対して正しい知識を与え、健康増進につながるようなライフスタイルをとるように個人の行動を変化させることです。健康教育により健康状態に影響を及ぼす個人の習慣や個人の行動、組織における変容を引き起こします。メンタルヘルス対策における労働者、管理監督者等への教育も健康教育の一環といえます。
健康保険組合
健康保険組合は、仕事と無関係に起きたケガや病気(私傷病)などに対して保険給付を行う組織で、主に大企業の社員が加入します。主な保険給付には医療機関で診察・治療を受けたときの費用負担や、私傷病で休んでいるときの生活保障(傷病手当金)などがあります。なお中小企業の社員は全国健康保険協会に加入します。
月経前症候群
排卵から月経がくるまでの2週間ないし1週間くらいの間に、イライラ、落ち込み、腹痛、乳房緊満感、腰痛、頭痛・頭重感、眠気などの症状が繰り返し出現し、人間関係や日常生活に支障をきたす障害のことをいいます(症状は月経開始とともに殆どが消失します)。出現頻度は、月経のある人のうち数%とする報告から約80%とする報告まで様々あります。薬物療法や食事療法などによる治療が試みられています。
幻覚
実際にはない刺激を知覚することをいい、錯覚とは区別されます。幻覚の種類には幻聴、幻視、幻味、幻臭、体感幻覚などがあります。幻覚は統合失調症、アルコール依存症、薬物依存症、器質性精神病、心因反応、躁うつ病などに見られますが、統合失調症で最も多くみられる症状です。
現職復帰の原則

メンタルヘルス不調で休んでいた人が職場復帰する場合には、まずは元の職場(休み始めたときの職場)に戻すのが原則です。新しい環境に適応することが心理的な負担になるためです。ただし異動がきっかけで発症したような場合は、適応できていた以前の職場などへの復帰が良い場合もあります。なお、職場復帰については、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(平成24年7月改定。厚生労働省発表)を参考とするとよいでしょう。

現代型うつ病

正式な医学病名ではなく、従前からの典型的なうつ病と違うものを意味する総称として名前が一人歩きしている傾向があり、専門家の間でも見解は一致していません。「新型うつ病」などとも言われ、あたかも最近新しく生じたうつ病のようですが、実は古くから「ディスチミア親和型」「逃避型うつ病」「アパシー」「退却神経症」「パーソナリティ障害(境界性、自己愛性など)」「甘え、怠け、わがまま、自己中心的な性格の問題」など専門家の間では様々な見方をされてきています。本人だけの問題と考えられがちですが、社会が生んでいるという観点も重要と思われます。DSM-Ⅳ-TR(米国精神医学会)にはメランコリー型に対し非定型うつ病の診断基準の記載があり、1)気分の反応性:楽しい出来事には気分が明るい、2)食欲の増加、体重増加、3)過眠、4)鉛様の麻痺(身体が鉛のように重い)、5)拒絶過敏性(他人の言動にひどく敏感)、などを特徴としています。

行為障害
反抗的で攻撃的な非行行為を繰り返す状態をいいます。この非行行為は年齢相応に必要な社会的規範や規則から著しく逸脱しています。その非行行為を引き起こす原因としては脳の障害、精神的な障害、人格発達のゆがみ、家庭環境や社会的環境の影響などがあります。
抗うつ薬
抗うつ薬には、気分の落ち込みの解消、意欲の亢進、不安興奮鎮静の3つの薬理作用があります。代表的なものには、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬などがあります。近年は、「第3世代抗うつ薬」と呼ばれるSSRIやSNRIによる治療が主流ですが、従来からの薬も見直されつつあります。効果が出るには、1~2週間かかり、少なくとも薬効の評価には1か月間は定期的に服薬することが必要です。
高照度光療法

整えられた環境の下、蛍光灯に似た2500ルクス~10000ルクスの照射を、読書や食事をとりながら1分ごとに数秒は光源を見る、一日1時間~2時間、1週間~3週間行います(一般家庭の蛍光灯の照度は数百ルクス)。なお、曇り空は約10000ルクスと光療法としての照度は十分あると言われています。一部のうつ病や睡眠障害に有効といわれています。

向精神薬
主に脳の中枢神経系に作用し、その薬理作用が思考・感情・意欲などの精神機能にある薬剤を向精神薬と呼んでいます。精神医学の用語としては、向精神病薬は、その薬理作用に応じて、抗精神病薬(主に幻覚・妄想の治療に用いられる)、抗うつ薬、抗不安薬、気分安定(調整)薬、睡眠薬(または睡眠導入剤)、抗痙攣剤(主にてんかんの治療に用いられる)などに分けて使われています。
行動療法
人間の問題行動は誤った学習から生じたものとみなし、その学習を消去し正しい行動へ導くという考えに基づいた療法の総称です。個人の内面よりも具体的行動やそれを引き起こす条件を重視します。弱い不安から段階的に、不安に直面させ不安な出来事は起こらないことを学習させる、問題行動のたびに嫌悪刺激を与えて抑制する、望ましい行動を強化する、対人関係において適切に行動できるよう訓練することなどがあります。
抗不安薬
不安や緊張などを改善し、自律神経を安定させる効果があります。身体疾患に基づく不安にも用いられます。程度の差はありますが、眠気を誘う、筋肉のこわばりを緩める作用もあり、車の運転などは避けたほうがよろしいでしょう。向精神薬の中でも安全性は高く副作用も少ないのですが、連用による依存性が生じることがあり、処方医の指示を守ること、漫然とした長期投与は常用量依存を生じることがあり、避けることが必要です。
交流分析
人間行動に関する理論体系およびそれを応用した心理療法の手法の1つです。自分の考え方や行動、他人との交流パターン、無意識に繰り返される悪い癖、人生のシナリオの4つを自己分析した上で、よりよいセルフコントロールの手がかりを得ます。ありのままの自分を生かす方法について、自分自身で答えを見いだせるように促すことが特徴です。心療内科などの医療分野、学校、企業内研修などで活用されています。
心の健康づくり計画
メンタルヘルスケアは、中長期的視野に立ち継続的・計画的に行うこと、事業者が労働者の意見を聴きつつ事業場の実態に則した取組みを行うことが必要です。このため衛生委員会などで十分調査審議を行い、事業者が同ケアを積極的に推進する旨の表明に関すること、事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること、事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関することなどを計画することが必要です。
心の健康づくり専門スタッフ
事業場内における心の健康の保持増進に関する専門スタッフであり、教育研修の企画や実施、職場環境等の評価と改善、労働者及び管理監督者からの専門的な相談対応等を行います。心理相談担当者(心とからだの健康づくり(THP)専門スタッフ)もその一つです。
個人情報保護
氏名、生年月日等により特定の個人を識別できる情報に係る個人の権利利益を保護することをいいます。職場におけるメンタルヘルス対策を含む健康管理におきましては、種々の健康情報があり、個人情報のうちでもとくにセンシティブ(機微)な情報として保護すべきもので、「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について」(平成16年10月29日付け基発第1029009号)が示されています。職場でメンタルヘルスケアを円滑に行うためには、個人情報保護への十分な配慮が必要です。もし配慮が不十分なら労働者が事業場内のメンタルヘルスケアに安心して参加できません。
コーチング
相手が目標を達成する際に必要なスキルや知識を特定し、それが身につき、目標を達成するまで質問したり、具体化するなど戦略的な会話を中心に継続的に関わり続けることです。コーチングはもともと、相手の能力や才能をうまく引き出している人が実際にどういう会話をしているのか、その方法やコミュニケーション量を観察し体系化されました。

カ行

介護給付
→介護補償給付を参照してください。
介護補償給付
介護補償給付(通勤の場合は介護給付)は、障害補償年金(通勤の場合は障害年金)又は傷病補償年金(通勤の場合は傷病年金)をうけることができる労働者が、その障害の程度が「要介護障害程度区分表」に該当し、現に介護を受けている場合に請求により支給されるものです。なお、障害者支援施設(障害者自立支援法に規定されるもの)などに入所している間は対象となりません。
過労死
長時間労働などの過重な仕事に就労したことにより、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患(心臓の筋肉の血管が詰まることによる疾病)等にかかったり、その結果死亡に至ることがあり、これを過労死と呼んでいます。一般の人にも仕事に関係なく起こることの多い疾病ですが、過重な仕事に従事することにより、血管がもろくなったり、詰まりやすくなり、あるいは血圧が高くなることなどがあって発病することがありますので、業務上の疾病として労災補償の対象となります。
過労死の認定基準
①異常な出来事への遭遇、②短期間(1週間程度)の過重業務への就労又は③長期間(6か月程度)の過重業務への就労の後に脳血管疾患又は虚血性心疾患等を発症した場合は業務上疾病として取り扱う旨を示した通達です。(平成13年12月12日付け基発第1063号)
過労自殺
→精神障害等を参照してください。
休業給付

→休業補償給付を参照してください。

休業補償給付
休業補償給付(通勤の場合は休業給付)は、仕事(通勤)が原因となって負傷し、又は疾病にかかり、療養のため労働ができずに賃金を受けることができない場合で、休業が4日以上になるときに請求により受けることができるものです。その額は、休業1日について給付基礎日額の60%です。休業を始めた最初の3日間については、使用者が平均賃金の60%に当たる額を支払うことになりますが、通勤災害の場合にはその支払いの義務はありません。
休業補償給付等の請求手続
休業補償給付(通勤の場合は休業給付)、障害補償給付(同障害給付)、遺族補償給付(同遺族給付)、葬祭料(同葬祭給付)、傷病補償年金(同傷病年金)又は介護補償給付(同介護給付)は、本人又は遺族が労働基準監督署に請求します。請求書は労働基準監督署でもらうことができます。
業務上疾病

業務上疾病とは、仕事が原因となってかかった疾病をいいます。負傷と異なり、疾病の原因は分かりにくいため、どのような疾病が労災補償の対象なるのかを労働基準法施行規則別表第1の2と関係の告示に列挙しています。具体的に掲げられていない疾病であっても、業務起因性の認められたものは労災補償の対象となります。

業務起因性
業務起因性とは、仕事と負傷、疾病、障害又は死亡との間に因果関係がある状態をいい、仕事中(事業主の支配下にある状態)に原因を受けて負傷、疾病、障害又は死亡に至ったと認められることをいいます。労働者の不注意などがあっても、故意がある場合を除き、因果関係の否定材料にはなりません。
業務災害
業務災害とは、仕事が原因となった負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。
業務遂行性
業務起因性が認められるためには、その前提として原因を受けたのが仕事中であることが必要になりますが、その状態を業務遂行性があるといいます。業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態をいうもので、一般にいう「仕事中」より広く、業務に従事している状態のほか、休憩時間において事業場構内でスポーツをしているとき、休憩室での休憩中、用便中などは事業主の支配・管理下にあるとされ、業務遂行性が認められます。

カ行

群発自殺
ある人物の自殺が他の複数の自殺を引き起こす現象です。最初の自殺が著名人で、マスメディアを通じて大々的に報道されたような場合には、群発自殺が拡大する危険が高まってしまいます。なお、すべての人が影響を受けるというのではなく、群発自殺に巻き込まれる危険の高い人とは、若者、精神疾患にかかっている人、これまでにも自分も自殺未遂に及んだことがある人、自殺者と同じような問題を抱えている人などです。
国連自殺予防ガイドライン
1991年のUN(国際連合)総会で自殺の問題の深刻さが認識され、国家レベルで自殺予防のための具体的な行動を開始することが提唱されました。この提唱に基づき、WHO(世界保健機関)は1993年にカルガリーで開催された専門家会議をもとに、UNとWHOは「自殺予防:国家戦略の作成と実施のためのガイドライン」を公表しました。このガイドラインの特徴は、それぞれの国に応じた包括的アプローチを提唱している点にあります。

自殺予防対策関係

アルコール依存症
薬物依存症の一種です。常習飲酒の結果、飲酒によって得られる精神的・肉体的な薬理作用にとらわれてしまい、自らの飲酒行動を制御不能になった状態です。血中のアルコール濃度を保とうとする身体的飲酒欲求(渇望)が強く、意志の力では飲酒をやめられません。その結果、病的な飲酒パターン、社会的・職業的機能障害、身体的依存などが生じます。
安全配慮義務
労働者は、通常の場合、指定された場所で、提供された設備、器具等を用いて労働に従事しますので、労働契約の内容として具体的に定めていなくても、労働契約を結ぶことに伴って信義則上当然に、使用者は、労働者がその生命、身体等の安全(心身の健康を含みます。)を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をすべきこととされています。このことは、陸上自衛隊事件の最高裁判決(昭和50年2月25日)などの判例で確立した考え方となっており、労働契約法第5条に定められています。
縊死
死因の一つで、紐状のもので頸部を圧迫することにより呼吸や血流を止め、脳や身体の臓器に回復不能なダメージを与えることで死亡することです。
いのちの電話
さまざまな悩みをひとりで抱え込み、その結果死ぬことまで考える人がいます。いのちの電話はいつでも電話をうけられる体制をとり、相談員としての認定を受けたボランティアが誰にも相談できずに悩んでいるひとの話し相手になることで、再び生きる活力を与えようとする組織です。名前は告げる必要はなく、相談内容の秘密は守られます。相談は無料ですが、金銭的な援助は受けられません。
いのちの日
心の健康問題に関する正しい理解の普及・啓発を行うための日です。厚生労働省の健康日本21の自殺予防活動の一環として2001年に設定されました。
群発自殺
ある人物の自殺が他の複数の自殺を引き起こす現象です。最初の自殺が著名人で、マスメディアを通じて大々的に報道されたような場合には、群発自殺が拡大する危険が高まってしまいます。なお、すべての人が影響を受けるというのではなく、群発自殺に巻き込まれる危険の高い人とは、若者、精神疾患にかかっている人、これまでにも自分も自殺未遂に及んだことがある人、自殺者と同じような問題を抱えている人などです。
国連自殺予防ガイドライン
1991年のUN(国際連合)総会で自殺の問題の深刻さが認識され、国家レベルで自殺予防のための具体的な行動を開始することが提唱されました。この提唱に基づき、WHO(世界保健機関)は1993年にカルガリーで開催された専門家会議をもとに、UNとWHOは「自殺予防:国家戦略の作成と実施のためのガイドライン」を公表しました。このガイドラインの特徴は、それぞれの国に応じた包括的アプローチを提唱している点にあります。
失踪
社員が突然行方不明になるといった事態が起きることがあります。無責任な人が突然職場を放棄したなどととらえられて、処分の対象とされたりすることもあります。しかし、うつ病を発病している人が失踪したような場合には、自殺の代理行為と考えなければならない場合もあります。まず本人の安全を確保することを最優先してください。そして、本人を発見できたならば、専門の精神科医の診察を受けられるようにしなければなりません。
失業

職を失うこと。わが国では1990年代にバブル経済が崩壊した頃から、失業が深刻化しました。第二次世界大戦以後、終身雇用制は経済発展を牽引してきた側面がありましたが、それを維持できなくなりました。一旦就職したら、定年退職まで同じ会社で勤め続けるのが理想的だと思ってきた人々にとっては、会社の業績悪化に伴い、失業の危機が襲ってきたことは、自己の存在価値を根底から揺さぶられる、心の危機をもたらしたのです。

社会的支援
精神障害者に対して、安定した地域生活を保障するため、医療・福祉の両面からの支援をいいます。医療面では障害者自立支援法に基づく自立支援医療(通院医療費助成)、障害福祉サービスとしての介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業などがあります。相談・支援体制を強化するとともに、区市町村を中心に、住居の確保や就労支援の強化など、地域での受け皿の充実を図っています。さらに、障害者手帳、障害年金などの制度があります。また、精神科救急医療体制の充実も重要です。
職場復帰支援

労働者のメンタルヘルス不調はうつ病を中心に増加傾向にあり、そのための休職者も増加していると同時に、順調に復職できないケースも増えています。経営者・管理監督者・人事労務担当者・産業保健スタッフら事業場関係者が、休職者を休職開始から通常業務への復帰までの一連のプロセスを支援するための指針として、2004年に厚生労働省は「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(2012年7月一部改訂)を策定しました。病気休業開始から職場復帰後のフォローアップまで5つのステップで構成されており、メンタルヘルス対策推進の1つとなっています。

心理学的剖検
心理学的剖検とは、自殺者遺族へのケアを前提として、自殺者の遺族や故人をよく知る人から故人の生前の状況を詳しく聞き取り、自殺が起こった原因や動機を明らかにしていくことです。
事故傾性
自殺はある日突然何の前触れもなく起きるものと一般には考えられていますが、それに先立って、自分の健康や安全を守ることができないという問題がしばしば現れてきます。それが無意識的な自己破壊傾向を示している場合があります。持病の管理ができなくなる、失踪、繰り返す自損事故、酩酊したうえで喧嘩に巻き込まれるなどといったことが、自殺に先立って生じることがあります。
自殺企図

自殺とは自ら自分の生命を絶つ行為ですが、首つり、リストカット、大量服薬など様々な手段により、実際に自殺を企てることを自殺企図と言います。うつ病などのメンタルヘルス不調により自殺企図に至ることも多く、すぐに医療に結びつける必要があります。

自殺者数の推移
日本の自殺者数は、昭和33年(23,641人)と昭和61年(25,667人)に山がありますが、平成10年に前年より8,261人(35.2%)増加して31,755人と初めて3万人を超えました。以後平成21年まで3万人以上となっています。最も多かったのは、平成15年の32,109人です。労働者の自殺者数に着目すると、最近数年間は全体の27%台で推移しています。
自殺対策基本法
年間の自殺者数が3万人を超える日本の状況に対処するために平成18年に制定された法律で、自殺対策に関する基本的な理念、国や地方公共団体などの責務を明確にするとともに、自殺対策の基本的な事項を定め、総合的な自殺対策を推進して自殺の防止を図り、併せて自殺者の親族等への支援を充実し、これらにより、国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会を実現しようとするものです。
自殺の危険因子(自殺未遂歴、喪失体験、自己傾性)
次にあげるような項目を数多く満たす人は潜在的に自殺の危険が高い人と考えられます。①これまでに自殺未遂に及んだことがある、②十分にコントロールされていない精神障害、③周囲から十分なサポートが得られない、④中高年の男性、⑤喪失体験(自分にとって重要な関係にある人や価値あるものを喪う)、⑥自殺の家族歴、⑦事故傾性(自己の安全や健康を守れない)。
自殺の原因
平成20年における自殺の原因・動機は、健康問題によるものが最も多く、48%を占めています。次いで、経済・生活問題が23%、家庭問題が12%と続いています。不況と自殺者数の増加には関連があり、平成10年以降の自殺者数増加にも経済・生活問題による自殺の増加が影響しています。
自殺のサイン
自殺の直前に現れるサインで、一部は自殺の危険因子と重なります。とくに、大切にしていたものを整理したり、誰かにあげたりする、死にとらわれる、自殺をほのめかす、自殺についてはっきりと話す、遺書を用意する、自殺の計画を立てる、自殺の手段を用意する、自殺する予定の場所を下見に行く、実際に自分の身体を傷つける、といった点に気づいたら、自殺を示すサインと考えて、ただちに適切な対処をしなければなりません。
自殺の性差
自殺率は多くの国で男性が女性の2~3倍高いようです。自殺率の国際比較において、日本は男性も女性も自殺率順位は上位です。特に女性の自殺率順位は男性に比べ高いのですが、これは男性の自殺率が旧ソ連諸国で高いためです。
自殺の年齢層による特徴
年齢層別に自殺の原因や動機などについて検討すると、40歳以上60歳未満では経済・生活問題が、60歳以上では健康問題が最も多いなどの特徴があります。これを男女別に見ると、男性では経済・生活問題の割合が最も高くなっており、特に40歳以上60歳未満の層では5割を超えています。一方、女性はすべての年齢層で健康問題が最も高い割合を占めています。
自殺未遂
自殺とは自ら自分の生命を絶つ行為ですが、死に至らなかった場合、自殺未遂といわれます。自殺未遂者は自殺者の10倍以上存在すると考えられています。自殺者は女性より男性が、自殺未遂者は男性より女性が多いとされています。
自殺予防総合対策センター
自殺予防総合対策センターは、自殺予防に向けての政府の総合的な対策を支援するために平成18年10月1日に国立精神・神経センター精神保健研究所に設置されました。設置要綱によると、その業務は、(1)自殺予防対策に関する情報の収集及び発信、(2)自殺予防対策支援ネットワークの構築、(3)自殺の実態分析等、(4)自殺の背景となる精神疾患等の調査・研究、(5)自殺予防対策等の研修、(6)自殺未遂者のケアの調査・研究、(7)自殺遺族等のケアの調査・研究です。
自殺予防の3段階
自殺予防は次の三段階があります。①事前予防:原因を事前に取り除いて、自殺が起きるのを予防します。②危機対応:今まさに起こりつつある危険な行動に対応して、自殺を防ぐことです。たとえば、薬を多量に服用して自殺を図った人に対して、胃洗浄をして、救命し、自殺が起きるのを防ぐといった対応です。③事後対応:不幸にして自殺が生じてしまった場合に、遺された人々への心理的影響を可能な限り少なくするためのケアです。
自殺予防の十箇条
自殺の危険が迫る可能性について解説したもので、自殺の危険因子をわかりやすく説明した十箇条です。①うつ病の症状に気をつける。②原因不明の身体の不調が長引く。③飲酒量が増す。④安全や健康が保てない。⑤仕事の負担が増える、大きな失敗をする、職を失う。⑥職場や家庭からサポートが得られない。⑦自分にとって価値あるものを失う。⑧重症の身体疾患にかかる。⑨自殺を口にする。⑩自殺未遂に及ぶ。
自死遺族
自殺によって家族を亡くされた遺族の呼称です。自殺対策基本法では「自殺者の親族等」と表記されています。従来、論文などでは「自殺遺族」「自殺者の遺族」といった表記が用いられていましたが、当事者遺族らが「自殺」ではなく「自死」という呼称を望み、自らの立場を「自死遺族」と位置づけたことから、特に遺族に対する支援や相談場面においては、この呼称が用いられることが多くなりました。
自傷他害
自傷とは主として自己の生命・身体を害する行為を言い、単に浪費や自己の所有物の損壊などの行為は含みません。他害とは、他人の生命、身体、自由、貞操、名誉、財産等に害を及ぼす場合と決められています。精神障害のために自傷他害の恐れが強く、精神保健指定医二人以上の診断結果にもとづき、都道府県知事の命令によって強制的に入院させることを措置入院といいます。
じん肺
じん肺とは、「粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」(じん肺法)です。じん肺では、病変の進展に伴って種々の疾病が合併または続発してきます。肺結核、結核性胸膜炎、続発性気胸、続発性気管支炎などです。胸部エックス線像は、けい肺等に認められる粒状影からやがて結節が融合して塊状巣を形成するものと、石綿肺のように下肺野から線状・網状影を主体とする不整形陰影を呈するものがあります。
精神科救急
精神疾患に対して緊急の処置ならびに対応の必要がある場合に行われる医療体制です。精神的な混乱や突拍子もない言動、自殺未遂などが自分や家族に急に起こったときに119番に電話すると、精神科専門の電話相談窓口や精神科救急の当番病院(精神科救急病院)を教えてくれます。当番病院は輪番制のことが多いようです。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは各都道府県と政令指定市に1か所ずつ(東京都のみ3か所)設置され、精神保健福祉に関する総合技術センターとして位置付けられています。精神科医をはじめ、保健師・看護師、精神保健福祉士、心理相談判定員、作業療法士など多くの専門職種が活躍しています。業務内容は個別相談をはじめ、教育・研修、地域組織育成など多岐にわたります。医療機関として精神科外来診療などを実施している所と、相談業務のみを実施している所とがあります。
世界自殺予防デー
2004年にWHO(世界保健機関)とJASP(世界自殺予防学会)は、9月10日を世界自殺予防デーと定め、「自殺は大きな、しかし予防可能な公衆衛生上の問題である」として自殺対策への関心を喚起しています。わが国では、世界自殺予防デーにちなんで、毎年9月10日からの一週間を自殺予防週間と設定して、国、地方公共団体などが連携して、幅広い国民の参加による自殺予防の啓発活動を推進しています。
中高年自殺
1998年以来、わが国の年間自殺者数は3万人台という緊急事態が続いていますが、40~50歳台の自殺者が全体の約4割を占めています。とくに中高年の男性の自殺が増えたことが社会問題化しています。大きな社会変動が生じた際に、若年男性の自殺率が増えるというのが世界的に一般的に認められる特徴ですが、中高年の男性の自殺が急増したことは最近のわが国の自殺の大きな特徴と言えます。
デブリーフィング
事故や災害、犯罪被害などの後で、将来のPTSDを予防するために、36時間以内に体験の恐怖を集中的に聞き出すというカウンセリングの方法です。しかしその効果は国際的に否定され、この方法を考えた心理学者も誤りを認めました。多くの被災者、被害者は、暖かなケアと保護によって数か月以内に自然に回復します。不安や不眠が強いときや、回復が思わしくないときには、精神科医による相談窓口が必要です。
電通事件
電通の新入社員(男性、1990年入社)が常軌を逸する長時間労働の結果、うつ病にかかり、翌年8月に自殺するに至ったことから、遺族である両親が会社に対する損害賠償請求訴訟を起こしたものです。
2000年3月に最高裁判所は仕事とうつ病の因果関係を認めたうえで、東京高等裁判所に差し戻す判決を出し、東京高等裁判所において和解が成立し、会社が1億6800万円余(遅延損害金を含みます。)を支払うことになりました。
本件は、仕事と精神障害の因果関係を最高裁判所が初めて認めたものとして意義があり、また、損害賠償額が多額になったことは社会に警鐘を鳴らすものとなりました。
ネット自殺
まったく見知らぬ人たちがインターネットで連絡を取り合い、同じ場所で一緒に自殺するという現象が2003年春頃から起きました。多くは20~30歳代の複数の男女で、自動車の車内で七輪で練炭を炊き、一酸化炭素中毒で自殺するという方法まで同じでした。この新奇な自殺が社会的な関心を呼び、マスメディアが大々的に報じたために、同様の自殺が連鎖するという結果になってしまいました。
非定型精神病
ドイツや我が国で発展した疾患概念で、統合失調症と躁鬱病の両者が混在しているようにみえますが、そのいずれとも特定できない一群の精神疾患の総称です。急性ないし亜急性に発症し、女性に多く、症状は多彩で、感情の起伏が激しく、うつ症状、躁症状、幻覚、妄想、精神運動性興奮症状のほか、昏迷状態、錯乱、幻覚を伴うせん妄状態、夢幻状態など意識障害としての症状が見られることがあります。またてんかん性の脳波異常が認められることもあると言います。比較的短期間に軽快し予後は概して良好ですが再発傾向が強いものです。
保健所
保健所は、地域保健法第5条により、都道府県、政令指定都市、中核市その他の政令で定める市または特別区に設置されている、公衆衛生活動の中核となる公的機関です。保健所の業務は、保健指導や相談をはじめとして、感染症の予防、食品衛生、環境衛生など多岐にわたりますが、設置主体などによって、その役割と業務は大きく異なります。自殺予防においても、公衆衛生活動との拠点としての取組みが期待されています。
ポストベンション(事後の対応)
自殺予防の3段階のひとつです。この第3段階目が「ポストベンション(postvention)」と呼ばれる対応です。不幸にして自殺が生じてしまった場合、遺族を筆頭に、親しかった友人や職場の同僚、あるいは目撃者にも多大なショックが刻まれることになります。このように遺された方や関係者の方たちに対して適切なケアを行い、心理的ダメージを最小限にする対応をポストベンションといいます。
メディカルモデル・コミュニティーモデル
自殺予防のためのアプローチを示したものです。自殺既遂者の多くは死亡時に何らかの精神疾患に罹患していたことがわかっています。メディカルモデルでは、自殺につながる可能性のある精神疾患を早期に発見し、適切な治療を行い、自殺を予防します。コミュニティモデルでは、地域社会あるいは特定の集団の問題解決能力を高め、自殺予防を実現していきます。例えば、地域や家庭、学校の中で、精神疾患への偏見を取り除くことや、必要なときの支援の求め方を教えます。また、自殺に関連する社会的要因に働きかけ自殺予防を実現していきます。
薬物依存
薬物依存とは、耐えがたい欲求のために連続的ないし周期的にその薬物を摂取することをいいます。薬物の種類としては、睡眠薬、非麻薬性鎮痛剤、抗不安薬、麻薬、幻覚発現剤(LSD-25、大麻など)、覚せい剤(ヒロポンなど)、有機溶剤(シンナー、接着剤など)、コカイン、喘息薬など多岐にわたります。治療行為から派生した医原性ともいえる側面や、反社会的(違法性)といった側面から理解していく必要もあります。なお、反復使用することで薬物の効果が減り、使用量が増加する現象を耐性と呼び、使用中断による心身の病的症状を離脱症状(禁断症状)と呼びます。精神科医療施設での治療に加えて、以下のような自助組織の活用が考えられます。
AKK(アディクション問題を考える会)、NA、Nar-Anon(ナラノン)

サ行

失踪
社員が突然行方不明になるといった事態が起きることがあります。無責任な人が突然職場を放棄したなどととらえられて、処分の対象とされたりすることもあります。しかし、うつ病を発病している人が失踪したような場合には、自殺の代理行為と考えなければならない場合もあります。まず本人の安全を確保することを最優先してください。そして、本人を発見できたならば、専門の精神科医の診察を受けられるようにしなければなりません。
失業

職を失うこと。わが国では1990年代にバブル経済が崩壊した頃から、失業が深刻化しました。第二次世界大戦以後、終身雇用制は経済発展を牽引してきた側面がありましたが、それを維持できなくなりました。一旦就職したら、定年退職まで同じ会社で勤め続けるのが理想的だと思ってきた人々にとっては、会社の業績悪化に伴い、失業の危機が襲ってきたことは、自己の存在価値を根底から揺さぶられる、心の危機をもたらしたのです。

社会的支援
精神障害者に対して、安定した地域生活を保障するため、医療・福祉の両面からの支援をいいます。医療面では障害者自立支援法に基づく自立支援医療(通院医療費助成)、障害福祉サービスとしての介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業などがあります。相談・支援体制を強化するとともに、区市町村を中心に、住居の確保や就労支援の強化など、地域での受け皿の充実を図っています。さらに、障害者手帳、障害年金などの制度があります。また、精神科救急医療体制の充実も重要です。
職場復帰支援

労働者のメンタルヘルス不調はうつ病を中心に増加傾向にあり、そのための休職者も増加していると同時に、順調に復職できないケースも増えています。経営者・管理監督者・人事労務担当者・産業保健スタッフら事業場関係者が、休職者を休職開始から通常業務への復帰までの一連のプロセスを支援するための指針として、2004年に厚生労働省は「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(2012年7月一部改訂)を策定しました。病気休業開始から職場復帰後のフォローアップまで5つのステップで構成されており、メンタルヘルス対策推進の1つとなっています。

心理学的剖検
心理学的剖検とは、自殺者遺族へのケアを前提として、自殺者の遺族や故人をよく知る人から故人の生前の状況を詳しく聞き取り、自殺が起こった原因や動機を明らかにしていくことです。
事故傾性
自殺はある日突然何の前触れもなく起きるものと一般には考えられていますが、それに先立って、自分の健康や安全を守ることができないという問題がしばしば現れてきます。それが無意識的な自己破壊傾向を示している場合があります。持病の管理ができなくなる、失踪、繰り返す自損事故、酩酊したうえで喧嘩に巻き込まれるなどといったことが、自殺に先立って生じることがあります。
自殺企図

自殺とは自ら自分の生命を絶つ行為ですが、首つり、リストカット、大量服薬など様々な手段により、実際に自殺を企てることを自殺企図と言います。うつ病などのメンタルヘルス不調により自殺企図に至ることも多く、すぐに医療に結びつける必要があります。

自殺者数の推移
日本の自殺者数は、昭和33年(23,641人)と昭和61年(25,667人)に山がありますが、平成10年に前年より8,261人(35.2%)増加して31,755人と初めて3万人を超えました。以後平成21年まで3万人以上となっています。最も多かったのは、平成15年の32,109人です。労働者の自殺者数に着目すると、最近数年間は全体の27%台で推移しています。
自殺対策基本法
年間の自殺者数が3万人を超える日本の状況に対処するために平成18年に制定された法律で、自殺対策に関する基本的な理念、国や地方公共団体などの責務を明確にするとともに、自殺対策の基本的な事項を定め、総合的な自殺対策を推進して自殺の防止を図り、併せて自殺者の親族等への支援を充実し、これらにより、国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会を実現しようとするものです。
自殺の危険因子(自殺未遂歴、喪失体験、自己傾性)
次にあげるような項目を数多く満たす人は潜在的に自殺の危険が高い人と考えられます。①これまでに自殺未遂に及んだことがある、②十分にコントロールされていない精神障害、③周囲から十分なサポートが得られない、④中高年の男性、⑤喪失体験(自分にとって重要な関係にある人や価値あるものを喪う)、⑥自殺の家族歴、⑦事故傾性(自己の安全や健康を守れない)。
自殺の原因
平成20年における自殺の原因・動機は、健康問題によるものが最も多く、48%を占めています。次いで、経済・生活問題が23%、家庭問題が12%と続いています。不況と自殺者数の増加には関連があり、平成10年以降の自殺者数増加にも経済・生活問題による自殺の増加が影響しています。
自殺のサイン
自殺の直前に現れるサインで、一部は自殺の危険因子と重なります。とくに、大切にしていたものを整理したり、誰かにあげたりする、死にとらわれる、自殺をほのめかす、自殺についてはっきりと話す、遺書を用意する、自殺の計画を立てる、自殺の手段を用意する、自殺する予定の場所を下見に行く、実際に自分の身体を傷つける、といった点に気づいたら、自殺を示すサインと考えて、ただちに適切な対処をしなければなりません。
自殺の性差
自殺率は多くの国で男性が女性の2~3倍高いようです。自殺率の国際比較において、日本は男性も女性も自殺率順位は上位です。特に女性の自殺率順位は男性に比べ高いのですが、これは男性の自殺率が旧ソ連諸国で高いためです。
自殺の年齢層による特徴
年齢層別に自殺の原因や動機などについて検討すると、40歳以上60歳未満では経済・生活問題が、60歳以上では健康問題が最も多いなどの特徴があります。これを男女別に見ると、男性では経済・生活問題の割合が最も高くなっており、特に40歳以上60歳未満の層では5割を超えています。一方、女性はすべての年齢層で健康問題が最も高い割合を占めています。
自殺未遂
自殺とは自ら自分の生命を絶つ行為ですが、死に至らなかった場合、自殺未遂といわれます。自殺未遂者は自殺者の10倍以上存在すると考えられています。自殺者は女性より男性が、自殺未遂者は男性より女性が多いとされています。
自殺予防総合対策センター
自殺予防総合対策センターは、自殺予防に向けての政府の総合的な対策を支援するために平成18年10月1日に国立精神・神経センター精神保健研究所に設置されました。設置要綱によると、その業務は、(1)自殺予防対策に関する情報の収集及び発信、(2)自殺予防対策支援ネットワークの構築、(3)自殺の実態分析等、(4)自殺の背景となる精神疾患等の調査・研究、(5)自殺予防対策等の研修、(6)自殺未遂者のケアの調査・研究、(7)自殺遺族等のケアの調査・研究です。
自殺予防の3段階
自殺予防は次の三段階があります。①事前予防:原因を事前に取り除いて、自殺が起きるのを予防します。②危機対応:今まさに起こりつつある危険な行動に対応して、自殺を防ぐことです。たとえば、薬を多量に服用して自殺を図った人に対して、胃洗浄をして、救命し、自殺が起きるのを防ぐといった対応です。③事後対応:不幸にして自殺が生じてしまった場合に、遺された人々への心理的影響を可能な限り少なくするためのケアです。
自殺予防の十箇条
自殺の危険が迫る可能性について解説したもので、自殺の危険因子をわかりやすく説明した十箇条です。①うつ病の症状に気をつける。②原因不明の身体の不調が長引く。③飲酒量が増す。④安全や健康が保てない。⑤仕事の負担が増える、大きな失敗をする、職を失う。⑥職場や家庭からサポートが得られない。⑦自分にとって価値あるものを失う。⑧重症の身体疾患にかかる。⑨自殺を口にする。⑩自殺未遂に及ぶ。
自死遺族
自殺によって家族を亡くされた遺族の呼称です。自殺対策基本法では「自殺者の親族等」と表記されています。従来、論文などでは「自殺遺族」「自殺者の遺族」といった表記が用いられていましたが、当事者遺族らが「自殺」ではなく「自死」という呼称を望み、自らの立場を「自死遺族」と位置づけたことから、特に遺族に対する支援や相談場面においては、この呼称が用いられることが多くなりました。
自傷他害
自傷とは主として自己の生命・身体を害する行為を言い、単に浪費や自己の所有物の損壊などの行為は含みません。他害とは、他人の生命、身体、自由、貞操、名誉、財産等に害を及ぼす場合と決められています。精神障害のために自傷他害の恐れが強く、精神保健指定医二人以上の診断結果にもとづき、都道府県知事の命令によって強制的に入院させることを措置入院といいます。
じん肺
じん肺とは、「粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」(じん肺法)です。じん肺では、病変の進展に伴って種々の疾病が合併または続発してきます。肺結核、結核性胸膜炎、続発性気胸、続発性気管支炎などです。胸部エックス線像は、けい肺等に認められる粒状影からやがて結節が融合して塊状巣を形成するものと、石綿肺のように下肺野から線状・網状影を主体とする不整形陰影を呈するものがあります。
精神科救急
精神疾患に対して緊急の処置ならびに対応の必要がある場合に行われる医療体制です。精神的な混乱や突拍子もない言動、自殺未遂などが自分や家族に急に起こったときに119番に電話すると、精神科専門の電話相談窓口や精神科救急の当番病院(精神科救急病院)を教えてくれます。当番病院は輪番制のことが多いようです。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは各都道府県と政令指定市に1か所ずつ(東京都のみ3か所)設置され、精神保健福祉に関する総合技術センターとして位置付けられています。精神科医をはじめ、保健師・看護師、精神保健福祉士、心理相談判定員、作業療法士など多くの専門職種が活躍しています。業務内容は個別相談をはじめ、教育・研修、地域組織育成など多岐にわたります。医療機関として精神科外来診療などを実施している所と、相談業務のみを実施している所とがあります。
世界自殺予防デー
2004年にWHO(世界保健機関)とJASP(世界自殺予防学会)は、9月10日を世界自殺予防デーと定め、「自殺は大きな、しかし予防可能な公衆衛生上の問題である」として自殺対策への関心を喚起しています。わが国では、世界自殺予防デーにちなんで、毎年9月10日からの一週間を自殺予防週間と設定して、国、地方公共団体などが連携して、幅広い国民の参加による自殺予防の啓発活動を推進しています。

サ行

就業規則
それぞれの事業場における労働条件を定めた規則で、10名以上の労働者を雇用する事業場では、就業規則を作成し、労働者代表の意見を聴取したうえで、労働基準監督署に届け出る必要があります。規則には、始業、就業の時刻や休憩時間、休日、休暇、賃金、賞与、退職(解雇事由を含む)などについて書かれています。
3A(absenteeism、alcohol、accident)
メンタルヘルス不調は血液検査などで明らかな異常値がでるわけでもないため、早期発見は困難と思われています。しかし、absenteeism・alcohol・accident、すなわち勤怠状況の変化・飲酒問題・様々な事故の発生に注目することにより、メンタルヘルス不調を早期に発見できるとされ、頭文字をとって「三つのA(3A)」と言われています。
作業環境管理
作業環境管理は、作業環境中の種々の有害要因を取り除いて適正な作業環境を確保するもので、職場における労働者の健康障害を防止するための根本的な対策の一つです。たとえば、作業環境測定とその結果の評価を行い、その評価結果から局所排気装置など各種の設備の改善や適正な整備を行い、作業環境を適正に維持することです。
作業管理
有害な物質やエネルギーが人に及ぼす影響は、作業の内容や作業の方法によっても異なりますが、これらの要因を適切に管理して、労働者への影響を少なくすることが作業管理です。たとえば、作業に伴う有害要因の発生を防止・抑制したり、ばく露が少なくなるように作業の手順や方法を定めたり、作業方法の変更などにより作業の負荷や姿勢などによる身体への悪影響を減少させたり、保護具を適正に用い、暴露を少なくすることなどがあります。
産業医
産業医とは、労働者の健康を保持するため労働者の作業環境や作業管理、健康管理に関して専門的立場から助言・指導を行う医師のことを示します。産業医は労働安全衛生法に基づき常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任する事業者の義務があります。
産業保健スタッフ
事業場内の産業保健スタッフとは産業医等、衛生管理者等、保健師等あるいは心の健康づくり専門スタッフなどを指し、人事労務管理スタッフや事業場外資源などと連携して、メンタルヘルスケアに取り組みます。産業医と衛生管理者は労働者数50人以上の事業場で選任が義務付けられています。保健師等は選任義務はありませんが、身近な専門職として重要です。
産褥期うつ病
産褥期とは分娩後、母体が妊娠前の状態に回復するまでの期間をさし、通常6~8週までの期間をいいます。この期間にはうつ病を発症しやすく、産後うつ病とも呼ばれます。急激な身体的変化、ホルモンの変化のみならず育児といった心理社会的変化も同時に起こるため、時に自殺や無理心中などのおそれもありますので注意を要します。育児を抱え込ませない社会的サポートが重要です。
三次予防
すでに疾病が発病し、疾病として完成した後に、リハビリテーションや再発防止をすることで、社会復帰できる機能を回復させ、またそれを維持することをいいます。
仕事のストレス判定図
仕事のストレス判定図は、職業性ストレス簡易調査票の一部の項目(12項目)を利用して作成したものです。仕事の量的負荷、仕事のコントロール、上司・同僚の支援などの調査結果から、職場ごとの健康リスクを判断することができます。職場環境の改善を通じたストレス対策に役に立ちます。
仕事要求度-コントロールモデル
仕事のストレスを説明する理論の1つです。仕事の要求度(仕事量や責任)が大きく、それに比べて仕事のコントロール(自由度や裁量権)が低い場合にストレスが生じやすいとされています。
嗜癖
ある特定の物質・行動過程・人間関係を、特に好む性向をいいます。酒やタバコの物質嗜癖、パチンコやショッピングの過程嗜癖、家族や恋人と生じる関係嗜癖などがあります。
社会的再適応評定尺度
アメリカのホームズ(Holmes,TH)らが開発したストレス測定法の1つです。ライフイベント(生活の出来事)法と呼ばれ、結婚に対するストレス度を50点とし,それを基準に0~100点の範囲で、ストレスに対して再適応に要するエネルギー量を評価します。すなわち点数でストレスの程度を示します。厚生労働省の「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」の心理的負荷の強度基準(強度、中程度、軽度)の根拠の一つとして使われています。
社会不安障害
不安とは、明確な対象を持たない恐怖の事を差します。社会不安障害(social anxiety disorder、SAD)は、社会や人前で嫌な思いをしたり、他人に辱められることに対する不安が強く、行動などに障害を及ぼすものです。
主治医と産業医の連携
心の健康問題を有する労働者を治療する主治医と主治医の判断に基づいて就業上の措置に関する意見を事業者へ述べる産業医が、お互いに医学的な情報を交感し、密に連携することによって労働者がその病状を悪化させることなく、円滑な業務の遂行を支援することが可能となる。主治医からの不十分な情報や不適切な復職支援や就業上の措置に関する意見は、結果として労働者の不利益となり、さらに職場の生産性低下に直結することになる。
守秘義務
医師、保健師、看護師等の医療職は職務を通して他人の秘密を聞いてしまうことがあるので、刑法や身分法が正当な理由なくその秘密を漏らしてはならないことを罰則付きで規定している。医療職以外でも職場で実施される健康診断に関係した者には、労働安全衛生法が同様に規定している。なお、個人情報保護法は、生命、身体の保護や公衆衛生の向上等に必要な場合で本人の同意取得が困難なときは、目的外利用や第三者提供を認めている。
昇進うつ病
正式な医学病名ではなく、昇進に伴う環境の変化により誘発されたうつ病をいいます。嫌なストレスがうつ病に結びつきやすいというのはイメージしやすいが、本来喜ばしいこともうつ病のきっかけとなり得ます。昇進は出世と同時に職場での責任や役割の変化を伴います。最近は責任が重くなるので出世を拒む人も見られます。
職業性ストレス簡易調査票
職業性ストレス簡易調査票は、職場で簡便に使用できる自己記入式のストレス調査票です。仕事のストレス要因、ストレス反応、修飾要因の3つで構成されています。仕事のストレス要因では、仕事の量的負担、質的負担、身体的負担、コントロール、対人関係によるストレスなどが、ストレス反応としては、抑うつ、イライラ感、疲労感、活気、身体愁訴などが評価できます。あらゆる業種の職場で使用でき項目数は57と少なく約10分で回答が可能です。
嘱託産業医
産業医の選任形態のひとつで、専属産業医以外で非常勤で勤務する産業医のことをいいます。常時50人以上かつ999人以下の労働者を使用する事業場の産業医のほとんどが嘱託産業医としての選任であり、開業医や勤務医が診療業務の傍ら産業医業務を担ってます。
職場環境改善
職場環境とは、職場における化学的・物理的な有害要因のみではなく、職場のストレス、労働条件、休憩室などの設備等の働く人を取り巻く全ての事象を指します。この職場環境を改善することは、労働安全衛生法の目的の一つである「快適な職場環境形成促進」につながります。
職場巡視
職場巡視とは、作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態が働く人に有害な影響を及ぼすおそれがないか確認して行く行為で、労働安全衛生規則では、衛生管理者には週に1回、産業医には月に1回の実施が義務付けられています。無論、有害な影響を及ぼすおそれがある場合、健康障害を防止するために必要な措置を講じる必要があります。
職場ストレス
職場で生じるストレスの総称です。係長や課長などへの昇進、支店から本社への抜擢、通常の転勤、仕事の内容の変化、同じ部内での配置換え、上司や同僚、部下との対人関係葛藤、リストラ、単身赴任など多彩なものがあります。適応障害や職場不適応症の発症要因の1つになっています。明らかに職務適性がない場合やパワーハラスメント、セクシヤルハラスメントなどのケースに対して、治療的配置転換(原則1回限り)は有効です。
職場復帰

心の健康問題により休業している労働者が増加しているとする調査結果や休業後の職場復帰支援がスムーズに進まないという近年の調査結果等もあり、職場復帰支援に関する社会的関心が高まっていいます。事業場向けマニュアルとして、平成16年に厚生労働省により「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」が作成され、平成21年には改訂が行われ、それが利用できるようになっています。

職場復帰支援プログラム

メンタルヘルス不調による長期休業者の職場復帰は簡単ではなく、再発や離職もなく少なくありません。長期休業者のスムースな職場復帰は本人のみならず企業や職場にとっても重要な課題になっています。しかし、人材確保とスムースな職場復帰を可能にするため、多くの企業で職場復帰支援プログラムが用意されています。主治医と産業医の意見をもとにして、管理監督者、人事労務担当者、産業保健スタッフなどが、職場環境や作業の内容、作業時間などの調整をしたり、健康面のケアをしたりして、職場復帰を総合的に支援するためのものです。

職場不適応
職場ストレスと個人要因の関連性から発症し就業への不安や恐怖、緊張、焦燥症状を呈し、うつ気分や意欲の低下も認められます。職場不適応には以下の4つの意味があります。すなわち
1. 軽い不適応状態を示す場合
2. 職場不適応症を指す使い方
3. 職場ストレスと個人要因の関連性を示している場合
4. 状態を示す使い方
1-4のどれに該当するかを知ってほしいです。
新型うつ病
→「現代型うつ病」を参照。
心気症
神経症もしくは身体表現性障害の一種です。心身の些細な不調にとらわれ、検査などによっても所見が得られず、医学的な保証によっても納得できず、重大な病気の兆候ではないかと恐れ、執拗に訴える状態です。
神経科
神経疾患を扱う専門分野です。脳と脊髄などの中枢神経系、末梢神経系、自律神経系、それに筋肉系などの神経疾患を扱います。神経科では中枢神経系の障害による身体や神経の麻痺、知覚障害、筋萎縮、歩行や言語障害などを扱うのに対して、精神神経科では思考や感情などの精神面や行動面を人間関係や社会との関連で扱います。
神経症
心理的要因による精神の機能障害ですが、脳や神経の解剖学的変化はなく、特有な症状群ないし状態像をもち、精神病、心身症、性格障害などを除外したものをいいます。
 代表的なものには、不安神経症、心気症、神経衰弱、ヒステリ-、抑うつ神経症、強迫神経症、恐怖症、離人神経症などがあります。
神経伝達物質
神経細胞から他の細胞への情報伝達は、そのほとんどが化学物質により行われており、神経伝達物質とよばれています。神経伝達物質と推定されている脳内活性物質には、アセチルコリンのほかに、セロトニン、ド-パミン、ノルアドレナリン、アドレナリンなどがあります。精神神経疾患との関連では、統合失調症や躁うつ病、それにパ-キンソン病やアルツハイマ-型老年認知症などとの関連が研究されています。うつ病は脳内のセロトニンやノルアドレナリンの不足が想定されています。
神経内科
神経疾患を扱う専門分野です。脳と脊髄などの中枢神経系、末梢神経系、自律神経系、それに筋肉系などの神経疾患を扱います。中枢神経系の障害による身体や神経の麻痺、知覚障害、筋萎縮、歩行や言語障害などを治療対象とします。
新健康フロンティア戦略
国民の健康寿命の延伸に向け、予防を重視した健康づくりを国民運動として展開するとともに、病気を患った人や障害のある人も持っている能力をフルに活用して充実した人生を送ることができるよう、技術と提供体制の両面から支援することを目的につくられた国策です。新健康フロンティア戦略賢人会議(平成19年4月)にて策定され、新健康フロンティア戦略アクションプランで具体的な取り組みについて施策を掲げています。
心身症
体の病気ですが、その発症要因や慢性化にストレスが関与している病気の総称で、病名ではありません。心療内科医による診断や治療が中心になります。胃・十二指腸潰瘍、過敏性大腸炎、本態性高血圧症、神経性狭心症(狭心症)、過呼吸症候群、気管支喘息、甲状腺機能亢進症、摂食障害、メニエ-ル症候群、更年期障害が代表的なものです。治療は身体疾病の治療、心身相関のメカニズムへの気づき、ストレスへの対応などが中心になります。
身体表現性障害
従来は神経症の概念に含まれていましたが、国際的な診断基準であるDSM-Ⅳ-TRやICD-10では、ひとつの診断カテゴリーとして採用されています。身体の病気がないのに、身体の症状が出るのが特徴です。例えば、歯は健康なのに歯が痛む、足腰は問題ないのに立てない、歩けない、声帯には問題ないのに声が出ない、などです。身体の症状を極端に気にして、何か重大な病気に罹ったと思い込む心気症も、このカテゴリーに含まれます。
深夜業
午後10時から午前5時までの業務のことをいいます。労働基準法により満18歳未満の年少者や妊産婦を深夜業に就業させることが禁止されており、また、従事者に対する割増賃金の支払いが義務付けられています。労働安全衛生法により特定業務の一つとして深夜業従事者の健康診断(年2回)や一定要件を満たす労働者の自発的健康診断などが定められています。
心理検査
心身の健康状態や認知・思考(受け止め方や考え方など),行動・性格傾向など,対面するだけでは分かりにくい様々な心理状態・傾向について,インタビューや自己記入式の質問紙などを用いて精査することです。心理検査により,適切な治療や支援のための情報を整理し,結果を被検者に説明することで,自己理解を深めることができます。一方で、心理検査のみで病気などの診断を下すためのものではありません。
心理相談担当者
働く人の心とからだの健康づくりを推進するため、事業者の努力義務として昭和63年からTHP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)が展開されています。このなかで、産業医の指示のもとに必要な対象者にメンタルヘルスケアを提供するのが心理相談担当者です。心理相談を通して、ストレスに対する気付きの援助、リラクゼーションの指導等を行います。受講資格者が中央災害防止協会主催の研修を受講して担当者になることができます。
心療内科
身体疾患を身体的側面だけでなく、心理面、社会面をも含めて総合的にみてこうとする診療分野です。扱う代表的なものに、気管支喘息、ストレス性心疾患や胃潰瘍、アトピ-性皮膚炎などがあります。
心理療法(サイコセラピー)
主に対話を通して専門家によって行われる心理的問題の解決を図る方法です。カウンセリングと同じ意味で使われることが多いですが、カウンセリングよりも治療的な意味合いが強くなります。精神療法ともいいますが、心理士が行う場合は特に心理療法ということが多いようです。
CES-D
このスケールは米国国立精神保健研究所の疫学研究センターが一般集団におけるうつ病の疫学研究用に開発した20項目の自己評価尺度です。1週間の症状の頻度を4段階で尋ねています。各回答には0点から3点の得点が与えられ、総得点が0点~60点で示されます。開発者らはカットオフ値を16点以上とし、得点が高い場合は抑うつ状態を疑います。日本語版(島悟)があり、正常対照群、感情障害群、神経症群、精神病群を対象に臨床的有用性が検討されています。
CAGE
アルコール依存症を自己判断する質問紙の一つです。酒量を減らさなければいけないと感じたことがあるのか(Cut down)、周囲の人に自分の飲酒について批判されて困ったことがあるのか(Annoyed by criticism)、自分の飲酒についてよくないと感じたり、罪悪感をもったことがあるのか(Guilty feeling)、朝酒や迎え酒を飲んだことがあるのか(Eye-opener)、という4項目中2項目以上当てはまった場合可能性が高いとされています。
事業場外資源によるケア
メンタルヘルスケアを行う上で、事業場が抱える問題や求めるサービスに応じて、メンタルヘルスケアに関し専門的な知識を有する各種の事業場外資源を活用することをいいます。労働者が相談内容等を事業場に知られることを望まないような場合にも、事業場外資源を活用することが効果的です。事業場外資源とは事業場外の医療機関や地域保健機関、従業員支援プログラム(EAP)機関などのことを指します。
事業場内産業保健スタッフ等によるケア
事業場内産業保健スタッフ等が、労働者や管理監督者に対する支援を行い、具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案、メンタルヘルスに関する個人の健康情報の取り扱い、事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口となること等、心の健康づくり計画の実施にあたり中心的な役割を果たすことです。事業場内産業保健スタッフとは産業医や衛生管理者、保健師、心の健康づくり専門スタッフなどを指します。
自助グループ
同じような病気や体験を抱えて悩み苦しんでいる人たち自身やその家族同士が連帯することで、互いに支え合うグループのことです。断酒会やA.A(Alcoholic Anonymousアルコール依存症者匿名協会)などは、その典型例で、アルコール依存症を患う人々の職場復帰・社会復帰の大きな支えとなるものです。家族(遺族)の例としては、犯罪被害者家族の会や、自殺者の家族が支え合う自死遺族のつどいなどがあります。
自律訓練法
注意の集中、自己暗示の練習により、全身の緊張を解き、心身の状態を自分でうまく調整できるようにした段階的訓練法です。
具体的方法は、(1)目を閉じて、上を向いてゆっくりと体を横たえる。(2)気持ちが落ちついているという、決められた暗示の言葉を頭の中でくりかえす。(3)さりげない集中(受動的注意集中)を行い、段階的に練習していく。
 この方法は広く、心身症、神経症、などの治療の他に、ストレス解消や健康増進を目的に行われています。
自律神経失調症
一般内科で不定な症状を訴え、それに見合った所見の得られない病態に対して用いられている用語です。
 神経症型、心身症型、本態性自律神経失調症、それに抑うつ型にわけて治療します。身体症状として、全身倦怠感、めまい、頭痛、動悸など、それに種々の臓器の機能障害をきたし、心理的ストレスにより症状が変動もしくは増悪をきたしやすい特徴があります。
 治療は心身両面から行い、生活指導として健康習慣を身につけ、心身のリラックスを図ります。精神安定剤などの薬物療法などがあります。また自律訓練法も改善に役立ちます。
事例性
職場関係者や家族はメンタルヘルスの専門家ではないので、メンタルな問題を感じた際には事例性と疾病性との2つに分けて把握すると理解しやすいでしょう。事例性とは業務を推進するうえで困る具体的事実で、「就業規則を守らない」「仕事の能率が低下している」「同僚とのトラブルが多い」など関係者はその変化にすぐに気がつくことができます。一方、疾病性とは症状や病名などに関することで、「幻聴がある」「統合失調症が疑われる」など専門家が判断する分野です。職場での問題把握の第一歩は、病気の確定(疾病性)以上に、業務上何が問題になって困っているか(事例性)を優先する視点が求められます。
人事労務管理スタッフ
企業の経営資源には、労働力、生産手段及び資本の3つ要素から成り立っています。このうち労働力を対象とする管理活動を人事労務管理と言い、具体的には、雇用管理(採用、人材配置、人事考課)、雇用条件(労働期間や賃金)の管理、人材教育、福利厚生、組合対策などを行うことで、これらの業務を行う人々を人事労務管理スタッフと呼びます。
GHQ
精神健康調査票の1つです。心身の健康状態を“精神健康度”から評価する自己記入式の質問紙で神経症を早期に発見するための質問紙として国際的に広く使用され,その有効性が実証されています。60項目から構成される原版の他に,いくつかの短縮版が開発され,短縮版では,身体的症状や不安,不眠,社会的活動の障害,うつ傾向といった下位分類が用意され,多面的に“精神健康度”を検討できます。
睡眠覚醒リズム障害

ヒトの体内時計の周期は約25時間で、私たちは毎日これを24時間に調整して生活しています。睡眠・覚醒のリズムがうまく調整できなくなった状態を概日リズム障害といい、海外出張(時差ぼけとなる)や、交替勤務でも起こります。他に、就寝と起床がどんどん後ろにずれ込む睡眠相後退症候群があり、職場ではだらしない朝寝坊の遅刻魔と見なされがちです。このタイプの治療には、明るい光の照射や、ビタミンB12などが用いられます。

睡眠教育
睡眠は一定時間唯寝ていれば良いというものではなく、質の良い睡眠をとる必要があります。睡眠のメカニズムや快眠法などに対する正しい知識を持ち、生活習慣を工夫することが重要であり、そのための教育を睡眠教育といいます。発育途上で睡眠が重要な課題である学校や、仕事が忙しく睡眠が規則正しく取れない職場において実施されています。
睡眠障害

日本人は、最近50年間で急速に、睡眠時間減少、かつ宵っ張りに傾いています。睡眠の問題を訴える労働者も増加中です。睡眠障害にはさまざまな種類があり、単純な不眠のほか、日中に強い眠気を呈する「睡眠時無呼吸症候群」や「ナルコレプシー」、交替制勤務や海外出張などに伴う「睡眠覚醒リズム障害」、さらに、睡眠時随伴症として、寝ていると脚がむずむずして眠れなくなる、高齢者に多い「脚むずむず症候群」などがあります。

睡眠薬
寝つけない、途中何度も目が覚める、朝早くに目が覚める、深く眠れない、これらを不眠と呼びますが、睡眠薬には作用時間の長さなどによって4つのタイプがあり、症状に合わせて処方されます。何を飲むにしても、計画的に減らすにしても医師の指示を正しく守ること、話し合うことが必要ですが、副作用や止められなくなることへの必要以上の心配はいりません。寝る前の飲酒は良好な睡眠の妨げになるだけです。
ストレス
ストレスとは、もともと金属学で用いられていた言葉で、歪み(ゆがみ、ひずみ)のことです。ストレスは、ストレス刺激となるもの(ストレッサー)と、ストレス刺激を受けて生体に歪みが生じた状態(ストレス反応)とに分けて考えることができます。元来は後者のみをストレスと称していましたが、現代ではストレス刺激となるものを指してストレスという場合もありますし、ストレス反応とあわせて全体を称してストレスという場合もあります。
ストレス関連疾患
心理的・社会的ストレスから生じる病気や、ストレスによって経過が悪くなると考えられる病気をストレス関連疾患と呼びます。胃・十二指腸潰瘍、本態性高血圧症、過換気症候群、片頭痛、心臓神経症、神経症、自律神経失調症その他多くの疾患があります。
ストレスコントロール
生活上のストレッサーを認識し、ストレスの影響を知り、ストレスレベルをコントロールすることをストレスコントロールといいます。これによって、ストレッサーに適切に対処し、リラックスすることができるようになります。
ストレス脆弱性
その人の生まれ持った素質(先天的な要素)と学習・訓練などによる生まれてからの能力やストレスへの対応力(後天的な要素)などに関連してその人が持っている病気のなりやすさを意味します。
ストレス耐性
ストレスに対する抵抗力のことで、次のような要素があります。 ストレスに気づくか気づかないかという「感知能力」、ストレスを作りやすい性格かどうかという「回避能力」、ストレッサーをなくしたり、弱めたりする「根本の処理能力」、ストレス状態に陥ったとき、そのストレスの意味を良い方向に捉え直すことができる「転換能力」、ストレスそのものの「経験」、ストレスをどのくらいためていられるかという「容量」です。
ストレス反応
外からの刺激を受けて引き起こされる様々な反応で、抑うつ、不安、職務不満足感などの心理的反応、血圧上昇や心拍数増加などの生理的反応、過食や過飲、喫煙や薬物使用、事故などの行動面での反応があります。
ストレスマネジメント
ストレッサーを取り除いたり、ストレスを大きくしないための工夫や、ストレスによって生じている緊張状態やストレス反応の緩和など、ストレス生成のあらゆるプロセスに包括的に働きかけることを言います。
ストレス要因
ストレス要因とは、一般的にストレッサーとなる可能性のあるものを指します。それが実際に各個人のストレッサーとなるかは、各個人の性格や状況により異なってきます。
ストレス・コーピング
「コーピング」は「対処する」「切り抜ける」という意味を持ちます。
ストレスコーピングとは、特定のストレスフルな問題や状況に対するストレス対処方法のことで、問題解決型(状況を変化させる、問題を明確にする、別の解決方法を見つけてそれをあわせて評価する)と情動焦点型(問題に対する情動的な反応をコントロールしたり変化させたりする、逃避したり最小化したりする、情動的な苦痛の軽減を目指す)があります。
ストレッサー
ストレス反応を起こす外部環境からの刺激をストレッサーと呼びます。
 ストレッサーは、物理的ストレッサー(寒冷、騒音等)、化学的ストレッサー(酸素、薬物等)、生物的ストレッサー(炎症、感染等)、心理的社会的ストレッサー(人間関係の葛藤や社会的行動に伴う責任、将来に対する不安等)に分類されます。
成果主義
昇進・昇給の基準を「仕事の成果」におく人事評価制度のことをいいます。年齢や勤続年数に応じて報酬が増えていく年功賃金制に代わり、各労働者が達成した成果に応じて報酬を支払うことで年齢や階級によらない思い切った処遇ができるようにし、労働者の意欲を向上させることを目的としています。短期的な視野に立った仕事振りが目立つなどのデメリットにも注目されつつあります。
精神科専門医
精神科専門医とは、社団日本精神神経学会の精神科専門医制度によって精神科医療に関する学識および経験を有する医師として認定された者です。
精神分析

フロイトによって創設されたもので、神経症やパーソナリティー障害などのケースに対し、自由連想法を用いて行う系統的精神療法の1つです。精神分析医や分析家によって行われます。発祥の地であるヨーロッパよりアメリカで最も普及しています。自分で知ることができない無意識(深層心理)の世界と現実的、かつ理性的に働く「自我」や親から受け継いだ「超自我」の相互作用、特に無意識の世界の内容を受診者に意識化させるのがポイントとなります。

精神保健指定医
精神保健指定医は、厚生労働大臣が指定する特別の国家資格に準ずる法的資格制度(精神保健福祉法第18条)であり、医学の各分野に学会等が設けている専門医制度とは異なります。その職務は、措置入院や医療保護入院、隔離や身体拘束など行動制限の判定等があります。
精神療法
薬物を用いた薬物療法や身体に物理的に働きかける身体療法などに対し、精神療法は治療者が心理的な手段を用いて患者の心身に働きかける療法です。カウンセリング等の簡易精神療法、行動をよりよい方向に改善していく行動療法、患者の誤ったものの見方を改める認知療法、こころの奥底を分析していく精神分析療法、集団精神療法、自律訓練法、箱庭療法、遊戯療法、森田療法等があります。
セカンド・オピニオン
治療は主治医(かかりつけ医)と患者さんの間でなされます。しかし主治医の判断が絶対ではありませんし、患者さんにとって主治医の見立てなどに不安が生じやすい傾向があります。そこで患者さんが主治医以外の専門家に相談や受診し、その診断や治療、経過、予後などについて判断や意見を求めます。このようにして得られる主治医以外の専門家による一般的な意見をセカンドオピニオンといいます。アメリカで癌の診断や治療に関して使われた方法であり、精神科や心療内科でも使われています。
セクハラ

セクシュアルハラスメントの略で、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること」又は「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること」をいいます。男女雇用機会均等法により事業者にその対策が義務付けられています。

積極的傾聴法(アクティブ・リスニング)
心理相談の技法の一つです。メンタルヘルス対策のなかでも相談しやすい体制づくりとともに、重要視されています。来談者の話を受容し共感しながら聴き、本人の表現する言葉の本当の意味をとらえ、真の問題を理解しようとすることが重要となります。
摂食障害
強い肥満恐怖からダイエットに走る拒食症と、むちゃ食いで特徴づけられる過食症。摂食障害にはこの2種類が挙げられ、両方とも女性が圧倒的多数です。最近数十年間に激増しており、特に過食症に著しい増加がみられます。従来は若い女性の病気とされてきましたが、最近では、小学生から結婚後の年齢層まで広がり、職場でも増加しています。拒食症から過食症への移行もよく見られます。
セルフエスティーム
自尊感情ともいい、自分自身を価値あるものとして尊重する感覚をいいます。基本的な価値を実感することにより、自分自身を信頼し、様々な事柄に前向きに取り組む意欲や満足感につながります。このような自己の尊重は、自分自身だけでなく、周囲の人々のありのままを受け入れる上でも重要となり、環境への適応や精神的健康と密接に関連しています。
セルフエフィカシー
自己効力感ともいい、自分が周囲の期待や要請に対して、十分に対応できているという確信・自信をいいます。自らの意志で、主体的に行動しているという確信のもとに得られる感覚であり、その後の目標設定や自身の行為の結果の見通しに影響を与えます。自己効力感は、目標を達成するための努力を促し、結果的に成功の可能性を高め、自分自身の生き方を肯定的にとらえるためにも重要な要素として位置づけられます。
専属産業医
専属産業医とは本務としての仕事が産業医であり、一つの当該事業場のみに属している者をいいます。労働安全衛生規則により、常時1000人以上の労働者を使用する事業場および一定の有害業務(安衛則第13条第1項第2号に定める業務)に常時500人以上の労働者を従事させる事業場においては、専属産業医の選任が義務付けられています。
躁うつ病
双極性障害ともいわれます。躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患です。躁状態の程度により大まかに双極Ⅰ型(顕著な躁状態)、双極Ⅱ型(軽躁)に分類されます。いずれも気分が高揚し開放的で、頭の回転が良くなった感覚を覚え、思い立つと行動に移すのも早いなどの特徴があります。睡眠欲求が減少(寝てる時間が惜しい、寝なくても疲れない)するのも特徴的です。職場では、軽躁状態では仕事の生産性が高まることがありますが、顕著な躁状態では、自尊心も肥大し、周囲と激しい口論をするなどトラブルを起こし、かえって仕事の生産性が落ちます。この時期は乱費、性的逸脱行為も増えやすい。躁状態のあとのうつ状態では自殺のリスクが高いため、積極的に専門家の治療を受けるべきです。
双極性障害
この障害の基本障害は気分あるいは感情の変化であり、抑うつや高揚気分へと繰返し変化します。またほとんどに再発傾向があり、発症の多くはストレスとなる出来事や状況と関連します。躁的状態は平均4か月間、うつ的状態は平均6か月間とされています。
早朝覚醒

睡眠障害の一つの形で、朝早く目覚め、再度眠ることができない状態をいいます。老化現象の結果として起こる場合もありますが、ストレス過多でも出現します。特にうつ病では比較的早期からみられる症状でもあります。朝の気分が憂鬱であれば、その可能性があるので注意が必要です。

組織公平性
1987年にGreenbergによって提唱された概念で、「自分の属している組織がどれほど公平であると感じるか」の尺度です。手続き公平性、分配公平性、人間関係公平性などを含み、自分の評価(給料、昇進など)がどの程度公平に行われたと感じたか、自分を一人の人間として尊重してもらっているとどの程度感じたか等で評価します。
組織心理
社会的環境の中で、「人」と「環境」は相互に作用しあって行動を引き起こしています。組織心理では、個人が組織の中でどのように考え、どのように行動し、どのような態度を形成するかに焦点を当てます。
措置入院
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第29条に規定されている入院形態で、自傷他害(自殺や他者に危害を加えるなど)の恐れのある事例に対し、2名以上の精神保健指定医の診察結果の一致により成立します。一番強制力のあるもので、警察官通報によるもの(同法第24条)が多いようです。
 なお、緊急避難的な制度として、72時間を限度に精神保健指定医1名による緊急措置入院があります。
ソーシャルサポート
個人を取り巻く有形、無形の社会的支援のことをいいます。特に、家族、友人、上司、同僚、部下など人的支援を意味することが多く、ソーシャルサポートが多くあることがストレス軽減につながると言われています。
ソーシャル・スキル・トレーニング
社会適応能力を改善することを目的に行う技法訓練です。精神障害や人格障害の再発を防ぎ、社会適応や職場への復帰を円滑に進めるために、必要とする技術を訓練によって段階的に得ていきます。

サ行

裁量労働
業務の性質上、管理監督者の指揮管理が及ばず実質労働時間の把握が困難な業務や業務の進め方等を労働者の裁量にゆだねなければならない業務で、一定の時間を労働したとみなす労働時間算定の特例が認められているものです(労働基準法第38条の3、第38条の4)。このため、短時間労働でも、長時間労働でも一定の賃金しか支払われません。研究開発などの「専門業務型裁量労働制」や創造的・非定型的に従事するホワイトカラーの「企画業務型裁量労働制」などがあります。裁量労働制の導入に当たっては、所轄の労働基準監督署に届出が必要となります。
作業関連疾患
職業病が特定の作業によって出現する特有な病気であるのに対して、一般の人がだれでもかかる日常的な病気のうち、特に、職場の環境、労働時間、作業による負荷などの影響によって、進行や発症の危険性が高くなる病気を作業関連疾患とよんでいます。作業関連疾患は、労働に伴うストレスや過労が直接的あるいは間接的に原因になるため、発症時および発症前の作業の状況によっては、労災補償の対象として認定されることもあります。
36協定
労働基準法第36条に規定されている時間外労働・休日労働に関する協定を言います。使用者が、過半数労働組合もしくは過半数労働者代表と締結し、労働基準監督署へ届け出た場合には、その協定の範囲内で法定労働時間を延長して労働させたり、休日(法定休日)に労働させることができます。ただし、労働時間の延長については、一定の有害業務については2時間までの制限があるとともに、厚生労働省よりその限度(上限)に係る基準(例えば、1か月につき45時間)が定められています。
産業医意見書
過重労働による健康障害やメンタルヘルス不調の予防と改善のために、事業者は産業医による面接指導を実施することが求められています。産業医はその面接結果をもとにして、産業医意見書によって事業者に意見を述べることになります。産業医意見書の内容は、健康障害の予防と改善に必要と考えられる措置に関することで、具体的には労働時間の短縮、就業場所の変更、出張制限など、就労上の配慮に関する産業医としての判断です。
産業保健推進センター

(独)労働者健康福祉機構が全国47都道府県に設置している機関で、産業医・産業看護職・衛生管理者等を対象とした研修や各種相談対応及び図書・ビデオ/DVD等器材・ホームページなどを媒体とした情報提供などによる支援活動や、事業者等に対する職場の健康確保に関するセミナー開催などによる啓発活動を主な業務としています。利用はすべて無料で、相談者のプライバシーは確保されます。

サービス残業
賃金不払残業のことで、就業時間後の残業や休日出勤等の所定外労働時間に対し、所定の賃金または割増賃金の一部または全部を支払うことなく労働させることです。労働基準法違反となります。特に、労働時間の自己申告を行っている企業では、残業規制等を考慮し過少申告をする従業員もおり、管理職は、日常的に部下の労働時間をしっかりと把握する必要があります。厚生労働省では、このようなサービス残業をなくすため、「賃金不払残業総合対策要綱について」(H15.5.23基発第0523003号)を示しています。
仕事の拘束性
見かけ上、実質的な作業をしていない待ち時間であっても、拘束性が高ければ、労働者の心理的な負荷(ストレス)は大きい状態が続くと判断されることがあります。また、仕事の自由度(裁量権)が少ないと、仕事上の心理的負荷は高まるといわれています。
脂質異常症(高脂血症)
血液中の脂質が過剰もしくは不足している病気です。血液中の脂肪分にはいくつかの種類があり、高LDL-コレステロール血症(140mg/dL以上)、低HDL-コレステロール血症(40mg/dL未満)、高トリグリセライド血症(150mg/dL以上)があります。以前は、高脂血症と呼ばれていましたが、善玉のHDL-コレスレロールは低い方が心血管疾患のリスクファクターとなるため、高脂血症という病名ではそぐわないことから脂質異常症と呼ばれるようになりました。遺伝的素因による家族性脂質異常症、内分泌疾患や腎臓病などによる二次性脂質異常症もありますが、食生活の偏りや運動不足などの生活習慣から起こる脂質異常症が問題となっています。脂質異常症でも普通症状はありませんが、動脈硬化の進行により起こる脳・心臓疾患の原因となります。
指導区分
一定時間以上の長時間労働者に対しては、医師による面接指導を実施することが、労働安全衛生法によって事業者に義務付けられています。これを担当する医師は、面接の結果をまとめ、3つの区分(診断区分、就業区分、指導区分)について判定を行います。指導区分の判定は、例えば「指導不要」「要保健指導」「要医療指導」のいずれかを選ぶ形がとられ、具体的な内容についても記されることになります。
死の四重奏
生活習慣病の中で「内臓脂肪型肥満」「糖尿病」「高脂血症」「高血圧」 が同時に発症している状態をいいます。 この4つの生活習慣病は、お互いに合併しやすく心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる病気を引き起こす可能性が大きくなります。アメリカの医師、カプランにより1989年に提唱されました。その後、インスリン抵抗性症候群やマルチプルリスクファクター症候群、内臓脂肪症候群などと呼ばれてきた病態とともに統合整理され、今日のメタボリック症候群の概念に連なっています。
就業規則
それぞれの事業場における労働条件を定めた規則で、10名以上の労働者を雇用する事業場では、就業規則を作成し、労働者代表の意見を聴取したうえで、労働基準監督署に届け出る必要があります。規則には、始業、就業の時刻や休憩時間、休日、休暇、賃金、賞与、退職(解雇事由を含む)などについて書かれています。
就業区分
定期健康診断などの結果を基に、治療の要否など示す医学的な区分とは別に、就業の可否や、就業の制限などを示す区分を就業区分といいます。例えば、通常通り勤務を行ってよい「通常勤務」、労働時間の短縮や時間外労働の制限、深夜業の回数の変更、勤務場所の変更などを行う「就業制限」、療養のために勤務を休む必要のある「就業禁止」などの区分があります。
出向
他の会社や団体に配置転換を行い、将来元の会社に復帰する在籍出向とそのまま出向先に転籍する転籍出向とがあります。出向の目的は、①出向先の新技術などの習得、②出向先に新技術や経営管理などを指導する、③人事交流、④人員削減などです。
職業性ストレス
職業性ストレスとは、職場におけるストレスを指します。人間関係、仕事のコントロール度、仕事量・時間外労働、仕事の将来性、仕事への適性、交代制勤務・出張等の勤務体制、職場環境(NIOSH職業性ストレスモデル参照)などにより、労働者に生じてくるものです。個人的な要因や仕事以外の要因等にも影響を受けるため、人によってストレスの受け取り方はさまざまなものになります。
所定労働時間
労働契約や就業規則などで定められた労働時間をいい、始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間で求められます。所定労働時間は、法定労働時間(1日8時間、1週40時間))の範囲内で定められます。
心筋梗塞
心臓の筋肉は、心臓の表面を流れる3本の冠状動脈という血管から酸素を送られて動いています。
動脈硬化やストレスが原因で、この動脈がつまると酸素が送られなくなり、筋肉が窒息死した状態を心筋梗塞と呼びます。大抵は、突然の激しい胸痛を生じます。窒息死した筋肉の量が多いと心不全となり、ひどい場合は急性心不全で血圧が急激に低下しショック状態で死に至ります。
不整脈も出やすくなり、AED(自動体外式除細動器)や心臓マッサージが必要になる場合があります。
激しい胸痛が出た場合には、心筋梗塞を疑い速やかに救急救命センターを受診することが必要です。
診断区分
健康診断の結果の判定を指します。通常は、「異常なし」、「要観察」、「要再検」もしくは「要精密検査」、「要医療」と分けられます。
「要観察」は、治療の必要性がそれほど高くなく、生活習慣の改善等で経過を観察するものです。「要再検」もしくは「要精密検査」は、診断区分を最終確定するために、異常値に対して再検査を行うもの、もしくは精密検査を行うものです。「要医療」は、治療の必要性を指すもので、生活習慣の改善とともに、一般的には薬物療法が必要なものを指します。
事業者は、診断区分に基づき、産業医の意見を聞きながら、必要な場合には就業上の措置を行います。
心房細動
心臓では電気信号が一箇所から生まれ、信号が定められた電気系統を順次伝わって、その刺激の下に心房と心室が連携して規則正しい間隔で動きます。動脈硬化やストレスが原因で、この電気系統が乱れたものを不整脈と呼びます。
心房細動は、よく見られる不整脈の一つで、心房のあちこちから電気信号が生まれ、心臓はまったく不規則な間隔の動きとなってしまいます。不規則な動きで心房と心室の連携が乱れ、心臓の中では血液がスムーズに流れなくなり、心臓の中に血栓(血液のかたまり)ができやすくなります。心房細動の最大のリスクは、この血栓が心臓から飛び出し、脳の血管につまり脳梗塞を起こすことです。
時間外労働
法的には労働基準法で定められた労働時間(法定労働時間)を超えて行う労働をさし、一般には就業規則などで定めた所定労働時間を超えて行う労働のことをいいます。法定外の休日に働くことも含まれます。時間外労働が認められるのは、労働基準法第36条に基づく協定の届出が行われている場合などに限られています。
事後措置
健康診断の結果異常の所見があると認められた労働者あるいは長時間労働者への面接指導の結果必要があると認められた労働者に、医師や歯科医師の意見を十分聞きながら、事業主が行う対応策のことを指します。必要な場合には、労働者の生活環境や働く環境を十分考慮しながら、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換などを行うものです。作業環境の測定結果により施設や設備の適切な整備や設置を行い、衛生委員会や安全衛生委員会への報告を通じて、作業環境や作業の改善策を講じていきます。
自発的健康診断
6か月平均で4回/月以上深夜業に従事する人は自発的に受診してその結果を事業者に提出することができる健康診断です。労働安全衛生法第66条の2に定められているもので、過労死対策の一環としての健康管理の充実を図るため、平成11年に制度化されたものです。
なお、深夜業従事者健康診断助成金(自発的健康診断受診支援助成金)の制度があります。希望者は、都道府県産業保健推進センターに申請します。
睡眠時間
睡眠は、心身の健康を維持するために非常に重要であり、逆に心身の健康(特に精神面の健康)が損なわれると、睡眠に影響が出やすくなります。精神疾患の労災認定において、長時間労働の有無が重要な判断材料になるのは、それによって必要な睡眠が確保されなくなるという理由によるところが大きいと言えます。適切な睡眠時間は、個人差があり、日中に強い眠気を催さないことが目安のひとつとされています。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸していない(あるいは呼吸していることがわかりにくい)状態が頻回にみられもので、日中に強い眠気が出現し、仕事や学業に支障が出ます。交通事故の原因のひとつとして社会的な注目を集めました。不整脈、心臓病、脳血管障害などの病気の発症にも影響すると指摘されています。耳鼻咽喉科を中心として、診断と治療を専門的に手がけている医療機関があります。
生活習慣病
毎日の生活習慣、とくに過食、運動不足や喫煙によって引き起こされる病気です。
生活習慣病は、健康長寿の最大の阻害要因で、国民の3分の2近くが生活習慣病で亡くなっています。
平成12年からは、国を挙げての生活習慣病対策「健康日本21」としての取り組みが始まりました。平成20年からは、特定健診・保健指導として内臓脂肪型肥満に焦点を当てた予防啓発活動が行われ、「適度な運動」、「バランスのとれた食生活」、「禁煙の実践」を軸に、動脈硬化やがんの予防に、さらに積極的な取り組みが開始されました。
精神障害

国際疾病分類であるICD-10の第Ⅴ章「精神および行動の障害」に分類されているものを指します。代表的なものにうつ病等の気分(感情)障害、統合失調症、ストレス関連障害やアルコール等の薬物依存、睡眠障害も含まれます。

サ行

最低賃金
最低賃金法に基づく最低賃金は、都道府県別に適用される地域別最低賃金と特定の産業について適用される特定(産業別)最低賃金とがあります。地域別最低賃金は、産業や職種に関わりなく都道府県内で働くすべての労働者とその使用者(派遣労働者への適用は派遣先の使用者)に適用されるものとして、各都道府県に一つずつ全部で47の最低賃金が定められています。特定最低賃金は、地域別最低賃金よりも水準の高い最低賃金を定めることが必要と認められるものについて設定(特定地域内の特定産業の基幹的労働者とその使用者に適用)されており、全国で251の最低賃金が定められています。地域別最低賃金は、雇用形態の別なく、すべての労働者に適用されますが、雇用機会を狭める可能性のある労働者(例、試の使用期間中の者等)について減額の特例(許可が必要)が認められています。最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金に限られ、臨時給、賞与、割増賃金、精皆勤・通勤・家族手当は除外されます。
最低賃金法
賃金の低廉な労働者について賃金の最低額を保障することにより、労働者生活の安定に資するよう、最低賃金の額、最低賃金の効力、最低賃金の種類、決定手続き、違反した場合の罰則等について規定する法律です(昭和34年4月15日法律第137号)最低賃金額は時間によって定めること、効力については、最低賃金額に達しない賃金を定めるものは無効(最低賃金額の定めをしたものとみなされる。)であること、最低賃金の種類について全国各地域において適用される地域別最低賃金、一定の事業若しくは職業に適用される特定最低賃金について規定していること、最低賃金審議会(中央及び地方)の役割を定めていること、最低賃金を支払わなかった場合には50万円以下の罰金となること等が規定されています。
産前産後の休業
母性保護のため、(1)6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合、(2)産後8週間を経過しない女性は、就業させてはなりません。(1)は、請求に基づくもので任意休業です。(2)は、強制休業ですが、産後6週間を経過した女性が就業を請求し、医師が差し支えないと認めた業務については就業が可能です。また、妊娠中の女性が請求した場合は、他の軽易な業務に転換させなければなりません。
使用者

法律によって、少しずつ定義が異なりますが、一般的には労働者から労務の提供を受け、これに対して賃金を支払う者を言います。会社や個人事業主がこれに当たりますが、労働条件の最低限を定めた労働基準法や労働安全衛生法の義務を負う使用者には部長や支店長、支配人、工場長、場合によっては課長等の事業主のために行為をするすべての者が含まれます。派遣中の労働者の場合には、原則として、労働契約や賃金などについては派遣元が使用者としての責任を負いますが労働時間等の規制については派遣先が負うことになります。

時間外・休日・深夜労働の割増賃金
労働基準法では、時間外労働・休日労働・深夜労働を行わせた場合には、通常の賃金に、時間外労働であれば25%以上、休日労働であれば35%以上、深夜労働(午後10時から翌朝午前5時まで)であれば25%以上の率で算定した割増賃金を支払うこととされています。なお、深夜労働と時間外労働が重なった場合は両方足した率、つまり50%以上の率となります。
(算定例:時間外労働の場合で、割増分を含む賃金額)
通常賃金×残業時間数×1.25 〔深夜労働と重なった場合は1.5となります。〕
時間外・休日労働
労働基準法上、時間外労働及び休日労働は特別の意味を持ち、割増賃金の支払いの対象などにされています。時間外労働となるものは、1日(8時間)又は1週(40時間)の法定労働時間を超える労働のことをいい、事業場独自に定めた所定労働時間を超えた労働でも法定内であれば法律上の時間外労働とはなりません。また、同法により法定休日は1週1日または4週4日と定められていますが、週休2日制のように1週間に2日の休日がある場合は、どちらが法定の休日であるか予め定めておく必要があります。
事業場外労働のみなし労働時間制
外勤営業社員のように労働者が、労働時間の全部または一部を事業場外で従事した場合は、労働時間の算定が難しくなるので、所定労働時間だけ労働したものとみなす制度です。ただし、その業務を遂行するためには、通常、所定労働時間を超えることとなる場合には、労使協定で定める時間労働したものとみなすものです。実施に当たっては、労使協定でみなし労働時間数を定め、その時間が法定労働時間(8時間)をこえる場合は36協定の締結・届出が必要です。
自動車運転者労働時間等改善基準
トラック、バス、タクシー等の自動車運転者については、長時間労働の実態が見られることから、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を定め、自動車運転者の労働時間等の労働条件の向上を図ることとしています。具体的には、例えばトラック運転者については、拘束時間(労働時間、休憩期間(仮眠時間を含む。)その他使用者に拘束されている時間の合計時間)は1カ月293時間、1日原則13時間以内でなければならないことなどをはじめ、休息期間(勤務と次の勤務との間にあって、使用者の拘束を受けない時間)、運転時間、連続運転時間等についての基準が定められています。
女性労働基準規則
女性に関す危険有害業務の就業制限については、「母性保護」の観点から、労働基準法第64条の3で規定されています。この危険有害業務に対する就業制限は、(1)妊娠中の女性(妊婦)、(2)産後1年を経過しない女性(産婦)及び(3)それら以外の女性に分けて規制しています。以上の具体的な規制は、女性労働基準規則において定められています。女性労働基準規則では、(1)については、重量物を取り扱う業務など24の危険有害業が定められています。(2)については、土砂が崩壊する恐れのある場所における業務、5メートル以上で危害を受ける恐れのある場所における業務を除いた業務について(1)と同様な業務が定められています。(3)については、重量物を取り扱う業務及び鉛・水銀など有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務が就業制限業務とされています。
制裁規定の制限
労働基準法では、制裁規定の制限については減給の制裁につき定めています。減給の制裁は、本来ならその労働者が受けるべき賃金のなかから制裁として一定額を引くことをいいます。したがって、遅刻、早退又は欠勤に対して労働の提供のなかった時間に相当する分の賃金を差し引くことは、制裁としての減給には該当しません。減給の制裁規定を定める場合、一回の事案に対しては、減給の総額が平均賃金の一日分の半額を超えることはできません。したがって、一回の事案について平均賃金の一日分の半額ずつ何日にもわたって減給することはできません。また、一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えることはできません。
生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置
生理日において、下腹痛、腰痛、頭痛等の苦痛により就業が著しく困難であるとして、休業を請求したときは、使用者はその者を就業させることはできません。なお、就業が著しく困難であるかどうかは、医師の診断書等厳格な証明は必要でなく、また、休暇日数を限定することはできません。賃金は、就業規則等の定めによって、支給しても支給しなくても差し支えありません。
専門業務型裁量労働制
新技術の研究開発や情報処理システムの分析・設計などの特定の業務で、その性質上、業務の進め方、時間配分などを当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねることとし、その業務に従事する労働者の労働時間の算定は、労使協定で定める時間労働したものとみなす制度です。実施に当たっては、労使協定により適用する労働者の範囲、みなし労働時間数を定め、その時間が法定労働時間を超える場合には36協定の締結・届出が必要です。

過労死等予防対策関係

医師による勧告・指導
過重労働対策においては、医師は、長時間労働をしている作業者と面接して得たデータから、脳・心臓疾患(脳出血などの脳血管疾患及び心筋梗塞などの虚血性心疾患等)やメンタルヘルス不調の判定と評価を行います。「診断区分」、「就業区分」、「指導区分」の3判定区分を決め、「生活指導」、「就業指導」、「医療機関受診」等の指導の必要性を判断します。事業者に対しては、作業者の労働時間の短縮、職場状況や作業の変更などの具体的意見を勧告します。事業者は医師の意見に沿った改善に努めなければなりません。
医師による面接指導
長時間労働によって脳・心臓疾患(脳出血などの脳血管疾患及び心筋梗塞などの虚血性心疾患等)やメンタルヘルス不調等、“心とからだ”への健康影響が懸念されていますので、事業者は、労働安全衛生法に定めるところによって長時間労働をしている作業者に対して、医師による面接指導を行います。医師は、面接指導を受けた作業者本人に対して、健康上・生活上の指導や医療機関への受診指導を行うとともに、事業者に対して面接指導後の措置に関する意見を述べます。
衛生委員会
業種を問わず常時50人以上の労働者を使用する事業場では、事業者は衛生委員会を設置し、毎月一1回以上開催をしなければなりません(安衛法第18条)。委員は、1)事業を統括管理する者(総括安全衛生管理者)、2)衛生管理者、3)産業医、4)労働者で衛生に関し経験を有する者、で構成され、委員の半数は労働組合又は労働者の過半数代表者の推薦であることが必要です。議題は、経営に関する以外のことで職場の安全衛生が中心。議事の労働者への周知及び3年間の保存の義務があります。
衛生管理者
業種を問わず常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者を選任しなければなりません(労働基準監督署への選任報告が必要)。有害業務のある製造業等では「第一種衛生管理者免許」が必要ですが、有害業務のない業種では「第二種衛生管理者免許」でかまいません。衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備や作業方法、衛生状態に問題があるときは直ちに必要な措置を講じなければなりません。
衛生推進者
小規模事業場(常時使用する労働者の数が10人以上50人未満である事業場)では、安全管理者又は衛生管理者の選任が義務付けられていないことから、職場の安全衛生活動を行わせるために、安全衛生推進者(安全管理者の選任を要する業種以外の業種の事業場にあっては衛生推進者)を選任し、その者に安全衛生業務を担当させなければなりません。衛生推進者にあっては、衛生に係る業務に限っての担当となります。
快適な職場環境の形成
労働安全衛生法第71条の2に、事業者は快適な職場環境を形成するように努めなければならないとされており、その具体的内容としては「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」が公表されています。この指針は、仕事による疲労やストレスを感じることの少ない、働きやすい職場づくりを目的としており、その目標や講ずべき措置、考慮すべき事項等が示されています。
過重業務
医学経験則に照らして、脳血管疾患及び虚血性心疾患等の発症の基礎となる血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ得ることが客観的に認められる負荷を「過重負荷」というものとされており(過労死等の認定基準)、このような負荷のある仕事を「過重業務」といいます。なお、ここでいう自然経過とは、加齢、一般生活等において生体が受ける通常の要因による血管病変等の形成、進行及び増悪の経過をいいます。
過重労働対策
長時間にわたる過重な労働は、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因であり、医学的にも、脳・心臓疾患の発症との関連性が強いという知見もあることから、「過重労働による健康障害防止のための総合対策について(平成18年3月17日付け基発第0317008号)」が示され、事業者は、時間外・休日労働時間の削減に努めるとともに、当該労働者への面接指導の実施、衛生委員会における調査審議、メンタルヘルス不調者への対応等を講ずるよう求められています。
管理区分(診断区分、就業区分、指導区分)
健康診断や面接指導において、心身の現在の負担状況を評価して健康管理を実施する上での区分をいい、診断区分・就業区分・指導区分の3区分の決定を行います。診断区分では医学的判断に基づいて、異常なし・要観察・要医療に分けます。就業区分では労働者の体調に見合う就業条件の判断を行い、通常勤務・就業制限・要休業に分けます。指導区分では指導不要・要保健指導・要医療指導の3段階に分けて必要な指導を行います。
基礎疾患
脳・心臓疾患(脳出血などの脳血管疾患及び心筋梗塞などの虚血性心疾患等)の背景となる動脈硬化を引き起こす病気のことで、高血圧や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、肥満などを指します。高血圧、脂質異常症、糖尿病があるとそれぞれ単独でも動脈硬化が進みますが、併発する場合には動脈硬化が一層進みやすく、脳・心臓疾患のリスクが相乗的に高まります。これらの疾患の重なりは内臓脂肪蓄積で起りやすく、これがメタボリックシンドロームの概念につながっています。
狭心症
冠動脈の動脈硬化を背景に、心筋への酸素の需給バランスがくずれて酸素不足となり発症する病気です。前胸部の圧迫感や絞めつけられる感じが主な症状です。運動や力仕事時、強いストレス時などに起る労作性狭心症の他、睡眠中などに起る安静時狭心症などがあります。
過去3週間に発作の頻度が増してきている場合は不安定狭心症と呼ばれ、心筋梗塞に移行しやすい危険な状態です。早急に精密検査を受け,適切な治療を受けましょう。
虚血性心疾患
心臓への血液の流れが悪くなり、心臓の筋肉に必要な酸素や栄養の供給が不十分となり起こる心臓病です。虚血が高度で心筋の壊死を伴う心筋梗塞と虚血が一過性で心筋壊死を伴わない狭心症とに分類されますが、虚血の起き方や程度により様々の病態があります。虚血性心疾患の多くは冠動脈の動脈硬化によって起きますが、精神的ストレスによる冠血管の収縮や血栓の発生による冠血流の減少が関わる場合があることが知られています。
業務上災害
業務に起因する負傷・疾病・障害・死亡を意味します。業務上災害と認められるためには、「業務起因性」が認められなければなりません。業務上災害は、労働基準法上の災害補償ないし労災保険法上の保険給付の対象となります。
業務上疾病のリスト
労災補償の対象となる疾病を業務上疾病といい、労働基準法施行規則別表第1の2とこれに基づく2つの告示によりリストが示されています。平成22年5月7日の同規則改正により、過労死等や精神障害がリストに具体的に明示されました。なお、日本も批准しているILO第121号条約「業務災害の場合における給付に関する条約」により法令でこのようなリストを定めること、又はこれに替わる措置が求められています。
業務による精神的負担
厚生労働省から発表された「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」(平成21年4月6日一部改正)において、業務上外の判断を迅速・適正に行うために業務による精神負担(心理的負荷の強度)が職場における具体的な出来事毎に基準化されました。具体的な出来事とは、事故や災害の体験、仕事の失敗・過重な責任の発生等、仕事の量・質の変化等が挙げらています。
健康診断
事業場で行われる健康診断はさまざまな種類がありますが、通常は一般定期健康診断を指します。事業者が常時使用する全ての労働者に対して1年以内ごとに1回行わなければならないもので、健診項目の多くは循環器系の基礎疾患の有無を評価するものです。
高血圧
血管内の血液の圧力である血圧が、正常範囲を越えて高く保たれている状態です。一般的には収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上が高血圧とされますが、日本高血圧学会より詳細な診断・治療基準のガイドラインが発表されています。高血圧は脳血管障害や虚血性心疾患の大きなリスクファクターです。また、高血圧の中で90%以上を占める本態性高血圧の原因は単一ではなく、遺伝的素因や食事・ストレスなどの生活習慣・環境が関わっていると考えられています。治療としては、種々の降圧剤による薬物療法とともに食事療法(体重のコントロール、塩分制限)、アルコール量の制限、運動療法、ストレスの解消など非薬物療法も重要です。
拘束時間
労働基準法において「労働時間」とは、休憩時間を除いた、「実労働時間」をいいます(同法第32条)。この「実労働時間」と「休憩時間」が、使用者の拘束のもとに置かれている時間となり、これを「拘束時間」といいます。同法において「拘束時間」は、特に定めはありませんが、過重労働の判断要素として考慮され得ます。中でも自動車運送業においては、長時間労働となりやすいことから、特に規制が告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」によってなされています。
構造化面接
質問の内容、順序、使用する言葉(表現)まで定められた面接法を言います。均質化された一定の面接によって、診断や評価のばらつきを抑えることを狙いとしており、精神疾患に関する大規模な(疫学)調査などでよく用いられてきました。職場の健康管理においても、長時間労働者に対する医師面接などで、活用されることが推奨されています。
交代制勤務
連続した生産やサービスの提供などの事業活動を、複数の勤務時間帯にわけて労働者が交代しながら仕事を行う勤務形態をいいます。生産を止められない石油化学プラント、連続してサービス提供の必要な医療機関、コンビニエンスストアー、営業時間が所定労働時間より長い店舗など、いろいろな分野で行われています。
裁量労働
業務の性質上、管理監督者の指揮管理が及ばず実質労働時間の把握が困難な業務や業務の進め方等を労働者の裁量にゆだねなければならない業務で、一定の時間を労働したとみなす労働時間算定の特例が認められているものです(労働基準法第38条の3、第38条の4)。このため、短時間労働でも、長時間労働でも一定の賃金しか支払われません。研究開発などの「専門業務型裁量労働制」や創造的・非定型的に従事するホワイトカラーの「企画業務型裁量労働制」などがあります。裁量労働制の導入に当たっては、所轄の労働基準監督署に届出が必要となります。
作業関連疾患
職業病が特定の作業によって出現する特有な病気であるのに対して、一般の人がだれでもかかる日常的な病気のうち、特に、職場の環境、労働時間、作業による負荷などの影響によって、進行や発症の危険性が高くなる病気を作業関連疾患とよんでいます。作業関連疾患は、労働に伴うストレスや過労が直接的あるいは間接的に原因になるため、発症時および発症前の作業の状況によっては、労災補償の対象として認定されることもあります。
36協定
労働基準法第36条に規定されている時間外労働・休日労働に関する協定を言います。使用者が、過半数労働組合もしくは過半数労働者代表と締結し、労働基準監督署へ届け出た場合には、その協定の範囲内で法定労働時間を延長して労働させたり、休日(法定休日)に労働させることができます。ただし、労働時間の延長については、一定の有害業務については2時間までの制限があるとともに、厚生労働省よりその限度(上限)に係る基準(例えば、1か月につき45時間)が定められています。
産業医意見書
過重労働による健康障害やメンタルヘルス不調の予防と改善のために、事業者は産業医による面接指導を実施することが求められています。産業医はその面接結果をもとにして、産業医意見書によって事業者に意見を述べることになります。産業医意見書の内容は、健康障害の予防と改善に必要と考えられる措置に関することで、具体的には労働時間の短縮、就業場所の変更、出張制限など、就労上の配慮に関する産業医としての判断です。
産業保健推進センター

(独)労働者健康福祉機構が全国47都道府県に設置している機関で、産業医・産業看護職・衛生管理者等を対象とした研修や各種相談対応及び図書・ビデオ/DVD等器材・ホームページなどを媒体とした情報提供などによる支援活動や、事業者等に対する職場の健康確保に関するセミナー開催などによる啓発活動を主な業務としています。利用はすべて無料で、相談者のプライバシーは確保されます。

サービス残業
賃金不払残業のことで、就業時間後の残業や休日出勤等の所定外労働時間に対し、所定の賃金または割増賃金の一部または全部を支払うことなく労働させることです。労働基準法違反となります。特に、労働時間の自己申告を行っている企業では、残業規制等を考慮し過少申告をする従業員もおり、管理職は、日常的に部下の労働時間をしっかりと把握する必要があります。厚生労働省では、このようなサービス残業をなくすため、「賃金不払残業総合対策要綱について」(H15.5.23基発第0523003号)を示しています。
仕事の拘束性
見かけ上、実質的な作業をしていない待ち時間であっても、拘束性が高ければ、労働者の心理的な負荷(ストレス)は大きい状態が続くと判断されることがあります。また、仕事の自由度(裁量権)が少ないと、仕事上の心理的負荷は高まるといわれています。
脂質異常症(高脂血症)
血液中の脂質が過剰もしくは不足している病気です。血液中の脂肪分にはいくつかの種類があり、高LDL-コレステロール血症(140mg/dL以上)、低HDL-コレステロール血症(40mg/dL未満)、高トリグリセライド血症(150mg/dL以上)があります。以前は、高脂血症と呼ばれていましたが、善玉のHDL-コレスレロールは低い方が心血管疾患のリスクファクターとなるため、高脂血症という病名ではそぐわないことから脂質異常症と呼ばれるようになりました。遺伝的素因による家族性脂質異常症、内分泌疾患や腎臓病などによる二次性脂質異常症もありますが、食生活の偏りや運動不足などの生活習慣から起こる脂質異常症が問題となっています。脂質異常症でも普通症状はありませんが、動脈硬化の進行により起こる脳・心臓疾患の原因となります。
指導区分
一定時間以上の長時間労働者に対しては、医師による面接指導を実施することが、労働安全衛生法によって事業者に義務付けられています。これを担当する医師は、面接の結果をまとめ、3つの区分(診断区分、就業区分、指導区分)について判定を行います。指導区分の判定は、例えば「指導不要」「要保健指導」「要医療指導」のいずれかを選ぶ形がとられ、具体的な内容についても記されることになります。
死の四重奏
生活習慣病の中で「内臓脂肪型肥満」「糖尿病」「高脂血症」「高血圧」 が同時に発症している状態をいいます。 この4つの生活習慣病は、お互いに合併しやすく心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる病気を引き起こす可能性が大きくなります。アメリカの医師、カプランにより1989年に提唱されました。その後、インスリン抵抗性症候群やマルチプルリスクファクター症候群、内臓脂肪症候群などと呼ばれてきた病態とともに統合整理され、今日のメタボリック症候群の概念に連なっています。
就業規則
それぞれの事業場における労働条件を定めた規則で、10名以上の労働者を雇用する事業場では、就業規則を作成し、労働者代表の意見を聴取したうえで、労働基準監督署に届け出る必要があります。規則には、始業、就業の時刻や休憩時間、休日、休暇、賃金、賞与、退職(解雇事由を含む)などについて書かれています。
就業区分
定期健康診断などの結果を基に、治療の要否など示す医学的な区分とは別に、就業の可否や、就業の制限などを示す区分を就業区分といいます。例えば、通常通り勤務を行ってよい「通常勤務」、労働時間の短縮や時間外労働の制限、深夜業の回数の変更、勤務場所の変更などを行う「就業制限」、療養のために勤務を休む必要のある「就業禁止」などの区分があります。
出向
他の会社や団体に配置転換を行い、将来元の会社に復帰する在籍出向とそのまま出向先に転籍する転籍出向とがあります。出向の目的は、①出向先の新技術などの習得、②出向先に新技術や経営管理などを指導する、③人事交流、④人員削減などです。
職業性ストレス
職業性ストレスとは、職場におけるストレスを指します。人間関係、仕事のコントロール度、仕事量・時間外労働、仕事の将来性、仕事への適性、交代制勤務・出張等の勤務体制、職場環境(NIOSH職業性ストレスモデル参照)などにより、労働者に生じてくるものです。個人的な要因や仕事以外の要因等にも影響を受けるため、人によってストレスの受け取り方はさまざまなものになります。
所定労働時間
労働契約や就業規則などで定められた労働時間をいい、始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間で求められます。所定労働時間は、法定労働時間(1日8時間、1週40時間))の範囲内で定められます。
心筋梗塞
心臓の筋肉は、心臓の表面を流れる3本の冠状動脈という血管から酸素を送られて動いています。
動脈硬化やストレスが原因で、この動脈がつまると酸素が送られなくなり、筋肉が窒息死した状態を心筋梗塞と呼びます。大抵は、突然の激しい胸痛を生じます。窒息死した筋肉の量が多いと心不全となり、ひどい場合は急性心不全で血圧が急激に低下しショック状態で死に至ります。
不整脈も出やすくなり、AED(自動体外式除細動器)や心臓マッサージが必要になる場合があります。
激しい胸痛が出た場合には、心筋梗塞を疑い速やかに救急救命センターを受診することが必要です。
診断区分
健康診断の結果の判定を指します。通常は、「異常なし」、「要観察」、「要再検」もしくは「要精密検査」、「要医療」と分けられます。
「要観察」は、治療の必要性がそれほど高くなく、生活習慣の改善等で経過を観察するものです。「要再検」もしくは「要精密検査」は、診断区分を最終確定するために、異常値に対して再検査を行うもの、もしくは精密検査を行うものです。「要医療」は、治療の必要性を指すもので、生活習慣の改善とともに、一般的には薬物療法が必要なものを指します。
事業者は、診断区分に基づき、産業医の意見を聞きながら、必要な場合には就業上の措置を行います。
心房細動
心臓では電気信号が一箇所から生まれ、信号が定められた電気系統を順次伝わって、その刺激の下に心房と心室が連携して規則正しい間隔で動きます。動脈硬化やストレスが原因で、この電気系統が乱れたものを不整脈と呼びます。
心房細動は、よく見られる不整脈の一つで、心房のあちこちから電気信号が生まれ、心臓はまったく不規則な間隔の動きとなってしまいます。不規則な動きで心房と心室の連携が乱れ、心臓の中では血液がスムーズに流れなくなり、心臓の中に血栓(血液のかたまり)ができやすくなります。心房細動の最大のリスクは、この血栓が心臓から飛び出し、脳の血管につまり脳梗塞を起こすことです。
時間外労働
法的には労働基準法で定められた労働時間(法定労働時間)を超えて行う労働をさし、一般には就業規則などで定めた所定労働時間を超えて行う労働のことをいいます。法定外の休日に働くことも含まれます。時間外労働が認められるのは、労働基準法第36条に基づく協定の届出が行われている場合などに限られています。
事後措置
健康診断の結果異常の所見があると認められた労働者あるいは長時間労働者への面接指導の結果必要があると認められた労働者に、医師や歯科医師の意見を十分聞きながら、事業主が行う対応策のことを指します。必要な場合には、労働者の生活環境や働く環境を十分考慮しながら、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換などを行うものです。作業環境の測定結果により施設や設備の適切な整備や設置を行い、衛生委員会や安全衛生委員会への報告を通じて、作業環境や作業の改善策を講じていきます。
自発的健康診断
6か月平均で4回/月以上深夜業に従事する人は自発的に受診してその結果を事業者に提出することができる健康診断です。労働安全衛生法第66条の2に定められているもので、過労死対策の一環としての健康管理の充実を図るため、平成11年に制度化されたものです。
なお、深夜業従事者健康診断助成金(自発的健康診断受診支援助成金)の制度があります。希望者は、都道府県産業保健推進センターに申請します。
睡眠時間
睡眠は、心身の健康を維持するために非常に重要であり、逆に心身の健康(特に精神面の健康)が損なわれると、睡眠に影響が出やすくなります。精神疾患の労災認定において、長時間労働の有無が重要な判断材料になるのは、それによって必要な睡眠が確保されなくなるという理由によるところが大きいと言えます。適切な睡眠時間は、個人差があり、日中に強い眠気を催さないことが目安のひとつとされています。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸していない(あるいは呼吸していることがわかりにくい)状態が頻回にみられもので、日中に強い眠気が出現し、仕事や学業に支障が出ます。交通事故の原因のひとつとして社会的な注目を集めました。不整脈、心臓病、脳血管障害などの病気の発症にも影響すると指摘されています。耳鼻咽喉科を中心として、診断と治療を専門的に手がけている医療機関があります。
生活習慣病
毎日の生活習慣、とくに過食、運動不足や喫煙によって引き起こされる病気です。
生活習慣病は、健康長寿の最大の阻害要因で、国民の3分の2近くが生活習慣病で亡くなっています。
平成12年からは、国を挙げての生活習慣病対策「健康日本21」としての取り組みが始まりました。平成20年からは、特定健診・保健指導として内臓脂肪型肥満に焦点を当てた予防啓発活動が行われ、「適度な運動」、「バランスのとれた食生活」、「禁煙の実践」を軸に、動脈硬化やがんの予防に、さらに積極的な取り組みが開始されました。
精神障害

国際疾病分類であるICD-10の第Ⅴ章「精神および行動の障害」に分類されているものを指します。代表的なものにうつ病等の気分(感情)障害、統合失調症、ストレス関連障害やアルコール等の薬物依存、睡眠障害も含まれます。

蓄積疲労
1日の疲労が食事や休養(睡眠を含む)によって十分に回復しない状態が続くと、慢性的な全身の倦怠感や注意力、集中力などの低下を招きます。この状態を蓄積疲労と呼び、重度になると、心身の健康を阻害するおそれがあることが知られています。
長時間労働
労働基準法では労働時間の限度を1週40時間以内、1日8時間以内と定めていますが、労使が同法第36条に基づく協定を結ぶ場合にはその協定の限度内で時間外労働(休日労働を含みます。)が認められます。長時間労働とは一般に月45時間を超える時間外労働を指します。時間外時間が長くなるにつれ、脳・心臓疾患(脳出血などの脳血管疾患及び心筋梗塞などの虚血性心疾患等)やメンタルヘルス不調の発症リスクが高まることから,時間外労働を減らすようにするとともに、時間外労働が月100時間を超える長時間労働者や事業所が定める基準を超える長時間労働者に対しては面接指導を行う必要があります。
THP
THPとは、トータル・ヘルスプロモーション・プランの略称で、労働安全衛生法に基づいた働く人の「心とからだの健康づくり」を目指した運動のことです。少子高齢化、生活習慣病の増加、ストレスの増大などへの積極的な対応が求められている現在、若年から中高年齢者に至るすべての働く人に対して、心とからだの両面の健康づくりを目指すTHPは、時代のニーズに応えた取り組みといえ、中央労働災害防止協会で種々のサービス提供がされています。
適正労働条件措置義務
過重な労働を防ぐため、使用者が、労働時間・休憩時間・休日・労働密度・休憩場所・人員配置・労働環境等に、適正な措置を講ずべき義務を言います。「適正労働配置義務」や健康管理義務などとともに、安全配慮義務の一内容とされています。
適正労働配置義務
使用者が、身体や精神に疾病や障害がある労働者に対して、勤務軽減・作業の転換・就業場所の変更などによって、過度な負担のかからないように配慮すべき義務を言います。「適正労働条件措置義務」や健康管理義務などとともに、安全配慮義務の一内容とされています。
ディーセントワーク
ディーセント・ワークは「働きがいのある人間らしい仕事」を意味する言葉で、国際労働機関(ILO)においてILOの今日的な目標として定められたものです。それぞれの国や地域で、よりよい環境を維持しながら、安全や健康を守り、今なお、そこに存在する労働や雇用に関係したさまざまな課題を克服していくために策定された概念です。わが国では、非正規雇用、ワーキング・プア、男女の賃金格差、ワークライフ・バランスなどとの関連においてディーセント・ワークという言葉がよく用いられています。
糖尿病
内臓脂肪から分泌される悪玉の生理活性物質(サイトカイン)は、血糖コントロールに必要な膵臓から分泌されるインスリンの働きを低下させます。インスリンの機能が低下するため、血糖コントロールができず食後の高血糖が生じます。さらにインスリンの機能が低下すると、空腹時にも高血糖となります。
一方、低下した機能を補うためインスリンが過剰に分泌されます。この過剰インスリンと高血糖が、動脈硬化を進めます。糖尿病の初期でも生じる脳梗塞・心筋梗塞・閉塞性動脈硬化症などの大血管障害と、長期間にわたる糖尿病で生じる腎障害・網膜症・神経障害などの細小血管障害が問題となります。
最近では、腎不全に至る腎障害(糖尿病性腎症)を防ぐことが、血糖コントロールの主要課題です。
突然死
WHOの定義では、疾病の徴候のない死で、発症から24時間以内の死亡(原因不明の突然死)を「突然死」としていますが、狭義では発症から1時間以内の死亡(瞬間死)を指す場合もあります。また、乳幼児の場合は、剖検しても死亡原因が特定できないものを乳幼児突然死症候群と分類することもあります。多くの突然死は原因不明ですが、虚血性心疾患・心筋症・致死性不整脈などの心臓突然死、くも膜下出血・脳梗塞・脳出血などの脳血管障害が原因と考えられることが多いと言われています。
年次有給休暇
労働基準法第39条により、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10日の有給休暇を与え、その後1年ごとに1~2日追加し、最大年間20日の有給休暇を与えなければならないこととされています。有給休暇は原則として自由利用が認められます。
脳血管疾患
脳の血管がつまったり、破れたりして起こる病気であり、脳血管障害とも言われます。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に代表されますが、一過性脳虚血発作、もやもや病、慢性硬膜下血腫なども含まれます。また、脳血管疾患のうち急激に発症したものは、脳血管発作もしくは脳卒中と呼ばれます。脳血管疾患は、「がん」、「心疾患」に次いで現在の日本人の死亡原因の第3位です。回復後も手や足の麻痺、言語障害などの後遺症を残すことが多く、予防のためには、高血圧、肥満、高脂血症、糖尿病などの危険因子の治療とともに禁煙、精神的ストレスの緩和、運動などの生活習慣の改善が有効です。
脳梗塞
脳に酸素や栄養を運ぶ血管が詰まり、脳神経組織が酸素や栄養の不足のため壊死または壊死に近い状態になる病気です。多くは脳血管の動脈硬化により起こりますが、心房細動など心臓由来の血栓により引き起こされる心原性脳梗塞もあります。症状としては、意識障害、言語障害、手足の麻痺などがあり、急性期の治療とともに後遺症に対するリハビリテーションが重要です。また、微小な脳血管閉塞により起こる無症候性脳梗塞や徐々に進行して脳血管性認知症になる形も増えています。
脳出血
頭の中の出血には、脳の中の出血(脳内出血)と脳の周囲の出血がありますが、医学的には狭義に脳内出血を脳出血とすることが多く、くも膜下出血や硬膜下血腫などと区別しています。高血圧と動脈硬化による高血圧性脳内出血が多くみられましたが、近年は脳梗塞により脆くなった血管が破れることによる出血性脳梗塞も多くなってきました。その他に、脳動脈瘤、もやもや病、脳動静脈奇形、脳アミロイド血管障害、脳腫瘍、抗凝固療法など出血性疾患による脳内出血があります。症状は出血部位により異なりますが、意識障害を伴う重篤な例も多くみられ、手術適応のある場合は限られます。
ノー残業デー
事業所や職場などで特定の曜日や日を定め、特別のことがなければその日は残業をさせないようにする制度をいいます。ノー残業デーは、就業規則で定める必要はなく、随時実施することができます。
日内リズム(サーカディアン・リズム)

人間をはじめとして多くの生物がもっている約24時間周期の生理現象をさします。このリズムの乱れは、短期的には疲労や睡眠障害(例えば、海外旅行などによる時差ぼけ)、長期的には心身の健康に深刻な影響をもたらすことがあります。

肥満
内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満に分けられます。
内臓脂肪型肥満は、中年男性に多く、上半身に脂肪がつくリンゴのような体型で、おなかの皮膚はつまみにくく、生活習慣病の原因になる悪玉の生理活性物質(サイトカイン)を分泌します。生活習慣の改善で減らしやすいという特徴もあります。
腹部CTで内臓脂肪面積が100cm2以上のものを指しますが、へその高さの腹囲で代用し、男性で85cm以上、女性で90cm以上を内臓脂肪型肥満としています。
皮下脂肪型肥満は、女性に多く、お尻に脂肪がつく洋梨型のような体型で、おなかの皮膚はつまみやすく、サイトカインは分泌されにくいとされています。皮下脂肪は一度ついたらとれにくいという特徴があります。
疲労
「ある活動をそのまま続ければやがてへばり、休めば回復すると予測できるかたちでおこる体内変化であって、それによって活動自身にもそれとわかる変化を伴って休息を求めている状況」と定義できます。いくつかの分類方法が提唱されており、必要な休息のパターンからは、急性疲労、亜急性疲労、日周性疲労、慢性疲労(蓄積疲労)に分類されます。
疲労蓄積度自己診断チェックリスト
過重労働による健康障害防止のための総合対策の一環として、厚生労働省により作成、公開されました。本人用は、労働者自身が疲労の蓄積をセルフチェックするツールとして、家族用は、本人用と合わせてご家族が見て労働者の疲労の蓄積度を判断する目安とできるように作成されました。本人用では、最近1か月の自覚症状について13の質問が、最近1か月の勤務の状況について7の質問が設定されており、総合判定で仕事による負担度が点数で表されます。
PDCAサイクル
事業場の安全衛生管理の手法のひとつで、国から『労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針』が示されています。P(計画)→D(実行)→C(点検)→A(改善)という流れにより安全衛生管理のレベルの継続的な改善を目指すシステムです。ポイントとしては、改善において個別事案の改善ではなく、仕組みの改善を行い、同種事案の発生しない仕組みに改善していくことにあります。
不整脈
心臓の拍動のリズムが一定でない状態ですが、心拍や脈拍が規則正しく整であっても、心電図で正常洞調律かつ正常心拍数(50~100/分)以外のものは、臨床的には不整脈です。不整脈の診断に心電図検査が必要です。さらに、ホルター心電図(長時間記録心電図)、心エコー検査、心臓電気生理学的検査、冠動脈造影などで不整脈の種類と基礎疾患について評価することが大事です。日常生活になんら問題のない不整脈も多いのですが、ある種の不整脈は生命の危険を伴っており(致死性不整脈)、突然死の原因となりえます。不整脈の原因としては、先天的異常、虚血性心疾患などによる刺激形成異常と刺激伝導異常がありますが、その発現には精神的ストレスも誘因となると言われています。
フレックス制勤務
労使協定で1か月以内の一定期間の総労働時間等を定め、その範囲で労働者が始業時間及び終業時間を自由に決めることができる制度です。1日の中で自由に勤務ができる時間(フレキシブルタイム)と、必ず労働しなければならない時間(コアタイム)に分けますが、コアタイムがない場合もあります。労使協定では、適用する労働者の範囲や、標準となる1日の労働時間なども定めます。
法定労働時間
労働基準法においては、使用者は、原則として1日については8時間、1週については40時間を超えて労働者を働かせてはならないと定められています(法32条)。この法律で上限を定められた時間のことを「法定労働時間」といいます。使用者は、この「法定労働時間」を超えて労働者を働かせる場合には、労働者の過半数を代表する者と書面による協定(労使協定)をし、これを労働基準監督署に届け出なければなりません。
民事訴訟
民間人同士の間で争いごとが発生したとき、当事者の間で話し合いがつかない場合には、裁判所に訴えるという方法があります。裁判所で争いごとの当事者がそれぞれの言い分の主張を行い、証拠を出して、どちらの主張が正しいか、裁判所に判断してもらうことになります。こうして出された裁判所の判断を「判決」といいます。そして、このような民事上の争いに関する裁判を「民事訴訟」といいます。
メタボリックシンドローム
内臓脂肪型肥満では、内臓の周囲についた脂肪が、いろいろな悪玉の生理活性物質(サイトカイン)を分泌し、ほっておくと高血圧、糖尿病、脂質異常症(中性脂肪が高い、善玉コレステロールが低い、悪玉コレステロールが高いなど)を起こします。これらが重なると、動脈硬化が進みやすく、脳卒中や心筋梗塞などの病気の引き金になります。
この状態をメタボリックシンドロームと言い、生活習慣病の代表です。
内臓脂肪型肥満を改善することにより、これらの病気を改善し、脳卒中や心筋梗塞のリスクを下げることができます。
免疫系
ウイルスや細菌などの病原体やがん細胞を認識して、それらが起こす病気から体を保護する機構(システム)を指します。
免疫系の低下は、ヒト免疫不全(HIV)ウイルスにより起こる後天性免疫不全症候群(AIDS)があり、肺炎や悪性リンパ腫などのがんを併発しやすくなります。
免疫系の亢進は、関節リウマチなどの自己免疫疾患があり、正常な組織にあたかも異物のように攻撃を加えます。花粉症などのアレルギー疾患も、免疫系亢進の一つです。
面接結果報告書
医師(通常は産業医)は、当該労働者との面接指導結果について事業者に報告しますが、事業者側も、医師からの意見聴取を行わなければならないとされています。このため、面接結果報告書には、「労働者の疲労の蓄積の状況」、「心身の状況」、「事後措置に係る医師の意見等」の要素が含まれていることが望ましいと言えます。
面接指導
事業者は、労働安全衛生法により、時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者であって申出を行ったものについては、医師による面接指導を行わなければならないとされています。面接指導とは、医師による「問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと」を指します。
面接指導記録保存期間
事業者は、面接指導を行った場合には、その記録を5年間保存することとされています。
メンタルヘルス不調
厚生労働省による「労働者の心の健康保持増進のための指針」によると、「精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活及び生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むもの」と定義されています。
有給休暇
休暇には、法的に賃金の支払いを必要としない、育児休暇や生理休暇等と休んでも賃金支払いの対象となる年次有給休暇があります。年次有給休暇の付与は、①雇入れ時から6か月間の継続勤務と②全労働日の8割以上の勤務が要件となります。年次有給休暇は、従業員の心身の疲労回復と質の高い労働の提供を目的に労働基準法第39条に規定されているもので、企業は、連休など取得しやすい環境を整えることが必要です。
予見可能性
ある出来事が起こった時、事前にその出来事を予想できたかどうかの可能性を言います。予見可能性が有るのにそれを回避せずに損害が生じた場合には、過失(落ち度)とされます。うつ病自殺の事案では、使用者において労働者の自殺という結果まで予想できたのかどうかという予見可能性の有無の点をめぐって、しばしば争いになっています。
リスクアセスメント
リスクアセスメントとは、リスクの大きさの評価に加え、その結果に基づきリスク管理対策の優先順位の決定などの判断も含む概念です。
安全衛生分野でのリスクアセスメントとは、事業場に存在するハザード(危険性や有害性)を特定し、リスクの大きさを見積り、その結果に基づき優先度を設定した上で、リスク低減措置を決定するとともに、その過程を記録する一連の手順を含みます。労働安全衛生法第28条の2では、「危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置」として、製造業等の事業者に対しては、リスクアセスメント及びその結果に基づく措置の実施に取り組むことが努力義務として規定されています。また、厚生労働省は、そのための技術的指針として、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」を公表しています。
リスクとハザード
リスクとは、不確実性が存在する状況で、対象にとって不利益な事象が発生する可能性と発生した場合の不利益の大きさの組み合わせ(積)です。安全衛生においては、対象は労働者、不利益な事象とは労働災害になり、したがって安全衛生上のリスクとは、労働災害が発生する可能性と発生した場合のけがや病気の大きさとの組み合わせ(積)ということになります。
一方、ハザードは不利益な事象を引き起こす固有な性質であり、安全衛生においては怪我や病気を引き起こす固有の性質ということです。リスクとハザードを具体的なイメージとして理解するためには、いくつかの例が必要になります。たとえば、ある毒性の強い化学物質が密閉された容器に入れられている場合と、労働者が実際に取り扱っている場合を比較した場合、ハザードとしては同一であっても、前者に比べて後者の方が、リスクが高いとみなすことができます。またフェンスがない屋上があっても、そこに入口に鍵がかかって滅多に人が入らない状況と、頻繁に人が立ち入り作業をする状況を比較した場合も同じです。
リスクマネジメント
リスクマネジメントとは、リスクアセスメント、リスクアセスメント結果に基づくリスク低減措置の実施および維持を含むリスク対策の一連のプロセスを指します。また、リスクを負っている関係者とのリスクコミュニケーションや実際に事故等が発生した場合の対応である危機管理(クライシスマネジメント)などの取り組みを含むこともあります。
両罰規定
両罰規定は、独占禁止法、個人情報保護法など様々な行政(取締)法規に設けられていますが、産業保健関係では、労働基準法第121条1項、労働安全衛生法第122条がそれに該当します。いずれにせよ、ある事業組織において一定の地位や役割を持つ者(従業者)が、その事業に関して両罰規定を定める法律に違反した、つまり違反の実行者(行為者)となった場合、彼にその地位や役割を与えた事業主(法人[の代表者]や人)自身も併せて処罰の対象とする、という規定です。例えば、ある企業の人事労務担当者や管理監督者に当たる者などが、一定の労働災害や事故について労働基準監督署長への報告(労働安全衛生規則第96条、第97条)を怠れば、彼らのみならず、その企業の代表取締役なども「罰金刑」を科されることがあります。このような規定は、事業主の選任・監督義務違反を問う趣旨から設けられたという理解が一般的ですので、この考えによる限り、事業主がそれらの注意を尽くしたことを証明できれば免責されることになります(労働基準法第121条1項但書を参照)。なお、ここでいう行為者には、安全管理者、衛生管理者等はもちろん、従業者である限り、産業医等の専門家であっても該当することに留意が必要です。
労災保険
労災保険(労働者災害補償保険)は、①労働災害や通勤途上災害(それぞれ該当項目参照)が発生したとき、必要な保険の支給(保険給付)を行うとともに、②被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者本人とその遺族のサポート、適正な労働条件の確保などを図る制度のことです(労働者災害補償保険法1条)。当初は、労働基準法上の災害補償を肩代わりすることを主な目的として設けられた制度でしたが、その後、独自の発展をとげ、今では社会保障制度の一つと考えられるようになって来ています。その特徴として挙げられるのは、(i)政府による運営、(ii)労働者を使用する全民間事業の原則強制加入、(iii)年金給付(傷病、障害、遺族)、物価スライド制があること、(iv)介護補償給付があること、(v)リハビリテーション施設など(施設給付)の設置、(vi)通勤途上災害への保険給付、(vii)保険財政への一部国庫負担(補助)などの点です。 なお、使用者の過失によって労働災害が起きた場合、たとえ労災保険給付がなされても、民事損害賠償責任は免れません。ただし、一時金と年金給付の一部は差し引かれます(年金給付との調整には難しい問題がありますので注意が必要です。)。また、法律上、労災保険の申請は、労働者又は遺族が行うことが原則ですが、事業主や医師による証明が必要となりますので、法律上の定めはありませんが、事業主はこれに積極的に協力することが求められます。
労動安全衛生法
働く人の安全と健康を確保するための基本的な法律で、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。
この法律に基づいて政令、厚生労働省令、厚生労働省告示及び指針が多く定められており、大きな法律体系となっています。
労働安全衛生マネジメントシステム
労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)は、事業場において事業者のリーダシップと労働者の参画により、労働災害の防止や労働者の健康増進、職場環境の形成といった継続的な安全衛生管理を、自主的に進めるための仕組みです。OSHMSは、事業者によって宣言された基本方針と、基本方針に盛り込まれた目的を達成するために必要な計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)に関する手順等を規定した文書体系および仕組みの中でそれぞれに規定された職務を遂行できる人材から構成されます。
事業場でのOSHMSの導入に当たっては、規格やガイドラインなどの基準文書を参考にして設計することになりますが、外部認証を取得することが目的の場合には国際的な規格であるOHSAS18001や厚生労働省の指針を基本としたJISHA方式適格OSHMS基準を利用することになります。
労働基準監督署
厚生労働省の地方支分部局である都道府県労働局の下部機関として全国に321の労働基準監督署があります。
労働条件、安全衛生、労災保険に関する事務を行っており、事業場に対する監督指導、各種の報告・申請等の受理、労働者からの申告(相談)の受理その他労働基準行政の第一線機関としての役割を果たしています。
労働災害
一言でいえば、労働者が仕事に従事したことにより被った人的な被害と説明できます(物的な被害は「事故」と呼ばれます。)。しかし、趣旨や目的の違いから、その定義(の表現)は、法律ごとに異なっています。先ず、労働安全衛生法第2条第1号は、「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう」と定めています。他方、労働者災害補償保険法第7条第1号は、「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」と定め、その表現から「業務災害」と呼ばれていますが、意味内容は労働安全衛生法の定めと同じという理解が有力です。ここでいう「業務上」の意味内容については、特に、労災保険の認定実務で第1に問われる「業務遂行性」の趣旨などをめぐって議論があります。しかし、要は「業務に起因すること(生じた災害が、業務に内在ないし付随する危険が現実化したものであること)」である、という理解は、ほぼ共通しています。また、業務上の疾病については、労働基準法施行規則別表第1の2で、その範囲が定められています。とはいえ、昨今問題になっている作業関連疾患については、業務起因性(因果関係)の考え方自体に難しい課題があり、どのような場合が業務上に当たるかについて、様々な議論があります。
労働災害防止計画
労働安全衛生法に基づき、国(厚生労働大臣)が労働政策審議会の意見を聞いて策定する計画をいいます。労働災害の防止のための主要な対策のほか労働災害の防止に関し重要な事項について昭和33年以来、5年ごとに計画が策定され、現在は平成20年4月から平成25年3月までを計画期間とする第11次の計画が策定されています。同法には計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業者等に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請する旨の規定も定められています。
労働時間
一口に労働時間と言っても、その意味内容は様々ですが、法的に最も重要なのは、労働基準法に定められた労働時間(労働基準法上の労働時間)で、これは主に、労働者が使用者(会社側)からの明示・黙示の指揮命令に拘束されている時間を意味し、業務に当たるような行為をしていたかも判断の材料となります。実際に働いている時間のほか、指示を受け次第仕事に就かねばならない手待時間・仮眠時間、仕事の準備時間なども含まれ、労使が任意に決められるものではなく、客観的に定まるものと理解されています。使用者は、この時間(の長さ)について法律上の制限を受けており、違反すれば、罰則が適用されるほか、時間外手当などの支払いを命じられます。また、長時間労働が一定の限度を超え、過重なストレスを招き、疾病・死亡などの被害をもたらしたと認められれば、労災補償の対象となったり、使用者に民事賠償責任を生じさせたりすることがあります。ただし、その場合にカウントされる労働時間は、労働基準法上の労働時間とは異なる場合もあります。
労働時間管理
労働時間の管理は、様々な方法があります。タイム・カード式や最新のICカードによる入退室時間管理、パソコンの電源オン・オフ時間での管理等ですが、いずれにせよ労働実態を反映したものでなければなりません。サービス残業と呼ばれるような慣習は、メンタルヘルス対策を進める上でも問題です。なお、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13年4月6日付け基発第339号)が示されています。
労働時間削減対策
まず、作業ごとに標準作業時間を設定しましょう。時間をかければかけるほどいい仕事ができると考えがちですが、一定時間以上かけても仕事の質はほとんど変わりません。時間をかけすぎることによって残業が発生してしまうことも多いので、まずは標準的な時間を設定します。そして、それをもとに考えていき、職場(や特定の労働者)でかかえる仕事が多すぎる場合は、要員の見直しが必要になるかもしれません。その他職場に合った種々の工夫もありますので、順をおって労働時間削減を図りましょう。
労働時間等の設定の改善
仕事の波が激しい場合は、変形労働時間制の採用も考えられます。所定労働時間を仕事の繁閑に合わせて弾力的に決めることができれば、残業を減らせるでしょう。また、フレックス制勤務も社員の自主性を尊重するメンタルヘルスへの効果も期待される制度でしょう。そのほかにも、勤務時間選択制やみなし労働時間制の適用、ノー残業デー等の設定などもあります。仕事の内容によって選択すると良いでしょう。
労働時間の自己申告
労働時間管理は、客観的な方法(ICカードなどを使った方法等)が望まれますが、どうしても自己申告によらざるを得ない場合には、労働者に十分説明し正しい申告がなされるようにし、必要に応じて実態調査し、適正な申告による労働者への不利益が生じないようにしなければなりません。時間外労働の上限設定や定額払い制などが(無言のプレッシャーとなり)適正な申告を阻害する場合は、改善措置をとる必要があります。
労働態様の変化

近年、社会の変化とともに労働態様も急激に多様になっており、派遣、契約社員、嘱託、パート、アルバイトなどの非正規労働者が増加しています。注目すべきは初職就業時の雇用形態で、平成14年10月から19年9月に初職に就いた者の4割以上が非正規労働者だったと報告されています。勤務は9時から5時までなどと思われがちですが、メンタルヘルス対策を進める上で、労働者には様々な働き方があることに注意が必要でしょう。

ワークシェアリング
雇用機会、労働時間、賃金の3要素の組み合わせを変化させることにより、一定の雇用量を、より多くの労働者で分かち合うことをいいます。企業にとっては、多様な働き方を希望する有能な人材を確保でき、労働時間や賃金制度を見直しするチャンスでもあります。また、労働者にとっては育児、介護、自己啓発、ボランティア活動などの時間を確保できるメリットがあります。
ワーク・ライフ・バランス
ここ数年増加しつつある長時間労働による過労死や過労自殺の問題を解決するには、仕事Workと生活LifeとがバランスBalanceを保って調和Harmonyしていることが重要です。そして、働いている人それぞれの個性や意欲に応じて能力を十分に発揮でき、仕事も生活もともに充実していると実感できる状態をいいます。

サ行

障害給付
→障害補償給付を参照してください。
障害補償給付
障害補償給付(通勤の場合は障害給付)は、仕事(通勤)が原因となって負傷し、又は疾病にかかり、その結果障害が残った場合に、その障害の程度を第1級から第14級までに区分して決められる額が請求により支払われるものです。第1級から第7級までが障害補償年金、第8級から第14級までが障害補償一時金として支払われます。
傷病年金
→傷病補償年金を参照してください。
傷病補償年金
傷病補償年金(通勤の場合は傷病年金)は、仕事(通勤)が原因となって負傷し、又は疾病にかかり、その療養期間が1年6か月を経過したときに、その負傷又は疾病がなおっておらず、かつ、傷病等級に該当する重い状態である場合に、休業補償給付(通勤の場合は休業給付)に替わって給付基礎日額をもとに算定される額が支給されるものです。
精神障害等
精神障害には多くの種類があり、仕事による強い心理的負荷により発症したうつ病その他の精神障害は、業務上疾病の一つであり、最近では労災認定件数が増加しています。精神障害の中には自殺に至るものも少なくなく、仕事により精神障害にかかり、自殺に至ったもの(過労自殺といわれることがあります。)は原則としてその死亡も労災補償の対象となります。
精神障害等の判断指針
発病前6か月程度の間に業務による強い心理的負荷があり、業務以外の心理的負荷や固体側要因(既往歴・社会適応状況、アルコール等依存状況)による発病ではない精神障害は、業務上疾病として取り扱い、その精神障害により自殺した場合も原則として労災補償の対象とする旨の通達です。(平成11年9月14日付け基発第544号)
葬祭給付
→葬祭料を参照してください。
葬祭料
葬祭料(通勤の場合は葬祭給付)は、仕事(通勤)が原因となって死亡した場合に、葬祭を行う者に対し請求により決められている額が支払われるものです。

タ行

中高年自殺
1998年以来、わが国の年間自殺者数は3万人台という緊急事態が続いていますが、40~50歳台の自殺者が全体の約4割を占めています。とくに中高年の男性の自殺が増えたことが社会問題化しています。大きな社会変動が生じた際に、若年男性の自殺率が増えるというのが世界的に一般的に認められる特徴ですが、中高年の男性の自殺が急増したことは最近のわが国の自殺の大きな特徴と言えます。
デブリーフィング
事故や災害、犯罪被害などの後で、将来のPTSDを予防するために、36時間以内に体験の恐怖を集中的に聞き出すというカウンセリングの方法です。しかしその効果は国際的に否定され、この方法を考えた心理学者も誤りを認めました。多くの被災者、被害者は、暖かなケアと保護によって数か月以内に自然に回復します。不安や不眠が強いときや、回復が思わしくないときには、精神科医による相談窓口が必要です。
電通事件
電通の新入社員(男性、1990年入社)が常軌を逸する長時間労働の結果、うつ病にかかり、翌年8月に自殺するに至ったことから、遺族である両親が会社に対する損害賠償請求訴訟を起こしたものです。
2000年3月に最高裁判所は仕事とうつ病の因果関係を認めたうえで、東京高等裁判所に差し戻す判決を出し、東京高等裁判所において和解が成立し、会社が1億6800万円余(遅延損害金を含みます。)を支払うことになりました。
本件は、仕事と精神障害の因果関係を最高裁判所が初めて認めたものとして意義があり、また、損害賠償額が多額になったことは社会に警鐘を鳴らすものとなりました。

タ行

Total Health Promotion Plan (THP)
「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づくすべての働く人を対象とした心とからだの健康づくり運動のことをいいます。健康測定を行い、その結果に基づいた運動指導、保健指導、栄養指導、メンタルヘルスケアを行うことが基本です。
退却神経症
退却神経症は精神科医の笠原嘉博士によって提唱された概念です。適応障害の1つとも言えます。博士はウオルーターズが定義した学生アパシー(選択的無気力)の研究から退却神経症を考えました。「『本業』とでもいうべき生活部分がある。サラリーマンならサラリーマンの、大学生には大学生の、主婦には主婦の本業がある。そこからの選択的退却である。そのことだけに無気力、無関心になる。そういう神経症(ノイローゼ)である」と定義しました。
タイプA
タイプAは「タイプA行動パターン」ともいい、競争心が強く、仕事に熱中し、攻撃的で,イライラし易く、他人とよく対立するといった行動様式です。タイプAの人は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に罹る率が高く、頭痛,消化器症状、睡眠障害などの訴えも多いといわれます。タイプAの人は怒りを感じやすく、血圧や心拍数が増加することが多く、心臓などに負担がかかりやすいためと考えられています。
試し出勤

病気のため長期にわたって休業した労働者が職場復帰をする際に、正式な職場復帰に先がけて、出勤あるいはそれに近い取組みを行ってみる制度をさします。「リハビリ出勤」などと称されることもあります。労働者本人にとっては、職場復帰に対する不安を軽減できるという効果が期待でき、職場の側にも労働者が勤務可能かどうかをある程度見極められるという利点があります。

断酒会
断酒会とは、アルコール依存症にかかった人たちが集まり、お互いに励まし合い酒害からの回復と人としての成長を目指す集団です。また、同じ酒害者としての立場から酒害問題に悩んでいる人への援助活動も行っています。体験談を語る場である「例会」への出席と組織活動である様々なプログラムに参加することで断酒を続けます。
注意欠陥性多動障害
DSM-Ⅳ(アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル)によって初めて注意欠陥多動性症候群という診断名が使われることになりました。DSM-Ⅳ-TRによれば1.不注意、2.多動性―衝動性のうちどちらかが、さらには症状のうち6つ以上がすくなくとも6か月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないものをいいます。対象者に特別支援教育が行われるようになってきました。
中途覚醒
夜中に何回も目覚め、再入眠が困難な場合がしばしばあります。一般的に睡眠は眠りについて最初の3時間くらいがもっとも深く、その後、明け方に向かって浅くなっていきます。ストレスなどで脳の覚醒水準が高くなると、その人の睡眠が全体として浅くなり、睡眠最初の深い眠りの時期にはなんとか眠れても、入眠後3時間くらいの睡眠が浅くなる時期になると目が覚めてしまうのです。
通勤訓練

通勤訓練は、メンタルヘルス不調により休業した労働者が職場復帰に向けて一般的に行う訓練の一つです。自宅から職場の近くまで通常の出勤時間、出勤経路で出勤をシミュレーションします。通勤に必要な体力の確認や生活リズムを整えるといった効果が期待できます。

通勤ストレス
通勤ストレスという特別な用語はありませんが、ここでは一応「通勤に伴う様々なストレス要因」と定義します。具体的には、①寒暑、風雨などの物理的障害、②歩行等による肉体的疲労、③運転等(事故防止の注意等)による精神的疲労、④混み合う乗り物の中の圧迫感や周囲との軋轢、⑤家庭という保護された空間から離れる不安・恐怖、などが想定されます。
適応障害
ストレスと個人要因の相対的関係で、主として職場や学校などの「場」における適応が上手くいかなくなり臨床症状を呈した状態です。ICD-10によれば、強度のストレスがあるのが診断の前提になっており、個人的素質あるいは脆弱性は適応障害の発症の危険性と症状の形成においてより大きな役割を演じているとされています。症状は多彩であり、抑うつ気分、不安、心配(あるいはこれらの混合)などがあります。DSM-4にも診断基準があります。
適正配置
職場(作業環境や作業内容)と労働者(技能や健康状態)の最適な組み合わせを図ることをいいます。事業者は、健康障害防止の観点から、健康診断や長時間労働者に行う面接指導の結果に基づいて、医師(産業医等)から意見を聴き、就業場所の変更、作業の転換等の必要な措置を講じることが求められています。
テクノストレス症候群
1984年にアメリカの臨床心理学者クレイグ・ブロードが名づけた。『テクノ不安症』と『テクノ依存症』に分けられます。『テクノ不安症』は、中高年に多く見られ、コンピューターへの苦手意識から、パソコンの前に座っただけで不安になり、冷や汗、震えなど、拒否反応を示し、高じるとイライラ、強い絶望感、抑うつ状態に陥ることもあります。『テクノ依存症』は、OA環境に没頭しパソコン、インターネットなどにのめり込み、部屋に閉じこもって対人関係を嫌い、実生活にも支障をきたすものを指します。精神医学的には多くは適応障害の範疇に属するが高じると不安障害、気分障害にもなり得ます。
てんかん
悩が反復的に電気的に異常興奮するためにてんかん発作が出現する疾患です。発作時に脳波を記録すると、てんかん性突発波が記録されることが多いとされています。てんかんの出現頻度は一般人口のおよそ0.3%で、基本的には小児科疾患で,多くが小児期から思春期にかけて発症します。てんかんは臨床発作型を基礎に,全般てんかんと部分てんかんに分けられます。全般てんかんは全般発作をもつもので,部分てんかんは部分発作をもつてんかんのことを指します。また、てんかんの基礎となる脳障害が見出されない場合を特発性全般てんかんといい,基礎となる外傷等の脳障害が見出されるものを続発性全般てんかんといいます。さまざまな抗てんかん薬の定期的な服用によって、てんかん発作はコントロールされることが多くなり、日常生活や社会生活に支障が出ることは多くはありません。
DSM-IV
「精神障害の診断と統計の手引きDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM)」として、米国精神医学会American Psychiatric Association(APA)により定められた診断指針です。米国だけではなく、全世界の精神科医療で幅広く使用されています。現在は第四版修正版 (DSM-IV-TR) となっており、2013年5月に第五版 (DSM-V) の発表が予定されています。
デイケア

施設への通所によって行う治療訓練です。精神障害などで治療により病状が改善し安定状態となると、日常生活を行いながら社会復帰や職場復帰を目標に行う、計画的段階的な訓練です。再発を防ぎ、必要とする対人関係能力や社会適応能力、職業能力などの改善を目指します。

統合失調症

かつて本邦では、英語ではschizophrenia、ドイツ語ではSchizophrenieという障害名を,精神分裂病と訳してきました。しかし,この病名は、患者に対する社会的な偏見や差別を生み出し,また患者や家族もその病名に不快さを感じるということもあって,2002年8月に,統合失調症という病名に変更することが決められました。厚生労働省もすぐにこの決定に対応し,行政レベルでも本病名の使用が公認されました。統合失調症の症状としては、幻覚、妄想、興奮、意欲障害、思考障害、睡眠障害等が認められます。しかし、最近では、副作用の少ない向精神薬の使用が可能となり、日常生活や社会的生活に支障が出ることは少なくなっています。また、リハビリテーション等によって社会参加が可能になる場合も多くなり、障害者雇用促進法でも一定の配慮がなされ、就労する機会も多くなっています。

逃避型抑うつ

うつ病により、職場不適応が生じると、些細な失敗を恐れて「ひきこもり」が生じることがあります。しかし旅行に行く、仕事以外の社会活動には活発、というような現実問題から逃避しているかのような状態をさします。いわゆる「現代型うつ病」のひとつの類型と考えられています。

トラウマ(心的外傷)
個人が一般の生活では経験しないような死に直面するような心理的に強い負荷となる出来事のことを指します。この出来事には、戦争や交通事故等による生命の危険、他者からの個人の尊厳の強い毀損等があります。心的外傷は突然の出来事によっても、慢性的に反復的に加えられる場合にも発生します。突然の出来事によって心的外傷が起こった場合には、急性ストレス反応として、感情麻痺、関心の喪失、現実感の喪失、解離性健忘などが起こりえますが、多くの場合、1か月以内に症状は消失するといわれています。心的外傷の後遺症として外傷後ストレス障害がみられることがあり、フラッシュバック、反復的な苦痛な夢、再体験、睡眠障害等の過覚醒、回避行動などが多くの場合では、出来事から半年以内に起こってくるとされています。治療としては、精神療法と薬物治療としては選択的セロトニン再取り込み阻害薬や睡眠導入剤の投与などがあり、多くの場合回復可能ですが、さまざまな要因により慢性化することもあります。
ドメスティック・バイオレンス
家庭内で行われる家族間での暴力行為をさします。例示しますと、親による子どもへの虐待,配偶者による暴力,子どもによる親への暴力,老人への虐待などがよく知られています。子供に対する暴力は、児童相談所で対応され、配偶者間等のいわゆるドメスティク・バイオレンスは女性相談センター等で相談されます。また、被害者やその事実を知ったものが通報し、警察等の公権力の支援を受けることも可能で、加害者からの保護が必要な場合には接近禁止等の処分が下されることがあります。また、最近では、離婚しても配偶者に対する対処と同様に扱われるようになりました。精神科的対処としては被害者本人に対する精神療法と必要であれば薬物療法によりますが、加害者に対する心理的指導も必要であることも理解されるようになり、場合によっては家族療法的対応が行われる場合もあります。
努力-報酬不均衡モデル
ドイツの社会学者Siegristらによって提唱された職業生活における「努力」と「報酬」の二つの軸をもとに慢性的なストレス状況を把握する理論的モデルのことをいいます。「職業生活において費やす努力と,そこから得られるべき,もしくは得られることが期待される報酬がつりあわない」(高努力 / 低報酬)の状態をストレスフルと定義しています。

タ行

代替休暇制度
時間外労働に対する割増賃金は、2割5分以上の率で計算した割増賃金の支払が必要とされていますが、平成22年4月より、1ヶ月について60時間超えの時間外労働に対しては、法定割増賃金率が2割5分引き上げられ5割以上の率で計算した割増賃金の支払いが必要となりました(中小事業主の事業については、当分の間、適用されません。)。ただし、労使協定を行うことにより、60時間超えの長時間労働を行った労働者に休息の機会を与えることを目的に有給の休暇(通常の労働時間の賃金が支払われる休暇)を与え、法定割増賃金率の引き上げ分(2割5分)に相当する割増賃金の支払いに代えることができるとする代替休暇制度が導入されました(労働基準法第37条第3項)。                                 労使協定においては、(1)代替休暇として与えることができる時間数の算定方法、(2)代替休暇の単位、(3)代替休暇を与えることができる期間について協定しなければなりません(労働基準法施行規則第19条の2)。なお、この制度を実施するには労使協定を締結することが必要ですが、個々の労働者に代替休暇の取得を義務付けるものではありません。
男女同一賃金の原則
賃金について、女性であることを理由として男性と差別してはならない原則を言います。労働基準法第4条に規定されており、違反しますと罰則があります。男女で全く同じ内容の仕事を、同じ効率でこなしているのに賃金に差があるような場合が典型例です。職務や能率に差があるような場合には当てはまりません。
長時間労働者の時間外・休日労働の割り増し賃金
時間外労働を行わせた場合には、通常の賃金に25%以上の率で算出した割増賃金を支払うこととされていますが、長時間労働の弊害を除去するため、時間外労働が長時間にわたった場合は算定率が高く設定されています。すなわち、時間外労働について(1)1か月45時間以下の時間数に対しては25%以上と原則どおりですが、(2)法定の限度時間(1か月45時間、1年360時間など)を超える時間に対しては25%を超える率(努力義務)とされ、(3)1か月60時間を超える時間に対しては50%以上の率とされています。
賃金
賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者から労働者に支払われるすべてのものを言います。一般的には金銭ですが物や利益であっても構いません。支給条件が就業規則や労働契約等で明確にされているボーナスや退職金も賃金です。これに対し福利厚生施設や旅費は賃金ではありません。
賃金支払いの確保等に関する法律
企業倒産等の場合の賃金の支払確保のための法制度が十分でないことから、賃金・退職金・社内預金の保全のための特別措置が法制化されたものです。賃金支払の確保等に関する法律では、労働者の貯蓄金を事業主がその委託を受けて管理する場合の保全措置を講じなければならないこと、退職手当を支払うことを明らかにしたときは、当該退職手当の支払の確保をしなければならないことが定められています。また、企業の倒産により、賃金・退職金について事業主に支払い能力がない場合に、一定の要件のもとに事業主に代わって政府が弁済する立替払制度があります。
賃金の支払いの原則
賃金は、生活の基本をなすものであることから、通常の賃金(毎月の給与)について(1)通貨で(2)直接(3)全額を(4)月1回以上(5)一定期日に支払うことが義務付けられております(労働基準法第24条)(5つの原則)                                   (1)については、労使協定を行うことにより労働者が指定する銀行その他の金融機関の預貯金・預り金への振込み・払込みが認められており、また(3)については、労使協定等を行うことにより旅行積立金等を控除することが認められています。賞与、退職金等臨時的に支払われるものについては、性格上(4)、(5)の適用はなく、1ヶ月を超える期間にわたる事由によって算定される能率手当等にも適用されません。

タ行

蓄積疲労
1日の疲労が食事や休養(睡眠を含む)によって十分に回復しない状態が続くと、慢性的な全身の倦怠感や注意力、集中力などの低下を招きます。この状態を蓄積疲労と呼び、重度になると、心身の健康を阻害するおそれがあることが知られています。
長時間労働
労働基準法では労働時間の限度を1週40時間以内、1日8時間以内と定めていますが、労使が同法第36条に基づく協定を結ぶ場合にはその協定の限度内で時間外労働(休日労働を含みます。)が認められます。長時間労働とは一般に月45時間を超える時間外労働を指します。時間外時間が長くなるにつれ、脳・心臓疾患(脳出血などの脳血管疾患及び心筋梗塞などの虚血性心疾患等)やメンタルヘルス不調の発症リスクが高まることから,時間外労働を減らすようにするとともに、時間外労働が月100時間を超える長時間労働者や事業所が定める基準を超える長時間労働者に対しては面接指導を行う必要があります。
THP
THPとは、トータル・ヘルスプロモーション・プランの略称で、労働安全衛生法に基づいた働く人の「心とからだの健康づくり」を目指した運動のことです。少子高齢化、生活習慣病の増加、ストレスの増大などへの積極的な対応が求められている現在、若年から中高年齢者に至るすべての働く人に対して、心とからだの両面の健康づくりを目指すTHPは、時代のニーズに応えた取り組みといえ、中央労働災害防止協会で種々のサービス提供がされています。
適正労働条件措置義務
過重な労働を防ぐため、使用者が、労働時間・休憩時間・休日・労働密度・休憩場所・人員配置・労働環境等に、適正な措置を講ずべき義務を言います。「適正労働配置義務」や健康管理義務などとともに、安全配慮義務の一内容とされています。
適正労働配置義務
使用者が、身体や精神に疾病や障害がある労働者に対して、勤務軽減・作業の転換・就業場所の変更などによって、過度な負担のかからないように配慮すべき義務を言います。「適正労働条件措置義務」や健康管理義務などとともに、安全配慮義務の一内容とされています。
ディーセントワーク
ディーセント・ワークは「働きがいのある人間らしい仕事」を意味する言葉で、国際労働機関(ILO)においてILOの今日的な目標として定められたものです。それぞれの国や地域で、よりよい環境を維持しながら、安全や健康を守り、今なお、そこに存在する労働や雇用に関係したさまざまな課題を克服していくために策定された概念です。わが国では、非正規雇用、ワーキング・プア、男女の賃金格差、ワークライフ・バランスなどとの関連においてディーセント・ワークという言葉がよく用いられています。
糖尿病
内臓脂肪から分泌される悪玉の生理活性物質(サイトカイン)は、血糖コントロールに必要な膵臓から分泌されるインスリンの働きを低下させます。インスリンの機能が低下するため、血糖コントロールができず食後の高血糖が生じます。さらにインスリンの機能が低下すると、空腹時にも高血糖となります。
一方、低下した機能を補うためインスリンが過剰に分泌されます。この過剰インスリンと高血糖が、動脈硬化を進めます。糖尿病の初期でも生じる脳梗塞・心筋梗塞・閉塞性動脈硬化症などの大血管障害と、長期間にわたる糖尿病で生じる腎障害・網膜症・神経障害などの細小血管障害が問題となります。
最近では、腎不全に至る腎障害(糖尿病性腎症)を防ぐことが、血糖コントロールの主要課題です。
突然死
WHOの定義では、疾病の徴候のない死で、発症から24時間以内の死亡(原因不明の突然死)を「突然死」としていますが、狭義では発症から1時間以内の死亡(瞬間死)を指す場合もあります。また、乳幼児の場合は、剖検しても死亡原因が特定できないものを乳幼児突然死症候群と分類することもあります。多くの突然死は原因不明ですが、虚血性心疾患・心筋症・致死性不整脈などの心臓突然死、くも膜下出血・脳梗塞・脳出血などの脳血管障害が原因と考えられることが多いと言われています。

労災補償関係

遺族給付
→遺族補償給付を参照してください。
遺族補償給付
遺族補償給付(通勤の場合は遺族給付)は、仕事(通勤)が原因となって死亡した場合に、遺族の請求により給付基礎日額をもとに算定された額が支払われるものです。労働者の死亡当時にその者の収入により生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のうち最先順位にある者に対し遺族補償年金が支払われ、該当者がなく、又はいなくなったときは、一定額の範囲で遺族補償一時金が支払われます。
介護給付
→介護補償給付を参照してください。
介護補償給付
介護補償給付(通勤の場合は介護給付)は、障害補償年金(通勤の場合は障害年金)又は傷病補償年金(通勤の場合は傷病年金)をうけることができる労働者が、その障害の程度が「要介護障害程度区分表」に該当し、現に介護を受けている場合に請求により支給されるものです。なお、障害者支援施設(障害者自立支援法に規定されるもの)などに入所している間は対象となりません。
過労死
長時間労働などの過重な仕事に就労したことにより、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患(心臓の筋肉の血管が詰まることによる疾病)等にかかったり、その結果死亡に至ることがあり、これを過労死と呼んでいます。一般の人にも仕事に関係なく起こることの多い疾病ですが、過重な仕事に従事することにより、血管がもろくなったり、詰まりやすくなり、あるいは血圧が高くなることなどがあって発病することがありますので、業務上の疾病として労災補償の対象となります。
過労死の認定基準
①異常な出来事への遭遇、②短期間(1週間程度)の過重業務への就労又は③長期間(6か月程度)の過重業務への就労の後に脳血管疾患又は虚血性心疾患等を発症した場合は業務上疾病として取り扱う旨を示した通達です。(平成13年12月12日付け基発第1063号)
過労自殺
→精神障害等を参照してください。
休業給付

→休業補償給付を参照してください。

休業補償給付
休業補償給付(通勤の場合は休業給付)は、仕事(通勤)が原因となって負傷し、又は疾病にかかり、療養のため労働ができずに賃金を受けることができない場合で、休業が4日以上になるときに請求により受けることができるものです。その額は、休業1日について給付基礎日額の60%です。休業を始めた最初の3日間については、使用者が平均賃金の60%に当たる額を支払うことになりますが、通勤災害の場合にはその支払いの義務はありません。
休業補償給付等の請求手続
休業補償給付(通勤の場合は休業給付)、障害補償給付(同障害給付)、遺族補償給付(同遺族給付)、葬祭料(同葬祭給付)、傷病補償年金(同傷病年金)又は介護補償給付(同介護給付)は、本人又は遺族が労働基準監督署に請求します。請求書は労働基準監督署でもらうことができます。
業務上疾病

業務上疾病とは、仕事が原因となってかかった疾病をいいます。負傷と異なり、疾病の原因は分かりにくいため、どのような疾病が労災補償の対象なるのかを労働基準法施行規則別表第1の2と関係の告示に列挙しています。具体的に掲げられていない疾病であっても、業務起因性の認められたものは労災補償の対象となります。

業務起因性
業務起因性とは、仕事と負傷、疾病、障害又は死亡との間に因果関係がある状態をいい、仕事中(事業主の支配下にある状態)に原因を受けて負傷、疾病、障害又は死亡に至ったと認められることをいいます。労働者の不注意などがあっても、故意がある場合を除き、因果関係の否定材料にはなりません。
業務災害
業務災害とは、仕事が原因となった負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。
業務遂行性
業務起因性が認められるためには、その前提として原因を受けたのが仕事中であることが必要になりますが、その状態を業務遂行性があるといいます。業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態をいうもので、一般にいう「仕事中」より広く、業務に従事している状態のほか、休憩時間において事業場構内でスポーツをしているとき、休憩室での休憩中、用便中などは事業主の支配・管理下にあるとされ、業務遂行性が認められます。
障害給付
→障害補償給付を参照してください。
障害補償給付
障害補償給付(通勤の場合は障害給付)は、仕事(通勤)が原因となって負傷し、又は疾病にかかり、その結果障害が残った場合に、その障害の程度を第1級から第14級までに区分して決められる額が請求により支払われるものです。第1級から第7級までが障害補償年金、第8級から第14級までが障害補償一時金として支払われます。
傷病年金
→傷病補償年金を参照してください。
傷病補償年金
傷病補償年金(通勤の場合は傷病年金)は、仕事(通勤)が原因となって負傷し、又は疾病にかかり、その療養期間が1年6か月を経過したときに、その負傷又は疾病がなおっておらず、かつ、傷病等級に該当する重い状態である場合に、休業補償給付(通勤の場合は休業給付)に替わって給付基礎日額をもとに算定される額が支給されるものです。
精神障害等
精神障害には多くの種類があり、仕事による強い心理的負荷により発症したうつ病その他の精神障害は、業務上疾病の一つであり、最近では労災認定件数が増加しています。精神障害の中には自殺に至るものも少なくなく、仕事により精神障害にかかり、自殺に至ったもの(過労自殺といわれることがあります。)は原則としてその死亡も労災補償の対象となります。
精神障害等の判断指針
発病前6か月程度の間に業務による強い心理的負荷があり、業務以外の心理的負荷や固体側要因(既往歴・社会適応状況、アルコール等依存状況)による発病ではない精神障害は、業務上疾病として取り扱い、その精神障害により自殺した場合も原則として労災補償の対象とする旨の通達です。(平成11年9月14日付け基発第544号)
葬祭給付
→葬祭料を参照してください。
葬祭料
葬祭料(通勤の場合は葬祭給付)は、仕事(通勤)が原因となって死亡した場合に、葬祭を行う者に対し請求により決められている額が支払われるものです。
通勤災害
通勤災害とは、通勤が原因となった負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。
特別加入制度
労災保険は、労働者の保護を目的としていますが、法律上の労働者に該当しない①中小事業主等、②一人親方等、③家内労働者・労働組合常勤役員・介護作業従事者等の特定作業従事者、④海外派遣者については労働者に準じて災害からの保護をするため、特別加入制度が設けられています。
二次健康診断等給付
一次健康診断(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)の結果、①血圧、②血中脂質、③血糖、④腹囲又はBMI(肥満度)の4項目のいずれの検査結果も「異常の所見がある」と診断された場合には、労災保険給付として(無料で)脳・心臓疾患に係る二次健康診断及びその予防のための特定保健指導を受けることができます。
二次健康診断等給付の請求手続
二次健康診断等給付は、労災病院又は二次健康診断等給付指定医療機関でなければ受けることができません。該当する労働者は、これらの医療機関で無料で二次健康診断等給付を受けることができます。
認定基準
主な業務上疾病については、労働基準監督署長が公正・迅速に認定することができるように厚生労働省から通達として基準が示されており、これを認定基準といいます。認定基準には、仕事にある有害な要因にどの程度さらされたらどのような疾病にかかるのかなどが医学的見解に沿って示されています。
脳・心臓疾患
→過労死を参照してください。
不支給決定
→労災認定を参照してください。
保険給付(業務災害関係)

仕事が原因となって負傷し、又は疾病にかかったとき、それらの結果として障害がのこったり、介護を要するに至ったとき、あるいは死亡したときなどに労災保険給付がなされます。
 これらに該当する保険給付には、療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料、傷病補償給付及び介護補償給付があります。

保険給付(通勤災害関係)

通勤が原因となって負傷し、又は疾病にかかったとき、それらの結果として障害がのこったり、介護を要するに至ったとき、あるいは死亡したときなどに労災保険給付がなされます。
 これらに該当する保険給付には、療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付、葬祭給付、傷病年金及び介護給付があります。

療養給付

→療養補償給付を参照してください。

療養補償給付

療養補償給付(通勤の場合は療養給付)は、仕事(通勤)が原因となって負傷し、又は疾病にかかり、療養のための給付です。被災労働者の自己負担はありません。 なお、労災病院又は労災保険指定医療機関等で受診するときは無料で療養できますが、これら以外で受診するときは被災労働者が一旦療養費を支払い、その額を労働基準監督署に請求して支払いを受けます。

療養補償給付の請求手続

業務災害又は通勤災害を被り、労災病院又は労災保険指定医療機関で受診したときは、無料で療養できます。これら以外の医療機関で受診したときは、被災労働者が一旦療養費を支払い、その額を労働基準監督署に請求して支払いを受けます。この請求は、被災労働者本人が行います。請求書は労働基準監督署でもらうことができます。

労災認定

労災認定とは、仕事又は通勤が原因であるとして労災保険給付を請求した場合に、請求を受けた労働基準監督署において必要な調査が行われ、保険給付を支給すべきかどうかの判断をすることをいいます。その結果、支給決定又は不支給決定が行われます。支給決定することを労災認定すると表現される場合もあります。

労災保険制度

仕事が原因となって負傷し、又は疾病にかかったとき、それらの結果として障害がのこったり、介護を要するに至ったとき、あるいは死亡したときなどに労災保険給付がなされます。通勤を原因とする場合も同様です。予防のための二次健康診断等給付もあります。その他被災労働者の社会復帰への支援、遺族への援護などを行います。

労災保険率

事業主による保険料支払いの計算の基礎となる率で、その負担が公平となるように、過去の災害率などを考慮して54種類の業種ごとに4.5/1000の範囲で労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則別表第1に定められています。

労災保険料

労災保険の財源であり、労働保険の保険料の徴収等に関する法律に基づいて事業主が支払います。金額は、労働者に支払う賃金総額×労災保険率によって計算するのが基本です。

労働保険

労働保険とは、労災保険と雇用保険とを総称したものです。保険給付は両保険制度で別個に行いますが、保険の適用及び保険料の徴収については、原則的に、一体のものとして取り扱います。

タ行

通勤災害
通勤災害とは、通勤が原因となった負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。
特別加入制度
労災保険は、労働者の保護を目的としていますが、法律上の労働者に該当しない①中小事業主等、②一人親方等、③家内労働者・労働組合常勤役員・介護作業従事者等の特定作業従事者、④海外派遣者については労働者に準じて災害からの保護をするため、特別加入制度が設けられています。

ナ行

ネット自殺
まったく見知らぬ人たちがインターネットで連絡を取り合い、同じ場所で一緒に自殺するという現象が2003年春頃から起きました。多くは20~30歳代の複数の男女で、自動車の車内で七輪で練炭を炊き、一酸化炭素中毒で自殺するという方法まで同じでした。この新奇な自殺が社会的な関心を呼び、マスメディアが大々的に報じたために、同様の自殺が連鎖するという結果になってしまいました。

ナ行

年次有給休暇
労働基準法第39条により、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10日の有給休暇を与え、その後1年ごとに1~2日追加し、最大年間20日の有給休暇を与えなければならないこととされています。有給休暇は原則として自由利用が認められます。
脳血管疾患
脳の血管がつまったり、破れたりして起こる病気であり、脳血管障害とも言われます。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に代表されますが、一過性脳虚血発作、もやもや病、慢性硬膜下血腫なども含まれます。また、脳血管疾患のうち急激に発症したものは、脳血管発作もしくは脳卒中と呼ばれます。脳血管疾患は、「がん」、「心疾患」に次いで現在の日本人の死亡原因の第3位です。回復後も手や足の麻痺、言語障害などの後遺症を残すことが多く、予防のためには、高血圧、肥満、高脂血症、糖尿病などの危険因子の治療とともに禁煙、精神的ストレスの緩和、運動などの生活習慣の改善が有効です。
脳梗塞
脳に酸素や栄養を運ぶ血管が詰まり、脳神経組織が酸素や栄養の不足のため壊死または壊死に近い状態になる病気です。多くは脳血管の動脈硬化により起こりますが、心房細動など心臓由来の血栓により引き起こされる心原性脳梗塞もあります。症状としては、意識障害、言語障害、手足の麻痺などがあり、急性期の治療とともに後遺症に対するリハビリテーションが重要です。また、微小な脳血管閉塞により起こる無症候性脳梗塞や徐々に進行して脳血管性認知症になる形も増えています。
脳出血
頭の中の出血には、脳の中の出血(脳内出血)と脳の周囲の出血がありますが、医学的には狭義に脳内出血を脳出血とすることが多く、くも膜下出血や硬膜下血腫などと区別しています。高血圧と動脈硬化による高血圧性脳内出血が多くみられましたが、近年は脳梗塞により脆くなった血管が破れることによる出血性脳梗塞も多くなってきました。その他に、脳動脈瘤、もやもや病、脳動静脈奇形、脳アミロイド血管障害、脳腫瘍、抗凝固療法など出血性疾患による脳内出血があります。症状は出血部位により異なりますが、意識障害を伴う重篤な例も多くみられ、手術適応のある場合は限られます。
ノー残業デー
事業所や職場などで特定の曜日や日を定め、特別のことがなければその日は残業をさせないようにする制度をいいます。ノー残業デーは、就業規則で定める必要はなく、随時実施することができます。

ナ行

二次健康診断等給付
一次健康診断(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)の結果、①血圧、②血中脂質、③血糖、④腹囲又はBMI(肥満度)の4項目のいずれの検査結果も「異常の所見がある」と診断された場合には、労災保険給付として(無料で)脳・心臓疾患に係る二次健康診断及びその予防のための特定保健指導を受けることができます。
二次健康診断等給付の請求手続
二次健康診断等給付は、労災病院又は二次健康診断等給付指定医療機関でなければ受けることができません。該当する労働者は、これらの医療機関で無料で二次健康診断等給付を受けることができます。
認定基準
主な業務上疾病については、労働基準監督署長が公正・迅速に認定することができるように厚生労働省から通達として基準が示されており、これを認定基準といいます。認定基準には、仕事にある有害な要因にどの程度さらされたらどのような疾病にかかるのかなどが医学的見解に沿って示されています。
脳・心臓疾患
→過労死を参照してください。

ナ行

脳・心臓疾患
→過労死を参照してください。
年次有給休暇
労働基準法第39条により、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10日の有給休暇を与え、その後1年ごとに1~2日追加し、最大年間20日の有給休暇を与えなければならないこととされています。有給休暇は原則として自由利用が認められます。
NIOSH職業性ストレスモデル
米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が作成したもので、仕事上の要因(仕事量や質、人間関係、裁量度、温度や騒音等)をうけて急性ストレス反応(心理面、生理面、行動面への変化)がおき、やがてストレスに関連した病気や作業能率低下などの問題が生じる、という一連の流れを示します。その流れに影響を及ぼすものとして、仕事以外の要因や年齢・性別・性格といった個人要因、上司・同僚・家族からの支援などの緩衝要因が挙げられます。
内因性精神障害

精神障害の病因は内因・外因・心因の3つに分類されてきました。これらの分類は1994年以前に用いられていたもので、現在は公式には用いられません。遺伝や脳の働き方(素因)といったもともとの個人の病気のなりやすさ(脆弱性)を内因といい、これを病因とする精神障害を内因性精神障害といいます。診断名でいうと、統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害(躁うつ病)などが含まれます。外因は脳に直接影響を与える物質や外傷、全身疾患などを、心因は社会生活上の出来事を指します。

難治性うつ病
うつ病のタイプや重症度を意味するものではなく、様々な治療(薬物療養、精神療法など)を一定期間以上行っても改善しない状態を意味するものです。必ず専門家に相談する必要がありますが、抗うつ剤と違う「甲状腺ホルモン薬」や「ドーパミン作動薬」などを用いたり、薬物以外として、通電療法(電気けいれん療法)、磁気刺激療法(経頭蓋磁気刺激法)、光療法、断眠療法などがあります。
二次予防
すでに健康異常が出現している段階で、早期発見、早期治療を行うことで、疾病や障害の重症化を予防することです。たとえば発生した疾病や障害を検診などにより早期に発見し、早期に治療や早期に保健指導などの対策を行うことにより疾病が重症化することを予防します。具体的には、健康診断による有所見者への事後措置、面接指導により必要とされた者に対する事後措置、これらにより疾病が見出された者への早期治療などがあります。
任意入院
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第22条の3に規定されている入院形態です。精神障害者本人の同意のうえで入院するもので、原則的には開放的な環境での処遇が求められています。
認知行動療法
認知療法とも言い、人間の感情や行動が認知のあり方の影響を受けることから、認知に働きかけて気分や行動を変化させることを目的とした短期の精神療法です。認知行動療法は、うつ病に対する治療法として開発され、薬物療法に匹敵する効果があり、再発予防は薬物療法以上であることから注目されました。その後、不安障害、ストレス関連障害、双極性障害、統合失調症、不眠症、ストレス対処など、適用範囲は広がっています。
認知症(痴呆症)
脳器質性疾患によって慢性的に生じた認知機能障害によって日常生活や社会生活が障害されることを指しています。65歳以上の老人の約4~5%に認知症症状がみられるとされていますが、最近では若年性アルツハイマー型認知症等の存在にも注意が払われるようになりました。認知症の分類としては、アルツハイマー型認知症として、初老期(65歳以前)に発症するアルツハイマー病(初老期認知症)と,老年期(65歳以後)に発症するアルツハイマー型老年認知症があります。また、虚血性脳血管障害によって起こる認知症として、脳卒中後認知症,多発梗塞性認知症等を合わせて血管性認知症と呼びます。アルツハイマー型痴呆が女性に多いのに比べて血管性痴呆は男性に多いとされています。アルツハイマー型認知症では認知機能障害が認知と行動に全般的に認められるのに対し、血管性認知症では、認知機能障害は、まだらであり、動揺性で階段に増悪することが特徴的です。現在では、アルツハイマー型認知症の薬物治療としてドネペジルなどが投与され、一定の効果が期待されますが、介護施設や介護に従事する人的資源などか不足していることが問題となっています。
脳神経外科
大脳、小脳、延髄などの脳神経障害を外科的に扱う診療科です。おもに頭部外傷、それに脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、脳腫瘍などの治療をします。

ナ行

妊産婦等の就業制限
母性保護の見地から、妊産婦(妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性)は、重量物を取り扱う業務、有毒ガスを発散する場所における業務や妊娠、出産、哺育等に有害な業務への就業が禁止されています。また、妊産婦以外の女性についても妊娠、出産に係る機能に有害な業務への就業が禁止されています。なお、これらの有害な業務の範囲は、厚生労働省令で定められています。この他に妊産婦の坑内労働の禁止、妊産婦が請求した場合における時間外労働、休日労働又は深夜労働の禁止等があります。
年少者の就業制限
発育過程にある年少者(満18歳未満)については、危険有害な業務への就業が禁止されています。就業が禁止される業務は、(1)坑内労働のほか、(2)運転中の機械等の危険な部分の清掃・注油等の業務や重量物を取り扱う業務、(3)毒劇物等を取り扱う業務、(4)著しくじんあい等を飛散する場所における業務、その他具体的な業務の範囲は厚生労働省令で定められています。さらに、深夜業(午後10時から午前5時までの間)は原則禁止され、また、労働基準法の労働時間の規定(1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制及び1週間の非定形的変形労働時間制)は原則として適用されません。
年少者労働基準規則
労働基準法第62条では、危害を十分自覚し難い発育過程の年少者(満18歳に満たない者)に対して、安全衛生及び福祉の見地から危険有害と認められる業務の就業を禁止しています。これを受けて年少者労働基準規則において、重量物を取り扱う業務、危険有害な業務の範囲が規定されています。具体的には、例えば満16歳未満の男について、断続作業の場合15キログラム、継続作業の場合10キログラム以上の重量物を取り扱う業務に就かせることは禁じられています。また、ボイラーの取扱いの業務、クレーン・デリック・揚荷装置の運転の業務など45業務について危険有害な業務として就業することが禁じられています。

一般労働条件

育児時間
生後1年未満の生児を育てる女性は、休憩時間(労働基準法第34条)とは別に1日2回各々少なくとも30分、授乳や世話などのために育児時間を請求できます。使用者は、この時間就業させることはできません。なお、請求できる時間帯、託児所等の往復時間、育児時間中の賃金、変形労働時間制のもとで就業している場合の取り扱い等は、通達で示されています。
1年単位の変形労働時間制
1箇月を超え1年以内での期間を設定し、1週間あたりの労働時間が40時間を超えない定めをした場合には、1週40時間・1日8時間の法定労働時間にかかわらず、特定の週に40時間を、また特定の日に8時間を超えて労働させることができる制度です。実施にあたっては、対象となる労働者の範囲や対象期間等を労使協定で定め、労働基準監督署に届出が必要です。
1箇月単位の変形労働時間制
1箇月以内の期間を設定し、1週間当たりの労働時間が週の法定労働時間を超えない定めをした場合で、特定の週または特定の日にそれぞれの法定労働時間(週:40時間、日:8時間)を超えて労働させることができる制度です。実施に当たっては、労使協定又は就業規則等で定め、労働基準監督署に届出が必要です。月末が繁忙になる場合などに有効な方法です。
1週間単位の非定型的変形労働時間制
1日の法定労働時間(8時間)にかかわらず、特定の1週間当たりで1日について10時間まで労働させることができる制度です。日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じることが多く、かつ、これを予測して各日の労働時間を特定することが困難な零細規模の一部のサービス業について認められます。実施にあたっては労使協定を結び、労働基準監督署に届出が必要です。
解雇の予告
労働者の突然の解雇による生活の困窮を緩和するため、使用者は、労働者を解雇する場合、少なくとも30日前に予告するか又は予告手当を支払わなければなりません。ただし、天災事変等のため、事業の継続が不可能となった場合や労働者の重大な又は悪質な義務違反などがあった場合は、使用者の解雇予告義務は免除されていますが、その事由について労働基準監督署長の認定を受けなければなりません。
監視・断続労働者の適用除外
監視又は断続的労働に従事する者については、労働基準監督署の許可を得た場合、労働基準法に定める労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されません(労働基準法第41条第3号)。これらの業務に従事する者は、いわゆる手待時間の多い業務であることから、労働基準監督署長の許可を条件に適用除外を認めています。                                   監視に従事する者とは、原則として、一定部署にあって監視するのを本来の業務とし、常態として身体又は精神的緊張の少ないものをいいます。また、断続的労働に従事する者とは、例えば寄宿舎の賄人のように休憩時間は少ないが手待時間が多いものをいいます。さらに、断続的な宿直・日直の勤務についても、それが非常事態に備えての待機等を目的とし、ほとんど労働をする必要の無い勤務であること、通常の労働の継続でないこと等に限って許可することとされています。
管理監督者等の適用除外
事業の種類に関わらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取扱う者については労働基準法に定める労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されません(労働基準法第41条第2号)。監督又は管理の地位にある者とは、労働条件の決定や労務管理について経営者と一体的な立場にある者のことであって、一般的には、部長、工場長等がこれに当る場合がありますが、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものであり、労働時間、休憩、休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様もこれらの規制になじまないような立場にある者に限って認められるものです。ただし、適用除外となるのは労働時間、休憩及び休日に関する規定であって、年次有給休暇の付与、深夜労働の割増賃金の支払い等は排除されるものではありません。
企画業務型裁量労働制
事業の運営に関する事項についての企画・立案・分析等の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するためにはその遂行の手段や時間的配分を大幅に労働者の裁断にゆだねることとし、その業務に従事する労働者の労働時間の算定は、事業場内に設けられた労使委員会で決議された時間労働したものとみなす制度です。実施に当たっては、労使委員会において対象業務やみなし労働時間数などを決議し、労働基準監督署に届出が必要です。なお、対象労働者の同意を得ることも必要です。     
休業手当
使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合、休業期間中平均賃金の6割以上の手当を支払うことが義務付けられており、これを休業手当と言います(労働基準法第26条)。使用者の責めに帰すべき事由とは、天変地異といった不可抗力を除き、経営難、工場・店舗の移転・増改築、機械設備の故障等であり、これによる休業の場合は、休業手当支払い義務があるとされています。新規学卒採用内定者の自宅待機についても就労始期が繰り下げられた期間について休業手当の支払い義務があるとされています。また、休業手当は賃金と解されており、所定賃金支払日に支払うこと、1日に満たない休業についてもその日について平均賃金の6割が保障されるべきこととされています。
休憩
労働基準法では、休憩は、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上を労働時間の途中に、一斉に与えることとされています。ただし、一斉付与についてはサービス業などの例外があります。また、労働者はその休憩時間を自由に利用することができます。
休日
休日は、労働義務を負わない日のことで、午前零時から午後12時までの暦日をいいます。労働基準法上、休日は毎週少なくとも1回与えることとされており、週休制が基本となっていますが、4週間に4日の休日という変形性も認められます。週休2日制の場合、どちらの休日が法律上のものであるかを特定する必要があります。
強制貯金の禁止
雇入れの条件として、又は雇入れ後の雇用継続の条件として、労働者に社内預金をさせたり、使用者の指定する金融機関(銀行、郵便局、保険会社等)などに預金させることは禁止されています。労働者から委託を受けて使用者が貯蓄金を管理することは出来ますが、その場合、労使で貯蓄金管理協定を締結し労基署に届け出るほか、貯蓄金管理規定の作成・周知、一定利率以上の利率による利子の付与、返還請求に速やかに応じる等の義務があります。
強制労働の禁止
暴行や脅迫、監禁をして、その他一般的に許されない程度に心身の自由を制限して無理やり働かせることは禁止されています。労働基準法第5条に規定されており、違反者には懲役又は罰金が科せられます。かつての「たこ部屋」、「監獄部屋」などに閉じ込めて働かせるような場合が典型的な例ですが、多くの場合、暴行罪や脅迫罪、監禁罪などの刑法犯罪にも当たります。
業務上傷病者等の解雇制限
労働基準法は、労働者が解雇後の就業活動に困難を来すような場合に、一定の期間について、解雇を一時的に制限しています。解雇ができない期間は、(1)労働者が業務災害で療養のため休業する期間とその後30日間、(2)産前産後の女性が休業する期間とその後30日間です。ただし、(1)については、使用者が打切補償を支払った場合、また、(1)及び(2)について、天災事変等のため事業の継続が不可能となった場合は、解雇することができます。ただし、天災事変の場合においては、使用者は、その事由について、労働基準監督署長の認定を受けなければなりません。
最低賃金法
賃金の低廉な労働者について賃金の最低額を保障することにより、労働者生活の安定に資するよう、最低賃金の額、最低賃金の効力、最低賃金の種類、決定手続き、違反した場合の罰則等について規定する法律です(昭和34年4月15日法律第137号)最低賃金額は時間によって定めること、効力については、最低賃金額に達しない賃金を定めるものは無効(最低賃金額の定めをしたものとみなされる。)であること、最低賃金の種類について全国各地域において適用される地域別最低賃金、一定の事業若しくは職業に適用される特定最低賃金について規定していること、最低賃金審議会(中央及び地方)の役割を定めていること、最低賃金を支払わなかった場合には50万円以下の罰金となること等が規定されています。
最低賃金
最低賃金法に基づく最低賃金は、都道府県別に適用される地域別最低賃金と特定の産業について適用される特定(産業別)最低賃金とがあります。地域別最低賃金は、産業や職種に関わりなく都道府県内で働くすべての労働者とその使用者(派遣労働者への適用は派遣先の使用者)に適用されるものとして、各都道府県に一つずつ全部で47の最低賃金が定められています。特定最低賃金は、地域別最低賃金よりも水準の高い最低賃金を定めることが必要と認められるものについて設定(特定地域内の特定産業の基幹的労働者とその使用者に適用)されており、全国で251の最低賃金が定められています。地域別最低賃金は、雇用形態の別なく、すべての労働者に適用されますが、雇用機会を狭める可能性のある労働者(例、試の使用期間中の者等)について減額の特例(許可が必要)が認められています。最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金に限られ、臨時給、賞与、割増賃金、精皆勤・通勤・家族手当は除外されます。
産前産後の休業
母性保護のため、(1)6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合、(2)産後8週間を経過しない女性は、就業させてはなりません。(1)は、請求に基づくもので任意休業です。(2)は、強制休業ですが、産後6週間を経過した女性が就業を請求し、医師が差し支えないと認めた業務については就業が可能です。また、妊娠中の女性が請求した場合は、他の軽易な業務に転換させなければなりません。
使用者

法律によって、少しずつ定義が異なりますが、一般的には労働者から労務の提供を受け、これに対して賃金を支払う者を言います。会社や個人事業主がこれに当たりますが、労働条件の最低限を定めた労働基準法や労働安全衛生法の義務を負う使用者には部長や支店長、支配人、工場長、場合によっては課長等の事業主のために行為をするすべての者が含まれます。派遣中の労働者の場合には、原則として、労働契約や賃金などについては派遣元が使用者としての責任を負いますが労働時間等の規制については派遣先が負うことになります。

時間外・休日・深夜労働の割増賃金
労働基準法では、時間外労働・休日労働・深夜労働を行わせた場合には、通常の賃金に、時間外労働であれば25%以上、休日労働であれば35%以上、深夜労働(午後10時から翌朝午前5時まで)であれば25%以上の率で算定した割増賃金を支払うこととされています。なお、深夜労働と時間外労働が重なった場合は両方足した率、つまり50%以上の率となります。
(算定例:時間外労働の場合で、割増分を含む賃金額)
通常賃金×残業時間数×1.25 〔深夜労働と重なった場合は1.5となります。〕
時間外・休日労働
労働基準法上、時間外労働及び休日労働は特別の意味を持ち、割増賃金の支払いの対象などにされています。時間外労働となるものは、1日(8時間)又は1週(40時間)の法定労働時間を超える労働のことをいい、事業場独自に定めた所定労働時間を超えた労働でも法定内であれば法律上の時間外労働とはなりません。また、同法により法定休日は1週1日または4週4日と定められていますが、週休2日制のように1週間に2日の休日がある場合は、どちらが法定の休日であるか予め定めておく必要があります。
事業場外労働のみなし労働時間制
外勤営業社員のように労働者が、労働時間の全部または一部を事業場外で従事した場合は、労働時間の算定が難しくなるので、所定労働時間だけ労働したものとみなす制度です。ただし、その業務を遂行するためには、通常、所定労働時間を超えることとなる場合には、労使協定で定める時間労働したものとみなすものです。実施に当たっては、労使協定でみなし労働時間数を定め、その時間が法定労働時間(8時間)をこえる場合は36協定の締結・届出が必要です。
自動車運転者労働時間等改善基準
トラック、バス、タクシー等の自動車運転者については、長時間労働の実態が見られることから、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を定め、自動車運転者の労働時間等の労働条件の向上を図ることとしています。具体的には、例えばトラック運転者については、拘束時間(労働時間、休憩期間(仮眠時間を含む。)その他使用者に拘束されている時間の合計時間)は1カ月293時間、1日原則13時間以内でなければならないことなどをはじめ、休息期間(勤務と次の勤務との間にあって、使用者の拘束を受けない時間)、運転時間、連続運転時間等についての基準が定められています。
女性労働基準規則
女性に関す危険有害業務の就業制限については、「母性保護」の観点から、労働基準法第64条の3で規定されています。この危険有害業務に対する就業制限は、(1)妊娠中の女性(妊婦)、(2)産後1年を経過しない女性(産婦)及び(3)それら以外の女性に分けて規制しています。以上の具体的な規制は、女性労働基準規則において定められています。女性労働基準規則では、(1)については、重量物を取り扱う業務など24の危険有害業が定められています。(2)については、土砂が崩壊する恐れのある場所における業務、5メートル以上で危害を受ける恐れのある場所における業務を除いた業務について(1)と同様な業務が定められています。(3)については、重量物を取り扱う業務及び鉛・水銀など有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務が就業制限業務とされています。
制裁規定の制限
労働基準法では、制裁規定の制限については減給の制裁につき定めています。減給の制裁は、本来ならその労働者が受けるべき賃金のなかから制裁として一定額を引くことをいいます。したがって、遅刻、早退又は欠勤に対して労働の提供のなかった時間に相当する分の賃金を差し引くことは、制裁としての減給には該当しません。減給の制裁規定を定める場合、一回の事案に対しては、減給の総額が平均賃金の一日分の半額を超えることはできません。したがって、一回の事案について平均賃金の一日分の半額ずつ何日にもわたって減給することはできません。また、一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えることはできません。
生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置
生理日において、下腹痛、腰痛、頭痛等の苦痛により就業が著しく困難であるとして、休業を請求したときは、使用者はその者を就業させることはできません。なお、就業が著しく困難であるかどうかは、医師の診断書等厳格な証明は必要でなく、また、休暇日数を限定することはできません。賃金は、就業規則等の定めによって、支給しても支給しなくても差し支えありません。
専門業務型裁量労働制
新技術の研究開発や情報処理システムの分析・設計などの特定の業務で、その性質上、業務の進め方、時間配分などを当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねることとし、その業務に従事する労働者の労働時間の算定は、労使協定で定める時間労働したものとみなす制度です。実施に当たっては、労使協定により適用する労働者の範囲、みなし労働時間数を定め、その時間が法定労働時間を超える場合には36協定の締結・届出が必要です。
代替休暇制度
時間外労働に対する割増賃金は、2割5分以上の率で計算した割増賃金の支払が必要とされていますが、平成22年4月より、1ヶ月について60時間超えの時間外労働に対しては、法定割増賃金率が2割5分引き上げられ5割以上の率で計算した割増賃金の支払いが必要となりました(中小事業主の事業については、当分の間、適用されません。)。ただし、労使協定を行うことにより、60時間超えの長時間労働を行った労働者に休息の機会を与えることを目的に有給の休暇(通常の労働時間の賃金が支払われる休暇)を与え、法定割増賃金率の引き上げ分(2割5分)に相当する割増賃金の支払いに代えることができるとする代替休暇制度が導入されました(労働基準法第37条第3項)。                                 労使協定においては、(1)代替休暇として与えることができる時間数の算定方法、(2)代替休暇の単位、(3)代替休暇を与えることができる期間について協定しなければなりません(労働基準法施行規則第19条の2)。なお、この制度を実施するには労使協定を締結することが必要ですが、個々の労働者に代替休暇の取得を義務付けるものではありません。
男女同一賃金の原則
賃金について、女性であることを理由として男性と差別してはならない原則を言います。労働基準法第4条に規定されており、違反しますと罰則があります。男女で全く同じ内容の仕事を、同じ効率でこなしているのに賃金に差があるような場合が典型例です。職務や能率に差があるような場合には当てはまりません。
長時間労働者の時間外・休日労働の割り増し賃金
時間外労働を行わせた場合には、通常の賃金に25%以上の率で算出した割増賃金を支払うこととされていますが、長時間労働の弊害を除去するため、時間外労働が長時間にわたった場合は算定率が高く設定されています。すなわち、時間外労働について(1)1か月45時間以下の時間数に対しては25%以上と原則どおりですが、(2)法定の限度時間(1か月45時間、1年360時間など)を超える時間に対しては25%を超える率(努力義務)とされ、(3)1か月60時間を超える時間に対しては50%以上の率とされています。
賃金
賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者から労働者に支払われるすべてのものを言います。一般的には金銭ですが物や利益であっても構いません。支給条件が就業規則や労働契約等で明確にされているボーナスや退職金も賃金です。これに対し福利厚生施設や旅費は賃金ではありません。
賃金支払いの確保等に関する法律
企業倒産等の場合の賃金の支払確保のための法制度が十分でないことから、賃金・退職金・社内預金の保全のための特別措置が法制化されたものです。賃金支払の確保等に関する法律では、労働者の貯蓄金を事業主がその委託を受けて管理する場合の保全措置を講じなければならないこと、退職手当を支払うことを明らかにしたときは、当該退職手当の支払の確保をしなければならないことが定められています。また、企業の倒産により、賃金・退職金について事業主に支払い能力がない場合に、一定の要件のもとに事業主に代わって政府が弁済する立替払制度があります。
賃金の支払いの原則
賃金は、生活の基本をなすものであることから、通常の賃金(毎月の給与)について(1)通貨で(2)直接(3)全額を(4)月1回以上(5)一定期日に支払うことが義務付けられております(労働基準法第24条)(5つの原則)                                   (1)については、労使協定を行うことにより労働者が指定する銀行その他の金融機関の預貯金・預り金への振込み・払込みが認められており、また(3)については、労使協定等を行うことにより旅行積立金等を控除することが認められています。賞与、退職金等臨時的に支払われるものについては、性格上(4)、(5)の適用はなく、1ヶ月を超える期間にわたる事由によって算定される能率手当等にも適用されません。
妊産婦等の就業制限
母性保護の見地から、妊産婦(妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性)は、重量物を取り扱う業務、有毒ガスを発散する場所における業務や妊娠、出産、哺育等に有害な業務への就業が禁止されています。また、妊産婦以外の女性についても妊娠、出産に係る機能に有害な業務への就業が禁止されています。なお、これらの有害な業務の範囲は、厚生労働省令で定められています。この他に妊産婦の坑内労働の禁止、妊産婦が請求した場合における時間外労働、休日労働又は深夜労働の禁止等があります。
年少者の就業制限
発育過程にある年少者(満18歳未満)については、危険有害な業務への就業が禁止されています。就業が禁止される業務は、(1)坑内労働のほか、(2)運転中の機械等の危険な部分の清掃・注油等の業務や重量物を取り扱う業務、(3)毒劇物等を取り扱う業務、(4)著しくじんあい等を飛散する場所における業務、その他具体的な業務の範囲は厚生労働省令で定められています。さらに、深夜業(午後10時から午前5時までの間)は原則禁止され、また、労働基準法の労働時間の規定(1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制及び1週間の非定形的変形労働時間制)は原則として適用されません。
年少者労働基準規則
労働基準法第62条では、危害を十分自覚し難い発育過程の年少者(満18歳に満たない者)に対して、安全衛生及び福祉の見地から危険有害と認められる業務の就業を禁止しています。これを受けて年少者労働基準規則において、重量物を取り扱う業務、危険有害な業務の範囲が規定されています。具体的には、例えば満16歳未満の男について、断続作業の場合15キログラム、継続作業の場合10キログラム以上の重量物を取り扱う業務に就かせることは禁じられています。また、ボイラーの取扱いの業務、クレーン・デリック・揚荷装置の運転の業務など45業務について危険有害な業務として就業することが禁じられています。
賠償予定の禁止
雇用期間の途中で労働者が転職するなど、約束した労働条件どおりに労働者が働かなかった場合に備えて使用者が予め違約金を決めておいたり、約束違反によって例えば納期に遅れが出て損失が発生する場合などに備え予め実損額とは関係なく損害賠償額を約束しておくことは禁止されています。違反した使用者は罰せられますが、違約金の定めや損害賠償額を予定する契約は無効となります。
フレックスタイム制
労働者が、予め定められた始業・終業の時間帯の中で自らの出退勤の時刻を決定することができる変形労働時間制の一つで自由勤務時間制とも言われています。この制度を始めるにあたっては、実施する労働者の範囲、清算期間(1箇月以内の期間)、コアタイム(全員が勤務すべき時間)など一定の事項を定めた労使協定を締結することやその旨を就業規則に記載することが必要です。
平均賃金
労働者を解雇する場合の予告に代わる手当や年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金、労働者が業務上負傷し、疾病にかかった場合などの労災補償等を算定する際に用いられる尺度を言います。例えば労災補償では「・・平均賃金の○日分の○○補償を・・」などとされています。平均賃金の算定は原則として、「(平均賃金)=(算定すべき事由の発生した日以前3ヶ月間に支払われた賃金総額)÷(その期間の総日数)」ですが、3ヶ月間も働いていない場合や休業期間がある場合など原則どおりにいかないケースも多いので、算定方法については法令等でさらに詳細に定められています。
変形労働時間制
1週40時間、1日8時間と定められている法定労働時間の規制を、1箇月以内や1年以内の期間あるいは1週間といった一定期間に限って各日、各週の労働時間が異なっていても、その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない限り、特定の日、特定の週において法定労働時間を超えて労働させることが出来る制度です。時季的な繁閑の差が大きい事業などで所定労働時間が不規則にならざるを得ない場合に労働時間管理として有効な方法です。
前借金相殺の禁止
労働者の足留策や強制労働の原因ともなることから、労働することを条件にした前借金と賃金との相殺は一切禁止されています。使用者は税や保険料など控除が認められている分を除き、賃金支払日に賃金全額を支払い、前借金については別個の返済契約に従って回収することになります。万一、賃金から一方的に天引きされていればその分の賃金未払いとなります。
みなし労働時間制
事業場外で労働するため使用者の指揮監督が及ばず労働時間の算定が困難な業務や、業務の具体的な遂行について労働者の裁量に委ねる必要があるため、使用者の指揮監督になじまず労働時間の算定が適切でない業務については、みなし労働時間制が採られます。この制度は、現に働いた労働時間に替えて予め労使協定で決めた時間労働したもの等とみなすものです。例えば、外勤営業社員などのように労働時間の正確な算定が難しい場合や新技術の研究開発の業務、事業の運営に関する事項の企画・立案の業務など大幅に労働者の裁量にゆだねる業務の場合が該当します。このみなし労働時間制は、労働基準法では、事業場外労働、専門業務型裁量労働、企画業務型裁量労働の3種類で認められています。なお、これらの制度が採用された場合でも、法律上の休憩、休日、時間外・休日労働、深夜業の規制は適用され、また、みなし労働時間数が法定労働時間を超える場合には、36協定の締結・届出、割増賃金の支払いが必要となります。
労働基準法
労働条件の最低基準を定める法律。労働契約、賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、年少者、女性、災害補償、就業規則などについて規定されています。この基準に達しない労働契約はその部分が無効となり、無効となった部分は労働基準法に定められた内容となります。なお違反者は処罰されます。 
労働契約法
労働契約法は、就業形態の多様化、個別労働関係紛争の増加等に対応するため、個別の労働関係の安定のために、労働契約に関する民事的なルール等を一つの体系としてまとめたものです。労働基準法とは異なって使用者が労働契約法に違反したからといって、行政官庁より監督指導を受けたり、罰則が課されるということはありません。労働契約法には、労働契約の原則をはじめ、裁判例において認められた労働者への安全配慮義務の明記や労働契約と就業規則の関係、労働条件の変更の手続き、労働契約の継続・終了、有期労働契約等の定めからなり、労働契約に関する基本的な事項を定めています。
労働者
法律によって、少しずつ定義が異なりますが、労働基準法では、職業の種類を問わず、事業(事務所)に使用され、その対価として賃金を支払われる者を言います。労働災害に対する災害補償等で労働者に当たるか否かが問題となる場合がありますが、業務指示に対する諾否の自由・指揮監督・拘束性・代替性があるかどうかなどが総合的に判断されて決められます。
労働者の申告
事業場に、労働基準法に違反する事実がある場合は、労働者は、行政官庁又は労働基準監督官(以下「監督機関」という。)に申告することができます。監督機関に対する労働者の申告権の保障は、労働基準法の遵守について、労働基準監督官の摘発のみに委ねていてはその実効性を担保することができないことから、労働者の申告によって監督機関の権限の発動を促進することとしているものです。このような申告が労働者からなされた場合には、監督機関としては、当然これを迅速に処理することとなります。また、使用者は、労働者が申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇、配置転換、降職、賃金引下げ等他の者に比べて不利益な取扱いをしてはなりません。
労働時間延長限度基準
時間外・休日労働協定(36協定)の締結・届出により認められる時間外労働については、延長時間を適正なものとするため、労働時間の延長の限度等に関する基準が定められています。延長時間の限度は、1週間15時間、1ヶ月45時間、1年間365時間等一定期間に応じて限度時間が定められ、36協定の締結に当っては、これらの限度時間を超えないようにしなければなりません。ただし、「特別な事情(臨時的なもの)が生じたときに限り、労使間で定めた手続きを経て、限度時間を超えて一定の時間まで延長することができること」とされています。また、工作物の建設等の事業、自動車の運転の業務、新技術・新商品等の研究開発の業務等の業務については、適用除外とされています。
労働時間等設定改善指針
労働時間等設定改善指針は、事業主等が労働時間等の設定を改善するという努力義務に適切に対処できるように具体的な取組を進める上で参考となる事項を掲げています。仕事と生活の調和の実現に向けて計画的に取組むことが必要であるとの基本的な考え方のもとに、仕事と生活の調和の実現のために重要な取組として、(1)労使間の話し合いの機会の整備(2)年次有給休暇を取得しやすい環境の整備(3)所定外労働の削減(4)労働者各人の健康と生活への配慮が必要としています。
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
年間総実労働時間は平成16年度には1834時間となり、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法(以下「時短促進法」という。)が掲げた1800時間という所期の目標をおおむね達成できたことを踏まえ、時短促進法を改正し、今後は労働時間の短縮を含め、労働時間等に関する事項を労働者の健康と生活に配慮するとともに多用な働き方に対応したものへと改善するための自主的取組を促進することを目的とした「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」としたものです。同法は、事業主の労働時間等の設定の改善に向けての自主的取組を促進するため事業主の責務を定め、国は事業主及びその団体が適切に対処するために留意すべき事項等を内容とする労働時間等設定改善指針を厚生労働大臣が定めることとしています。また、労働時間等の設定の改善を進めるため、業界一体の自主的な取組を促進するための仕組みとして、労働時間等の設定の改善をするための実施計画を作成し、それを的確に実施できるよう承認制度を設けています。
労働時間の原則
労働基準法により労働時間は、原則として、1週間40時間、1日8時間と定められています。これを法定労働時間といいます。使用者はその時間を超えて働かせることもできますが、その場合には、時間外・休日労働協定を締結し・届出することが必要となり、また、法定率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければなりません。実際には、法定労働時間の枠を前提として、労働する各日の労働時間(所定労働時間)、休憩時間、始業時刻、終業時刻等が働く職種や場所によりそれぞれ事業場で決められます。
労働条件の決定
労働条件の決定は使用者と労働者との契約によりますから、両者が対等の立場で決定すべきものです。実際には労働者一人一人と使用者が個別に細かく決定することは少なく使用者から就業規則を示され同意する場合が一般的です。この場合には就業規則に記載されていない事項で後日問題となりやすい事項について別に取り決めをしておくことが適切です。なお、労働条件の取り決めの効力の優劣関係は「労働協約>就業規則>労働契約」となり、 後者は前者に反してはなりません。
労働条件の原則
労働基準法第1条で定める原則です。労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営める内容であることが必要です。労働基準法の規定があることを理由に労働条件を低下させてはならず、むしろそれを上回る様に努力する義務が当事者にはあります。
労働条件の明示
労働契約を締結する際に、使用者は労働者に労働条件を明示するよう義務付けられています。明示すべき主な事項は(1)雇用期間(2)就業場所・従事業務(3)始業・終業・休憩・休日等の労働時間(4)賃金の計算・支払期日・締切日等の賃金事項(5)退職事項(6)残業の有無などで、通常、労使間で問題となりやすい事項です。特に(1)~(5)については書面(雇入通知書)に書いて渡す必要がありますが、当該事項が書かれた就業規則を一緒に渡すことで記載事項を少なくすることも出来ます。

ハ行

不支給決定
→労災認定を参照してください。
保険給付(業務災害関係)

仕事が原因となって負傷し、又は疾病にかかったとき、それらの結果として障害がのこったり、介護を要するに至ったとき、あるいは死亡したときなどに労災保険給付がなされます。
 これらに該当する保険給付には、療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料、傷病補償給付及び介護補償給付があります。

保険給付(通勤災害関係)

通勤が原因となって負傷し、又は疾病にかかったとき、それらの結果として障害がのこったり、介護を要するに至ったとき、あるいは死亡したときなどに労災保険給付がなされます。
 これらに該当する保険給付には、療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付、葬祭給付、傷病年金及び介護給付があります。

ハ行

発達障害

障害の原因が、精神あるいは身体的、またはその両面にわたっており、自立した生活能力や言語機能、学習などいくつかの領域で、機能的に制限があります。子どもの発達の側面は多様であり、それらは相互に関連性を持っているため、ある側面に何らかの障害が見られる場合は、ほかの側面にも悪影響を及ぼしている可能性を考えなければなりません。

ハラスメント

いやがらせやいじめのことをいいます。職場においては、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)、モラルハラスメント(モラハラ)が問題となることがあります。

半構造化面接
診断の確定や治療効果の研究のために用いる一連の順序だった、決められた質問によって構成された面接のことを構造化面接といいます。これに対し、あらかじめ面接の目的や質問をある程度決めておくけれども、状況や相談者の反応によって面接者が自由に質問を変えていくものを半構造化面接といいます。質問を何も決めずに行う面接を自由面接(非構造化面接)といいます。
パニック障害

強い不安感を主な症状とする精神疾患のひとつでパニックディスオーダー(panic disorder)とも呼ばれ、従来不安神経症と呼ばれていた疾患の一部です。パニック発作と呼ばれる状態が繰返されます。

パニック発作

突然強いストレスを覚え、動悸、息切れ、めまいなどの自律神経症状と強い不安感に襲われるものです。「死ぬのではないか?」などの恐怖感もよく感じます。手足のしびれやけいれん、吐き気、胸部圧迫感、息苦しさなども生じ、症状を抑えようとしても抑えられず、逆に症状は悪化し、救急搬送されることも多いようです。しかも、これらの症状は、特別な処置がなくとも、しばらく安静に過ごしていれば多くは回復します。

パワハラ

パワーハラスメントの略で、職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く関係を悪化させ、あるいは雇用不安を与えることをいいます。うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります。

非定型うつ病

専門家の間でも見解は一致していない「現代型うつ病」のひとつの類型と考えられています。DSM-Ⅳ-TR(米国精神医学会)にはメランコリー型に対し非定型うつ病の診断基準の記載があり、1)気分の反応性:楽しい出来事には気分が明るい、2)食欲の増加、体重増加、3)過眠、4)鉛様の麻痺(身体が鉛のように重い)、5)拒絶過敏性(他人の言動にひどく敏感)、などを特徴としています。

非定型向精神薬
抗精神病薬には、1950年代に開発された定型抗精神病薬と1980年代後半から(日本では1996年から)使用されている非定型抗精神病薬の2つのタイプがあり、特に統合失調症の治療の中心になっています。主に幻覚や妄想などの症状に有効です。非定型抗精神病薬は、現在では統合失調症治療の第一選択薬となっています。
病識
自分自身の異常体験や行動が病気あるいは病気であったことを判断し、自覚していることです。統合失調症、アルコール依存症などのメンタルヘルス不調の場合は病識がないことも多く、そのために治療がうまく進まないこともあります。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
強烈な精神的衝撃を受け、数週~数か月の潜伏期間の後に、長期にわたり恐怖感、無気力、睡眠障害、悪夢など様々な症状を示す障害です。地震、洪水、火事のような災害、または事故、戦争といった人災、監禁、虐待、強姦など犯罪など、多様な原因によって生じます。
不安障害
不安とは、明確な対象を持たない恐怖のことを指します。不安により発汗、動悸、頻脈、胸痛、頭痛、下痢などといった身体症状も現われますが、不安そのものや不安による身体症状が強く生活に支障がある病的な状態を不安障害と呼びます。治療には、薬物療法・認知行動療法などがあります。
不安神経症

不安を主症状とする神経症が不安神経症ですが、現在では「神経症」という用語は使われなくなっています。不安神経症は現在の「パニック障害」か「全般性不安障害」になります。

不定愁訴
身体の状態について、何となく体調が悪いという感覚や様々な自覚症状を訴え、検査をしても原因となる病気が見つからない場合を指します。「頭が重い」、「目の奥が痛い」、「疲れが取れない」、「よく眠れない」などと訴えることも多くあります。
ブリーフサイコセラピー
短期間、あるいは少ない面接回数で行おうとする心理療法です。ブリーフサイコセラピーにはいくつかの流派があって、面接の進め方は様々です。必ずしも短期であることを強調しているわけではなく、効率的、効果的な方法を目指していると言った方がよいでしょう。
ブルーマンデー
休み明けの月曜は「また1週間仕事か」と思い、気分がのらず、憂鬱な気分で迎えることを表現しています。世界的にBlue Mondayは休日明けの物憂い月曜日として誰しも経験し広く認識されており、このレベルではうつ病、うつ状態とはいえません。
プライバシーの配慮
プライバシーの範囲は個人ごとに異なりますが、健康情報は特にセンシティブな情報ですから、セキュリティを確保して取り扱います。病名や検査値などの生データは、医療職以外が不用意に取得や利用をしないようにします。また、目的外使用や第三者への提供の際には、本人に事情を説明して同意を得ます。ただし、本人の生命や健康を守る必要がある場合は、積極的に活用しましょう。研究や公表のための利用では、匿名化しましょう。
ペットロス症候群
「ペットを失う」ことによりさまざまな心身の症状が生じるものを指します。愛情を持って接していた飼い主ならだれもが経験する正常な感情体験であり、症状の程度は個人差が大きいものです。様々な症状が生じますが、ペットロスをきっかけにうつ状態、うつ病に至ることもありますので、その場合には治療が必要となります。
保健指導
健康診断の判定結果に基づいて精密検査の受診、医療機関での治療、生活習慣の改善などの指導を実施することを指します。
労働安全衛生法により、健康診断の結果が有所見である労働者に対して、事業者が医師または保健師により実施させるよう努めなければならないこととされており、実際は「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」を参考に行われています。

ハ行

日内リズム(サーカディアン・リズム)

人間をはじめとして多くの生物がもっている約24時間周期の生理現象をさします。このリズムの乱れは、短期的には疲労や睡眠障害(例えば、海外旅行などによる時差ぼけ)、長期的には心身の健康に深刻な影響をもたらすことがあります。

肥満
内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満に分けられます。
内臓脂肪型肥満は、中年男性に多く、上半身に脂肪がつくリンゴのような体型で、おなかの皮膚はつまみにくく、生活習慣病の原因になる悪玉の生理活性物質(サイトカイン)を分泌します。生活習慣の改善で減らしやすいという特徴もあります。
腹部CTで内臓脂肪面積が100cm2以上のものを指しますが、へその高さの腹囲で代用し、男性で85cm以上、女性で90cm以上を内臓脂肪型肥満としています。
皮下脂肪型肥満は、女性に多く、お尻に脂肪がつく洋梨型のような体型で、おなかの皮膚はつまみやすく、サイトカインは分泌されにくいとされています。皮下脂肪は一度ついたらとれにくいという特徴があります。
疲労
「ある活動をそのまま続ければやがてへばり、休めば回復すると予測できるかたちでおこる体内変化であって、それによって活動自身にもそれとわかる変化を伴って休息を求めている状況」と定義できます。いくつかの分類方法が提唱されており、必要な休息のパターンからは、急性疲労、亜急性疲労、日周性疲労、慢性疲労(蓄積疲労)に分類されます。
疲労蓄積度自己診断チェックリスト
過重労働による健康障害防止のための総合対策の一環として、厚生労働省により作成、公開されました。本人用は、労働者自身が疲労の蓄積をセルフチェックするツールとして、家族用は、本人用と合わせてご家族が見て労働者の疲労の蓄積度を判断する目安とできるように作成されました。本人用では、最近1か月の自覚症状について13の質問が、最近1か月の勤務の状況について7の質問が設定されており、総合判定で仕事による負担度が点数で表されます。
PDCAサイクル
事業場の安全衛生管理の手法のひとつで、国から『労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針』が示されています。P(計画)→D(実行)→C(点検)→A(改善)という流れにより安全衛生管理のレベルの継続的な改善を目指すシステムです。ポイントとしては、改善において個別事案の改善ではなく、仕組みの改善を行い、同種事案の発生しない仕組みに改善していくことにあります。
不整脈
心臓の拍動のリズムが一定でない状態ですが、心拍や脈拍が規則正しく整であっても、心電図で正常洞調律かつ正常心拍数(50~100/分)以外のものは、臨床的には不整脈です。不整脈の診断に心電図検査が必要です。さらに、ホルター心電図(長時間記録心電図)、心エコー検査、心臓電気生理学的検査、冠動脈造影などで不整脈の種類と基礎疾患について評価することが大事です。日常生活になんら問題のない不整脈も多いのですが、ある種の不整脈は生命の危険を伴っており(致死性不整脈)、突然死の原因となりえます。不整脈の原因としては、先天的異常、虚血性心疾患などによる刺激形成異常と刺激伝導異常がありますが、その発現には精神的ストレスも誘因となると言われています。
フレックス制勤務
労使協定で1か月以内の一定期間の総労働時間等を定め、その範囲で労働者が始業時間及び終業時間を自由に決めることができる制度です。1日の中で自由に勤務ができる時間(フレキシブルタイム)と、必ず労働しなければならない時間(コアタイム)に分けますが、コアタイムがない場合もあります。労使協定では、適用する労働者の範囲や、標準となる1日の労働時間なども定めます。
法定労働時間
労働基準法においては、使用者は、原則として1日については8時間、1週については40時間を超えて労働者を働かせてはならないと定められています(法32条)。この法律で上限を定められた時間のことを「法定労働時間」といいます。使用者は、この「法定労働時間」を超えて労働者を働かせる場合には、労働者の過半数を代表する者と書面による協定(労使協定)をし、これを労働基準監督署に届け出なければなりません。

ハ行

賠償予定の禁止
雇用期間の途中で労働者が転職するなど、約束した労働条件どおりに労働者が働かなかった場合に備えて使用者が予め違約金を決めておいたり、約束違反によって例えば納期に遅れが出て損失が発生する場合などに備え予め実損額とは関係なく損害賠償額を約束しておくことは禁止されています。違反した使用者は罰せられますが、違約金の定めや損害賠償額を予定する契約は無効となります。
フレックスタイム制
労働者が、予め定められた始業・終業の時間帯の中で自らの出退勤の時刻を決定することができる変形労働時間制の一つで自由勤務時間制とも言われています。この制度を始めるにあたっては、実施する労働者の範囲、清算期間(1箇月以内の期間)、コアタイム(全員が勤務すべき時間)など一定の事項を定めた労使協定を締結することやその旨を就業規則に記載することが必要です。
平均賃金
労働者を解雇する場合の予告に代わる手当や年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金、労働者が業務上負傷し、疾病にかかった場合などの労災補償等を算定する際に用いられる尺度を言います。例えば労災補償では「・・平均賃金の○日分の○○補償を・・」などとされています。平均賃金の算定は原則として、「(平均賃金)=(算定すべき事由の発生した日以前3ヶ月間に支払われた賃金総額)÷(その期間の総日数)」ですが、3ヶ月間も働いていない場合や休業期間がある場合など原則どおりにいかないケースも多いので、算定方法については法令等でさらに詳細に定められています。
変形労働時間制
1週40時間、1日8時間と定められている法定労働時間の規制を、1箇月以内や1年以内の期間あるいは1週間といった一定期間に限って各日、各週の労働時間が異なっていても、その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない限り、特定の日、特定の週において法定労働時間を超えて労働させることが出来る制度です。時季的な繁閑の差が大きい事業などで所定労働時間が不規則にならざるを得ない場合に労働時間管理として有効な方法です。

ハ行

非定型精神病
ドイツや我が国で発展した疾患概念で、統合失調症と躁鬱病の両者が混在しているようにみえますが、そのいずれとも特定できない一群の精神疾患の総称です。急性ないし亜急性に発症し、女性に多く、症状は多彩で、感情の起伏が激しく、うつ症状、躁症状、幻覚、妄想、精神運動性興奮症状のほか、昏迷状態、錯乱、幻覚を伴うせん妄状態、夢幻状態など意識障害としての症状が見られることがあります。またてんかん性の脳波異常が認められることもあると言います。比較的短期間に軽快し予後は概して良好ですが再発傾向が強いものです。
保健所
保健所は、地域保健法第5条により、都道府県、政令指定都市、中核市その他の政令で定める市または特別区に設置されている、公衆衛生活動の中核となる公的機関です。保健所の業務は、保健指導や相談をはじめとして、感染症の予防、食品衛生、環境衛生など多岐にわたりますが、設置主体などによって、その役割と業務は大きく異なります。自殺予防においても、公衆衛生活動との拠点としての取組みが期待されています。
ポストベンション(事後の対応)
自殺予防の3段階のひとつです。この第3段階目が「ポストベンション(postvention)」と呼ばれる対応です。不幸にして自殺が生じてしまった場合、遺族を筆頭に、親しかった友人や職場の同僚、あるいは目撃者にも多大なショックが刻まれることになります。このように遺された方や関係者の方たちに対して適切なケアを行い、心理的ダメージを最小限にする対応をポストベンションといいます。

マ行

前借金相殺の禁止
労働者の足留策や強制労働の原因ともなることから、労働することを条件にした前借金と賃金との相殺は一切禁止されています。使用者は税や保険料など控除が認められている分を除き、賃金支払日に賃金全額を支払い、前借金については別個の返済契約に従って回収することになります。万一、賃金から一方的に天引きされていればその分の賃金未払いとなります。
みなし労働時間制
事業場外で労働するため使用者の指揮監督が及ばず労働時間の算定が困難な業務や、業務の具体的な遂行について労働者の裁量に委ねる必要があるため、使用者の指揮監督になじまず労働時間の算定が適切でない業務については、みなし労働時間制が採られます。この制度は、現に働いた労働時間に替えて予め労使協定で決めた時間労働したもの等とみなすものです。例えば、外勤営業社員などのように労働時間の正確な算定が難しい場合や新技術の研究開発の業務、事業の運営に関する事項の企画・立案の業務など大幅に労働者の裁量にゆだねる業務の場合が該当します。このみなし労働時間制は、労働基準法では、事業場外労働、専門業務型裁量労働、企画業務型裁量労働の3種類で認められています。なお、これらの制度が採用された場合でも、法律上の休憩、休日、時間外・休日労働、深夜業の規制は適用され、また、みなし労働時間数が法定労働時間を超える場合には、36協定の締結・届出、割増賃金の支払いが必要となります。

マ行

マ行

民事訴訟
民間人同士の間で争いごとが発生したとき、当事者の間で話し合いがつかない場合には、裁判所に訴えるという方法があります。裁判所で争いごとの当事者がそれぞれの言い分の主張を行い、証拠を出して、どちらの主張が正しいか、裁判所に判断してもらうことになります。こうして出された裁判所の判断を「判決」といいます。そして、このような民事上の争いに関する裁判を「民事訴訟」といいます。
メタボリックシンドローム
内臓脂肪型肥満では、内臓の周囲についた脂肪が、いろいろな悪玉の生理活性物質(サイトカイン)を分泌し、ほっておくと高血圧、糖尿病、脂質異常症(中性脂肪が高い、善玉コレステロールが低い、悪玉コレステロールが高いなど)を起こします。これらが重なると、動脈硬化が進みやすく、脳卒中や心筋梗塞などの病気の引き金になります。
この状態をメタボリックシンドロームと言い、生活習慣病の代表です。
内臓脂肪型肥満を改善することにより、これらの病気を改善し、脳卒中や心筋梗塞のリスクを下げることができます。
免疫系
ウイルスや細菌などの病原体やがん細胞を認識して、それらが起こす病気から体を保護する機構(システム)を指します。
免疫系の低下は、ヒト免疫不全(HIV)ウイルスにより起こる後天性免疫不全症候群(AIDS)があり、肺炎や悪性リンパ腫などのがんを併発しやすくなります。
免疫系の亢進は、関節リウマチなどの自己免疫疾患があり、正常な組織にあたかも異物のように攻撃を加えます。花粉症などのアレルギー疾患も、免疫系亢進の一つです。
面接結果報告書
医師(通常は産業医)は、当該労働者との面接指導結果について事業者に報告しますが、事業者側も、医師からの意見聴取を行わなければならないとされています。このため、面接結果報告書には、「労働者の疲労の蓄積の状況」、「心身の状況」、「事後措置に係る医師の意見等」の要素が含まれていることが望ましいと言えます。
面接指導
事業者は、労働安全衛生法により、時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者であって申出を行ったものについては、医師による面接指導を行わなければならないとされています。面接指導とは、医師による「問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと」を指します。
面接指導記録保存期間
事業者は、面接指導を行った場合には、その記録を5年間保存することとされています。
メンタルヘルス不調
厚生労働省による「労働者の心の健康保持増進のための指針」によると、「精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活及び生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むもの」と定義されています。

マ行

メディカルモデル・コミュニティーモデル
自殺予防のためのアプローチを示したものです。自殺既遂者の多くは死亡時に何らかの精神疾患に罹患していたことがわかっています。メディカルモデルでは、自殺につながる可能性のある精神疾患を早期に発見し、適切な治療を行い、自殺を予防します。コミュニティモデルでは、地域社会あるいは特定の集団の問題解決能力を高め、自殺予防を実現していきます。例えば、地域や家庭、学校の中で、精神疾患への偏見を取り除くことや、必要なときの支援の求め方を教えます。また、自殺に関連する社会的要因に働きかけ自殺予防を実現していきます。

マ行

慢性疲労症候群
原因不明の強い疲労が長期間(一般的に6か月以上)続く病気です。治療による完治は5?10%ですが、症状はある程度改善すると言われています。病気の知識が広まっていないため、適切な診断を受けていないか、うつ病・更年期障害・自律神経失調症などと考えられていることも多いようです。
無断欠勤
職場に事前に届け出なく休むことです。単に届け出がない場合だけでなく、届け出があってもその理由が正当なものと認められないときも同様に無断欠勤という扱いにしている企業もあります。企業ごとに、就業規則によって定義を明確にしておくことが必要です。
メンタリング
メンタリング(mentoring)とは、知識や経験の豊かな人々(=メンター)が現時点で経験の少ない人々(メンティ)に対して、キャリア(成功体験)の実現のために、個別にキャリアや心理・社会的な側面から一定期間継続して行う支援行動のことです。
メンタルヘルス教育
メンタルヘルス教育とは,メンタルヘルスケアが適切に実施されるために,労働者等にメンタルヘルスに関する知識等を付与することです。「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では,労働者には「セルフケア」を促進するための教育を,管理監督者には「ラインによるケア」を促進するための教育を行うものとされています。また,「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」を促進するため,それらスタッフにも教育を行うものとされています。
メンタルヘルス指針

2006年3月に厚生労働省から公表された「労働者の心の健康の保持増進のための指針」のこと。事業場で推進されるべきメンタルヘルス対策のあり方を包括的に記しており、2000年8月に示された「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」の増補改訂版にあたる。労働安全衛生法第70条2第1項に基づくものと位置づけられており、この指針に沿った取り組みを行うことは、事業者の努力義務となっている。

メンタルヘルス推進担当者
メンタルヘルス推進担当者とは、産業医等の助言、指導等を得ながら事業場のメンタルヘルスケアの推進の実務を担当する者であり、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、メンタルヘルス推進担当者を「選任するよう努める」ことが事業者に求められています。メンタルヘルス推進担当者としては、衛生管理者や常勤保健師等が望ましく、人事労務管理スタッフからの選任も考えられます。
燃え尽き症候群

アメリカの心理学者フロイデンバーガーが1980年に提唱した概念で、それまで人一倍活発に仕事をしていた人が、なんらかのきっかけで、あたかも燃え尽きるように活力を失ったときに示す心身の疲労症状をいいます。主要症状として、心身の疲労消耗感のほか、人と距離をとり感情的接触を避ける、達成感の低下などが認められています。精神医学的にはうつ病と診断されることもあります。エネルギッシュで高い理想をもって仕事に取り組む性格特徴の人に多いと言われています。

モラルハラスメント

言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることをいいます。パワハラと同様に、うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります。

森田療法
1920年ごろ森田正馬が創始した精神療法で、不安、葛藤、恐怖という症状を取り除くことに主眼をおかず、人間本来が持っている心理との共存を目指す。不安などを心の異物として除去する多くの心理療法とは異なります。症状を完全になくしてから行動するのでなく、「あるがまま」に感じながら、現実的な「本来の欲望」に向かって行動に移すことを目的とします。見方によっては認知療法、行動療法的側面を持ち合わせますが、森田療法の方が歴史的には古いことになります。

ヤ行

ヤ行

薬物依存
薬物依存とは、耐えがたい欲求のために連続的ないし周期的にその薬物を摂取することをいいます。薬物の種類としては、睡眠薬、非麻薬性鎮痛剤、抗不安薬、麻薬、幻覚発現剤(LSD-25、大麻など)、覚せい剤(ヒロポンなど)、有機溶剤(シンナー、接着剤など)、コカイン、喘息薬など多岐にわたります。治療行為から派生した医原性ともいえる側面や、反社会的(違法性)といった側面から理解していく必要もあります。なお、反復使用することで薬物の効果が減り、使用量が増加する現象を耐性と呼び、使用中断による心身の病的症状を離脱症状(禁断症状)と呼びます。精神科医療施設での治療に加えて、以下のような自助組織の活用が考えられます。
AKK(アディクション問題を考える会)、NA、Nar-Anon(ナラノン)
薬物療法
化学的に作られた物質で、特にヒトや動物に投与したときに何らかの生理的な作用を及ぼすものを薬物といいます。その中で病気の治療、予防、診断といった用途に使用されるものを医薬品といい、医薬品を使用して病気や症状の改善を目指すことを薬物療法と言います。
要求度-コントロールモデル
仕事の量が多ければ多いほど、また質的要求も高ければ高いほど(主観的に感じる仕事の要求度)労働者のストレスは高まりますが、一方で労働者側に仕事のコントロール能力や裁量権が与えられていれば(主観的に感じる仕事の裁量権)、仕事ストレスは緩和されることが分かっています。この両者の関係を用いて、職場を分析したり(仕事ストレスの要求度が高い低い×仕事の裁量度が高い低い)、改善に役立てたりすることができます。
抑うつ状態

気分が落ち込み、憂うつになる状態をいいます。抑うつ状態を呈する代表的な疾患としては、うつ病が知られていますが、不安障害、統合失調症、適応障害、パーソナリティ障害、などあらゆる精神疾患の併発症状となり得ます。

4つのケア
4つのケアとは、「労働者の心の保持増進のための指針」において示されたメンタルヘルスケアのことで、労働者が自らのストレスに気付き予防対処する「セルフケア」、管理監督者が心の健康に関して職場環境等の改善や労働者に対する相談対応を行う「ラインによるケア」、事業場内の産業医等の産業保健スタッフ等が心の健康づくり対策を提言・推進し、労働者、管理監督者等を支援する「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、事業場外の機関及び専門家を活用し、その支援を受ける「事業場外資源によるケア」のことを指します。

ヤ行

ヤ行

有給休暇
休暇には、法的に賃金の支払いを必要としない、育児休暇や生理休暇等と休んでも賃金支払いの対象となる年次有給休暇があります。年次有給休暇の付与は、①雇入れ時から6か月間の継続勤務と②全労働日の8割以上の勤務が要件となります。年次有給休暇は、従業員の心身の疲労回復と質の高い労働の提供を目的に労働基準法第39条に規定されているもので、企業は、連休など取得しやすい環境を整えることが必要です。
予見可能性
ある出来事が起こった時、事前にその出来事を予想できたかどうかの可能性を言います。予見可能性が有るのにそれを回避せずに損害が生じた場合には、過失(落ち度)とされます。うつ病自殺の事案では、使用者において労働者の自殺という結果まで予想できたのかどうかという予見可能性の有無の点をめぐって、しばしば争いになっています。

ヤ行

薬物依存
薬物依存とは、耐えがたい欲求のために連続的ないし周期的にその薬物を摂取することをいいます。薬物の種類としては、睡眠薬、非麻薬性鎮痛剤、抗不安薬、麻薬、幻覚発現剤(LSD-25、大麻など)、覚せい剤(ヒロポンなど)、有機溶剤(シンナー、接着剤など)、コカイン、喘息薬など多岐にわたります。治療行為から派生した医原性ともいえる側面や、反社会的(違法性)といった側面から理解していく必要もあります。なお、反復使用することで薬物の効果が減り、使用量が増加する現象を耐性と呼び、使用中断による心身の病的症状を離脱症状(禁断症状)と呼びます。精神科医療施設での治療に加えて、以下のような自助組織の活用が考えられます。
AKK(アディクション問題を考える会)、NA、Nar-Anon(ナラノン)

ラ行

リスクアセスメント
リスクアセスメントとは、リスクの大きさの評価に加え、その結果に基づきリスク管理対策の優先順位の決定などの判断も含む概念です。
安全衛生分野でのリスクアセスメントとは、事業場に存在するハザード(危険性や有害性)を特定し、リスクの大きさを見積り、その結果に基づき優先度を設定した上で、リスク低減措置を決定するとともに、その過程を記録する一連の手順を含みます。労働安全衛生法第28条の2では、「危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置」として、製造業等の事業者に対しては、リスクアセスメント及びその結果に基づく措置の実施に取り組むことが努力義務として規定されています。また、厚生労働省は、そのための技術的指針として、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」を公表しています。
リスクとハザード
リスクとは、不確実性が存在する状況で、対象にとって不利益な事象が発生する可能性と発生した場合の不利益の大きさの組み合わせ(積)です。安全衛生においては、対象は労働者、不利益な事象とは労働災害になり、したがって安全衛生上のリスクとは、労働災害が発生する可能性と発生した場合のけがや病気の大きさとの組み合わせ(積)ということになります。
一方、ハザードは不利益な事象を引き起こす固有な性質であり、安全衛生においては怪我や病気を引き起こす固有の性質ということです。リスクとハザードを具体的なイメージとして理解するためには、いくつかの例が必要になります。たとえば、ある毒性の強い化学物質が密閉された容器に入れられている場合と、労働者が実際に取り扱っている場合を比較した場合、ハザードとしては同一であっても、前者に比べて後者の方が、リスクが高いとみなすことができます。またフェンスがない屋上があっても、そこに入口に鍵がかかって滅多に人が入らない状況と、頻繁に人が立ち入り作業をする状況を比較した場合も同じです。
リスクマネジメント
リスクマネジメントとは、リスクアセスメント、リスクアセスメント結果に基づくリスク低減措置の実施および維持を含むリスク対策の一連のプロセスを指します。また、リスクを負っている関係者とのリスクコミュニケーションや実際に事故等が発生した場合の対応である危機管理(クライシスマネジメント)などの取り組みを含むこともあります。
両罰規定
両罰規定は、独占禁止法、個人情報保護法など様々な行政(取締)法規に設けられていますが、産業保健関係では、労働基準法第121条1項、労働安全衛生法第122条がそれに該当します。いずれにせよ、ある事業組織において一定の地位や役割を持つ者(従業者)が、その事業に関して両罰規定を定める法律に違反した、つまり違反の実行者(行為者)となった場合、彼にその地位や役割を与えた事業主(法人[の代表者]や人)自身も併せて処罰の対象とする、という規定です。例えば、ある企業の人事労務担当者や管理監督者に当たる者などが、一定の労働災害や事故について労働基準監督署長への報告(労働安全衛生規則第96条、第97条)を怠れば、彼らのみならず、その企業の代表取締役なども「罰金刑」を科されることがあります。このような規定は、事業主の選任・監督義務違反を問う趣旨から設けられたという理解が一般的ですので、この考えによる限り、事業主がそれらの注意を尽くしたことを証明できれば免責されることになります(労働基準法第121条1項但書を参照)。なお、ここでいう行為者には、安全管理者、衛生管理者等はもちろん、従業者である限り、産業医等の専門家であっても該当することに留意が必要です。
労災保険
労災保険(労働者災害補償保険)は、①労働災害や通勤途上災害(それぞれ該当項目参照)が発生したとき、必要な保険の支給(保険給付)を行うとともに、②被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者本人とその遺族のサポート、適正な労働条件の確保などを図る制度のことです(労働者災害補償保険法1条)。当初は、労働基準法上の災害補償を肩代わりすることを主な目的として設けられた制度でしたが、その後、独自の発展をとげ、今では社会保障制度の一つと考えられるようになって来ています。その特徴として挙げられるのは、(i)政府による運営、(ii)労働者を使用する全民間事業の原則強制加入、(iii)年金給付(傷病、障害、遺族)、物価スライド制があること、(iv)介護補償給付があること、(v)リハビリテーション施設など(施設給付)の設置、(vi)通勤途上災害への保険給付、(vii)保険財政への一部国庫負担(補助)などの点です。 なお、使用者の過失によって労働災害が起きた場合、たとえ労災保険給付がなされても、民事損害賠償責任は免れません。ただし、一時金と年金給付の一部は差し引かれます(年金給付との調整には難しい問題がありますので注意が必要です。)。また、法律上、労災保険の申請は、労働者又は遺族が行うことが原則ですが、事業主や医師による証明が必要となりますので、法律上の定めはありませんが、事業主はこれに積極的に協力することが求められます。
労動安全衛生法
働く人の安全と健康を確保するための基本的な法律で、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。
この法律に基づいて政令、厚生労働省令、厚生労働省告示及び指針が多く定められており、大きな法律体系となっています。
労働安全衛生マネジメントシステム
労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)は、事業場において事業者のリーダシップと労働者の参画により、労働災害の防止や労働者の健康増進、職場環境の形成といった継続的な安全衛生管理を、自主的に進めるための仕組みです。OSHMSは、事業者によって宣言された基本方針と、基本方針に盛り込まれた目的を達成するために必要な計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)に関する手順等を規定した文書体系および仕組みの中でそれぞれに規定された職務を遂行できる人材から構成されます。
事業場でのOSHMSの導入に当たっては、規格やガイドラインなどの基準文書を参考にして設計することになりますが、外部認証を取得することが目的の場合には国際的な規格であるOHSAS18001や厚生労働省の指針を基本としたJISHA方式適格OSHMS基準を利用することになります。
労働基準監督署
厚生労働省の地方支分部局である都道府県労働局の下部機関として全国に321の労働基準監督署があります。
労働条件、安全衛生、労災保険に関する事務を行っており、事業場に対する監督指導、各種の報告・申請等の受理、労働者からの申告(相談)の受理その他労働基準行政の第一線機関としての役割を果たしています。
労働災害
一言でいえば、労働者が仕事に従事したことにより被った人的な被害と説明できます(物的な被害は「事故」と呼ばれます。)。しかし、趣旨や目的の違いから、その定義(の表現)は、法律ごとに異なっています。先ず、労働安全衛生法第2条第1号は、「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう」と定めています。他方、労働者災害補償保険法第7条第1号は、「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」と定め、その表現から「業務災害」と呼ばれていますが、意味内容は労働安全衛生法の定めと同じという理解が有力です。ここでいう「業務上」の意味内容については、特に、労災保険の認定実務で第1に問われる「業務遂行性」の趣旨などをめぐって議論があります。しかし、要は「業務に起因すること(生じた災害が、業務に内在ないし付随する危険が現実化したものであること)」である、という理解は、ほぼ共通しています。また、業務上の疾病については、労働基準法施行規則別表第1の2で、その範囲が定められています。とはいえ、昨今問題になっている作業関連疾患については、業務起因性(因果関係)の考え方自体に難しい課題があり、どのような場合が業務上に当たるかについて、様々な議論があります。
労働災害防止計画
労働安全衛生法に基づき、国(厚生労働大臣)が労働政策審議会の意見を聞いて策定する計画をいいます。労働災害の防止のための主要な対策のほか労働災害の防止に関し重要な事項について昭和33年以来、5年ごとに計画が策定され、現在は平成20年4月から平成25年3月までを計画期間とする第11次の計画が策定されています。同法には計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業者等に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請する旨の規定も定められています。
労働時間
一口に労働時間と言っても、その意味内容は様々ですが、法的に最も重要なのは、労働基準法に定められた労働時間(労働基準法上の労働時間)で、これは主に、労働者が使用者(会社側)からの明示・黙示の指揮命令に拘束されている時間を意味し、業務に当たるような行為をしていたかも判断の材料となります。実際に働いている時間のほか、指示を受け次第仕事に就かねばならない手待時間・仮眠時間、仕事の準備時間なども含まれ、労使が任意に決められるものではなく、客観的に定まるものと理解されています。使用者は、この時間(の長さ)について法律上の制限を受けており、違反すれば、罰則が適用されるほか、時間外手当などの支払いを命じられます。また、長時間労働が一定の限度を超え、過重なストレスを招き、疾病・死亡などの被害をもたらしたと認められれば、労災補償の対象となったり、使用者に民事賠償責任を生じさせたりすることがあります。ただし、その場合にカウントされる労働時間は、労働基準法上の労働時間とは異なる場合もあります。
労働時間管理
労働時間の管理は、様々な方法があります。タイム・カード式や最新のICカードによる入退室時間管理、パソコンの電源オン・オフ時間での管理等ですが、いずれにせよ労働実態を反映したものでなければなりません。サービス残業と呼ばれるような慣習は、メンタルヘルス対策を進める上でも問題です。なお、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13年4月6日付け基発第339号)が示されています。
労働時間削減対策
まず、作業ごとに標準作業時間を設定しましょう。時間をかければかけるほどいい仕事ができると考えがちですが、一定時間以上かけても仕事の質はほとんど変わりません。時間をかけすぎることによって残業が発生してしまうことも多いので、まずは標準的な時間を設定します。そして、それをもとに考えていき、職場(や特定の労働者)でかかえる仕事が多すぎる場合は、要員の見直しが必要になるかもしれません。その他職場に合った種々の工夫もありますので、順をおって労働時間削減を図りましょう。
労働時間等の設定の改善
仕事の波が激しい場合は、変形労働時間制の採用も考えられます。所定労働時間を仕事の繁閑に合わせて弾力的に決めることができれば、残業を減らせるでしょう。また、フレックス制勤務も社員の自主性を尊重するメンタルヘルスへの効果も期待される制度でしょう。そのほかにも、勤務時間選択制やみなし労働時間制の適用、ノー残業デー等の設定などもあります。仕事の内容によって選択すると良いでしょう。
労働時間の自己申告
労働時間管理は、客観的な方法(ICカードなどを使った方法等)が望まれますが、どうしても自己申告によらざるを得ない場合には、労働者に十分説明し正しい申告がなされるようにし、必要に応じて実態調査し、適正な申告による労働者への不利益が生じないようにしなければなりません。時間外労働の上限設定や定額払い制などが(無言のプレッシャーとなり)適正な申告を阻害する場合は、改善措置をとる必要があります。
労働態様の変化

近年、社会の変化とともに労働態様も急激に多様になっており、派遣、契約社員、嘱託、パート、アルバイトなどの非正規労働者が増加しています。注目すべきは初職就業時の雇用形態で、平成14年10月から19年9月に初職に就いた者の4割以上が非正規労働者だったと報告されています。勤務は9時から5時までなどと思われがちですが、メンタルヘルス対策を進める上で、労働者には様々な働き方があることに注意が必要でしょう。

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来談者中心療法
相談者の考え方や感じ方をカウンセラーが共感的に理解していくことで、相談者自身の気付きや成長を促し、問題解決を目指していくカウンセリングの方法です。相談者のことを来談者(クライエント)と呼ぶためこのような名称になっていますが、最近はパーソン・センタード・アプローチと言われるようになっています。
ライフイベント
ホームズとレイは人生に起こる代表的なできごとを抽出し、それぞれのストレス度を点数化しました(Holmes and Rahe stress scale)。一般に、大きなライフイベント(家族との死別、結婚等)は大きなストレスとなり病気を招くと考えられていますが、日常のささいなライフイベント(職場のトラブル等)もそれらが重なったり続いたりすると、同様のメカニズムにて体調に影響があると考えられています。
ラポール
相談などに際しての心の繋がりのことです。受診や相談などで安心して話せる環境が重要ですが、特にラポ-ルは問題解決に向けて相談などを継続して進めるための基本となります。初回でのラポ-ル形成はその後の成果に大きく影響します。
リストカット症候群

1960年代にアメリカで大流行し、その後、西欧、日本へとひろがりました。自分の手首をカッターナイフや剃刀などで傷つける自傷行為をさす、手首(wrist)と切る(cut)を合わせて作られた和製英語です。10~20代、未婚の女性に多く、何度も繰り返し行い習慣化する傾向があります。手首の他には、腕、足、顔、腹部などを切ることもあります。情緒的には慢性的な空虚感や抑うつ感を抱いていており自己愛が傷つきやすいと言われています。自分が生きているという実感が薄いため、自傷行為に伴う痛みや出血によって実感を取り戻すという嗜癖行為であるとの指摘もあります。

リスナー教育
職場のメンタルヘルスケアの一つとして、管理監督者が部下の悩みを上手に聴くことが求められています。メンタルヘルスの問題の多くは、話を聞いてもらう過程で、自分自身で自然に解決できるからです。話の聴きかたとしては、批判的あるいは指示的な態度ではなく、相談者の気持ちを受け入れ、共感し、支持する態度がより効果的です。職場の風通しがよくなることなども期待できるため、企業では管理監督者に対して、話の聴きかたについて「リスナー教育」が行われています。
リハビリ出勤

一般には「試し出勤」として職場復帰前に職場復帰の判断等を目的として、無給で本来の職場などに試験的に一定期間継続して勤務することを指します。「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」によると、通常の勤務時間と同様な時間帯で時間を過ごす模擬出勤、通勤訓練などがあります。この制度の導入に際しては、「試し出勤」の際の人身事故時の対応や人事労務管理上の位置づけ等を、あらかじめ検討し、就業規則等で定めておく必要があります。

労災病院
労働者災害補償保険法に定められている「社会復帰促進等事業」の一環として、(独)労働者健康福祉機構が設置・運営している病院です。全国に34病院(総合せき損センター、吉備高原医療リハビリテーションセンターを含みます。労災病院としては30です。)あります。これらの病院は、働く人々を取り巻く多様なニーズに対応した勤労者医療を展開していますが、労災保険以外の各種保険も取り扱っており、誰でも受診できる地域の中核病院としての役割も果たしています。
労災病院勤労者メンタルヘルスセンター
労災病院のうち、12病院に勤労者メンタルヘルスセンターが設置されています。
近年増加している勤労者のメンタルヘルスに関する需要に総合的に対応するため、健康セミナーをはじめ、ストレスドックの実施による健康管理を含めた心身医学分野の総合的医療を提供しています。
労災補償

労働者災害補償保険(労災保険)は、労働基準法に定める使用者の災害補償義務に基づいて、仕事が原因で起きたケガや病気、障害、死亡などに対して保険給付を行う制度です。原則的に、パートや日雇い労働者などを含め全ての労働者が対象になります。精神障害や自殺が労災に該当するかどうかは、厚生労働省から出されている指針に基づいて労働基準監督署長が判断します。

労働衛生教育
労働者が働くに当たり必要な安全衛生に関する知識を与えるための教育をいいます。
安全衛生規則等の法的な教育として、雇い入れ時教育、作業内容変更時の教育、一定の有害業務への配置時の特別教育、職長等教育を規定しています。安全衛生業務従事者や有害業務従事者に対する能力向上教育(努力義務)、安全配慮やリスクアセスメントのための教育など、その領域は拡大しています。

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療養給付

→療養補償給付を参照してください。

療養補償給付

療養補償給付(通勤の場合は療養給付)は、仕事(通勤)が原因となって負傷し、又は疾病にかかり、療養のための給付です。被災労働者の自己負担はありません。 なお、労災病院又は労災保険指定医療機関等で受診するときは無料で療養できますが、これら以外で受診するときは被災労働者が一旦療養費を支払い、その額を労働基準監督署に請求して支払いを受けます。

療養補償給付の請求手続

業務災害又は通勤災害を被り、労災病院又は労災保険指定医療機関で受診したときは、無料で療養できます。これら以外の医療機関で受診したときは、被災労働者が一旦療養費を支払い、その額を労働基準監督署に請求して支払いを受けます。この請求は、被災労働者本人が行います。請求書は労働基準監督署でもらうことができます。

労災認定

労災認定とは、仕事又は通勤が原因であるとして労災保険給付を請求した場合に、請求を受けた労働基準監督署において必要な調査が行われ、保険給付を支給すべきかどうかの判断をすることをいいます。その結果、支給決定又は不支給決定が行われます。支給決定することを労災認定すると表現される場合もあります。

労災保険制度

仕事が原因となって負傷し、又は疾病にかかったとき、それらの結果として障害がのこったり、介護を要するに至ったとき、あるいは死亡したときなどに労災保険給付がなされます。通勤を原因とする場合も同様です。予防のための二次健康診断等給付もあります。その他被災労働者の社会復帰への支援、遺族への援護などを行います。

労災保険率

事業主による保険料支払いの計算の基礎となる率で、その負担が公平となるように、過去の災害率などを考慮して54種類の業種ごとに4.5/1000の範囲で労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則別表第1に定められています。

労災保険料

労災保険の財源であり、労働保険の保険料の徴収等に関する法律に基づいて事業主が支払います。金額は、労働者に支払う賃金総額×労災保険率によって計算するのが基本です。

労働保険

労働保険とは、労災保険と雇用保険とを総称したものです。保険給付は両保険制度で別個に行いますが、保険の適用及び保険料の徴収については、原則的に、一体のものとして取り扱います。

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労働基準法
労働条件の最低基準を定める法律。労働契約、賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、年少者、女性、災害補償、就業規則などについて規定されています。この基準に達しない労働契約はその部分が無効となり、無効となった部分は労働基準法に定められた内容となります。なお違反者は処罰されます。 
労働契約法
労働契約法は、就業形態の多様化、個別労働関係紛争の増加等に対応するため、個別の労働関係の安定のために、労働契約に関する民事的なルール等を一つの体系としてまとめたものです。労働基準法とは異なって使用者が労働契約法に違反したからといって、行政官庁より監督指導を受けたり、罰則が課されるということはありません。労働契約法には、労働契約の原則をはじめ、裁判例において認められた労働者への安全配慮義務の明記や労働契約と就業規則の関係、労働条件の変更の手続き、労働契約の継続・終了、有期労働契約等の定めからなり、労働契約に関する基本的な事項を定めています。
労働者
法律によって、少しずつ定義が異なりますが、労働基準法では、職業の種類を問わず、事業(事務所)に使用され、その対価として賃金を支払われる者を言います。労働災害に対する災害補償等で労働者に当たるか否かが問題となる場合がありますが、業務指示に対する諾否の自由・指揮監督・拘束性・代替性があるかどうかなどが総合的に判断されて決められます。
労働者の申告
事業場に、労働基準法に違反する事実がある場合は、労働者は、行政官庁又は労働基準監督官(以下「監督機関」という。)に申告することができます。監督機関に対する労働者の申告権の保障は、労働基準法の遵守について、労働基準監督官の摘発のみに委ねていてはその実効性を担保することができないことから、労働者の申告によって監督機関の権限の発動を促進することとしているものです。このような申告が労働者からなされた場合には、監督機関としては、当然これを迅速に処理することとなります。また、使用者は、労働者が申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇、配置転換、降職、賃金引下げ等他の者に比べて不利益な取扱いをしてはなりません。
労働時間延長限度基準
時間外・休日労働協定(36協定)の締結・届出により認められる時間外労働については、延長時間を適正なものとするため、労働時間の延長の限度等に関する基準が定められています。延長時間の限度は、1週間15時間、1ヶ月45時間、1年間365時間等一定期間に応じて限度時間が定められ、36協定の締結に当っては、これらの限度時間を超えないようにしなければなりません。ただし、「特別な事情(臨時的なもの)が生じたときに限り、労使間で定めた手続きを経て、限度時間を超えて一定の時間まで延長することができること」とされています。また、工作物の建設等の事業、自動車の運転の業務、新技術・新商品等の研究開発の業務等の業務については、適用除外とされています。
労働時間等設定改善指針
労働時間等設定改善指針は、事業主等が労働時間等の設定を改善するという努力義務に適切に対処できるように具体的な取組を進める上で参考となる事項を掲げています。仕事と生活の調和の実現に向けて計画的に取組むことが必要であるとの基本的な考え方のもとに、仕事と生活の調和の実現のために重要な取組として、(1)労使間の話し合いの機会の整備(2)年次有給休暇を取得しやすい環境の整備(3)所定外労働の削減(4)労働者各人の健康と生活への配慮が必要としています。
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
年間総実労働時間は平成16年度には1834時間となり、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法(以下「時短促進法」という。)が掲げた1800時間という所期の目標をおおむね達成できたことを踏まえ、時短促進法を改正し、今後は労働時間の短縮を含め、労働時間等に関する事項を労働者の健康と生活に配慮するとともに多用な働き方に対応したものへと改善するための自主的取組を促進することを目的とした「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」としたものです。同法は、事業主の労働時間等の設定の改善に向けての自主的取組を促進するため事業主の責務を定め、国は事業主及びその団体が適切に対処するために留意すべき事項等を内容とする労働時間等設定改善指針を厚生労働大臣が定めることとしています。また、労働時間等の設定の改善を進めるため、業界一体の自主的な取組を促進するための仕組みとして、労働時間等の設定の改善をするための実施計画を作成し、それを的確に実施できるよう承認制度を設けています。
労働時間の原則
労働基準法により労働時間は、原則として、1週間40時間、1日8時間と定められています。これを法定労働時間といいます。使用者はその時間を超えて働かせることもできますが、その場合には、時間外・休日労働協定を締結し・届出することが必要となり、また、法定率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければなりません。実際には、法定労働時間の枠を前提として、労働する各日の労働時間(所定労働時間)、休憩時間、始業時刻、終業時刻等が働く職種や場所によりそれぞれ事業場で決められます。
労働条件の決定
労働条件の決定は使用者と労働者との契約によりますから、両者が対等の立場で決定すべきものです。実際には労働者一人一人と使用者が個別に細かく決定することは少なく使用者から就業規則を示され同意する場合が一般的です。この場合には就業規則に記載されていない事項で後日問題となりやすい事項について別に取り決めをしておくことが適切です。なお、労働条件の取り決めの効力の優劣関係は「労働協約>就業規則>労働契約」となり、 後者は前者に反してはなりません。
労働条件の原則
労働基準法第1条で定める原則です。労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営める内容であることが必要です。労働基準法の規定があることを理由に労働条件を低下させてはならず、むしろそれを上回る様に努力する義務が当事者にはあります。
労働条件の明示
労働契約を締結する際に、使用者は労働者に労働条件を明示するよう義務付けられています。明示すべき主な事項は(1)雇用期間(2)就業場所・従事業務(3)始業・終業・休憩・休日等の労働時間(4)賃金の計算・支払期日・締切日等の賃金事項(5)退職事項(6)残業の有無などで、通常、労使間で問題となりやすい事項です。特に(1)~(5)については書面(雇入通知書)に書いて渡す必要がありますが、当該事項が書かれた就業規則を一緒に渡すことで記載事項を少なくすることも出来ます。

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ワークシェアリング
雇用機会、労働時間、賃金の3要素の組み合わせを変化させることにより、一定の雇用量を、より多くの労働者で分かち合うことをいいます。企業にとっては、多様な働き方を希望する有能な人材を確保でき、労働時間や賃金制度を見直しするチャンスでもあります。また、労働者にとっては育児、介護、自己啓発、ボランティア活動などの時間を確保できるメリットがあります。
ワーク・ライフ・バランス
ここ数年増加しつつある長時間労働による過労死や過労自殺の問題を解決するには、仕事Workと生活LifeとがバランスBalanceを保って調和Harmonyしていることが重要です。そして、働いている人それぞれの個性や意欲に応じて能力を十分に発揮でき、仕事も生活もともに充実していると実感できる状態をいいます。

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ワークエンゲイジメント
職場の活性化、個人の活性化、の観点から、仕事と個人との関係性をもっと積極的にとらえ直そうという概念として提唱されています。ワークエンゲイジメントは、活力(仕事に対して積極的に努力する高いエネルギー)、献身(熱意、プライド)、没頭(集中し夢中になっている)、で構成されており、「仕事にやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て職場でもプライベートでも活き活きしている状態」をさす概念です。