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メンタルヘルス対策支援センター
(岩手県)
相談員 今松 明子
こころの支援に関わっている現場担当者からの生の声をお伝えいたします。
多岐にわたる相談に対応して
メンタルヘルス対策支援センター(岩手県) 相談員 今松 明子
岩手県は広い。四国とほぼ同じ面積と言われている。この広い岩手県を東北新幹線、東北自動車道が縦断している。南北への移動は岩手メンタルヘルス対策支援センターが位置する盛岡市を中心にどんな交通手段を選んでも極めて便利だ。しかし、横断となると公共交通機関を使っては効率的とは言えない。特に片道100Kmを超える沿岸部への移動は車でなければなかなか難しい。
当支援センターの相談員、促進員はじめ、職員はアクティブに広大な県内を走りまわっている。
震災から早1年半になろうとしている。震災当初は沿岸にある事業所に対する対応の相談が多かった。そして被災を受けた従業員のケアについての相談や直接的に被害がなかった従業員へのケアに対する研修など、時間と共に内容に変化はあるが、現地に出向き対応することも少なくなかった。
世の中の動き・景気、これまでの地道な活動、目覚ましい活動等が相まって、ここ2,3年急激に当支援センターの知名度が高くなったように思われる。そうした中で最近増えてきた相談から代表的なものをご紹介したい。
その多くは、職場復帰に絡むトラブルに関するものだ。多くのケースが休職、復職に関する項目を就業規則等に規定していなかった事や休職者への説明が不十分だったことに起因しており、必要な規定を整備し、説明をきちんと行うことで未然に防げるものであった。
「うつ病で数ケ月間休職をしていた従業員が復職可能との主治医の診断書を持って来た。心配だったが診断書に従い復職させた。ところが人に会いたくないといい以前の仕事に戻せず、誰とも会わない、誰とも関らない単純作業を作り出しやらせている。今後どうしたものか。」という総務責任者からの相談。産業医もいないので主治医の診断書とおり復帰させるのが当然と思っていたところ、今回の問題につながったという事例である。
このようなケースはここ一社だけのことだけでなく、規定整備の必要性は理解していても、日常的に他の業務に追われ、実例が出るまで手をつけていないというところは多いかもしれない。
その他、定められた休職期間についての説明をしていなかったために起こったトラブルや、反対に事前に休職期間について説明をしていても、十分に回復していないにも関わらず無理して復帰し、その後も何度も休職を繰り返しているという従業員の対応についての相談などもある。また、工夫しながら指導をしているが期待度に到達することが出来ない部下について、メンタル的問題を疑い精神科受診を勧めたが拒否をされ、対応に困り相談に来たということもあった。
相談は多岐にわたる。今後ともメンタルヘルス不調の未然防止から職場復帰支援までメンタルヘルス全般の取組みの課題解決に微力ながらお手伝いしたいと思っている。
※平成26年4月に「メンタルヘルス対策支援センター」事業は、「産業保健総合支援センター」に一元化されました。
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