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第7回 木村 政雄さん

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第7回 木村 政雄さん
フリープロデューサー
メンタルヘルス・ポータルサイト委員会委員

人生は長い、最後に笑えればそれでいい

 優勝回数と通算勝利、一体どちらに価値があるのでしょう?大関魁皇の通算1000勝達成のニュースを耳にして、ふとそんな思いに駆られました。

 ともすれば派手な優勝回数に目を奪われがちなのですが、長年にわたってその業界に貢献続けることも、同じように、いやそれ以上に貴重なことだと思うのです。

 あなたは大潮という力士を知っていますか?満40歳で引退したこの力士、通算出場1891回は全大相撲力士中第一位。通算勝利964勝は第3位なのです。

 最高位が小結で敢闘賞と技能賞が各1回、私は、名前を聞いたことがあるような気はしたものの、ついに顔を思い出すことは出来なかったくらいです。もっとも、のべ黒星数が927敗というのですから、それほど強い力士ではなかったのかもしれません。幕内昇進が13回の記録保持者だそうですから、十両と幕内を行き来する程度の力士だったのでしょう。   そんな力士が天下の名横綱である北の湖や大鵬、貴乃花よりも多くの勝ち星を重ねているのです。まさに「無事是名馬」を地で言ったような力士だと言えるかもしれません。この大潮、足を負傷した時ばかりは、さすがに幕下まで陥落してしまったのですが、それまで以上の節制と努力を重ねて幕内に帰り咲いたといいますから、メンタルなタフさも兼ね備えていたということなのでしょう。もちろん、幕内時代よりもいい食事を出して彼の奮起を促した奥さんの存在も見逃せません。

 力士を志した以上、毎場所優勝候補に上るような活躍をしたいと思うのは当然の事です。でもそれは、誰もが成しえることでは有りません。それなら、いっそマインドセットを変えて、大潮関のように「長く活躍する」ということを自軸に立ててみるのも良いかも知れません。第一、早く出世をしてしまったら、地位の権威を守るために引退の時期が早まったかもしれません。

 何より大切なことは「他人から見た外側の常識」に身を拘束されて一喜一憂をしないで、長いライフプラン、通算記録を伸ばすことを考えるということなのではないでしょうか?力士の通算記録を見て、そんなことを考えました。