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株式会社フクネツ
(福岡県篠栗町)

永島さん フクネツは1969年(昭和44年)設立。金属熱処理および機械研削加工とそれらに伴う製品の販売を行っている。
従業員数は109名(2026年1月現在)。
今回は、代表取締役の永島誠一郎さんからお話を伺った。
ストレスチェック後の集団分析結果を踏まえて、仕事の質的なストレス負荷が高い職場で上司の支援を高めるための対策を行うなど、職場環境改善にも積極的に取り組んでいる。
まず、ストレスチェックの実施状況とメンタルヘルス対策全般についてお話を伺った。
ストレスチェックは地元の健康診断機関に外部委託して紙方式で実施しています 「ストレスチェックの実施は、健康診断と産業医業務をお願いしている地元の健康診断機関に外部委託しています。項目は、職業性ストレス簡易調査票の57項目を採用しています。実施の流れとしては、総務部の担当者が全従業員に質問紙を配布し、それぞれが回答し封書に入れた状態のものを回収し、健康診断機関にまとめて送っています。その後、一人ひとりの個人結果と、セルフケアとしての相談先などが書かれた紙が封書に入った状態のものが健康診断機関から総務部の担当者に届きますので、各自に配布し、一人ひとり確認してもらう、という流れで運用しています。」
「高ストレス者には、医師による面接指導の案内も同封しています。医師による面接指導を希望する場合は、総務部の担当者に申し出てもらい、健康診断機関の医師が面接指導を行うという体制になっています。ただ、これまで面接指導の申出はありません。」
仕事の質的なストレス負荷が高い職場で上司の支援を高めるための対策を行うなど、集団分析結果も踏まえた職場環境改善も実施しています 「職場ごとの集団分析も毎回行っています。管理職も出席する経営会議で、総務部長が集団分析結果に関する報告を行っています。当社は、全体的にみればストレス負荷や“総合健康リスク”が低い傾向にありますが、その中でもよりよい職場にするための職場環境改善の取組みを実施してきました。たとえば、研削加工業務は、ミクロンレベルの精密な仕上げが求められることもあり、仕事の質的なストレス負荷が高い業務です。加えて、集団分析結果から、“上司の支援”がやや低く、“総合健康リスク”も全体に比べるとやや高いことがわかりました。そこで、その部門の中で新たに管理職を増やすなどして、部下への支援を充実させるといった対策を行いました。」
協会けんぽに依頼して、従業員全員を対象にメンタルヘルス研修を無料で実施しました 「メンタルヘルス研修は、定期的に行っています。先日も、協会けんぽに依頼して、全従業員を対象に、4回に分けてメンタルヘルス研修を実施してもらいました。協会けんぽに依頼すると無料で実施してもらえます。そのほか、定期健康診断後の有所見者への個別面接指導や、運動や食事面での健康セミナーも協会けんぽに実施してもらっています。」
社内外に相談窓口を設置して従業員に周知しています 「従業員が相談しやすい環境をつくるために、社内外に相談窓口を設置しています。社内の相談窓口は、総務部門が担っています。社外の相談窓口は2つあり、1つは、5年前からハラスメント研修を毎年お願いしている弁護士の方、もう1つは、毎月安全衛生委員会内で健康に関する研修を行ってもらっている外部の健康経営アドバイザーにお願いしています。これらの相談窓口を従業員に周知しています。」
健康診断の有所見率が増加傾向にあったことから、健康への意識改革を行うために、健康に関する研修を毎月行ったり、健康アプリを導入したりするなど、健康経営活動に積極的に取り組んでいる。
次に、健康経営に取り組むこととなった経緯と取組内容についてお話を伺った。
従業員の心と身体の健康が最も大切だと考え、2021年に福岡県による健康づくり宣言を行いました 「会社が成長するためには、従業員の成長が不可欠であり、その大前提として、従業員の心と身体の健康が最も大切だと考えています。しかしながら、健康診断の有所見率が年々増加傾向にあり、今後に向けた対策の必要性を感じるようになりました。そこで、健康への意識改革を行うため、福岡県による“ふくおか健康づくり団体・事業所宣言”を2021年5月に行いました。それ以前から行ってきた、実施義務対象外の従業員も含めた全従業員に対する健康診断やストレスチェックの実施に加えて、ラジオ体操を朝礼前1回から朝礼前・昼休憩後の2回へと変更、インフルエンザワクチンの半額補助から全額補助への変更および会社での集団接種など、様々な取組みを行っていました。」
さらに健康経営推進の組織体制を整え取組みを推進したことで、2022年には“ブライト500”の認定を受けました 「“ふくおか健康づくり団体・事業所宣言”を行う中で、地域の銀行担当者から、外部の健康経営アドバイザーの紹介を受けました。健康経営アドバイザーの話を聞くと、当社の取組みにはまだ伸びしろがあるということでしたので、さらなる取組みを進めるために、経済産業省による健康経営優良法人認定に向けてキックオフしました。2021年10月には健康宣言を行い、社員のこころとからだの健康を守るという決意を示し、安全衛生委員会の中に健康経営推進の組織を組み込むなど体制を整えました。」
「健康経営の取組みとして、生命保険会社が無料で提供している健康アプリに、各自の同意を得たうえで全従業員の健康診断結果を登録し、従業員自らが現在の健康状態や健康リスクの将来予測を気軽に確認できるようにしたり、今後の健康増進に向けた目標管理などを行ったりできる環境を整えました。“体重”、“歩数”、“禁煙”などの目標も設定することができ、毎日の健康活動も記録することができます。また、睡眠時間のアンケート調査や、体力測定による健康状態の確認なども適宜行っています。こうした取組みから、従業員一人ひとりの今の健康面の課題を抽出し、さらなる対策を講じ、有所見率の低下につなげています。」
「こうした取組みを進めてきた結果、申請初年度の2022年度から“健康経営優良法人ブライト500”を取得することができました。以降も引き続き健康経営優良法人として認定をいただいており、2025年度には“健康経営優良法人ネクストブライト1000”、そして2026年度は再び“健康経営優良法人ブライト500”の認定をいただきました。」
「健康経営優良法人として認定されるメリットはさまざまあると実感しています。その一つに、外国人従業員のビザ更新手続きが簡素化され、在留期間が最長5年に延長されるといった点があります。当社では、10名のベトナム人を雇っており、今年から新たに2名のミャンマー人を雇う予定ですが、健康経営優良法人として認定されたことによって、申請提出書類が大幅に減り、申請作業に費やす労力が削減できました。その他、福岡県の入札参加資格審査における加点対象にもなるので、入札に有利に参加できることもメリットだと考えています。」
健康に関するさまざまなテーマについて、毎月外部の健康経営アドバイザーによる研修を行い、内容やスライドは社内外に情報発信しています 「また、社外相談窓口をお願いしている健康経営アドバイザーに、2022年5月から月に一度のペースで、健康に関する研修を安全衛生委員会などの中で行ってもらっています。食事や運動、睡眠、メンタルヘルスなどに対して、従業員自らが関心を持ち、生活習慣を改善していくことが、健康への近道だと考えています。そのため、従業員一人ひとりの健康への意識を高めていくことを目指して、健康に関するさまざまなテーマについて毎月話を聞く機会を設けています。研修のスライドや内容は会社のホームページに掲載しており、社外の方でも閲覧いただけます。社内外に積極的に情報発信し、健康に関するリテラシーを高めることにも取り組んでいます。」
事業所内にある飲料自動販売機の売上分は、健康経営やメンタルヘルス対策の取組費用に充て、従業員に還元しています 「事業所内にある飲料自動販売機の売上分は、総務部門で管理して、従業員向けの活動などに使っています。最近は、自動販売機メーカーのアプリを利用した歩こうフェス開催や、地域のウォーキングイベントへの参加費用など、健康経営やメンタルヘルス対策の取組費用に充てています。従業員自身が払った費用ですので、会社の雑収入で納めるのではなく、従業員により良い形で還元したいと考えています。」
設備投資ができるのも従業員一人ひとりの活躍があってこそなので、従業員の健康を第一に考えています 「1,000℃を超える熱と向き合う当社の現場は、決して楽な環境ではありません。しかし、そこから生まれる製品は日本のものづくりに欠かせない誇り高いものです。だからこそ私たちは、現場で奮闘する従業員皆の健康を第一に考え、より良い作業環境を整えていかなければなりません。設備投資ができるのは会社が利益を生み出しているから、そしてその利益を得られるのも従業員一人ひとりの活躍があってこそです。従業員の健康と成長が会社の発展に直結する。そんな好循環を創り出すため、これからも健康経営・メンタルヘルス対策を推進していきます。」
【取材協力】株式会社フクネツ
(2026年3月掲載)
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