株式会社アイガ(愛知県名古屋市)

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株式会社アイガ
(愛知県名古屋市)

株式会社アイガは、1999年(平成11年)創立。ITエンジニアのアウトソーシング事業を中心にWEBプロモーションサポートサービス、教育事業などITビジネスを軸に多彩な事業を展開している。
アイガの従業員数は約160名(2021年4月現在)。平均年齢は約27歳。
今回は、アクティブサポート事業部にて管理栄養士などの資格を持つ本多勝さんからお話を伺った。

従業員を大切にすることが会社の利益に直結するという考え方のもと、他の役割で入社した専門職でチームを作り健康経営の取組みを推進している

まずは、健康経営に取り組むに至った経緯や体制について、お話を伺った。

「もともと“健康経営”ということを意識して取り組みはじめたわけではありませんでした。当社の従業員の多くを占めるITエンジニアは、契約形態が様々であり、クライアント先に常駐する客先常駐型もいます。そのため、メンタル状況やモチベーションなどの変化を把握しにくいといった課題があり、以前からメンタルヘルス不調になる者もいました。それを予防しようという考えと、“従業員を大切にすることが会社の利益に直結する”という考え方が、当社のベースとして形成されてきました。」

「その後、新たにアスリートに栄養指導をする事業が立ち上がり、管理栄養士などの専門職が多く入社しました。専門職が社内にいる環境になってきたことで、社内の従業員に対しても健康面のサポートができないかと、健康的な食事のとり方や運動の仕方などを社内のSNSで定期的に発信したり、運動のイベントを企画したりするようになりました。」

「そして、せっかくこうした取組みを続けているのだから、形に残るものにしようという動きになり、健康経営優良法人の認定を目指して、2019年10月にチームを作りました。安全衛生委員会の下に“健康経営チーム”を作り、COOがトップ、その下に私、その下に専門職が3名います。私は管理栄養士と健康経営アドバイザーの資格を持っています。他の3名は、保健師、健康運動指導士、管理栄養士の資格をそれぞれ持っています。」

「チーム結成後は、健康経営優良法人の申請書類に基づいて、できていることとできていないことを洗い出し、細かく実施していきました。また、申請書類の項目にはなくても、当社として健康面で課題だと感じていることはイベントやプロジェクトなどを通じて重点的に取り組むようにしました。申請に向けて準備を始めてみると、多くの項目はすでに実施している活動であったことが分かり、健康経営のベースは昔からあったのだということを実感しました。」

「2021年3月に“健康経営優良法人2021(ブライト500)”の認定をいただきました。そのことが新卒採用の活動にも良い影響が出ているようであり、他の企業様からも問い合わせを多くいただき、効果を実感しています。」

ストレスチェック結果を組織改善にも活用できるツールを導入し、部署ごとの傾向や課題を洗い出し、対策につなげている

次に、ストレスチェックの取組みについて、お話を伺った。

「ストレスチェックは以前から実施していました。ただ、本人には個人結果として、ストレス状況のフィードバックがある一方で、経営層には集団分析結果をより詳しく理解できるストレス状況のフィードバックがないことが当社の課題となっていました。そのため、経営層からもストレスチェック実施の意味を問われていました。そこで、より効果的にストレスチェック結果を、組織や個人に活用できるツールを探し、2019年から導入しました。」

「新たに導入したツールでは、ストレスチェックの必須項目に独自の項目を加えた141項目で実施しています。ストレス負荷の大小だけでなく、なぜストレスを抱えているのかを個人および組織分析できるようになりました。具体的には、ストレスの要因が、仕事内容からきているのか、プライベートの問題なのか、寝不足によるものか、首肩腰からくるストレスなのか、などの詳細が分析できるようになりました。また、ツールの提供業者で収集している大量のビッグデータから、全国や同業他社と比較することができ、当社がどのくらいの健康度なのかということもわかるようになりました。」

「ストレスチェック制度の実施義務は年1回ですが、当社では年2回、半年ごとに実施しています。社内の状況を本質的に見ていくためには、なるべく実施回数が多い方がいいと考えています。一方で、実施回数も設問数も多いと回答率が上がらなくなってしまいます。そのため、従業員には実施の意図をしっかり説明した上で年2回行うこととしました。2020年の実施率は100%と全従業員が受検しました。結果を分析した上で、個人や組織の改善につなげるようにしています。」

「実施後の具体的な流れとしては、まず、私の方で、部署ごとの傾向や課題を洗い出し、全部署分のレポートを作成します。そして、各部署のマネージャーにフィードバックを行い、対策を考えてもらいます。また、このツールでは、離職のリスクも分析できるので、その要因も考えた上で伝えています。上司が原因になっていると思われる場合も率直に話しています。離職リスクの高い従業員がいる時に、要因を洗い出して改善できるかどうかで実際の離職リスクは変わってくると思うので、組織診断ツールを活用しながら、職場環境改善活動に取り組んでいくことが大切だと考えています。」

「職場環境改善の具体的な取組みとしては、役職者に対して、保健師やカウンセラーが講習を実施しています。部下のメンタルヘルスマネジメントやケアする方法・考え方、セルフケアに関する知識などを身につけてもらっています。また、社内と社外に相談窓口を設置しています。社内は、安全衛生委員会のメンバー全員に相談業務を担当してもらっています。相談しやすい相手は従業員によって違うと思いますので、幅広く設定しています。また、産業医にも相談できる体制にしています。」

「その他、会社全体のセルフケアのリテラシーを上げるために、メンタルヘルスマネジメント検定の合格者に資格手当を出しています。資格によって手当のランクが異なるのですが、メンタルヘルスマネジメント検定の場合は、最大3年間、毎月8,000円の資格手当を上乗せしています。資格手当の対象としている資格の多くは、当社の業種からもIT系がほとんどなのですが、メンタルヘルスマネジメント検定を対象にしたところ、多くの従業員に興味を持ってもらえたようで取得者が多くなりました。会社全体的に、セルフケアに対する感度も高くなっていると思います。実際に、メンタルヘルス不調による休職者の数も明らかに減ってきています。」

社内SNSで情報発信したり、オンラインライブ配信を実施したりすることで、コロナ禍でも工夫しながら、健康に関する情報を従業員に随時届けている

最後に、従業員の健康に関する様々な取組みについて、お話を伺った。

「当社では、“睡眠”と“首肩腰”を重点項目として挙げて取り組んでいます。睡眠については、当社の従業員のうち日中眠気を強く感じる者が69%いるという調査結果が出ています。仮に、1日1時間眠気を感じている従業員が7割いるとすると、年間4,000万円くらいの損失という計算になります。この点を放置しておくことは会社としてのリスクでもありますので、睡眠に関するセミナーを開催したり、社内SNSや全社ミーティングの際に睡眠に関する情報を発信したりしています。」

【図1】おうちでトレーニング「また、毎週火曜日と木曜日の業務終了後には、“おうちでトレーニング”というオンラインライブ配信を実施しています。私が、筋トレやストレッチの仕方について実演しながら紹介しています。従業員は自宅でライブ配信を見ながら一緒にやってもらっていて、従業員からのコメントを私が読み上げながら進めています。この企画に何回以上参加したらインセンティブを付けるといった工夫もしています(【図1】参照)。他には、YouTubeのようにテロップをつけて健康に関する動画を作成して社内SNSで配信したり、マインドフルネスやストレッチなどの動画コンテンツを従業員に定期的に見てもらったりもしています。」

「コロナ禍となり、在宅勤務が多くなったことで、社内のコミュニケーションの活性化も課題だと感じています。そのため、オンライン上でできるコミュニケーション活性化策は一通り実施しました。ただ、当社では従業員が約160人いるのですが、多く参加するメンバーは3分の1くらいで、残りの3分の2をどのように巻き込むかということが課題だと感じています。私ばかりが中心となって発信していると飽きが生じるので、発信者を変えたり、タバコや女性の健康など新たなテーマを加えたりして、幅広いメンバーに参加してもらえるように工夫しています。今後も引き続き取り組んでいきたいと考えています。」

【ポイント】

  • ①従業員を大切にすることが会社の利益に直結するという考え方のもと、他の役割で入社した専門職も加わってチームを作り健康経営の取組みを推進している。
  • ②ストレスチェック結果を組織改善にも活用できるツールを導入し、部署ごとの傾向や課題を洗い出し、対策につなげている。
  • ③社内SNSで情報発信したり、オンラインライブ配信を実施したりすることで、コロナ禍でも工夫しながら、健康に関する情報を従業員に随時届けている。

【取材協力】株式会社アイガ
(2021年10月掲載)