メンタルヘルス不調からの回復にとって、心身の休養は、専門家による治療と車の両輪にたとえられるほど非常に大切です。病気の種類や重症度によっては、仕事を続けながら通院治療を重ねることで改善する例もありますが、無理をして勤務を続けたために病状がひどくなり、回復に時間がかかってしまうことは非常に多いものです。主治医から仕事を休んで治療することを勧められたら、それに従うのが賢明です。
メンタルヘルス不調は、多くの場合、集中力や判断力の低下をもたらします。ですから、職場に迷惑をかけられないという気持ちから仕事を続けても成果はあまり上がりませんし、むしろ、ミスが多くなったり、不安全行動を起こしてしまったりして、かえって職場の仲間に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
うつ病では、次のような悪循環(負のスパイラル)に陥りがちであることがよく指摘されます。
仕事を頑張ろうと思っても頑張れない状態に陥っているにも関わらず、目の前の仕事をこなさないとさらに仕事が溜まり、つらさが増していく。そのため、休みたくても休めない。でも、休まないと病状がよくならず、頑張れない状態が続いてしまい、仕事がさらに溜まっていく・・・。
そこから逃れるためには、一時的に上司や同僚に仕事を預けて、休業に入ることが重要なのです。
しばらく休業することになったら、仕事は一切せず、仕事から気持ちを切り離して、ゆっくり休養するようにしましょう。
症状が軽快し、早く復帰したいと思うこともあるかもしれませんが、その場合でも職場復帰のタイミングを図ることは大切です。自分の判断だけで話を進めるのではなく、主治医によく相談しましょう。
一般的に、メンタルヘルス不調の回復には時間がかかります。必要な休養期間が半年から一年以上に及ぶことも稀ではありません。休業期間が長くなると、どうしても焦りが生じやすくなります。家族の方にとっても同様かもしれません。メンタルヘルス不調の症状として、焦る気持ちが生じることがあり、回復を遅らせていることもあります。
しかし、焦って職場復帰を試みても、症状が再び悪化して、結果的に再休業に至ったりしてしまうと、そのまま休業を継続していた場合よりも働けない期間が長くなってしまうこともあります。