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こころの耳Q&A 検索結果

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会社のストレスチェックを受けたら、高ストレスという結果で、医師による面接指導を勧められました。私自身はストレスや疲れを感じていないのですが、面接指導を受けた方がいいのでしょうか。

大きなストレスがかかっている時は、自分自身の体調を適切に評価できず、気づいた時には重症化していたということがあります。ストレスチェックはご自身の状態に気づいてもらうために受けていただくものです。もしかしたら、ご自身の気づいていない部分で、ストレスがあるかもしれません。今のご自身の状態を把握するために面接指導を受けることをお勧めします。

労働者200名程度の中小企業の事業主です。過重労働者の面接指導で、対象者の基準を決めたいのですが、どのようにすればよいでしょうか?

長時間労働を行う者に対する産業医等の医師による面接指導は、労働安全衛生法の規定によりすべての事業主(会社)に課せられた義務として行われますが、その対象者は労働時間が「1週間当たり40時間を基準として、これを超えた時間が1か月当たり80時間を超えている」場合で「疲労の蓄積が認められる」者とされています。この場合の時間外労働には休日労働時間も含みます。また、この面接対象の基準に該当しない従業員であっても健康への配慮が必要な者については、会社は面接指導又はそれに準ずる措置を行うように努めなければなりません。この対象として、1 時間外・休日労働が月80時間を超えている者、2 時間外・休日労働時間が月45時間を超える労働者で、健康への配慮が必要と認めた者、が求められています。

また、研究開発業務従事者については、時間外・休日労働が月100時間を超えている者、及び時間外・休日労働が月80時間を超えており疲労の蓄積がある面接を申し出た者、高度プロフェッショナル制度適用者については、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた時間について月100時間を超えた者について、面接指導の実施が義務付けられています。

面接指導に準ずる措置としては、例えば保健師等による保健指導を行うことや、チェックリストを用いて疲労蓄積度を把握した上で、事業場における健康管理について産業医から助言指導を受けるとともに産業医面接の対象者を絞り込む、などが考えられます。

これらの基準は事業場の衛生委員会等で審議しておくことが望まれます。

疲労の蓄積度というのはどのように測るのでしょうか?

疲労の蓄積度は、現在のところ厚生労働省が公表した「労働者の疲労蓄積度診断チェックリスト」を用いて測定されるのが一般的です。労働者の疲労蓄積度診断チェックリストには、「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」と「家族による労働者の疲労蓄積度チェックリスト」があります。また、インターネット上でできる「働く人の疲労蓄積度セルフチェック」(こころの耳サイト内)もあります。

しかし、自覚症状と勤務の状況評価が乖離する場合もあるので、過重労働に係る面接指導では医師による問診結果も総合して評価されます。

従業員35名の事業所です。過重労働対策は必要でしょうか?

過重労働対策は、事業者が講ずべき措置とされており(「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」令和2年4月1日基発0401第11号・雇均発0401第4号)、人数にかかわらず実施する必要があります。

事業場で産業医を選任しておらず、面接指導を実施する医師を確保することが困難な場合には、地域産業保健センター(地さんぽ)を活用することができます。

医師の面接指導の対象となる労働者には、どのような条件があるのでしょうか?

面接指導の対象者は、労働時間が「1週間当たり40時間を基準として、これを超えた時間が1か月当たり80時間を超えている」場合で「疲労の蓄積が認められる」者とされています。ただし、医師の面接指導は月の労働時間を把握してから行われ、早くても翌月の実施となるため、おおむね2か月分の状況を踏まえた面接となることから、医師が必要ないと認めた場合は2か月連続で受ける必要はありません。また、健康診断結果や疲労蓄積度チェックリストの結果等に基づき、医師が、健康上問題がないと認めた場合も対象としなくてよいこととされています。

なお、いずれの場合も労働者からの書面や電子メール等による申出に応じて面接指導が行われることになっていますが、事業者は、1 労働者が自己の労働時間数を確認できる仕組みの整備と、時間外・休日労働時間が月80時間を超えた労働者本人に対しその超えた時間に関する情報の通知、2 申出様式や申出窓口の設定等の体制整備および申出記録の保存、3 作業者への申出体制の周知、を図る必要があります。さらに申出を行うことによる不利益な取扱いの禁止などが必要になります。ただし面接基準に該当する者の全員を対象として呼び出す場合に限り、面接拒否をもって申出がなかったものとみなしてよいこととされています。これらの基準は事業場の衛生委員会で審議しておくとよいでしょう。

また、家族や職場の者が労働者の不調に気がついて相談や情報を受けた事業者は、プライバシーに配慮しつつ当該労働者に面接指導を受けるよう働きかけることが望まれます。あるいは、産業医が健康診断結果や、家族や職場の者からの相談や情報を受ける等により、面接指導を受けることが適当と判断した場合は、当該労働者に申出を行うよう勧奨することが望まれます。

長時間労働している従業員がいるので、医師による面接指導を受けさせたいのですが、どのようにすればいいでしょうか?

長時間労働している従業員に対して、医師による面接指導等を実施するためには、衛生委員会等でその手続きの流れや対象者の基準などの事項を調査審議した上で整備する必要があります。面接指導をする医師は、事業場に産業医が選任されていればその産業医と連携するとよいでしょう。また、選任されていなければ地域産業保健センター(地さんぽ)を利用することができます。なお、面接指導をする医師は、上記の他にかかりつけ医、病院・診療所の一般の医師でもよいこととなっています。

面接指導を受けさせるためには、労働者と管理監督者に過重労働による健康障害防止の必要性をしっかりと理解させるよう事業場内での啓発活動を行うことが肝要です。

面接指導後の医師の報告書にどのように対処すればいいでしょうか?

過重労働の面接指導を終えた医師からは、報告書(書式例)が事業者に向けて提出されます。この内容に対して、事業者はその実施の必要性を勘案し適切な対応をする必要があります。

労働安全衛生法第66条の8第5項「事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない」とあることから、当該労働者の作業環境、作業条件、健康管理の観点から、指示事項を参考にして措置を講じる義務があるのです。

医師による指示事項が具体的でなかったり、労働者や職場の実情から実施困難であるような場合には、医師の意図するところを適切に理解したうえで実施可能な内容の措置を講じることになります。実施においては、事業者は本人と面接し、医師からの報告書の内容を伝えるとともに、これから実施する措置内容と措置期間等について説明をし、本人の理解と同意を確認しましょう。また措置期間の終了時には、再度同医師による面接を実施して今後の対応措置について当該医師に相談しておくとよいでしょう。

面接指導の記録を会社はどのように管理すればよいのでしょうか?

面接指導の記録は、法的にも事業者の責任で管理が必要です。具体的な管理手順については、産業医を選任している事業場(50人以上の労働者がいる場合)と産業医選任していない事業場とでは、おそらく手順に違いが出てきますので、両者に分けて考えてみたいと思います。

産業医が選任されている事業場の場合は、面接指導記録の保管は産業医の主導にて行うのがいいでしょう。面接指導記録は、通常産業医によって作成され、内容には業務上の事項や個人の健康問題、機微な情報等も入る可能性があります。以上から、面接指導記録も定期健康診断記録と同様の管理レベルの扱いをすることとして、産業医の管理下におくことをお勧めします。実際の保管場所ですが、産業医が非常勤の場合なら人事部等のキャビネの一部を借りて、そこに健診や面接指導等を含めた健康情報等を保管します。キャビネの鍵は、人事部の特定の人が管理することにして、キャビネに保管されている情報へのアクセス権については、産業医以外に、産業医の了解の元で、人事部の特定者のみがアクセスできるようにしておくとよいと思います。

産業医を選任していない事業場では、面接指導記録は地域産業保健センター(地さんぽ)の所属医師や事業場との契約医師等によって作成されます。面接指導の記録がどのようなメディア(メール、紙面)で事業場に届くかにもよりますが、到着した記録は人事部情報として特定の指名された人が保管するのがいいでしょう。いざというときには、さっと引き出せて参照できる機能が必要です。

なお記録の保存期間は5年間です。

会社の衛生委員会の活動の中に面接指導の結果をどう反映すればいいでしょうか?

事業者は、「医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない」(労働安全衛生法第66条の8第5項)とされていることから、医師による面接指導の結果については定期的な衛生委員会への報告が必要です。また、面接指導の内容や結果については個別性が伴うので、委員会への報告の際にはプライバシーに配慮することが必要です。判定区分ごとの該当人数にとどめる、職場単位ごとに集計する、というように、何をどのように表現して報告するかについては事前に衛生委員会事務局と産業医とで打ち合わせをしておきましょう。面接指導対象者に、疲労度調査や問診等を実施している場合、集計し、疲れや体調の傾向についてコメントするのもいいでしょう。

面接指導はあくまでも長時間労働の結果として発生した事後措置に過ぎません。衛生委員会で重要なことは、委員全員がつねに事業場内の長時間労働の実態について把握し、その対策について話し合い、実行することです。

会社が契約している相談機関の電話相談やメール相談を利用したいのですが、相談内容などは会社に分かってしまうのでしょうか?

会社が契約している相談機関などでは一般的に、問題解決のために相談・助言・援助を行うための専門的訓練を受けた公認心理師や臨床心理士などの有資格者が対応します。これらの専門家は、相談者の人権や生命を守るために遵守すべき職業倫理についても十分に教育を受けていますが、なかでもこの職業倫理において特に重要な項目の1つに『守秘義務』があります。

『守秘義務』とは、職務上知りえた秘密や相談内容を正当な理由なく他人に漏らしたり利用したりしてはならないというものです。医師などの医療関係者の場合は刑法などに定めがあり、さらに労働安全衛生法にも健康診断や面接指導の実施の事務に従事した者に対して守秘義務が定められています。カウンセラー資格の1つである公認心理師も国家資格ですので、他の医療業務従事者と同様、倫理的義務だけでなく法的責任も負っています。

相談に当たっては、何よりも相談者と専門家との間の信頼関係が基礎となります。これを保障するのが守秘義務です。この義務に違反すれば、信頼関係が壊れ、相談自体が成立しなくなります。

時間外労働の多い働き方をしています。自分はそれほど負担とは思っていませんが、毎月のように産業医の面接に呼ばれます。意味があるのでしょうか?

時間外労働の多い生活をしていて負担とは感じないということですから、気力・体力ともに充実した素晴らしい労働生活を送っていることと思われます。ただし、注意していただきたいのは、このようなときは仕事に集中しているばかりではなく、もしかすると疲労や身体症状への自覚がないだけかもしれない、ということです。

長時間労働による心身の疲労は自覚できない場合も多く、従業員の健康状態と職場の状況をよく知る産業医による、客観的な視点での問診が決め手となって見つかることも少なくありません。また、若い時はがむしゃらにできたことも、年を経るに従い体力の衰えや、背負った責任の重さなどの周辺事情が変化して、知らず知らずに重圧となっていることもあります。血圧変動や睡眠リズムの乱れはもとより、食生活の乱れや体重変動なども身体バランスを崩すきっかけとなる可能性があります。また、長時間労働が恒常化していると、何かのきっかけで急速に抑うつ状態に陥る危険性もあります。毎月産業医面接に呼ばれるということは、会社も産業医もあなたの健康を心配してのことと思われます。ぜひ産業医の面接を受けていただき、心身の状態をご自分でも把握できるよう、いろいろと相談してみてください。