仕事量は多くても同僚との関係には問題がなく、そのために同僚への気づかいもあって辞める決心がついていないのかも知れませんね。迷いがあると思いますが、まず今の職場で働くメリットとデメリットの両方の視点から整理をしてみてはどうでしょうか。
また、今後のあなたを取り巻く環境の見通しも考えてみましょう。具体的には、現在の職場で上司に相談してみるなど仕事の改善が見込めるか、他社の採用情報を探った上で転職は見込めそうか、という視点です。無理はなかなか続けられるものではありません。健康と仕事のバランスも大事にしてほしいと思います。
まず、辞めたいと思う理由を整理してみることをおすすめします。仕事の内容、量、人間関係について実際に起きていること、それらについての自分の気持ちなども書き出してみます。書き出す作業はあなたの信頼できる人と一緒にするとより客観的に行えて、共感してもらえることで辛い気持ちが軽くなる効果も期待できます。
職場のことについては、職場の上司や先輩などに、思い切って相談してみてはいかがでしょうか。もしかしたら、働きやすい工夫がなされるかもしれません。
また、眠れない、食欲がないなど心と身体の不調が続くようでしたら、辞める、ではなく休むという選択肢もあります。専門医の受診も検討しましょう。
いずれにしても、辞めるイコール甘えとは限りません。一人で抱え込まずに、身近な人に相談しながら考えてみてはいかがでしょうか。
こころの病気を隠しながら働かれているのですね。調子が良くない状態のまま、働き続けることは、調子の良くない状態を長期化させてしまいます。まずは、主治医や職場と相談して、しっかりと療養されることをお勧めします。体調が良くない状態が続くことは、あなたにとっても、職場にとってもあまり良いことではなく、職場の上司や人事担当者も相談を受ければ一緒に対応を考えてくれるはずです。焦る気持ちもあるかもしれませんが、まずは誰かの力を借りながら、今の病状を良くすることに集中してみましょう。
業務上必要かつ相当な範囲でなされる業務指示や指導は、職場のパワーハラスメントには該当しません。職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいうからです。
行政指針においても、「遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をする」ことは許容されるとされています。
ただ、良かれと思った指導であっても、功を奏さない場合には、自ら気付かぬうちに言動がエスカレートしてしまうものです。例えば、長時間かつ繰り返しの叱責、職場の大勢の前やメールの一斉送信の中での罵倒などは、ハラスメントへの該当性を一気に強めることになります。
自身の業務指示や指導に悩みがある場合は、上司や人事労務部門に相談するなどして、指導を仰ぐことを検討しましょう。また、近年は管理監督者研修においてハラスメントをテーマにすることが多いようですので、日ごろからそのような機会を逃さず参加することも重要です。
このような手段が職場内にない場合は、あかるい職場応援団のサイトが参考になります。ふんだんなコンテンツがあり、中でもロールプレイによる「パワハラにならない指導の仕方」の動画教材などを通して、指導上の留意点について効率よく学ぶことができるはずです。「管理職の方」向けのページを中心に、積極的に参照してみてください。
退職を検討する前にまず、職場内の相談先を探してみてはいかがでしょうか。使用者には、業務上のストレスなどの健康問題に関する一定の配慮義務があります。また、育児・介護については、社内制度を整備して働きやすくすべき義務があります。
通常は、業務負荷の調整や各種制度の利用については上司や人事労務部門に、健康問題全般については産業医や保健師に相談ができるはずです。職場によっては、外部サービスの相談窓口を設けている場合もあります。
勇気をもって対応を求めれば、思いがけない解決策を得られるかもしれません。
退職および転職しか選択肢がないという場合には、行政の支援制度を利用するとよいでしょう。
例えば、ハローワークには、マザーズハローワークまたはマザーズコーナーが併設されており、各都道府県に必ず1ヶ所は設置されています。以下のサービスを、いずれも無料で受けることができます。
・子連れでも安心の設備
・担当者制による就職支援
・子育てと両立しやすい仕事の紹介
・子育て支援に関する情報の提供
・就職に役立つセミナーの開催
厚生労働省のページも参考に、積極的に活用してみてください。
調子が悪そうな部下の声かけに苦労するケースは少なくありません。
部下の立場からすると、自分が調子悪いことに気づいていなかったり、気づいていても周囲に心配をかけたくないという感情から、医療機関を受診するという行動を起こしていないのかもしれません。
上司としてできることは、「調子が悪そうだ」という主観的な情報のみならず、「締切に間に合わない仕事が何件ある」「いつもしない〇〇というミスが今週〇回あった」といった具体的な事実に基づいて本人の状況を指摘したうえで、「心配している」「必要があれば対応したい」などの言葉を添えて、医療機関への相談を促すとよいかもしれません。
また、精神科や心療内科は、他の診療科と比べて受診することに抵抗感を強く持つ方もいます。本人がだるさや食欲の低下など身体的な病気でも生じるような症状を訴えているようでしたら、まずは内科などに受診してもらってもよいでしょう。産業医がいる職場であれば、「上司として必要な配慮があるかどうか専門家の意見を聞きたいので、産業医と面談してほしい」という形で、産業医面談につなげることも有効かもしれません。
働く人々が強いストレスで悩んでいる時に、相談したいと考える相手で一番多いのは、身近な家族や友人です。娘さんがいつもと違って元気がないようでしたら、まずはつらさの内容について尋ねてみてはいかがでしょうか。
話してくれたら耳を傾け、「そんなことはない」などと否定せずに、ご本人が感じていることが何かを理解しようという姿勢が大切です。職場環境による要因が多いようでしたら、会社の健康管理室などに相談してみるよう促してもいいでしょう。
ただ、睡眠や食欲などの問題が1週間以上継続するようでしたら、すでに何らかの疾患が生じているかもしれません。「うつ病」などという言葉は使わず、「疲れが抜けない状態がずっと続いているのが心配」などと気持ちを伝えた上で、受診を勧めてみてもいいでしょう。精神科や心療内科への受診のハードルが高い場合は、まずは、かかりつけの内科でもいいかもしれません。また、初診の時は付き添うと娘さんも安心して受診できるかもしれません。
ハラスメントは、一日の大半の時間を過ごす“職場”という逃げ場のない環境で、場合によっては長期間にわたって被害者を追いつめ、自尊心を傷つけ続ける行為ですので、その環境から離れた後も、加害者に対する怒りや恐怖の感情が蘇ったり、つらい記憶を何度も思い出してしまったり、人に対して心を開けなくなってしまったりすることがあります。人が信じられなくなったり、怖くなったりしても不思議ではありません。
しかし、たとえハラスメント被害による自然な反応だとしても、仕事も順調で人間関係も良好な職場であるにも関わらず、人を怖いと感じてしまったり、心を開きたくても開けなくなってしまうことは、とてもつらいことだと思います。
このような反応は時の経過とともに少しずつ薄れていくと思いますが、どうしてもつらいときは、カウンセリングなどを利用したり、もし職場に信頼できる人がいればその人に事情を話してみても良いでしょう。1人でも理解者がいると思えば、少し心が軽くなるかもしれません。こころの耳でも相談窓口をご用意しています(「こころの耳相談」)。
また、もし眠れない日が続いたり、体重が減るくらい食欲が落ちるなど、睡眠や食欲に影響が出ているようであれば、早めに産業医に相談したり、医療機関への受診を考えてみるようにしましょう。
例えるなら、こころの傷が完治しないまま残っている状態とも言えるかもしれません。自然なこころの反応に蓋をして無理に恐怖心をおさえようとすると、不自然な言動につながってかえって誤解されてしまう心配もありますので、自然に傷が癒えてカサブタが取れるまで、焦らず自分のペースで過ごしてみてください。
職場の人間関係やトラブルなどがきっかけで、職場に行きづらくなるということは珍しくありません。
通勤の支度ができないという億劫感や、職場を遠ざけたいという気持ちは、心身の不調に原因がある可能性もあるので、あまりご自身を責めない方がよいでしょう。
また、無断欠勤を数日してしまったからといって、直ちに辞めさせられることはありません。合理的な理由なく、みだりに解雇や雇い止めをすることは、法律上禁止されているからです。
ただし、理由は何であれ、無断欠勤は大きな代償を伴います。
ほとんどの職場で、無断欠勤の日数が重なった場合に懲戒処分の対象となります。
所定の連絡さえ行えば、休業・早退、有給休暇の取得、また、長期化するようであれば病気休暇や休職制度の利用なども可能な場合があります。
自身ではうまく連絡ができない場合は、人事労務部門等や身近な同僚、家族などにお願いする、連絡方法も、電話が難しければメールやSNSを活用するなどして、無断欠勤の状態を解消する努力だけはできるとよいでしょう。
正当に欠勤・休業している状態にさえなれば、考えをまとめたり生活を整えたりする時間を取れますし、必要があれば医療機関を受診して、心身の不調に原因があるかどうかを検査することも可能になります。
面倒かもしれませんが、周囲の力を借りながら、所属先の就業規則を確認し、適切に制度を利用していくことが重要です。
ストレスチェックの受検は労働者の義務ではありませんので、無理して受ける必要はありませんが、ご自身のためや、身近な職場の改善のための制度でもあるということを知ったうえで、受検を判断したいものです。
労働安全衛生法では、労働者が安心して受検できるような配慮が何重にもなされています。
ストレスチェックの実施の事務に従事する者には守秘義務が課せられており、また、人事権のある者はこれに従事してはならないことになっています。ストレスチェックの結果を人事査定等へ流用することは難しい制度となっており、法令のとおりに運用されていれば、安心して受検できる制度です。
所属先の担当者から説明を受け、適切な運用となっているかを確認したうえで、納得して受検できると良いでしょう。
まずは、ご家族や友人、職場の同僚や上司の方など、相談できそうな人がいたら相談してみましょう。お勤め先によっては、産業医や保健師も相談にのってくれます。身近で相談できる人がみつからなければ、こころの耳でも相談窓口を紹介していますので、こちらをご利用ください。
もし可能なら、合わせて心療内科や精神科を受診することをお勧めします。
自分が他人からどう思われているのか、どう評価されているのか、などが気になり自分の感情が揺り動かされることは珍しくないと思います。私たちの脳は、自分と他者、そして社会を結ぶ働きをしています。この働きによって、他者の心を想像し、本能的な感情をコントロールしながら仲間と協調し環境適応して、社会生活を営んでいます。そのため、他人からの批判を気にすること自体は問題ではありません。
ただ、他人の考えや言動は、他人の持ち物です。いくら考えたところで自分の頭の中には答えがありません。多くの人は、そのうち考え込むのを止めますが、もし考え続けると、睡眠や食事が通常のようにとれないなど日常生活への支障が続いたり、職業生活にも大きく影響が出てしまうことがあります。その場合は、社内の健康相談窓口もしくは社外の精神科や心療内科への相談をお勧めします。
一人で抱えないことがとても大切です。職場に相談できる人がいない場合は職場外に目を向けてみましょう。たとえば、他部署で話せそうな人はいませんか?社内外の健康相談窓口はありませんか?
身近な人、家族や友人に話をしてみるのもいいです。出来事を整理したり、自分の気持ちを吐き出したりすることで気持ちが軽くなることもあります。直接的な解決には結びつかないかもしれませんが、新たな相談先や対策が思いつくかもしれません。
また、ご自身の体調はいかがでしょうか。眠れない、憂うつな気分が続く、好きなことが楽しめないなどの症状が続けば精神科や心療内科の受診をお勧めします。
なお、こころの耳では様々な相談窓口をご紹介しています(「相談窓口案内」)。働く人の悩みやハラスメントに特化した窓口もありますので、参考にしてみてください。
一定規模以上の職場では定期的に実施しなければならない制度とは言え、毎年同じような内容のチェック項目では意味を感じられず負担感を抱いてしまう場合もあるかもしれません。
同じ項目のチェックを毎年実施するメリットとしては、経年変化を確認できることがあげられるでしょう。もともとストレスチェックは健康診断のように自分の状態を定期的に確認してセルフケアに役立てるために実施するものですから、毎年同じような項目の方が変化も一目でわかると思います。
ただし、繁忙期に実施時期が重なるなど、心身ともに余裕がない中でストレスチェックをしなければならない状況ではストレスに感じるのももっともだと思いますので、その場合は上司や人事担当者に状況を説明して実施時期を再検討してもらうのも1つの方法かもしれません。
民法では、一般的な正社員(期間の定めのない雇用契約で働く労働者)は、原則として2週間前までに退職の意思を告げれば、雇用契約を解約できると規定しています(民法第627条1項)。仮に就業規則に異なる規定がある場合でも、その所定の手続きさえ行えば、労働者には「退職する自由」が認められるといえます。それにもかかわらず退職を認めないことは、いわゆる「在職強要」として違法となる可能性が高いと考えられます。退職の手続きがどう規定されているのかについて、まずは就業規則等の内規を確認してみることが重要です。
なお、メンタルヘルス不調になると、適正な判断ができなくなることもありますので、退職を即断する前に、心身を休める機会を持つことも有益です。有給休暇の利用、病気欠勤・休業、私傷病休職等の諸制度を活用できないか、職場に問い合わせてもよいでしょう。
もし、退職の申し出に対する報復として、有給休暇の消化を認めない、退職金を規程どおり支払わないなどの違法な取扱いがなされる場合は、自らの労働者としての権利を守ることを念頭に、労働基準監督署等への相談を検討することも考えられます。
うつ病の原因は、医学的にも解明されていないことも多いのが現状です。また、うつ病の種類も、専門的に様々な考え方があります。ただ、働く人々のうつ病の発症の仕方(原因というより要因・誘因)は、3つほどに分類が可能と思います。
まずは「環境要因」です。例えば、非常に重たい責務を任されている、長時間の残業が続いている、ということから脳や身体の疲労が蓄積して、うつ病に至ってしまうものです。この場合は、治療の過程で環境の調整がとても重要になります。
次に「性格的な要因」です。専門的には心因性などと呼ばれています。気になることや心配なことを細かく考えすぎるなど、その人の思考パターンが脳の疲労に強く関係している場合です。治療では、精神療法やカウンセリングなどが重要になってきます。
そして「医学的な要因」。専門的には内因性と呼ばれています。体質と言ってもいいかもしれません。はっきりした強い要因がなくてもうつ病を発症してしまうことがあります。精神科以外の疾患でも、食生活や運動習慣に問題がなくても、高脂血症になってしまう、発がんしてしまう、という人がいるのと似たものです。治療薬により効果が出やすいとも言われています。
うつ病の発症の仕方の分類は、きれいに境目があるのではなく、様々な要因が絡み合っていることがほとんどですので、治療を受ける際は専門家によく相談してください。
そして、とても大切なのは、原因や要因の排除ばかりに注力するのではなく、どのような治療や対処が有効かを、専門家や職場に相談しながら進めていくことだと思います。
身体は一つしかありませんので、まずは心身の健康を守ることを優先しましょう。上司や先輩・同僚など、現場で働く人たちにメンタルヘルスへの理解がない場合でも、人事はサポートの重要性を理解している会社が多いと思います。結論を急がず、人事担当者や産業医、もしくは社内の産業保健スタッフ等に相談してみてはいかがでしょうか。10人以上の会社であれば就業規則があるはずですから、休職制度について調べてみても良いでしょう。
管理職にはその職責の範囲で部下の心身の安全を守る義務がありますので、本来であれば真っ先に相談する相手なのですが、メンタルヘルス不調に対する理解が低いようであれば、「うつ」「ストレス」などの用語を避け、「腹痛」「頭痛」「めまい」など、感じている身体症状を切り口にして、相談してみてはいかがでしょう。
精神的なエネルギーが消耗し枯渇すると、いわゆる心の病になります。このエネルギー消耗の過程で、最初にできなくなることは苦手なことからと言われています。エネルギー消耗が進むと自分の好きなことや得意なこともできなくなり、病気の悪化と言えます。仕事以外では元気でも、病気が悪化する過程にいる、またはその逆で回復の過程にいるのかもしれません。
特に仕事の環境に変化があった、または大きなストレス要因がある場合などには、職場とそれ以外での元気度の差は顕著かもしれません。仕事以外は元気だから大丈夫、ということではなく、放っておくとエネルギーが枯渇し、悪化する可能性もありますので、今こそ早めの対応が必要なタイミングかも知れません。
休職の理由がうつ病など精神的な病気の場合、休職中に連絡を取ったほうがいいのかどうか迷われる上司の方は少なくありません。休職している方にしてみると、職場の人から何も連絡がないと、「自分はもう要らないと思われているのではないか」と不安な気持ちになることが多いようですので、連絡をするのは大事なことです。
もっとも、休み始めの頃など、会社や仕事のことを考えるだけで不安になるということもありますので、休まれている方の状況に応じて、連絡の取り方を考える必要はあります。休みに入る時に、休職中の連絡の取り方について決めておかれるとよいでしょう。頻度としては、うつ病の休職の場合は月単位の休みが多いので、1か月に1回とか、診断書の切れる頃などを目安にされるとよいでしょう。
なお、直属の上司の方が窓口になるのが一般的ですが、部下の方との人間関係がこじれているなど、直接やり取りをするのに問題があるような場合は、他の方を窓口にするといった配慮が必要になります。
精神障害に限らず、病気を治す期間は主に2つに分かれます。前半が療養に専念する期間、後半が復帰に備える期間=リハビリの期間、となります。たとえば重症の捻挫を想像してみましょう。前半は痛くて動けませんので固定・安静、腫れと痛みがひいたら後半は固定して硬くなった関節を動かし可動範囲を広げ、元の生活が可能となります。
つまりリハビリ期間に入るには、日常生活を送る上で症状による支障がほとんどなくなっている状態が必要となります。うつ病を例にしますと、憂うつな気分である、不安や緊張でビクビクする、嫌なことばかり考えて眠れない、など苦痛な症状がほぼ改善している状態ということになります。自覚症状が強く苦痛が大きい時期は、まだ療養に専念する期間と考えましょう。自分がどの期間にあるのか、主治医にも相談するとよいでしょう。
リハビリ期間の過ごし方として重要な点は主に3つあり、ⅰ.睡眠・食事のリズムの確立、ⅱ.就業を想定した日中活動、およびⅲ.これらの継続性、ということになります。
ⅰ.適切な睡眠および食事のリズムですが、久々の就労というストレスの海に飛び込んで泳ぎ続けることになります。そこに必要な体力の維持のための基本中の基本です。
次にⅱ.就業を想定した日中活動ですが、最近はリワークプログラムなどを設置した病院もありますが、ひとりで行うことも可能です。しかし自分の意志が必要になります。たとえば、毎朝図書館に通い、そこでの過ごし方のレベルを段階的に上げていくことも工夫次第でできます。たとえば、新聞のある部分を読むことからはじめ、問題なく出来るようになったら、その部分をノートに書き写す→写すだけでなく要点をまとめる→まとめるだけでなく私見を述べる、といった形で、少しずつステップアップが出来るのです。また特に都市部では独特な緊迫感のある通勤時間帯のラッシュを体験しておくことも役立ちます。通勤訓練などとも呼ばれていますが、この準備なしに復帰して消耗してしまう方も珍しくありません。
最後に、ⅲ.継続性ですが、仕事は1週間後も1か月後も1年後も続きます。就業を想定した日中活動がある程度の期間続けて出来ていることも、復帰の準備としてたいへん重要な要素となるでしょう。ただ、長距離走ですので、短距離走のようなスピードは不要です。
会社によっては、「試し出勤制度」などが設けられている場合があります。基本的には上記のようなリハビリの期間を経過し、業務遂行の準備が整っている上で行うものです。その運用は会社によって異なりますので、上司や人事労務、産業保健スタッフなどにお尋ねください。上手に利用することにより円滑な職場復帰が期待できます。
心の健康問題で休業した労働者に対して主治医の判断により復職診断書が発行され、産業医が精査した上で、事業者に職場復帰に関する意見を述べることになります。しかし、必ずしも主治医と産業医の意見がすべて一致するわけではありません。主治医による診断は、日常生活における病状の回復程度から復職の可能性を判断していることが多く、職場復帰後職場で求められる業務遂行能力がまだ回復しているとの判断とは限らない場合があります。
職場復帰は、就業規則等に定められた就業時間内労働を可能とする業務遂行能力が回復していることが前提となります。そのため、適正な睡眠覚醒リズムが確保されており、昼間の眠気がなく、注意力・集中力が持続し、安全に通勤ができ、療養中に業務に類似した行為を遂行したとしても疲労が翌日まで残ることのない程度まで体力が回復していることが必要です。これらの点について産業医は精査を行い(「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」参照)、その結果明らかに職場復帰に必要な準備が整っていないと判断することもあります。このような場合主治医とさらに情報交換を密にして、職場復帰に必要な準備状態の確立に協力してもらえる関係を作っていく必要があります。
より円滑な職場復帰支援を行う上で、職場復帰の時点で求められる業務遂行能力はケースごとに異なることが多いため、あらかじめ主治医に対して職場で必要とされる業務遂行能力の内容や社内勤務制度等に関する情報を提供した上で、就業が可能であるという回復レベルで復職に関する意見書を記入してもらうようなプロセスを踏むのもいいでしょう。
うつ病から回復するためには服薬と休養が重要です。仕事の心配はあるかもしれませんが、仕事をしばらくお休みして休養を図ることによりうつ病の回復が望めます。うつ病が悪化すると、業務遂行力が低下し、仕事に影響が出る可能性もありますので、早期に職場の上司等に相談をして仕事をお休みさせてもらうことが望ましいでしょう。
なお、仕事をお休みする際には、職場の休暇制度や経済的な保障制度などについても確認をしておくとよいでしょう。
厚生労働省は、平成18年3月31日に「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を公表しており、その中で事業場内産業保健スタッフ等や事業場外資源による相談窓口の設置や対応について記述しています。
事業場内に相談窓口を設置する場合、以下の点に注意が必要です。
- 早期発見のための体制の構築
メンタルヘルス不調を早期に発見するためには、日頃より関係者が速やかに連携する体制を築いておくことが重要です。まずは日頃より接している周囲の人がその人の「いつもと違う様子」に気づくことが重要です。その際は、勤怠状況や仕事ぶり、表情・態度などの変化に注目することが大切で、病気かどうかを判断する必要はありません。そして早めに声をかけゆっくりと話を聞き、産業保健スタッフや社外の相談窓口への相談を促します。相談を受けた産業保健スタッフや外部機関では、専門医療機関受診の必要性を判断して、必要な場合には受診を促します。 - 日頃のメンタルヘルス対策における留意点
産業保健スタッフは、周囲の人がいざというときに適切に行動できるように、メンタルヘルス教育やパンフレットの配布を通じて、啓発しておく必要があります。また安心して相談できるように、個人情報保護への配慮を徹底することも大切です。速やかな受診に結びつけるためには、周囲の医療機関とのネットワークを築いておくことも重要です。相談窓口は、産業保健スタッフが務めれば、職場での配慮につながるなどのメリットがあります。一方で、事業場内への相談に抵抗を感じる人もいます。そのような場合は事業場が外部のメンタルヘルスサービス機関などと契約しておけば、相談窓口の選択肢が多くなり、相談の敷居も低くなります。また、外部機関であれば家族からの相談にもつながりやすくなります。
流れとしては「労働者の心の健康の保持増進のための指針」で示されている「4つのケア」が基本になります。
4つのケアとは、(1)労働者が自らの心の健康のために行う「セルフケア」、(2)職場の管理監督者が労働者に対して行う「ラインによるケア」、(3)事業場内の産業保健スタッフ、人事労務管理スタッフ等が行う「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、(4)事業場外の専門家や機関を活用する「事業場外資源によるケア」のことです。
具体的には、各事業所によって様々な取組み方があるので、職場のメンタルヘルス対策の取組事例を参考にして下さい。
まず、部下が安心して定期的な通院を継続できるよう支援しましょう。また、会社に産業医がいれば、本人の同意を得た上で、就業上の措置の要否について意見を求めるのもいいでしょう。保健師や衛生管理者など事業場内メンタルヘルス推進担当者がいる場合は、本人の同意を得た上で連携しましょう。必要に応じて、産業医を介して主治医の意見を尋ねることもあります。一連の対応に当たっては、プライバシーの保護に十分配慮し、連絡する必要がない者には言わないように注意し、同僚などへの情報開示では本人の意思を尊重しましょう。
また、部下の不調の原因が職場や業務にないか検証し、必要に応じて職場環境改善の取組みを行うなど再発防止を図りましょう。
長時間労働による健康障害として、脳・心臓疾患やメンタルヘルス不調などがあります。脳・心臓疾患に関していえば、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、肥満、喫煙などの危険因子があり動脈硬化を起こしやすいような人は、個人差はありますが、長時間労働による身体的負荷により脳や心臓の病気にかかりやすいと言えます。ただ、現在そういった危険因子を持っていない人においても、長時間労働による結果として睡眠不足や生活リズムの不規則性などから高血圧などの生活習慣病を生じ、将来的に脳・心臓疾患になってしまう可能性があります。したがって、危険因子があるか否かに関わらず、日頃からの健康管理が大切です。
メンタルヘルス不調に関しても、長時間労働はもちろん、仕事の質(緊張性の高い業務、責任の重い業務など)、職場環境、人間関係、仕事に対するモチベーション、ストレスを溜めやすい性格、考え方の癖、家族・上司・同僚の支援の有無など、さまざまな因子が関係しており、その過程で結果的にメンタルヘルス不調が起こってくると思われます。つまり、どのような人であっても条件がそろえば心の調子を崩す可能性があり、労働時間やその他の因子にも注意して、未然に健康障害を予防していく必要があります。
面接指導の対象者は、労働時間が「1週間当たり40時間を基準として、これを超えた時間が1か月当たり80時間を超えている」場合で「疲労の蓄積が認められる」者とされています。ただし、医師の面接指導は月の労働時間を把握してから行われ、早くても翌月の実施となるため、おおむね2か月分の状況を踏まえた面接となることから、医師が必要ないと認めた場合は2か月連続で受ける必要はありません。また、健康診断結果や疲労蓄積度チェックリストの結果等に基づき、医師が、健康上問題がないと認めた場合も対象としなくてよいこととされています。
なお、いずれの場合も労働者からの書面や電子メール等による申出に応じて面接指導が行われることになっていますが、事業者は、1 労働者が自己の労働時間数を確認できる仕組みの整備と、時間外・休日労働時間が月80時間を超えた労働者本人に対しその超えた時間に関する情報の通知、2 申出様式や申出窓口の設定等の体制整備および申出記録の保存、3 作業者への申出体制の周知、を図る必要があります。さらに申出を行うことによる不利益な取扱いの禁止などが必要になります。ただし面接基準に該当する者の全員を対象として呼び出す場合に限り、面接拒否をもって申出がなかったものとみなしてよいこととされています。これらの基準は事業場の衛生委員会で審議しておくとよいでしょう。
また、家族や職場の者が労働者の不調に気がついて相談や情報を受けた事業者は、プライバシーに配慮しつつ当該労働者に面接指導を受けるよう働きかけることが望まれます。あるいは、産業医が健康診断結果や、家族や職場の者からの相談や情報を受ける等により、面接指導を受けることが適当と判断した場合は、当該労働者に申出を行うよう勧奨することが望まれます。
過重労働の面接指導を終えた医師からは、報告書(書式例)が事業者に向けて提出されます。この内容に対して、事業者はその実施の必要性を勘案し適切な対応をする必要があります。
労働安全衛生法第66条の8第5項「事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない」とあることから、当該労働者の作業環境、作業条件、健康管理の観点から、指示事項を参考にして措置を講じる義務があるのです。
医師による指示事項が具体的でなかったり、労働者や職場の実情から実施困難であるような場合には、医師の意図するところを適切に理解したうえで実施可能な内容の措置を講じることになります。実施においては、事業者は本人と面接し、医師からの報告書の内容を伝えるとともに、これから実施する措置内容と措置期間等について説明をし、本人の理解と同意を確認しましょう。また措置期間の終了時には、再度同医師による面接を実施して今後の対応措置について当該医師に相談しておくとよいでしょう。
事業者は、「医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない」(労働安全衛生法第66条の8第5項)とされていることから、医師による面接指導の結果については定期的な衛生委員会への報告が必要です。また、面接指導の内容や結果については個別性が伴うので、委員会への報告の際にはプライバシーに配慮することが必要です。判定区分ごとの該当人数にとどめる、職場単位ごとに集計する、というように、何をどのように表現して報告するかについては事前に衛生委員会事務局と産業医とで打ち合わせをしておきましょう。面接指導対象者に、疲労度調査や問診等を実施している場合、集計し、疲れや体調の傾向についてコメントするのもいいでしょう。
面接指導はあくまでも長時間労働の結果として発生した事後措置に過ぎません。衛生委員会で重要なことは、委員全員がつねに事業場内の長時間労働の実態について把握し、その対策について話し合い、実行することです。
まず、うつ病の症状がよくなっていることに加え、日常生活が問題なく送れるようになることが重要です。朝起きて、食事をとり、身支度を整え、外出したり、身の回りのことをしたりして、夜はきちんと睡眠をとれるなど生活が回るだけでなく、本来の興味や関心も回復している状態です。
そのうえで、勤務時間に仕事に準じた活動(事務職であればPC作業や読書など、体を使う仕事であれば散歩や筋トレなど)ができること、他人とのコミュニケーションを問題なくとれることが必要です。
また、うつ病は再発のすることが多い病気ですので、継続的に仕事を続けていくためには、再発した際に早期に気づき対応し、その影響を最小限に留められるような準備もしておくとよいでしょう。具体的には、病気になった原因や背景を振り返り、どんな時に、どんな変化が自身の心や体に現れるのか、そうなった場合にどんな対処が必要なのかを考え、身につけておくことです。一人で難しい場合は、主治医に相談したり、カウンセリングをうけるほか、リワークプログラムといって職場復帰のためのプログラムを用意している医療機関等があるので利用するのもよいでしょう。
仕事と家庭生活をきちんと両立させようとすると、時間もエネルギーも足りずに疲れてしまいますね。長い職業人生の中では、その時々で、仕事と家庭生活とにかける時間やエネルギーのバランスが変わっていきます。このバランスの調和を考えていくことをワークライフバランスと呼んでいます。仕事と家庭生活のどちらにも100%なのではなく、子どもの成長やその時々のライフステージに合わせて、柔軟にそのバランスを変えていくことが、あなたと家族の健康のために、とても大切なことです。
家庭での負荷も増える時期は、夫婦間で話し合いお互いの役割分担なども見直してみるのも効果的です。職場の理解や協力が必要であれば、まずは上司に事情を伝えて相談したり、育児を支援する会社の制度がある場合には利用して、ライフステージに合った働き方を考えるのもよい方法です。
また、夫婦2人の時間とエネルギーだけで考えずに、身近な人からのサポートを得て、家庭内の時間やエネルギーを補強することも有効です。
1 家族の心配を本人へ伝える
過重労働になると、自分自身を冷静に見ることができなくなっている場合があります。まず、働きすぎで、からだを壊してしまうのではないか心配しているということを本人へ伝えましょう。また、どうすれば時間外労働を減らすことができるのか、一緒に考える姿勢で相談にのりましょう。
2 持病などで継続的な治療を受けている場合、通院をきちんとさせる
薬の内服状況を確認してください。また、忙しさで通院が疎かになっている場合があります。持病がある場合は、持病をしっかりとコントロールすることが大切です。
3 体調を尋ねる
何か心配な症状がないかを本人に尋ね、特に継続的で苦痛な症状があれば早急に病院を受診させましょう。また、体調が悪く病院を受診するのであれば、上司にもその旨を連絡しましょう。
4 残業時間をきちんと記録し、会社の産業医などへの相談を本人へ勧める
月の残業時間が45時間程度を超えると疲労が蓄積し、80~100時間を超えると明らかな疲労の蓄積が出て、過労死になどにつながる可能性が出てくると言われています。法律では、時間外・休日労働時間が月80時間を超え、疲労が蓄積していると申し出た方に対して、会社は産業医等による面接指導を行い、仕事上の配慮が必要かどうか確認することになっています。また、残業時間が80時間を超えていなくても、本人が希望すれば同じような対応をすることが会社に求められています。このような仕組みを本人に伝え、会社の産業医などに相談するように本人を誘導してみてください。
5 上司に、本人の状況や家族の気持ちを伝える
職場の管理者には、部下の健康状態に配慮して業務をさせる責任があります。しかし、本人が状況を率直に伝えないと、上司は深刻な状況を明確に把握できず、充分な業務の調整を行うことができないことがあります。体調に問題があったり不安がある場合には、率直に上司に伝えるように家族から誘導してみてください。
まず、最初に注意しておくべきことは、脳疾患にも脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など多彩な疾病が含まれていること、また、同じ疾病(たとえば脳梗塞)でもその重症度によって後遺症等はさまざまであり、ステレオタイプ配慮では十分ではないということです。診断名即一定の配慮とは限らないので、産業医や主治医のアドバイスを受け、一人ひとりの状況に応じた適切な配慮をすることが望まれます。
なお、一般的には次のような配慮が望まれることが多いようです。
(1)残業禁止などの労働時間に関する配慮
特に、職場復帰直後は直ちに従前のように体調が回復しているとは限らないので、一定の配慮が望まれます。
(2)労務内容に関する配慮
後遺症の程度によっては、高所作業の禁止(平衡能や運動能の障害時)などの就業制限が必要になることがあります。
(3)通院の確保(受診時間や就業場所)のための配慮
リハビリテーションの継続のほかにも、発症の基礎となった高血圧のコントロールなどのために加療継続が必要な場合が多く見られます。
(4)その他の配慮
この中には、薬剤服用中などに必要な特別の配慮が含まれます。たとえば、眠気が強く引き起こされる薬剤服用中の場合には、危険作業は避けたほうが望ましいのですが、これは医師からのアドバイスをもとに行うべきでしょう。
過労死の認定基準としては労働時間が最も重要ですが、認定基準に満たない労働時間であっても、時間外労働時間が月80時間程度の場合は過労死の可能性を否定できないことから、労働時間以外の負荷要因の有無などを参考に判定されることになっています。このなかに作業環境も含まれていますので、作業環境の改善は過労死防止に役立つといえます。
具体的には、温度環境、騒音環境、時差を伴う移動の頻度などが挙げられています。執務室内の冷暖房も度を超すとストレス源となりますので注意が必要です。また、狭い室内に多くの人がすし詰めになっている執務室や、悪臭、周囲の騒音、机上照度が十分でない執務室など、劣悪な作業環境は心身の疲労を増加させます。逆に、快適な作業環境は心身のストレスを軽減しますので、過労死防止のために快適な職場環境・作業環境の確保はとても大切です。
事業者が快適な作業環境を作ろうとするときは、「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」(平成4年7月1日労働省告示第59号。平成9年9月25日労働省告示第104号により一部改正)を参考にするとよいでしょう。
死にたい気持ちになるほど追いつめられているとのこと、できるだけ早く信頼できる人に相談し助けてもらう必要があると思いますが、精神科への受診もぜひ検討してみてください。うつ病の症状の1つに希死念慮(自殺願望)がありますが、そのような過酷な状況下では、誰でも精神的に疲弊してうつ病になる可能性があるからです。
うつ病になると事態を冷静に理解し、的確に対処していく能力が低下します。物事を悲観的にとらえがちになり、希望がもてなくなります。焦れば焦るほど事態が悪化し、自身の体調も崩れていくという悪循環に陥りがちです。もし、うつ病と診断された場合は適切な診断と治療を受け、ご自身の心身の状態を安定させることを最優先にしてください。しばらくの病気療養が必要なのか、それとも勤務しながら治療を受けることになるのか、いずれにせよ医師と良く相談し、指示に従ってください。
問題解決に向けた方法の1つに、いろいろな出来事の記録をつける方法があります。“生徒間のいじめ”であれば、いつ、誰が、どのようないじめにあったとされるのか、そしてそれに対してどのような対応をしたのか、など記録をつけておくのです。“クレーム”についても同様で、いつ、誰から、どのようなクレームがあり、どのように対応したのか記録しておくと良いでしょう。少々時間がかかる作業ですが、こうした作業は業務上必要であるだけでなく、自分の思考や感情を整理する上でも役に立つでしょう。
そして、この記録をもとに同僚や上司に相談してみてはいかがでしょうか。職場の中にはきっと誰か理解してくれる人がいるはずです。うつ病になると、ともすれば自分を責め、自分一人で解決しようとしがちですが、誰かに話すことで気持ちと考えが落ち着き、整理されることもあるでしょう。
最後に、最近はさまざまな問題で悩む教師のためのサポートシステム(支援体制)がつくられています。こうした外部の相談機関を利用されるのも一案だと思われます。
どれほど自殺を隠そうとしても、噂や憶測が短期間のうちに広まってしまいます。むしろ事実を伝えたうえで、動揺している人を適切にケアすべきです。精神保健の専門家の助力も求めることも検討してください。
- 「動揺を最小限にするような方法で、正確な情報を、時機を逸することなく伝える」:自殺を隠そうとしても、瞬く間に知れ渡ってしまいます。事実を伝えたうえで、動揺している同僚をケアすることに力点を置くべきです。故人のプライバシーに配慮しながら、淡々と伝えてください。故人を極端に誉め讃えたり、逆に自殺を非難したりすることは、遺された人々に深刻な打撃を及ぼす危険があるので、控えてください。
- 「自殺という衝撃的な体験をした後に、起こり得る反応を説明しておく」:よく知っていた人が自ら命を絶つと、嵐のような複雑な感情が遺された人を襲います。うつ病、不安障害、ASD(急性ストレス障害)、PTSD(外傷後ストレス障害)、薬物やアルコールの乱用といった心の問題が生じることがあります。また、持病の悪化など、身体の病気になってしまうこともあります。そこで、心身に現れる可能性のある症状について説明しておきます。
- 「知人の自殺を経験した後の感情を他の同僚と分かち合う」:同僚の自殺の後に、遺された人々が自分に現れている複雑な感情を仲間と率直に話し合う機会を設けます。なお、話をするのを強制する雰囲気をけっして作ってはなりません。話したい人は話し、黙って他の人の話を聞いているだけでもよいことを保証します。
- 「自殺が起きたために動揺しているハイリスクの人をケアする」:ハイリスクの人とは、若い人、故人と強い絆があった人、自分も精神疾患にかかっていたり、これまでにも自殺未遂に及んだりしたことのある人、遺体の第一発見者や搬送者、故人と境遇が似ている人、自殺が起きたことに責任を感じている人、葬儀でとくに打ちひしがれていた人、知人の自殺が生じた後に職場での態度が変化した人、さまざまな問題を抱えているのだが十分なサポートが得られない人などです。
- 「自殺の背後にある問題点に対して長期的な対策を立てる」:自殺が個人的な問題だけから起きたのではなく、たとえば過剰な長時間労働や達成不能な目標の設定といった職場が抱える問題があるのならば、その対策を立てることも必要になります。
- 「職場の士気が低下するのを防ぐ」:同僚の死をこのような形で、職場全体で取り上げることは、職場の士気が極端に低下するのを予防するという側面もあります。
- 「遺族に対するケアを忘れない」:自殺にもっとも深刻な衝撃を受けているのは遺族です。上述したケアは当然、遺族に対しても行ってください。なお、遺族が自殺に関連して職場に不信感を抱いている場合には、「この人の言葉ならば耳を傾ける」というキーパーソンを通じて、遺族に働きかけていくといった工夫も必要となります。
睡眠障害や食欲が改善してきた段階で、仕事の締め切りや家族や周囲の目を気にして、焦燥感がある状態で復帰の準備を始めてしまうケースがありますが、職場復帰時の自殺を予防するためには、うつ病の症状がきちんと改善されていることを確認して復帰の準備を進めることが必要です。主治医等と連携し、病状を確認するとともに、一定期間、休業中に復帰後を想定した生活を送ってみるなど、段階的に職場復帰につなげていくとよいでしょう。地域によってはリワークプログラムを提供してくれる機関もありますので、それらを利用していくのも有効です。
このような電話を受けた場合、自分が何とか思いとどまらせなければ・・・と力が入ってしまい、頭が真っ白になってしまうこともあるかもしれません。冷静に対応をするためにも、まずは自分自身を落ち着かせることが大切です。
やみくもに「死んではダメだ」と言っても、あまり響かないでしょう。自殺が良くないことは、本人が一番よく理解していると思われるからです。それでも、「死にたい」と考えてしまうのです。そこまで追い込まれてしまっている背景や、それに伴って生じているさまざまな感情を受けとめ、理解することが大切です。「何かよい一言を伝えなければ」と力むのではなく、ただ語ってもらうこと、本人の話に丁寧に耳を傾けることがとても重要なのです。
「死にたい」という気持ちの背後には、「もっとうまく生きたい」という強い気持ちが存在しているなど、“生への執着と死への願望との間で揺れている状態”というのが、希死念慮を抱える人に多くみられる心理状態と言われています。そんな苦しい思いをかかえながら、あなたに相談してきた意味を考えてみましょう。きっと「誰でもいい」と考えて電話をかけてきたのではないと思います。心理的に追い込まれているからこそ、意識的あるいは無意識的に特定の人を選び、「この人ならきっと自分の気持ちを聴いてくれる・・・」という思いから打ち明けてきているのではないでしょうか。こうした観点からも、まずはじっくり傾聴することに大きな意味があるのです。
じっくり耳を傾け、心を受け止めていると、本人の気持ちにも少し余裕が生じてくるでしょう。落ち着いてきたように見えたら、「どうしても死ぬことが頭から離れないようだったら、専門家にも助けを求めてはどうか」などいくつか選択肢をアドバイスしてみましょう。ただし、「あなたなら聴いてくれる」と思って電話をかけてきたのですから、「専門家へ丸投げされた」などネガティブに受け取られないよう、相談方法などについても一緒に考えていくと良いでしょう。
また、このような相談を受けた場合、ひとりで抱え込まないことも大切です。もちろん相談してきた人の信頼を裏切らないためにも秘密は守る必要がありますが、職場の産業医や保健師、臨床心理士、公認心理師などであれば職業上、守秘義務が課せられていますから、対応方法のアドバイスや、医療機関等の情報などについて安心して相談できるでしょう。
仕事上での大きなミスなら、気持ちが落ち込むのも無理はありません。どんな人でも、嫌なことがあると憂うつな気分になります。これは誰にでもあることで、このような状態は「抑うつ反応」と呼ばれ、「うつ病」とは区別されています。一般的には、他のことで気が紛れているうちに元気になり、憂うつな気分は数日ほどで徐々に消えていきますが、中には、うつ病の精神科疾患を発症し、最悪の場合に自殺につながってしまうケースもあります。
ご本人の様子をよく見ていただき、可能なら「心配しているよ」「困ったことがあったら話をきくよ」等の声をかけてみてください。相談者自身がどうしたらいいか悩んだ時も、けして一人で抱え込まず、かかりつけ医あるいは専門医に相談しましょう。
自殺をほのめかす言葉を口にする、遺書を書く、自殺の道具を準備するなどの具体的な自殺への準備は当然ですが、自分の身の回りを整理する場合も危険なサインといわれています。うつ病で治療を受けている場合には、気分が沈む、涙もろくなる、仕事の能率が悪くなるなどの症状の悪化がみられ、「生きていても仕方がない」という自殺をほのめかす言葉のほかに、「皆さんに申し訳ないことをした」などと自分を責める言葉が聞かれた時も注意が必要です。また、酒量が増えたり、糖尿病を患っていてもそれまでは自己管理がきちんとできていたのに、食事療法や運動も止めてしまうなどという変化も危険なサインです。
これらのサインを感知したときの対処としては、相手に対して心配していることを伝え、死にたいと考えているかと尋ねてください。そして相手の話によく耳を傾け、絶望的な気持ちをまず受け止めるために聞き役に徹してください。そして、主治医によく相談し、場合によっては入院治療を考慮したほうが良い場合もあります。
うつ病の経過の中で自殺の可能性は常にあるといえますが、特に注意が必要な時期としては、病状が非常に悪くなった時、病状が少し改善してきた時が危険であるといわれています。病状が悪い時は自殺を考えていたとしても実行できないですが、少し良くなってくると行動力が少し戻ってくるため、そのような状態のときに自殺を考えると実際の行動に至りやすいといわれています。また、病状がかなり回復して環境が変わる時期、例えば仕事を休んでいた人が再び職場に戻るような時期、も危険であるといえます。このときは、環境の変化とともに、いったん回復した病状が不安定になり自殺が起こりやすいといわれています。
時間外労働の多い生活をしていて負担とは感じないということですから、気力・体力ともに充実した素晴らしい労働生活を送っていることと思われます。ただし、注意していただきたいのは、このようなときは仕事に集中しているばかりではなく、もしかすると疲労や身体症状への自覚がないだけかもしれない、ということです。
長時間労働による心身の疲労は自覚できない場合も多く、従業員の健康状態と職場の状況をよく知る産業医による、客観的な視点での問診が決め手となって見つかることも少なくありません。また、若い時はがむしゃらにできたことも、年を経るに従い体力の衰えや、背負った責任の重さなどの周辺事情が変化して、知らず知らずに重圧となっていることもあります。血圧変動や睡眠リズムの乱れはもとより、食生活の乱れや体重変動なども身体バランスを崩すきっかけとなる可能性があります。また、長時間労働が恒常化していると、何かのきっかけで急速に抑うつ状態に陥る危険性もあります。毎月産業医面接に呼ばれるということは、会社も産業医もあなたの健康を心配してのことと思われます。ぜひ産業医の面接を受けていただき、心身の状態をご自分でも把握できるよう、いろいろと相談してみてください。
療養(補償)給付は、労働者が業務災害または通勤災害による傷病により、療養を必要とする場合に支給されるものであり、傷病が「治ゆ」(症状固定)するまで支給されます。したがって、治ゆしていない限り、働いていても労災による療養を受けることができます。
なお、労災保険法上の治ゆとは、身体の諸器官・組織が健康時の状態に完全に回復した状態をいうものではなく、「医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態」をいいます。したがって、「傷病の症状が、投薬・理学療法等の治療により一時的な回復がみられるにすぎない場合」など症状が残存している場合であっても、医療効果が期待できないと判断される場合には、労災保険では治ゆと判断されます。
治ゆと判断された以降は、療養(補償)給付は支給されず、必要に応じて、障害(補償)給付やアフターケアの支給が行われます。