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(1)傾聴とは
「きく」という言葉を表す漢字は、「聴く」の他に、「聞く」、「訊く」などがあります。
- ●「聴く」…相手が何を語り表現しようとしているのかを、注意深く、集中して聴くこと
- ●「聞く」…相手の話や外界から聞こえてくる音を受身的に聞くこと
- ●「訊く」…相手が語りたくないことを問いただし、尋問するように訊くこと
傾聴には「聴」という漢字が使われており、誠心誠意、集中して相手の語りや表現を聴くことを表しています。
傾聴は、決して受身的で消極的な行為ではなく、相手に積極的にかかわろうとする能動的な行為であることから、積極的傾聴(active listening)とも言われています。こころの耳には、積極的傾聴の練習の進め方などをご紹介しているコンテンツ「話を「聴く」~積極的傾聴とは~」もありますので、よかったらご覧ください。
(2)前提となる考え方
部下の話を聴くときに重要なことは、先入観を持たないで「本気で聴く」ということです。
人間は一人ひとり異なる独自の存在であり、あなたと部下とでは当然異なる考えや気持ちを抱えています。傾聴は、まさにこの前提に立って、部下を一人の人間として尊重し、部下が何をどのように悩み、苦しみ、何を大切にしようとし、どのような方向へ進みたいと思っているのかを知り、確かめ、理解しようとする働きかけです。そのためには、話の途中で原因を追及したり、話の内容を評価したり、否定したりせずに聴き、わからないことは教えてもらう姿勢で臨むことが大切です。それによって、部下になんでも話せるという安心感がうまれ、その結果として対話がスムーズに進み、より正確な問題把握につながっていきます。
(3)傾聴の限界と留意点
傾聴の技法にばかり意識が向いて、形だけの機械的な傾聴は、相手への共感や温かさを欠き、むしろネガティブに作用することもあります。
また、部下から聞いた話は大切な個人情報ですので、原則として守秘義務を守ることが重要です。本人の同意なく他に漏らすことは、せっかく築いた部下との信頼関係を壊すことにもつながります。