ア行
安全配慮義務
労働者は、通常の場合、指定された場所で、提供された設備、器具等を用いて労働に従事しますので、労働契約の内容として具体的に定めていなくても、労働契約を結ぶことに伴って信義則上当然に、使用者は、労働者がその生命、身体等の安全(心身の健康を含みます。)を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をすべきこととされています。このことは、陸上自衛隊事件の最高裁判決(昭和50年2月25日)などの判例で確立した考え方となっており、労働契約法第5条に定められています。
サ行
自殺企図
自殺とは自ら自分の生命を絶つ行為ですが、首つり、リストカット、大量服薬など様々な手段により、実際に自殺を企てることを自殺企図と言います。うつ病などのメンタルヘルス不調により自殺企図に至ることも多く、適切に医療へつなげる必要があります。
自殺未遂
自殺とは自ら自分の生命を絶つ行為ですが、死に至らなかった場合、自殺未遂といわれます。自殺者は女性より男性が、自殺未遂者は男性より女性が多いとされています。
自傷他害
自傷とは主として自己の生命・身体を害する行為を言い、単に浪費や自己の所有物の損壊などの行為は含みません。他害とは、他人の生命、身体、自由、貞操、名誉、財産等に害を及ぼす場合と決められています。精神障害のために自傷他害の恐れが強く、精神保健指定医二人以上の診断結果にもとづき、都道府県知事の命令によって強制的に入院させることを措置入院といいます。
タ行
デブリーフィング
事故や災害、犯罪被害あるいはそれらの目撃など大きな衝撃を受けた人に対して、ASDやPTSDほか心のダメージを最小限にするために出来事直後から可能な限り早期に行う心理的援助のことです。しかし、その効果については否定的な意見も多く、逆効果になるケースも少なくないため慎重な介入が必要であり、充分に訓練と経験を積んだ専門家が医師のサポートのもと進めることが望ましいとされています。
ハ行
ポストベンション(事後の対応)
自殺予防の3段階のひとつです。この第3段階目が「ポストベンション(postvention)」と呼ばれる対応です。不幸にして自殺が生じてしまった場合、遺族を筆頭に、親しかった友人や職場の同僚、あるいは目撃者にも多大なショックが刻まれることになります。このように遺された方や関係者の方たちに対して適切なケアを行い、心理的ダメージを最小限にする対応をポストベンションといいます。
ヤ行
薬物依存
耐えがたい欲求のために連続的ないし周期的にその薬物を摂取することをいいます。薬物の種類としては、睡眠薬、非麻薬性鎮痛剤、抗不安薬、麻薬、幻覚発現剤(LSD-25、大麻など)、覚せい剤(ヒロポンなど)、有機溶剤(シンナー、接着剤など)、コカイン、喘息薬など多岐にわたります。治療行為から派生した医原性ともいえる側面や、反社会的(違法性)といった側面から理解していく必要もありますが、一般市販薬の過剰服用もみられ問題が多様化しています。なお、反復使用することで薬物の効果が減り、使用量が増加する現象を耐性と呼び、使用中断による心身の病的症状を離脱症状(禁断症状)と呼びます。精神科医療施設での治療に加えて、自助組織の活用が考えられます。