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労働災害

一言でいえば、労働者が仕事に従事したことにより被った人的な被害と説明できます(物的な被害は「事故」と呼ばれます。)。しかし、趣旨や目的の違いから、その定義(の表現)は、法律ごとに異なっています。先ず、労働安全衛生法第2条第1号は、「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう」と定めています。他方、労働者災害補償保険法第7条第1号は、「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」と定め、その表現から「業務災害」と呼ばれていますが、意味内容は労働安全衛生法の定めと同じという理解が有力です。ここでいう「業務上」の意味内容については、特に、労災保険の認定実務で第1に問われる「業務遂行性」の趣旨などをめぐって議論があります。しかし、要は「業務に起因すること(生じた災害が、業務に内在ないし付随する危険が現実化したものであること)」である、という理解は、ほぼ共通しています。また、業務上の疾病については、労働基準法施行規則別表第1の2で、その範囲が定められています。とはいえ、昨今問題になっている作業関連疾患については、業務起因性(因果関係)の考え方自体に難しい課題があり、どのような場合が業務上に当たるかについて、様々な議論があります。