個人が一般の生活では経験しないような死に直面するような心理的に強い負荷となる出来事のことを指します。この出来事には、戦争や交通事故等による生命の危険、他者からの個人の尊厳の強い毀損等があります。心的外傷は突然の出来事によっても、慢性的に反復的に加えられる場合にも発生します。突然の出来事によって心的外傷が起こった場合には、急性ストレス反応として、感情麻痺、関心の喪失、現実感の喪失、解離性健忘などが起こりえますが、多くの場合、1か月以内に症状は消失するといわれています。心的外傷の後遺症として外傷後ストレス障害がみられることがあり、フラッシュバック、反復的で苦痛な夢、再体験、睡眠障害等の過覚醒、回避行動などが多くの場合では、出来事から半年以内に起こってくるとされています。治療としては、精神療法と薬物治療としては選択的セロトニン再取り込み阻害薬や睡眠導入剤の投与などがあり、多くの場合回復可能ですが、さまざまな要因により慢性化することもあります。