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寛解と治癒

精神科領域では、対象となる障がい特性を考慮して、回復度合いを定義しています。症状が完全に消失し精神的に安定した場合は完全寛解と呼ぶことが一般的で、身体医学の治癒に相当する。アメリカ精神医学会による「DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の分類と診断の手引」によれば、「完全寛解とは、その疾患の症状や徴候はまったく存在していないが、なお、その疾患を記しておくことに臨床的意味があるー例えば、以前に双極性障害のエピソードのあった人がこの3年間リチウム投与で症状が消失している場合、完全寛解が一定期間続いた後には、その人が回復してしまっているため、その疾患を現在の診断としてコード番号をつける臨床家はいないであろう。完全寛解と回復との区別には多数の因子を考慮することが必要であり、例えば、その疾患の特徴的経過、障害の最後の期間からの経過時間、障害の全持続期間、経過観察または再発予防治療の必要性などがある。」と記載されています。さらに、症状が多少残っていても精神状態は安定し社会生活がある程度可能な場合は不完全寛解などと呼ばれ、社会生活を営めるほどには症状が消失してない場合は軽快、症状が不変、増悪している場合は未治と呼ばれています。