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株式会社和賀組(秋田県湯沢市)

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株式会社和賀組
(秋田県湯沢市)

【写真】近藤さん、高瀬さん、和賀さん 和賀組は1877年(明治10年)創業、1963年(昭和38年)設立。土木、建築、舗装、鉄道工事、地盤事業、戸建住宅などを中心とした総合建設業を営んでいる。
社員数は81名(2025年11月現在)。3つの事業場に分かれており、本社は39名、機材センターは37名、秋田市にある住宅事業部は5名である。
今回は、代表取締役の和賀幸雄さん、総務課長の近藤真紀子さん、総務部庶務主任の髙瀨あゆみさんからお話を伺った。

社員の病気や、健康診断の二次健診を受けない社員の多さなどが健康経営に取り組むきっかけとなり、就業規則の変更や手当の導入など具体的な取組みにつながった。

まず、健康経営に取り組むこととなった経緯と取組み内容についてお話を伺った。

定期健康診断を受診した社員にガンが見つかったこと、二次健診を受診していない社員が多かったことから、健康経営の取組みを始めました 「健康経営の取組みを始めたきっかけは、2015年に定期健康診断を受けた社員にガンが見つかったことでした。また、定期健康診断で異常の所見が認められて二次健診の案内が届いても、“業務が忙しい”などの理由で再受診をしていない社員が多いことも同時期にわかりました。それから、社員が健康に長く働き続けるための施策を行うことが急務だと感じ、取組みを推進してきました。」

「翌年には、二次健診受診のための特別休暇を付与し、受診しやすい環境を整えました。それでも業務の都合等で受診が後回しになってしまう社員もいるため、対象となった社員には、私(近藤さん)が積極的に声かけをし、受診を促すようにしています。当初は、再受診を促すと咎められているように感じられている様子も見られましたが、最近は『担当している現場が終わったら行きます』といったやりとりを笑い合いながらできる雰囲気に変わってきたように思います。」

“禁煙手当”を支給し、受動喫煙防止・禁煙促進の取組みも積極的に進めています 「2017年には、健康促進、受動喫煙防止・禁煙促進、社内コミュニケーション活性化などに取り組むことを盛り込んで、健康宣言を行いました。受動喫煙防止・禁煙促進の施策としては、非喫煙者と禁煙者に“禁煙手当”を支給しています。金額は、月額3000円でしたが、2025年からタバコが値上がりしたことを踏まえて、支給額も月額5000円に増額しました。“禁煙手当”の支給が禁煙のきっかけになった人もいるようです。」

「これらの取組みにより、2019年には健康経営優良法人の認定を受け、2023年以降は毎年ブライト500の認定を受けることができています。」

事業場単位の社員数は50人未満でストレスチェックの実施義務はないが、健康経営の取組み開始当初より継続して実施している。

次に、ストレスチェックの取組みについてお話を伺った。

健康経営の取組みの一環として、ストレスチェックを実施しています 「当社は、事業場単位の社員数は50人未満ですので、ストレスチェックの実施義務はありません。ですが、健康経営の取組みを始めた際に、申請項目の中にメンタルヘルス対策の一つとしてストレスチェックがあったことから、2018年より全社的に実施しています。」

「ストレスチェックの実施に当たっては、健康診断も行っている機関のサービスを活用し、勤務形態に応じて紙とwebのどちらでも受検できる環境を整備しています。」

「これまでに高ストレス者に該当し、医師の面接指導を受けた社員が1名いました。その際は会社から地域産業保健センターに連絡して, 医師による面接指導を実施してもらい、その後、専門の医師の受診につながりました。」

「実施を始めた当初は、自分のストレス状態が明らかになることへの抵抗感もあったように思いますが、最近では毎年のストレスチェックが定例のものとなり、自分の体調を正直に回答する姿勢が定着してきているように感じています。」

メンタルヘルス不調や障害特性などによって生じる業務上の課題に対する個別対応だけでなく、全社的なメンタルヘルス教育や若手社員へのサポート制度、女性活躍を推進する制度の整備など、誰もが働きやすい環境づくりにも同時並行で取り組んでいる。

最後に、社内でのメンタルヘルス不調者などへの対応や、社員へのメンタルヘルス教育、働きやすい環境づくりの取組みについて伺った。

メンタルヘルス不調や障害特性によって生じる業務上の課題には、個別に柔軟な対応を行っています 「社員の状態や特性に合わせて、会社としてできる限り柔軟に対応することも意識しています。たとえば、遅刻が続いていた社員に対しては、対応を進める中で、遅刻の背景に障害特性や服薬の状況などがあることがわかってきたので、働きやすさを支える就業規則の変更を行い、制度の利用を案内しました。また、業務遂行面で課題が見られた別の社員に対しては、ご家族との相談も重ねていく中で辞職の申出もありましたが、業務を継続できるよう会社としてサポートをしていくことを伝え、指導者を配置する対応を行いました。また、建設業という業種柄、委託先との調整が多く発生するのですが、そうした他社とのやりとりからくるストレスでメンタルヘルス不調となった社員に対しては、配置転換といった対応を行いました。」

全社的なメンタルヘルス教育も意識的に実施しています 「このように個別のケースに対してはできる限り柔軟な対応を行っていますが、より良く働き続けてもらうためには、本当は上司や同僚にもその社員の状態や特性を知ってもらう必要があると思います。しかしながら、実際には、社員本人が自身の状態や特性の開示をためらうケースもあります。この点を補うために、当事者のいる事業場に限らず全社的にメンタルヘルスセミナーを開催して、一般論としてコミュニケーションへの配慮が大事であることなどを伝えています。秋田産業保健総合支援センターのメンタルヘルス対策促進員に、研修講師を依頼しています。講習内容は全社員にメールで共有するなど、意識が浸透するような工夫をしています。」

「その他にも、全社的な教育や情報発信を通じて、健康に関する意識の浸透を図る取組みを進めています。たとえば、私(和賀さん)が執筆している“不易流行”という社員向けの会報では、働き方や健康に関する情報を毎月発信しています。また、市が主催する臨床心理士による無料相談会などの健康施策やイベント情報を定期配信したりするなど、健康に関するさまざまな情報に触れてもらえるような工夫もしています。」

誰もが活躍できる環境づくりの推進により、若手社員の採用・育成も進んでいます 「こうした取組みを進めることで、当社の地域ではなかなか採用が難しい若手社員の採用もできています。若手社員の育成では、“バディ制度”という取組みを行っています。若手社員と先輩社員とがペアになり、OJTスケジュールを組み、各現場で身に付けるスキルを定め、終了後にレビューを行って、若手社員の成長を支えていくものです。また、出産や育児などのライフステージに対応した柔軟な制度を整備したり、月に1回女性が現場をパトロールして女性目線で働く環境をチェックする取組みを実施したり、性別や年齢に関係なく誰もが活躍できる職場づくりを進めています。」

「当社では、毎年4月1日に開催する経営方針発表会の中で『明朗、愛和、喜働』、すなわち『明るく朗らかに、みんな仲良く喜んで働く職場を作る』ことを実践しようと、10年以上にわたって社員に伝え続けています。精神的に落ち込んだ状態や、一緒に働く者同士がいがみ合っている状態では、良い仕事もできず、事故につながることもあります。建設業は熟練の技が求められる業界です。社員一人ひとりが、先輩からの技を受け継ぎ、技術を身につけて成長し、元気に活躍できる企業を目指します。」

【取材協力】株式会社和賀組
(2026年2月掲載)