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7 職場復帰に際しての支援

  • 事業者の方
  • 部下を持つ方
  • 支援する方

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(1)治療における休養の必要性

 精神障害、主にうつ病の治療の3本柱は、薬物療法、精神療法(医師との面接やカウンセリング)、そして休養です。休養の主な意義は、心身を休めエネルギーを蓄えることです。うつ病では、イメージとして心身のエネルギーが低下している状態ですので、がんばろうとしてもガソリンの入っていない車のアクセルを吹かすようなもので、かえって疲弊してしまいます。まずは、エネルギーを貯めることが必要です。

(2)職場復帰支援の流れ

 職場復帰支援は要休業の診断書がでた時点から、休業中、復職前の調整、復職後のフォローアップにいたる一連のプロセスにおいて行います(図3)。厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」には、各ステップにおける対応事項の詳細が示されています。これに則り、人事労務管理スタッフ、産業保健スタッフ、上司など関与するメンバーの役割や支援手順などの整備を行っておくことも大切です。

図3 職場復帰支援の流れ

<第1ステップ>
病気休業開始及び休業中のケア
 →病気休暇届・診断書提出

<第2ステップ>
主治医による職場復帰可能の診断
 →産業医面談、リワークプログラム受講、主治医との情報交換、連携

<第3ステップ>
職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
 →上司・人事・産業医面談

<第4ステップ>
最終的な職場復帰の決定

<第5ステップ>
職場復帰後のフォローアップ

(3)職場復帰における周囲のサポート

ア 休業前~休業中

 休業中の労働者に対しては、療養に専念できるよう、また安心できるように配慮します。引継ぎに関しては状態によっては実施できないこともありますが、可能であれば最小限の引継ぎを行い、以後は業務に関する連絡はとらないように心がけます。休業中の経済的不安や将来に対する不安もできる限り軽減できるよう、傷病手当金制度や復職手順についてなどの情報提供を行います。休業中の連絡は、1~2か月に1回程度とし、診断書に記載されている要休業期間が終了するころに状況の確認をします。

イ 職場復帰前

 主治医により職場復帰可能の判断がなされたら、すぐに職場復帰を決定するのではなく、実際に業務遂行できる状態であるかどうか、また、復職に際して勤務時間の配慮や職場環境の調整を要するかどうか、などについて産業保健スタッフを中心に十分な情報収集と評価を実施した上で、復職する労働者と管理監督者、人事労務管理スタッフを含めて十分に話し合いながら職場復帰プランの作成を行います。産業保健スタッフがいない場合は、人事労務管理スタッフ、衛生管理者などが主治医や都道府県産業保健推進センター(従業員数50人未満の事業場の場合は、地域産業保健センター)などと連携をとりながら進めます。このステップは安全でスムーズな職場復帰のために重要です。

ウ 職場復帰のめやす

 病気の回復過程において、回復期は調子がよい日と悪い日の波があることが多いため、その波が安定して、悪い日でも出社できる程度の状態になったら復職を検討できる時期です。さらに、規則正しい生活リズムになっていること、日中は外出して過ごす体力が回復していること、通勤電車に乗れること、読書やパソコン作業など集中してできること、人間関係においてある程度接触が可能であること、など、毎日出社して軽減業務程度ができる状態であることが必要です。最終的な復職のタイミングはあせらず、総合的に判断をして決定します。

エ 職場復帰後

 職場復帰に際して、周囲の方は自然な態度で迎えてください。根掘り葉掘り状況を聞くようなことは慎み、「おはようございます」といったあいさつや、「また一緒に働けてよかった」という自然な気持ちを伝えてください。

 職場復帰後は時間短縮勤務、業務軽減などの措置を段階的に行いながら徐々に通常勤務へと戻す期間が必要となります。管理監督者は、同僚に対して、勤務上の配慮事項を明確に伝え、職場復帰した労働者がスムーズに働けるように配慮します。