事業者・上司・同僚の方へ

支援する方へ

コンテンツ一覧

領域5 社会とのつながり

  • 事業者・上司・同僚の方
  • 支援する方

1 「職場の快適さ」と「社会とのつながり」の関係

(1)概説

バブル経済崩壊後、それまでのあり方の反省とともに企業の目的や意味、存在価値などが問い直される中で、事業を通じた社会貢献、事業の社会的価値・意義、それに基づく所属メンバーの仕事への誇りなどが注目されるようになった。さらに、企業の不祥事が数多く発生し、企業統治やコンプライアンスの観点から、CSR(CorporateSocialResponsibility)/企業の社会的責任が強く求められるようになっている。また、地球環境保護などの観点からも、持続可能な社会を実現するための企業活動と社会との関係が着目されるようになっている。

このような背景の中、組織に属するメンバーも自分の所属する会社は社会にとって意義ある存在なのか、社会に対し、どのような価値を提供し、どう貢献しているのか、果たすべき責任を全うしているのかなど、社会との関係性に関する意識が高まっている。今の時代、組織に対するロイヤルティや帰属意識は低下していると言われているが、それでも、自社が社会的に認知され、評価され、尊敬されるような存在であることは、その会社に所属する一員として、誇らしいものである。社会とのつながりと快適さの観点からは、企業として社会にどのような価値を提供し、どう貢献するかの理念やビジョンの明確化とともに、所属する一人ひとりのメンバーにとって、何よりも自社が社会に提供する商品やサービス自体が、価値のあるものと感じられることが重要と思われる。

(2)検討における重要視点

ア 社会における存在意義を明らかにした企業理念や社是など
企業は、社会に対し、何らかの価値を提供することに存在意義があり、それを目的に経営が行われている。よって、いずれの企業においても、社会への貢献を前提とした存在意義があるはずだが、それが、従業員の目に触れ、耳に届く形で表現されていることによって、従業員は自社ないしは自分の仕事と社会との繋がりを感じることができる。つまり、企業理念や社是などに、社会の中でどのような役割を担うのか、どんな価値を提供するのか等が明文化され、様々な場面で語られていることが重要である。そして、従業員への浸透を通じて、従業員が自社の社会的価値を感じ、そこに繋がる自らの仕事に誇りを持てる状況を作ることが快適性を高めることにつながるだろう。

イ 社会貢献、地域貢献の具体的な行動、活動
企業は、社会的な存在として、様々な貢献活動に取り組んでいるが、自社の事業や業務特性、社風やカルチャーなどに合わせて、各社なりの特徴ある活動を行っている。従業員自身が参画する活動であれば、より貢献実感を持てるものになると思われるが、自社らしさを出して、いかなる活動を行っていくか、いかにして従業員参画の体制を作っていくかがポイントであろう。

ウ コンプライアンスの徹底
社会とのつながりの観点からは、適正な社会性が保持された企業であるかどうかの観点も必要であろう。その点から言えば、法令遵守の経営、および遵守意識の社内浸透が行われているかどうかが重要である。近年は、企業の不祥事が続き、その社会的責任が問われる機会が多くなっているが、守るべきルールを遵守し、正しい経営を行っていることは、従業員の安心感や信頼感につながるものである。これらも快適さを担保する上で、大切な要素といえるだろう。

エ 自社商品やサービスの価値に関する語りかけ
日常業務に埋没しがちな従業員に対し、常に、ソトとの関係を意識させ、自社商品やサービスの価値を伝えることも重要である。これは、経営層や管理者層の重要な役割である。それぞれの業務が直接的、間接的に、どう社会とつながりを持っているのか、どう役に立っているのかなどの語りかけ、共有がなされていることが大切である。 自社のことがメディアに取り上げられるような企業は、わずかであろうが、自社が直接取り上げられなくても、関連する話題やニュースはあるはずで、それをもとに、自社とソトとのつながりを伝えることができれば、従業員の意識も変わるものと思われる。

オ 地球環境保護への取り組み
CO2削減や温暖化防止などをテーマに、地球環境を守る活動は国のレベル、民間レベル、個人レベルで大変活発に行われている。現代の企業活動は、この視点抜きでは考えられないほど環境保護が重要なテーマとなっていることから、従業員の関心も高く、自社と社会とのつながりを意識する上で、今後、更に取り組みを強化すべきテーマと思われる。

2施策、対応策事例

休日のボランティアに参加した従業員の時間に相当する金額を会社が寄付する取り組み事例。

自社の製品がユーザーにとってどれだけの効果や価値があったかの体験談をユーザーに語ってもらい、従業員がそれを聞く場を設ける事例。

食品メーカー、外食企業による自社事業にかかわる「食育」をテーマとした学校での出前授業やDVDの無料配布の実施事例。自動車メーカーによる、地域の交通安全啓発への取り組み、交通安全イベントの開催事例。

自社の事業や製品に関係する世の中の動き、同業他社動向などについて、経営層や管理者層がきめ細かくの伝達し、共有する取り組み。

[出典元]
平成22年度職場の心理的・制度的側面の改善方法に関する調査研究委員会報告書(厚生労働省・中央労働災害防止協会)