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4 ストレスへの対処

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(1)ストレスの軽減・緩和

 私たちがストレスをうまく処理できないと、そのストレスは増幅され、心身の異常を発生させることになります。自分ひとりで対処できないようなストレス強度の場合は、特に心拍数や血圧の異常を引き起こし、そして、不安や恐怖などの心理的負荷を感じることになります。しかし、私たちは、これらのストレスに対して緩和するべくいろいろな対応を試みます。

ストレスに対処する行動をストレスコーピングといいます。
ストレスコーピングの分類としては、ストレスそのものに対する働きかけによってストレスをなくしてしまう方法、ストレスに対して自分自身ならびに周囲の人の協力を得て解決する方法、ストレスによって発生した自分の不安感や怒りなどの感情を周囲の人たちに聴いてもらうことによって発散する方法などがあります。

 いずれにしても自分で対応しきれないストレスに対しては、自分ひとりで解決するよりは、自分の力と周囲の人たちの力を合わせて、よりよい解決の糸口を見出すことが重要です。また、日頃からストレスが発散できるよう、趣味や生きがいとなるものを持つことも必要です。そして、問題解決のために協力してもらえる人間関係の構築も重要となります。窮地に陥った時に相談できる人を持つことは、極めて重要なことです。私たちは人と人が作ったものから、そして自然からもストレスを受けますが、一方でそれらはストレスを癒す大きな存在でもあるのです。

(2)相談

 自分で対応しきれない大きな問題を抱えた時には、自分ひとりで解決するにはかなりの時間と労力を要することになり、結果として心身の不調を招くことになりかねません。そのような時には、信頼できる人や専門家に相談することが必要となります。仕事のことで行き詰まった時には同僚や上司に、心身の異常であれば医療の専門家に、金銭に係る法的問題であれは法律の専門家になります。相談窓口を設けている企業もありますし、また、公的な機関が相談窓口を設けていますので、専門家に相談することで問題解決の糸口を見出すことが期待できます。

 また、不安や心配が全面に出ている場合には、カウンセラーにまずは相談することが勧められます。多くの専門家に相談することで、解決に至る時間が短縮されたり、よりよい解決方法が見出されることになります。すぐに解決策が見出されない場合、自分で何とかしてみようとしたけれどもうまくいかない場合には、それぞれの専門家に相談することが勧められます。本サイトでは、専門相談機関を紹介しています。

(3)具体的な対処

 不快な職場環境によって、日々ストレスを感じている場合(たとえば受動喫煙)は、上司などに相談して、職場の環境改善に取り組んでもらうようにしましょう。上司が無関心な場合には、衛生管理者、産業保健スタッフに相談してみましょう。職場の環境改善には多くの人が関心をもっているので、改善に前向きに取り組んでもらえるでしょう。

 人生において希に遭遇するような重大な出来事に直面するようなことがあると、その後にこころの不調に陥ることがあります。会社で大きな事故があり目の当たりに見てしまった、大事件に巻き込まれ悲惨な、耐え難い経験をした、などはその一例です。直面した時は「動転しているだけ」と思っていても、その後気分が落ち込み、眠れなくなるといった症状が現れることがあります。そのような場合には、カウンセラーや精神科医に相談し、早期に適切なアドバイスを受けることで、その後のこころの不調を予防することができます。

 また、職場において上司からパワーハラスメント(いじめなど)を受けた場合は、職場の相談窓口で事情を話して対策を講じてもらったり、公的機関における相談窓口で相談したりするとよいでしょう。昨今の企業を取り巻く環境は厳しく、残業が増え、長時間労働で心身の不調に陥った場合には、産業医や医師の面接指導を受けることができます。