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第7回 こころの病で再休職した場合、傷病手当金を再度支給できる仕組みはあるの?

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多くの企業で抱えていると思われるメンタルヘルス関連の事案に対し、社会保険労務士の2人がリレー方式で答えていきます。

※これらの内容は、あくまでも1つの事例である旨、ご了承ください。

【Q】質問

以前こころの病で休職した従業員が再び休業することになりました。傷病手当金を再度支給できる仕組みはあるのでしょうか?

ポイント

  • 同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病によって再び休業する場合でも、傷病手当金の支給を開始した日から通算して1年6カ月に達する日までの範囲内であれば支給される。
  • 同一疾病でも、一旦治癒し相当期間就業後に再発した場合は、支給されることもあるので保険者に確認すること。

【A】回答

傷病手当金は、被保険者が業務外の事由による療養のため労務に服することができないときで、会社を休んだ日が連続3日(待期期間)を経過した休業4日目以降、休んだ日に対して健康保険から支給されるものです。(ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、支給されません。) 

支給期間は、令和4年1月1日より同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、支給開始日から通算して1年6ヵ月に達する日までとなっています。これは最初の支給日が令和2年7月2日以降の場合に適用されています。

復職後、また同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病によって休職するような場合でも、最初の支給日から通算1年6ヵ月に達する日までの範囲内であれば3日間の待機期間なく支給を受けることができます。

一方、通算1年6ヵ月を超えた場合には、同一傷病なのかが問題となります。同一の疾病であっても一旦治癒していれば話は違ってきます。「同一の疾病とは一回の疾病で治癒するまでをいうが、治癒の認定は必ずしも医学的判断のみによらず、社会通念上治癒したものと認められ、症状をも認めずして相当期間就業後の同一病名再発のときは、別個の疾病とみなす。

通常再発の際、前症の受給中止時の所見、その後の症状経過、就業状況等調査の上認定す。」(昭和29年3月保文発第3027号、昭和30年2月24日保文発第1731号)という通達があり、同一傷病であっても別な傷病として支給される可能性も考えられます。しかしこの判断をするのは保険者になりますので、支給されるかどうかの確認が必要です。

本山恭子(もとやま きょうこ)

本山恭子(もとやま きょうこ)
「本山社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 産業カウンセラー 消費生活アドバイザー」
不動産、建設、ホテル、レストラン業のある一般企業の総務・人事部門に約9年間所属し、業種の違う業務を経験。平成19年に独立開業。企業の就業規則作成・変更及び労務相談、手続き全般等を中心に、産業カウンセラーの知識も活かし企業のメンタルヘルス対策支援を積極的に行い企業活性化を図る活動を展開している。

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