• HOME
  • 過重労働対策(過労死等予防対策)に関する施策の概要

事業者・上司・同僚の方へ

支援する方へ

コンテンツ一覧

過重労働対策(過労死等予防対策)に関する施策の概要

  • 働く方
  • ご家族の方
  • 事業者・上司・同僚の方
  • 支援する方

1 過重労働対策(過労死等予防対策)の施策の経過

年月日 施策の内容 備考
昭和22年(1947)9月 労働基準法→、労災保険法施行 労働省設置
昭和36年(1961)2月 最初の労災認定基準制定「中枢神経及び循環器系疾患(脳卒中、急性心臓死等)の業務上外認定基準について」 2月13日付け基発第116号
昭和53年(1978)3月 労働基準法施行規則→改正。業務上疾病の範囲の改正(別表第1の2)  
昭和62年(1987)10月 認定基準を改正「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」 10月26日付け基発第620号
平成2~6年度
(1990~1994年度)
労働省の研究班が作業関連疾患(ストレス)について調査研究  
平成4年(1992)5月 労働安全衛生法改正。快適な職場環境の形成のための措置を規定  
平成7年(1995)2月 認定基準を一部改正 2月1日付け基発第38号
平成8年(1995)1月 認定基準を一部改正 1月22日付け基発第30号
平成8年(1995)6月 労働安全衛生法改正。健康診断結果医師意見聴取、事後措置強化  
平成10年(1998)12月 労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準→ 労働省告示第120号
平成11年(1999)5月 労働安全衛生法改正。自発的健康診断を規定(第66条の2)→ 平成12年度助成制度発足
平成12年(1999)11月 労災保険法改正。二次健康診断等給付制度→発足  
平成13年(2001)12月 認定基準→を抜本改正 12月12日付け基発第1063号
平成14年(2002)2月 行政指導通達「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」 2月12日付け基発第0212001号
平成18年通達により廃止
平成16年(2004)8月 過重労働・メンタルヘルス対策の在り方に係る検討会報告書→  
平成16年(2004)12月 労働政策審議会建議「今後の労働安全衛生対策について」→  
平成17年(2005)11月 労働安全衛生法改正。面接指導の義務化ほか  
平成18年(2006)1月 労働安全衛生規則改正。面接指導関係ほかを規定  
平成18年(2006)3月 行政指導通達「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」 ※平成28年4月の新総合対策により廃止(3月17日付け基発第0317008号)
平成19年(2007)12月 労働契約法→制定  
平成20年(2008)3月 通知「地域産業保健センターにおける医師による面接指導の相談窓口における運用について」 3月14日付け基安労発第0314001号
平成20年(2008)12月 労働基準法改正。時間外労働割増賃金の改正 平成22年4月施行
平成23年(2011)3月 行政指導通達「過重労働による健康障害を防止するための総合対策について」の一部改正について ※平成28年4月の新総合対策により廃止(2月16日付け基発0216第3号)
平成28年(2016)4月 行政指導通達「過重労働による健康障害を防止するための総合対策について→ 4月1日付け基発0401第72号(※旧総合対策は廃止)
平成29年(2017)1月 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン→」策定 1月20日策定

2 過重労働による健康障害防止のための総合対策

  過重労働による健康障害(過労死等:脳出血などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患又はこれらによる死亡)を防止するため、行政指導通達が示されています。

  この通達は、「過重労働による健康障害防止のための総合対策について→」(平成18年3月17日付け基発第0317008号)で、その概要は、次のとおりです。

項 目 措 置 の 内 容
(1) 趣 旨 長時間にわたる過重な労働は疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられ、さらには、脳・心臓疾患の発症との関連性が強いという医学的知見が得られている。働くことにより労働者が健康を損なうようなことはあってはならないものであり、当該医学的知見を踏まえると、労働者が疲労を回復することができないような長時間にわたる過重労働を排除していくとともに、労働者に疲労の蓄積を生じさせないようにするため、労働者の健康管理に係る措置を適切に実施することが重要である。
このため、厚生労働省においては、平成14年2月から「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(以下「旧総合対策」という。)に基づき所要の対策を推進してきたところであるが、今般、働き方の多様化が進む中で、長時間労働に伴う健康障害の増加など労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化しており、これに的確に対処するため、必要な施策を整備充実する労働安全衛生法等の改正が行われたところである。
本措置は、このような背景を踏まえ、過重労働による労働者の健康障害を防止することを目的として、事業者が講ずべき措置を定めたものである。
(2) 時間外・休日労働時間の削減(略)
(3) 年次有給休暇の取得促進  (略)
(4) 労働時間等の設定の改善  (略)
(5) 労働者の健康管理に係る措置の徹底:以下のとおり
健康管理体制の整備、健康診断の実施、自発的健康診断受診支援助成金の活用・二次健康診断等給付制度の活用・健康保持増進措置の継続的かつ計画的実施(内容 略)





















面接指導等
  1. 時間外・休日労働が100時間/月超の労働者で、申出をしたものに対する医師による面接指導の確実に実施する。
  2. 時間外・休日労働が80時間/月超の労働者((1)を除く。)で、申出をしたものに対する医師による面接指導等の実施に努める。
  3. 時間外・休日労働が100時間/月超の労働者((1)を除く。)又は80時間/月(2~6月平均)超の労働者に対する医師による面接指導の実施に努める。
  4. 時間外・休日労働が45時間/月超の労働者で、健康への配慮が必要と認めた労働者に対する面接指導等の措置を講ずることが望ましい。
面接指導等の事後措置
  1. 上記(1)の面接指導を実施した場合はその結果に基づき、労働者の健康を保持するために必要な措置について、遅滞なく医師から意見聴取する。また、その意見を勘案し、必要があると認めるときは、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少など適切な措置を講ずる。
  2. 上記(2)~(4)の面接指導等を実施した場合には、本欄(1)に準じた措置の実施に努める。
  3. 面接指導等により労働者のメンタルヘルス不調が把握された場合は、面接指導を行った医師、産業医等の助言を得ながら必要に応じ精神科医等と連携を図りつつ対応する。






衛生委員会等の調査審議とその結果に基づく措置
  1. 面接指導等の実施方法・実施体制
  2. 面接指導等の申出が適切に行われるための環境整備
  3. 面接指導等の申出を行ったことによる当該労働者の不利益取扱いがないようにするための対策
  4. 「面接指導等」の欄の(2)~(4)に該当する労働者その他の者について面接指導等のための事業場で定める必要な措置の実施に関する基準の策定
  5. 長時間労働による健康障害防止対策の労働者への周知
実施方法・実施体制等
  1. 労働者が自己の労働時間数を確認できる仕組みの整備
  2. 申出を行う際の様式の策定
  3. 申出を行う窓口の設定
  4. 労働者が申出を行いやすくするための(1)~(3)の周知徹底
常時50人未満の労働者を使用する事業場の対応 常時使用する労働者数50人未満の事業場においては、
  1. 前記の面接指導等及びその事後措置の実施並びに面接指導等を実施するための手続等の整備を実施する必要があるが、面接指導等及びその事後措置の実施については、近隣に専門的知識を有する医師がいない等の理由により、事業者自ら医師を選任し、面接指導を実施することが困難な場合には、地域産業保健センターの活用を図るものとする。
  2. 面接指導等を実施するための手続等の整備を行う場合には、安衛則第23条の2に基づく関係労働者の意見を聴くための機会を利用するように努めるものとする。
  3. 地域産業保健センターで実施する面接指導を、事業者の指示等により対象者が受ける場合には、安衛法第66条の8第2項に規定されている事業者が指定した医師が行う面接指導に該当することとなるが、この場合、事業者は、対象となる労働者の勤務の状況(例えば直近1ケ月の総労働時間、時間外・休日労働時間、業務内容等)を記載した書面を当該医師に提出するとともに、安衛則第52条の6に基づき当該面接指導の結果を記録し保存しておくものとする。
過重労働による業務上疾病を発生させた場合の措置 産業医等の助言または労働衛生コンサルタントの活用を図りながら原因の究明および再発防止の徹底を図る。

出典:実践産業医活動テキスト「過重労働対策」第2版、2009年、(財)産業医学振興財団


3 労働時間対策

  過重労働による健康障害(過労死等:脳出血などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患又はこれらによる死亡)は、長時間労働によって発生することが多いので、長時間労働を行わないようにすることが最も重要な対策です。

  労働時間は、労働基準法により1日8時間、1週40時間という制限があります。また、法律に定める手続を経て時間外労働(残業や休日労働)を行うことができますが、時間外労働も長時間にわたらないようにすることが必要です。

  労働基準法に定める労働時間制度の概要は、次のとおりです(労働基準法第32条~第38条の4→)。

項 目 内  容
法定の労働時間、休憩、休日
  • 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
  • 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
  • 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
時間外労働協定(36協定)
  • 労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定において、時間外・休日労働について定め、労働基準監督署に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められます。この労使協定を「時間外労働協定」といいます。なお、時間外労働時間には限度が設けられています。
  • ※ 時間外労働協定は、労働基準法第36条に定めがあることから、一般に「36(サブロク)協定」とも呼ばれています。
変形労働時間制
  • 変形労働時間制は、労使協定または就業規則等において定めることにより、一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができます。「変形労働時間制」には、(1)1か月単位、(2)1年単位、(3)1週間単位のものがあります。
フレックスタイム制
  • フレックスタイム制は、就業規則等により制度を導入することを定めた上で、労使協定により、一定期間(1か月以内)を平均し1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、その期間における総労働時間を定めた場合に、その範囲内で始業・終業時刻・労働者がそれぞれ自主的に決定することができる制度です。
みなし労働時間制
  • みなし労働時間制には、「事業場外みなし労働時間制」、「専門業務型裁量労働制」、「企画業務型裁量労働制」があります。
  • 事業場外みなし労働時間制は、事業場外で労働する場合で労働時間の算定が困難な場合に、原則として所定労働時間労働したものとみなす制度です。
  • 専門業務型裁量労働制は、デザイナーやシステムエンジニアなど、業務遂行の手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしない19の業務について、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使協定で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。
  • 企画業務型裁量労働制は、事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務遂行の手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしない業務について、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使委員会で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。

  上記の規定のほか、適正な労働時間の確保のため、次のような基準等があります。


4 年次有給休暇

  過重労働による健康障害(過労死等:脳出血などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患又はこれらによる死亡)は、長時間労働によって発生することが多いので、長時間労働を行わないようにすることに加えて、年次有給休暇を取得するようにすることが大切です。上司が率先して年次有給休暇を取得して年次有給休暇を取りやすい職場の雰囲気とするなど環境を整える必要があります。

  労働基準法に定める年次有給休暇は、次のようになっています(労働基準法第39条→)。

(1) 年次有給休暇の日数

  雇い入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上を出勤した労働者には10日間の年次有給休暇を付与しなければなりません。さらに、継続年数に応じて、下表の日数の年次有給休暇を与えなくてはなりません。

・ 一般労働者

勤続年数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

・ パートタイム労働者(週労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満)

週所定労働日数 1年間の所定労働日数 勤    続    年    数
6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月
4日 169~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

(2) 年次有給休暇の取得に関する決まり

年次有給休暇の取得時季 年次有給休暇の取得時季については、労働者に時季指定権があります。
なお、指定時季が事業の正常な運営の妨げになるような場合には、会社に休暇時季の変更権が認められています(会社の時季変更権が認められるのは、年度末の業務繁忙期に請求が集中したような場合などに限られます。)。
年次有給休暇の計画的付与 年次有給休暇の計画的付与は、労使協定で年次有給休暇を与える時季に関する定めをした場合で、年次有給休暇のうち、5日を超える部分(繰越し分を含みます)に限ります。
付与の方法としては、例えば事業場全体の休業による一斉付与、班別の交替制付与、年休計画表による個人別付与等が考えられます。
年次有給休暇の権利 年次有給休暇の請求権は、労働基準法第115条の規定により、2年間で時効によって消滅します。年次有給休暇の請求権は、基準日に発生するものであるので、基準日から起算して2年間、すなわち、当年度の初日に発生した休暇については、翌年度末で時効により消滅することになります。

5 労働時間等の設定の改善

  「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法→」により、労働時間等の設定の改善に向けた事業主等による自主的な努力により、働く人がその有する能力を有効に発揮することができるようにするとともに働く人の健康で充実した生活の実現などを目指すことが求められています。

  この法律の概要は、次のとおりです。

項 目 内  容
労働時間等の設定の改善
  • 労働時間、始業・終業の時刻、休日数、年次有給休暇の日数や時季等の労働時間等に関する事項の設定を労働者の健康と生活に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへ改善する。
  • 事業主は、労働時間等の設定の改善を図るため、必要な措置を講ずるよう努めなければなりません。










基本的な考え方
  1. 労働時間等の見直しを含めた仕事と生活の調和の実現に向けた取組は、少子化の流れを変え、人口減少下でも多様な人材が仕事に就けるようにし、我が国の社会を持続可能で確かなものとするために必要な取組であるとともに、企業の活力や競争力の源泉である有能な人材の確保・育成・定着の可能性を高めるものです。
  2. 経営者自らが主導して、職場風土改革のための意識改革等に努めることが重要です。
  3. 「仕事と生活の調和推進のための行動指針」で定められた社会全体の目標の内容も踏まえ、各企業の実情に応じて仕事と生活の調和の実現に向けて計画的に取り組むことが必要です

(社会全体の目標値)

  • 「週労働時間60時間以上の雇用者の割合を10年後に半減」
  • 「年次有給休暇取得率を10年後に完全取得」など
仕事と生活の調和の実現のために重要な取組
  1. 労使間の話合いの機会の整備 労使間の話合いの機会の整備
    • 労働時間等設定改善委員会をはじめとする労使間の話し合いの機会の整備等
  2. 年次有給休暇を取得しやすい環境の整備
    • 取得の呼びかけ等による取得しやすい雰囲気づくり
    • 計画的な年次有給休暇の取得
    • 年次有給休暇の取得状況を確認する制度の導入
    • 取得率の目標設定の検討 等
  1. 所定外労働の削減
    • 「ノー残業デー」、「ノー残業ウィーク」の導入・拡充
    • 長時間労働の抑制(長時間労働が恒常的なものにならないようにする等)等
  2. 労働者各人の健康と生活への配慮
    • 特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者
    • 育児・介護を行っている労働者
    • 単身赴任中の労働者
    • 自発的な職業能力開発を行う労働者 等への配慮
労働時間等設定改善
委員会
  • 労使間の話合いの機会を整備するため労働時間等設定改善委員会を設置
  • 一定の要件を充たす委員会には、労使協定代替効果、届出免除といった労働基準法の適用の特例
労働時間等設定改善
実施計画
2以上の事業主が共同して作成し、大臣承認を受けた場合、計画内容の独禁法違反の有無を関係大臣が公正取引委員会と調整

労働時間等設定改善指針(平成20年度厚生労働省告示第108号)

労働時間等設定改善指針の改正について(平成22年度3月19日付け基発第0319第3号)→


6 快適な職場環境の形成

  平成4年に労働安全衛生法が改正され、疲労やストレスの少ない職場づくりを目指して快適な職場環境の形成を促進することになりました。

  職場の環境について現状を的確に把握し、職場の意見、要望等を聞いて、快適職場の目標を掲げ、計画的に職場の改善を進めることが必要です。例えば、適切な温度・湿度の管理を行う、力仕事を少なくして作業者の心身の負担を軽減する、疲れた時に身体を横にすることのできる休憩室等を設置する等の措置をします。

  職場の快適化の第一歩は作業環境等のハード面の改善を行い、人が不快と感ずる要因を取り除くことですが、それだけでなく、労働時間、安全衛生管理の水準、職場の人間関係、働きがいなども、人が快適さを感じるための重要な要因です。

  快適な職場環境の形成を的確に進めるため、「快適な職場環境の形成のための措置に関する指針→」(平成4年労働省告示第59号)が示されており、その概要は、次のとおりです。

項 目 目標の設定 措置の対象
1 作業環境 不快と感じることがないよう、空気の汚れ、臭気、温度、湿度等の作業環境を適切に維持管理すること。
  • 空気環境:空気の汚れ、臭気、浮遊粉じん、タバコの煙
  • 温熱条件:温度、湿度、感覚温度、冷暖房条件(外気温との差、仕事にあった温度、室内の温度差、気流の状態)
  • 視環境:明るさ、採光方法、照明方法(直接照明、間接照明、全体照明、局所照明)、グレア、ちらつき、色彩
  • 音環境:騒音レベルの高い音、音色の不快な音
  • 作業空間等:部屋の広さ、動き回る空間(通路等)、レイアウト、整理・整頓
2 作業方法 心身の負担を軽減するため、相当の筋力を必要とする作業等について、作業方法を改善することとする。
  • 不良姿勢作業:腰部、頸部に大きな負担がかかる等の不自然な姿勢
  • 重筋作業:荷物の持ち運び等をいつも行う作業等、相当の筋力を要する作業
  • 高温作業等:高温・多湿や騒音等にさらされる作業
  • 緊張作業等:高い緊張状態の持続が要求される作業や一定の姿勢の持続が求められる作業
  • 機械操作等:操作がしにくい機械設備等の操作
3 疲労回復支援施設 疲労やストレスを効果的に癒すことのできる休憩室等を設置・整備すること。
  • 休憩室(リフレッシュルーム等):疲労やストレスを癒す施設
  • シャワー室等の洗身施設 :多量の発汗や身体の汚れを洗う施設
  • 相談室等:疲労やストレスについて相談できる施設
  • 環境整備:運動施設、緑地等
4 職場生活支援施設 洗面所、トイレ等職場生活で必要となる施設等を清潔で使いやすい状態にしておくこと。
  • 洗面所・更衣室等 :洗面所、更衣室等就業に際し必要となる設備
  • 食堂等:食事をすることのできるスペース
  • 給湯設備・談話室等:給湯設備や談話室等の確保

  快適な職場環境の形成を進めるに当たっては、次の事項を考慮してください。

  1. 継続的かつ計画的な取組
  2. 働く人の意見の反映
  3. 個人差への配慮・・・温度、照明等、職場の環境条件について年齢等、個人差へ配慮すること。
  4. 潤いへの配慮・・・職場に潤いを持たせ、リラックスさせることへの配慮をすること。

  快適な職場環境の形成に関する次の行政指導通達が示されていますので、参考としてください。

  快適な職場環境の形成のためのツールとして、継続的かつ計画的に快適な職場環境の形成に取り組むための評価票-快適職場のハード&ソフト対策の進め方-が示されていますので、活用してください。


7 健康診断と事後措置

  過重労働による健康障害(過労死等:脳出血などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患又はこれらによる死亡)を防止するため、健康診断は重要な手段の一つです。これにより健康状態を把握し、所見がある場合には、事業者が医師の意見を聴いて必要な措置を講じなければなりません。

  過労死等の予防に活かすことができる健康診断は一般健康診断ですが、次のような種類があります。

種 類 内  容 関係法令
雇入れ時健康診断 雇入れるときに行う健康診断です。 労働安全衛生法第66条第1項→ 労働安全衛生規則第43条→
一般定期健康診断 働く人がだれでも1年に1回受ける健康診断です。 同規則第44条→
特定業務健康診断 深夜業など特定の有害業務に従事する人が6か月に1回受ける健康診断です。 同規則第45条→
海外派遣健康診断 6か月以上海外に派遣となる場合にその前後に受ける健康診断です。 同規則第45条2→
自発的健康診断 6か月平均で4回/月以上深夜業に従事する人は自発的に受診してその結果を事業者に提出することができる健康診断です。 労働安全衛生法第66条の2→
同規則第50条の2~第50条の4→
二次健康診断等給付 上記の健康診断(自発的健康診断を除きます。)の結果、血圧、血中脂質、血糖及び腹囲又は肥満度(BMI)の4項目のすべてに所見あると診断されたときは、労災保険給付として(無料で)二次健康診断と特定保健指導を受けることができます。 労働者災害補償保険法第26条~第28条→労働者災害補償保険法施行規則第18条の16~第18条の19→

  健康診断を実施した後には、医師の意見を聴き、必要な方には事業者がその受診者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければなりません。これを適切に実施するために、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針→(平成8年健康診断結果措置指針公示第1号、平成27年11月改正公示第8号)が示されています。

  また、次の事項を実施する必要があります。


8 面接指導と事後措置

  過重労働による健康障害(過労死等:脳出血などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患又はこれらによる死亡)を防止するため、長時間労働者に医師により面接指導を行うことが有効です。

  面接指導は、過労死等の防止のため、平成17年の労働安全衛生法の改正により新たに導入された制度で、メンタルヘルス対策としても有効です。

  面接指導は、次により実施する必要があります。

項 目 内 容
面 接 指 導(義務) 面接指導に準ずる措置(努力義務)
関係規定 労働安全衛生法第66条の8→第104条→
労働安全衛生規則第52条の3~第52条の7→
労働安全衛生法第66条の9→
労働安全衛生規則第52条の8→
関係通達 平成18年2月24日付け基発第0224003号「労働安全衛生法等の一部を改正する法律(労働安全衛生法関係)等の施行について→
規定の趣旨 事業者は、一定の労働者に対し、医師による面接指導を行わなければなりません。 事業者は、左欄の労働者以外の労働者であって健康への配慮が必要なものについて必要な措置を講ずるように努めなければなりません。
面接指導の定義 問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいいます。
対象事業場 全ての事業場
対象労働者 休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者で、面接指導の申出をしたもの。ただし、1か月以内に面接指導を受けた労働者等で、面接指導を受ける必要がないと医師が認めた者を除きます。
なお、産業医は、時間外・休日労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者に対して、面接指導の申出を行うよう勧奨することができます。
また、前記の超えた時間の算定は、毎月1回以上、一定の期日を定めて行わなければなりません。
派遣労働者については、派遣元事業主に実施義務が課せられています。

1 長時間の労働により、疲労の蓄積が認められ、又は健康上の不安を有している労働者

2 前号に掲げるもののほか、事業場において定められた法第66条の9の必要な措置の実施に関する基準に該当する労働者

~事業場で定める基準の例~

(1) 週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超えた労働者及び2~6か月間の平均で1月当たり80時間を超えた労働者全員

(2) 週40時間を超える労働が1月当たり80時間を超えた労働者全員

(3) 週40時間を超える労働が1月当たり45時間を超えた労働者で産業医が必要であると認めた者

実施事項

面接指導:労働者の申出後、遅滞なく実施します。

面接指導における確認事項:

1 当該労働者の勤務の状況

2 当該労働者の疲労の蓄積の状況

3 前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況

面接指導又は面接指導に準ずる措置
~面接指導に準ずる措置の例~
対象労働者に係る作業環境、労働時間等の情報を産業医に提出し、事業者が産業医から助言指導を受けます。
労働者の受診義務等 前記の対象労働者は、事業者が行う面接指導を受けなければなりません。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りではありません。 「労働者の受診義務等」~「事業者の行う措置」の項目については、左記に準じた必要な措置を講じるよう努めなければなりません。
記録の保存 面接指導結果の記録を作成して5年間保存しなければなりません。
医師からの意見聴取 面接指導の結果に基づき、労働者の健康を保持するために必要な措置について、面接指導が行われた後(前記の他の医師による面接指導を受けたときはその結果を証明する書面を提出した後)、遅滞なく、医師の意見を聴かなければなりません。
事業者の行う措置 医師の意見を勘案して、必要があると認めるときは、労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じるほか、医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければなりません。
守秘義務、個人情報保護 面接指導の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た秘密を漏らしてはなりません。 健康情報を含む個人情報の保護の観点から、個人情報の適切な取扱いを行わなければなりません。
主な留意事項

面接指導の費用は、事業者が負担すべきものである。
面接指導に要した時間の賃金の支払いは、労使協議により定めるべきものであるが、事業者がこれを支払うことが望ましい。

衛生委員会等又は労働時間等設定改善委員会への医師の意見の報告に当たっては、医師からの意見は個人が特定できないように集約・加工するなど労働者のプライバシーに適正な配慮が必要である。

特にメンタルヘルス不調に関し、面接指導を受けた結果として、事業者が労働者に対し不利益な取扱いをすることがあってはならない。

1月当たりの時間外・休日労働時間の算定は、次式による。

1か月の総労働時間数(労働時間数+延長時間数+休日労働時間数)-(計算期間(1か月間)の総暦日数/7)×40

常時使用する労働者の数が50人未満である事業場については平成20年3月31日までの間、第66条の8及び第66条の9の適用はないが、地域産業保健センターを活用すること等により面接指導等を実施するとともに、その結果に基づく措置を講ずることが適当である。
その他巻末の「資料1 関係法令等」を参照

  面接指導を行うための次のツールがあります。次のツールのうち、面接指導チェックリストは法令で定められたものではなく、改変して使用することもできます。ただし、面接指導は、(1)勤務の状況、(2)疲労の蓄積の状況、(3)その他心身の状況を把握する必要がありますので、改変する場合はこれらを外さないようにすることが必要です。

  1. 長時間労働者への面接指導チェックリスト(医師用)→
  2. 長時間労働者への面接指導マニュアル―チェックリストの使い方―(医師用)→
  3. 長時間労働者への面接指導チェックリスト(地域産業保健センター用)→
  4. 長時間労働者への面接指導マニュアル―チェックリストの使い方―(地域産業保健センター用)→
  5. 労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト→

9 労災補償

  不幸にも仕事によって脳・心臓疾患にかかったり、これにより死亡された場合には(過労死等:脳出血などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患又はこれらによる死亡)、労災補償制度により一定の補償がなされます。

  労災補償を受けるには、病気にかかったご本人、自殺された場合にはご遺族が請求することになります。会社はその手続きを支援することが望まれます。

(1) 労災補償の内容等

給付を受けることができる場合 給付の種類 給付の内容
医療機関で療養を受けるとき 療養補償給付 無料で療養又は全額給付
傷病の療養のため労働することができず、賃金を受けられないとき 休業補償給付 休業1~3日の間は事業主の支払い
休業4日目以降給付基礎日額の60%給付。別に特別支給金
療養開始後1年6か月たっても傷病が治ゆしないで障害の程度が傷病等級に該当するとき 傷病補償年金 傷病等級 第1級:給付基礎日額の313日分の年金
傷病等級 第2級:給付基礎日額の277日分の年金
傷病等級 第3級:給付基礎日額の245日分の年金
傷病が治ゆして障害等級に該当する身体障害が残ったとき 障害補償給付 障害等級 第1級~第7級:障害補償年金
(給付基礎日額の313日分~131日分)
障害等級 第8級~第14級:障害補償一時金
(給付基礎日額の503日分~56日分)
障害(補償)年金または傷病(補償)年金の一定の障害により現に介護を受けているとき 介護補償給付 常時介護:支出額(上限104,960円/月、下限56,930円/月)
随時介護:支出額(上限52,480円/月、下限28,470円/月)
労働者が死亡したとき 遺族補償給付 遺族補償年金:給付基礎日額の153日分(55歳以上の妻又は一定の障害状態にある妻は175日分。遺族1人)~245日分(遺族4人以上)
遺族補償一時金(年金受給資格者がない場合等):給付基礎日額の1,000日分など
葬祭料 315,000円+給付基礎日額の30日分(この合計額が給付基礎日額の60日分に満たないときは給付基礎日額の60日分)

(2) 労災認定

労災補償を受けるためには、所轄の労働基準監督署にご本人又はご遺族が請求しますが、その後、その労働基準監督署が仕事との因果関係などを検討するため、種々の調査を行います。事業場関係者、医療機関関係者、ご家族、ご本人などはこの調査に協力することが必要です。

  調査の結果に基づいて、専門家の意見を聴くなどにより、次の基準によって、仕事との因果関係などを検討します。

  この基準を満たす事例は、次の業務上疾病に該当するものと認定され、必要な保険給付がなされます。
  「8.長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病」(労働基準法施行規則別表第1の2→第8号)

  なお、仕事による負傷に起因する脳血管疾患及び虚血性心疾患等については、脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について(昭和62年10月26日付け基発第620号)に掲げる基準を満たす場合に、「業務上の負傷に起因する疾病」(労働基準法施行規則別表第1の2→第1号)に該当するものと認定され、必要な保険給付がなされます。