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一般労働条件に関する施策の概要

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1 一般労働条件に関する施策の経過

 一般労働条件に関する主な法令の制定・改正等の施策の経過は、次のとおりです。

年月日施策の内容備考
昭和22年(1947)4月 労働基準法→制定  
昭和22年(1947)4月 労働者災害補償保険法→制定  
昭和34年(1959)4月 最低賃金法→制定  
昭和45年(1970)5月 家内労働法→制定  
昭和47年(1972)6月 労働安全衛生法→制定  
昭和51年(1976)5月 賃金の支払いの確保等に関する法律→制定  
昭和62年(1987)9月 労働基準法改正(週40時間労働制の法定) 平成9年にかけて段階的に短縮
平成5年(1993)6月 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律→制定  
平成10年(1998)12月 労働基準法第36条の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準→制定 昭和57年の指針を廃止
平成13年(2001)7月 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律→制定  
平成15年(2003)10月 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準→制定 パンフレット→
平成16年(2004)5月 労働審判法→制定 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法(平成4年)→を改正
平成17年(2005)11月 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法→制定 平成18年の指針を全部改正
平成19年(2007)12月 労働契約法→制定  
平成20年(2008)3月 労働時間等設定改善指針→制定  
平成22年(2010)4月 労働基準法(1ヶ月60時間超の時間外労働の割増賃金率引き上げ)→を改正  
平成24年(2012)8月 労働契約法(有期労働契約の適正利用のためのルール整備)→を改正  
平成25年(2013)4月 労働基準法施行規則第5条(期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準を書面交付)→を改正  
平成27年(2010)4月 パートタイム労働法→を改正  

2 労働条件の原則等

(1) 労働条件の原則
 労働基準法→において、労働憲章的な規定として、次のような労働条件の原則を定めています(労働基準法第1条~第4条、第13条)。

事 項 内 容
労働条件の原則 1 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要をみたすべきものでなければならない
2 労働基準法で定める労働条件は、最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない
労働条件の決定 労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものである
均等待遇 労働者の国籍、信条または社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならない
男女同一賃金 労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない
労働基準法に違反する労働条件 労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は無効であり、その無効となった部分は、労働基準法で定める基準による

(2) 労働条件の明示
 労働契約の締結(採用)に際して、次のように労働条件を明示すべきこととされています。明示された労働条件が事実と相違している場合は、労働者は即時に労働契約を解除することができます(労働基準法第15条→)。
なお、厚生労働省では、「労働条件通知書→」のモデル例を示しています。

明示すべき事項 明示の方法
必ず明示 1 労働契約の期間 書面の交付による明示が義務付けられている(昇給を除く)
2 就業の場所、従事する業務の内容
3 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制で勤務させる場合の就業時転換に関する事項
4 賃金の決定、計算、支払いの方法、賃金の締め切り、支払いの時期、昇給に関する事項
5 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
6 契約更新の基準(有期労働更新の場合) 書面の交付による明示は義務付けられていない
定めをする場合に明示 7 退職手当の適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払いの方法および支払いの時期
8 臨時に支払われる賃金、賞与、最低賃金額に関する事項
9 労働者に負担させる食費、作業用品などに関する事項
10 安全、衛生に関する事項
11 職業訓練に関する事項
12 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
13 表彰、制裁、休職に関する事項

※パートタイマーに対しては、前記の必ず明示と定めをする場合に加え、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」を明示する必要があります。また、パートタイマーの雇用管理の改善について、「相談窓口の明示(相談者の氏名、相談担当の役職、相談担当部署)」も明示する必要があります。
  パンフレット「パートタイム労働者の適正な労働条件の確保のために→

3 労働契約

(1) 労働契約の原則
 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことを内容とする契約です。労働契約書のような書面がなくても、労使当事者の合意があれば成立します(労働契約法第6条→)。
労使は、労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとされています(労働契約法第4条第2項→)。労働契約法において、労働契約の原則が次のように定められています(労働契約法第3条、第5条→)。

労使対等の合意原則 労働契約は、労働者と使用者が対等な立場における合意に基づいて締結・変更すべきものとする
均衡考慮の原則 労働契約は、労働者と使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ、締結・変更すべきものとする
仕事と生活の調和への配慮の原則 労働契約は、労働者と使用者が、仕事と生活の調和にも配慮しつつ、締結・変更すべきものとする
信義誠実の原則 労働者と使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い、誠実に権利を行使し、義務を履行しなければならない
権利濫用の禁止 労働者と使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない
安全配慮の義務 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとする

(2) 契約の期間
 ア 労働契約は、契約の期間によって、次の2つに分かれます。
   a 期間の定めのない契約(正社員等の場合)
   b 期間の定めのある契約(「有期労働契約」という)
 イ 有期労働契約の場合は、次のように契約期間に上限が定められています(労働基準法第14条→)。これを超える契約は、無効となり、この場合、上限の期間までの契約となります。

対象 契約期間の上限
原則 3年
土木事業などの期間が限られた事業 必要な期間として定めた期間
職業訓練の必要がある場合
専門的な知識、技術、経験で高度なものとして厚生労働大臣が定める基準(平成15年厚生労働省告示第356号)に該当する場合 5年
満60歳以上の者

 ウ 労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないように配慮することとされています(労働契約法第17条第2項→)。

(3) 有期労働契約の更新等
 有期労働契約の更新や雇止めをめぐってのトラブルを防止するため、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚生労働省告示第357号)→が定められています。

項目 内容
雇止めの予告 使用者は、期間の定めのある労働契約を更新しない場合には、あらかじめ更新しないことが明示されている場合を除き、少なくとも契約期間の満了する30日前に予告しなければならない
雇止めの理由の明示 使用者は、労働者が雇止めの理由について証明書を請求したときは、遅滞なく、証明書を交付しなければならない
契約期間の配慮 使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している場合には、契約の実態や労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするように努めなければならない

 有期労働契約に関しては、新しいルールができました。(労働契約法第18条、第19条、第20条)→

 
項目 内容
無期労働契約への転換 有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール
雇止め法理の法定化 一定の場合には、使用者による雇止めが認められないことになるルール
不合理な労働条件の禁止 有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルール

4 就業規則

(1) 就業規則の定め
 就業規則は、労働時間、賃金などの労働条件や経営上の必要から労働者が就業に際して守らなければならない規律などについて定めた職場の規則です。
 我が国では、労働契約の内容は就業規則で定める労働条件によるとする慣習があり、労働契約法においても認められています(労働契約法第7条→)。
 労働基準法においては、就業規則について、次のように規制しています(労働基準法第89条、第90条、第106条→)。

事項 内容
作成・届出義務 常時10人以上の労働者(パートタイマー、アルバイトなどを含む)を使用する使用者は、就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出なければならない就業規則を変更した場合も、同様に届出を要する
記載すべき事項 必ず記載すべき事項 1 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制で就業させる場合の就業時転換に関する事項
2 賃金の決定、計算、支払いの方法、賃金の締切り、支払いの時期、昇給に関する事項
3 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
定めをする場合には、記載すべき事項 4 退職手当の適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払いの方法、支払いの時期に関する事項
5 臨時の賃金等、最低賃金額に関する事項
6 労働者に負担させる食費、作業用品などに関する事項
7 安全、衛生に関する事項
8 職業訓練に関する事項
9 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
10 表彰、制裁の種類、程度に関する事項
11 その他労働者のすべてに適用される定め(旅費、福利厚生など)
意見聴取 1 使用者は、就業規則の作成、変更について、労働者の過半数で組織する労働組合または過半数の労働者を代表する者の意見を聴かなければならない
2 使用者は、就業規則の作成、変更の届出をする場合には、上記①の意見を記した書面を添付しなければならない
周知 使用者は、就業規則を各作業場の見やすい場所に掲示し、備え付けること、書面を交付すること等の方法によって、労働者に周知させなければならない

(2) 就業規則の変更による労働条件の変更
 労働契約法において、就業規則の変更による労働条件の変更について、次のとおり定めています(労働契約法第9条、第10条→)。

事項 内容
不利益変更の禁止 使用者は、労働者の合意なく、就業規則の変更によって労働者の不利益に労働条件を変更することはできない
例外による変更 就業規則が労働者に周知されていて、かつ、その変更の内容が合理的であるときは、就業規則の変更によって労働条件を変更することができる(合理性の判断要素)
1 労働者の受ける不利益の程度
2 労働条件の変更の必要性
3 変更後の就業規則の内容の相当性
4 労働組合等との交渉の状況
5 その他就業規則の変更に係る事情
個別の同意がある場合 上記の場合、労働契約において、就業規則の変更によっては変更されない労働条件として、個別に合意がある場合は、その合意が優先される

5 賃金

 賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として、使用者が労働者に支払うものとされています(労働基準法第11条→)。
(1) 賃金の支払い方(労働基準法第24条→

五原則 内容
通貨払いの原則 賃金は、通貨で支払わなければならない
例外 要件
1 口座振込み 労働者の同意を得た場合は、労働者の指定する銀行その他の金融機関の本人名義の預貯金等の口座に振り込むことが認められる
2 実物給与(会社の製品など) 労働協約(労働組合と使用者との書面による取り決め)に別段の定めがある場合は、認められる
直接払いの原則 賃金は、直接、労働者に支払わなければならない
全額払いの原則 賃金は、全額を支払わなければならない
例外 要件
一部控除ができる 法令に別段の定めがある場合(税金、社会保険料など)
労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合(労働組合費、親睦会費など)
毎月払いの原則 賃金は、毎月1回以上支払わなければならない
例外 1 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
2 賞与
3 1ヶ月を超える期間の出勤成績によって支払われる精勤手当
4 1ヶ月を超える一定期間の継続勤務に対して支払われる勤続手当
5 1ヶ月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給、能率手当
一定期日払いの原則 賃金は、一定の期日を定めて支払わなければならない
例外 上記の例外の1~5について、同じ

(2) 退職金(退職手当)

事項 内容
任意な制度 退職金(退職手当)は、必ずしも義務づけられているものではなく、制度を設けるか否かは、使用者が任意に決められる
賃金と同様の規制 支給条件が明確に定められている場合は、労働条件の一つとして、賃金の支払いに関する規制が適用される
支払いの方法 通常の賃金の支払いの方法のほか、労働者の同意を得た場合は、次の支払い方法が認められている
1 銀行その他の金融機関によって振り出されたその金融機関を支払人とする小切手
2 金融機関の支払保証小切手
3 郵便為替
支払い時期 就業規則などであらかじめ定めていれば、その支払時期に支払うことができる

(3) その他の手当等(労働基準法第25条~第27条→

事項 内容
休業手当 使用者の責に帰すべき事由によって、労働者が就労できなかった場合は、その休業期間中、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならない
出来高払いの保障給制 出来高払制その他の請負制で使用される労働者の賃金については、労働時間に応じて、一定額の賃金を保障しなければならない
非常時払い 労働者が次の非常の場合の費用に充てるために請求する場合には、支払期日前であっても、それまでに労働した分の賃金を支払わなければならない
1 出産
2 疾病
3 災害
4 結婚、死亡
5 やむを得ない事由により1週間以上にわたり帰郷する場合

(4) 最低賃金
 賃金の最低基準については、最低賃金法で定められており、臨時雇い、パートタイマー、アルバイト等を問わず、原則として、すべての労働者に適用されます。
 労働契約で最低賃金額に満たない賃金を定めても無効となり、この場合は最低賃金額で定めたものとして取り扱われます(最低賃金法第4条第2項→)。
 最低賃金は、次の2種類があり、ほぼ毎年改定されています。

種類 内容
地域別最低賃金 各都道府県ごとに決定され、その都道府県内で働く労働者に適用される(平成28年10月現在932円~714円)
特定最低賃金 都道府県内の一定の事業や職業に従事する基幹的労働者に適用される(電気機械器具製造業、各種商品小売業など)

 最低賃金の対象となるのは、通常の労働時間に対応する賃金であり、次のものは対象から除外して計算されます。

1 精皆勤手当
2 通勤手当
3 家族手当
4 時間外手当、休日出勤手当、深夜勤務手当
5 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
6 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

(5) 未払賃金立替払
 企業が倒産したために賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、その未払賃金の一定範囲について、国(独立行政法人労働者健康福祉機構へ委託)が事業主に代わって立替払いする制度が設けられています(賃金の支払いの確保等に関する法律)。詳細は、「救済制度」の箇所に記載がありますので、参照してください。

6 労働時間、休憩、休日

(1) 労働時間
 ア 労働時間の原則等について、労働基準法では、次のように定めています(労働基準法第32条、第40条→)。

事項 内容
労働時間の原則 休憩時間を除き、1週間について40時間、1日について8時間を超えて労働させてはならない
特例措置 常時9人以下の労働者を使用する事業場で、次の業種に該当するときは、1週間44時間まで特例として労働させることができる
 a 商業
 b 映画、演劇、興行の事業(映画の製作の事業を除く)
 c 保健衛生業
 d 旅館、飲食店、接客娯楽業

 イ 弾力的な労働時間制度として、次の変形労働時間制が認められています(労働基準法第32条の2~第32条の5→)。

種類 内容 実施要件
1ヶ月単位の変形労働時間制 1ヶ月以内の一定の期間について、平均して1週間当たりの労働時間が法定労働時間(40時間が原則)を超えない範囲内で、特定の週、日に法定労働時間を超えて労働させることができる 労使協定、就業規則その他
フレックスタイム制 始業・終業の時刻を労働者の決定に委ねることとし、1ヶ月以内の一定の清算期間の総労働時間が平均して1週間当たりの法定労働時間(40時間が原則)を超えない範囲内で、1週、1日の法定労働時間を超えて労働させることができる 労使協定
1年単位の変形労働時間制 1ヶ月を超え、1年以内の一定の期間について、平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内で、特定の週、日に法定労働時間を超えて労働させることができる 労使協定
1週間単位の非定型的変形労働時間制 労働者数29人以下の小売業、旅館、料理店、飲食店において、1週間の労働時間が40時間の範囲内で、1日10時間まで労働させることができる 労使協定

 ウ 次の場合は、みなし労働時間制をとることが認められています(労働基準法第38条の2~第38条の4→)。

種類 内容 実施要件
事業場外労働  a 事業場外の労働で、労働時間の算定が困難な場合は、所定労働時間労働したものとみなす
 b 通常、所定労働時間を超えて労働することが必要な場合は、その業務を行うのに通常必要とされる時間労働したものとみなす
 c 労使協定で定める場合は、その時間を通常必要とされる時間とする
労使協定
専門業務型裁量労働制 研究開発等専門的業務に従事する者について、業務の遂行の手段や時間配分を労働者の裁量に委ねることとした場合は、労使協定で定める時間を労働したものとみなす 労使協定
企画業務型裁量労働制 事業運営に関する企画、立案等の業務に従事する者について、業務の遂行の手段や時間配分を労働者の裁量に委ねることとした場合は、労使委員会の決議で定める時間を労働したものとみなす 労使委員会の決議

(2) 休憩
 休憩時間について、労働基準法では次のように定めています(労働基準法第34条→)。

事項 内容
休憩時間の長さ 労働時間が6時間を超える場合は、少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない
一斉付与 すべての労働者にいっせいに休憩時間を与えなければならない
(例外)労使協定があれば、交替で休憩時間を与えることができる
自由利用 休憩時間を自由に利用させなければならない

(3) 休日
 休日について、労働基準法では次のように定めています(労働基準法第35条→)。

事項 内容
週休制の原則 毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない
変形休日制 例外として、4週間を通じて、4日以上の休日を与える方法もある

(4) 労働時間等の適用除外
 次の者については、労働基準法の労働時間、休憩、休日の規定は適用されないこととなっています(労働基準法第41条→)。

対象 適用されない者
農業、水産業等 農業、畜産業、養蚕業、水産業などの自然条件に左右される業務に従事している者
管理監督の地位 事業の監督または管理者の地位にある者で、経営者と一体となって仕事をするもの
(下記通達を参照)
昭和22年9月13日付け発基第17号、昭和63年3月14日付け基発第150号・婦発第47号
平成20年9月9日付け基発0909001号「多店舗展開する小売業、飲食店業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」→
機密の事務の取扱い 秘書など、経営者と一体となって仕事をする者
監視・断続労働 監視や断続的労働、宿日直勤務に従事する者で、労働基準監督署長の許可を受けたもの

7 時間外・休日労働、割増賃金

(1) 時間外労働・休日労働ができる場合
 次の場合は、法定の労働時間を超えて時間外労働をさせ、または法定の休日に休日労働をさせることができます(労働基準法第33条、第36条→)。

事項 要件
労使協定による場合 労働者の過半数を組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との書面による協定(36協定という)をし、これを労働基準監督署長に届け出ることを要する
災害その他避けることのできない事由による臨時の必要がある場合(天災地変による災害への対応の場合など) 労働基準監督署長の許可を要する
(事態急迫の場合は、事後に遅滞なく届出)
公務のために臨時の必要がある場合 国家公務員、地方公務員が対象

(2) 時間外労働の限度
 ア 坑内労働その他一定の健康上有害な業務については、法定労働時間(1日8時間)を超えて延長できるのは、1日2時間までとされています(労働基準法第36条→第1項ただし書)。
 イ また、厚生労働省では、次のように時間外労働の延長の限度を定め(労働時間の延長の限度等に関する基準-平成10年厚生労働省告示第154号→)、これによる指導を行っています(労働基準法第36条第4項→)。

期間 限度時間 1年単位の変形労働時間制の場合の限度時間
1週間 15時間 14時間
2週間 27時間 25時間
4週間 43時間 40時間
1ヶ月 45時間 42時間
2ヶ月 81時間 75時間
3ヶ月 120時間 110時間
1年間 360時間 320時間

 ウ 2の限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情が予想される場合は、あらかじめ、限度時間を超える一定の時間まで延長できる旨の協定(特別条項付き協定)をすることもできます。ただし、この「特別な事情」とは、「臨時的なもの」(予算・決算業務、納期のひっ迫など)に限られ、全体として1年の半分を超えないものでなければなりません。
 エ 2の限度時間については、次の事業、業務には適用されません。
  a 工作物の建設等の業務
  b 自動車の運転の業務
  c 新技術、新商品等の研究開発の業務
  d その他季節的要因等により事業活動、業務量の変動が著しい事業、業務等で厚生労働省労働基準局長が指定するもの

(3) 割増賃金
 ア 時間外労働、休日労働、深夜労働をさせた場合は、通常の賃金に一定率以上の割増をして賃金を支払うことが義務づけられています(労働基準法第37条→)。

割増賃金の支払いが必要な場合 割増率
時間外労働
法定労働時間(1日8時間、1週40時間特例措置対象事業場は、1週44時間)を超える労働
原則 25%以上
月60時間を超える時間外労働 50%以上(平成22年4月から引き上げ)
(例外)
ア 労使協定を締結すれば、引き上げられた25%の割増賃金の支払いに代えて、有給の代替休暇を付与することもできる
イ 中小企業は、当分の間、引き上げが猶予され、25%以上でよい
特別条項付きの協定を締結する場合 月45時間を超える時間外労働に対する割増率を25%を超える率とするよう努めなければならない
休日労働
週1日または4週4日の法定休日における労働 
35%以上
深夜労働
午後10時から午前5時までにおける労働 
25%以上

 イ 割増賃金の額を求める場合に基礎とする賃金は、通常の労働時間、労働日の賃金であり、次の手当等は、除くことができます(労働基準法第37条第5項→)。
  a 家族手当
  b 通勤手当
  c 別居手当
  d 子女教育手当
  e 住宅手当
  f 臨時に支払われた賃金(結婚手当など)
  g 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
 ウ 時間外労働、休日労働等に対する割増賃金が適正に支払われない、いわゆる「サービス残業」の問題が指摘されていることから、厚生労働省は、次の通達を発し、労働時間の適正な把握と賃金不払残業の解消を図るための措置の徹底を指導しています。
 平成13年4月6日付け基発第339号「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」→
 平成15年5月23日付け基発第0523004号「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針について」→

8 年次有給休暇

 年次有給休暇について、労働基準法では次のように定めています(労働基準法第39条→)。
(1) 年次有給休暇の日数
 雇い入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上を出勤した労働者には10日間の年次有給休暇を与えなければなりません。さらにその後継続勤務し、1年ごとに全労働日の8割以上の出勤の要件を満たす労働者に、次の日数の年次有給休暇を与える必要があります。
(一般労働者)

勤続年数 6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

(パートタイム労働者-週所定労働時間が30時間未満で、かつ、次の①又は②のいずれかに該当する者:①週の所定労働日数が4日以下の者 ②週以外の期間によって所定労働日数が定められている場合には、年間の所定労働日数が216日以下の者)

週所定労働日数 1年間の所定労働日数 勤続年数
6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
4日 169~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

(2) 年次有給休暇の取得

取得する時季 労働者の請求する時季に与えなければならない
ただし、請求された時季に与えることが、事業の正常な運営を妨げる場合は、時季の変更ができる
計画的付与 労使協定をすることにより、年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分について、計画的に付与することができる
時間単位の取得 労使協定をすることにより、労働者が請求すれば、1年に5日分を限度として、時間単位で取得することができる
年次有給休暇の賃金 次の3つの方法のうち、いずれかによる
1 平均賃金
2 通常の賃金
3 健康保険法に定める標準報酬日額(労使協定が必要)
不利益取扱の禁止 年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱をすることは、禁じられている

9 労働時間等の設定改善

 「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」→が制定され、事業主等による労働時間等の設定の改善に向けた自主的な努力により、労働者がその有する能力を有効に発揮し、健康で充実した生活ができるようにすることが求められています。事業主等が適切に対処するために、次のような労働時間等設定改善指針(平成20年厚生労働省告示第108号)→が定められています。

事項 内容
一般的な措置 実施体制の整備 労働時間等設定改善委員会等の労使間の話し合いの機会を整備し、具体的な措置の内容、目標等の計画を作成し、これに基づいて推進する
労働者の抱える多様な事情および業務の態様に対応した労働時間等の設定 時季や日に応じて業務量に変動がある事業場について、変形労働時間制やフレックスタイム制を活用する
業務の進め方について労働者の創造性や主体性が必要な業務について、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制の活用を検討する
年次有給休暇を取得しやすい環境の整備 計画的な年次有給休暇の取得の推進を図るため、個人別年次有給休暇取得計画表の作成、取得率の目標設定、2週間程度の長期休暇の取得等を促進する
所定外労働の削減 「ノー残業デー」、「ノー残業ウィーク」の導入・拡充等により、所定外労働の削減を図る
時間外労働協定において特別条項を設ける場合も、限度時間を超える時間はできる限り短くし、週60時間以上の長時間労働を抑制する
労働時間の管理の適正化 時間的に過密な業務の運用により、労働者の健康障害や作業の誤りによる重大な事故の発生がないように管理する
ワークシェアリング、在宅勤務、テレワーク等の活用 多様な働き方の選択肢を拡大するワークシェアリングの導入や在宅勤務、テレワーク等の活用を図る
国の支援の活用 以上の取り組みを進めるに当たって、国が行う支援制度を積極的に活用する
特に配慮を必要とする労働者について講ずべき措置 特に健康の保持に努める必要がある労働者 医師の意見を踏まえて、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少その他適切な措置を講じる
病気休暇から復帰する労働者について、短時間勤務から始める等円滑な職場復帰を支援する
子の養育、家族の介護を行う労働者 育児休業、介護休業のほか、看護休暇、介護休暇、所定外労働の免除、所定労働時間の短縮等の措置を講じるとともに、制度を利用しやすい環境の整備を図る
妊娠中、出産後の女性労働者 請求があった場合は、時間外労働、休日労働、深夜業等をさせないとともに、母子保健法による保健指導、健康診査に基づき、勤務時間の短縮等の措置を講じる
単身赴任者 休日の前日の終業時刻の繰上げ、休日の翌日の始業時刻の繰下げ等の措置を講じる
自発的な職業能力開発を図る労働者 有給教育訓練休暇、長期教育訓練休暇、始業・終業時刻の変更、勤務時間の短縮等の措置を講じる
地域活動等を行う労働者 地域活動、ボランティア活動等の参加を可能とするよう、特別な休暇の付与、時間単位付与制度の活用等を検討する
その他特に配慮を必要とする労働者 労働者の意見を聞きつつ、その者に係る労働時間等の設定に配慮する

10 解雇、退職

(1) 労働契約の終了
 労働契約は、次の場合に終了します。

1 解雇(使用者の労働者に対する一方的な意思表示)
2 任意退職(労働者の使用者に対する一方的な意思表示)
3 合意解約(使用者と労働者の合意による解約)
4 期間満了(あらかじめ定められた期間の満了)
5 労働者の死亡
6 その他

(2) 解雇の制限、手続き等
 解雇について、労働基準法では次のような規制をしています(労働基準法第19条~第22条→)。

事項 内容
解雇の制限 1 業務上の負傷・疾病により療養のために休業する期間およびその後30日間は、解雇してはならない
2 産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)・産後8週間の休業している期間およびその後30日間は、解雇してはならない
(1および2の例外)
 ア 療養を開始してから3年を経過した日において労災保険の傷病補償年金を受けている場合その他平均賃金の1,200日分の打切補償を支払う場合
 イ 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合で、労働基準監督署長の認定を受けたとき
解雇の手続 労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも30日前に予告するか、または平均賃金の30日以上の予告手当を支払わなければならない(予告の日数は、その日数分の手当を支払った場合は、短縮することができる)
(例外)
1 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合で、労働基準監督署長の認定を受けたとき
2 労働者の責に帰すべき事由(2週間以上の無断欠勤など懲戒解雇となりうる事由)に基づく場合で、労働基準監督署長の認定を受けたとき
3 次表に該当する労働者
ただし、右欄の期間を超えて引き続き使用されることになったときは、予告または予告手当の支払いが必要
労働者 期間
日雇い労働者 1ヶ月
契約期間が2ヶ月以内の者 所定期間
4ヶ月以内の季節的業務に使用される者 所定期間
試用期間中の者 14日
解雇理由の請求 労働者は、解雇された場合に、使用者に対して、その解雇の理由について証明書を交付するよう請求することができる

(3) 解雇の正当性
 ア 解雇は、労働者にとって生活の基盤を失うこととなるので、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権を濫用したものとして無効となります(労働契約法第16条→)。
 イ 期間の定めのある契約(有期労働契約)については、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間、解雇することはできません(労働契約法第17条第1項→)。

11 その他の労働条件

 その他、次のような労働条件が定められています。

事項 内容
出向 出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定などの事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、その命令は無効となる(労働契約法第14条→
懲戒 懲戒(減給、降格など)が、当該労働者の行為の性質、態様等の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効となる(労働契約法第15条→
減給の制限 就業規則で減給の制裁を定める場合、
1 1回の事案について、平均賃金の1日分の半額を超えてはならない
2 総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない(労働基準法第91条→

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