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[事例3-8]交通事故を繰り返した営業職のうつ病の事例

1 概 要

年齢・性別:35歳、男性(独身)
業種:製薬業
職種:営業職
疾患名:うつ病
主訴:事故多発、不眠
既往歴等:特になし

2 症状・勤務状況の経過

  医家向け薬剤の営業マンとなり、在職10年ほどの中堅として活躍していました。元来、几帳面なところがあり、日報や報告書の類いは詳細で、上司の評価も高いものでした。時に微に入りすぎることもありましたが、営業マンの評価は売上至上主義であり、仕事の進め方の細部までは上司から指導されることが少なかったといいます。35歳時、交際中の女性との結婚話が持ち上がり、公私ともども充実しているものと周囲は考えていました。

  しかし、ある日営業車を運転中に追突事故(けが人はなし)を起こしてしまいます。その時は、結婚準備で忙殺され不眠の傾向があったためと申し出たそうですが、その後の3か月の間に3回も軽微な事故(駐車場でバック中に軽くぶつけたなど)を起こします。営業車はレンタルであり、損害保険等の条件が会社にとって厳しくなることを心配した上司が、本人が自動車運転適格か否かを産業医に相談したものです。

3 対 処

  従来、メンタル不調におちいった際に顕在化する問題として、産業医は3つのAという言葉を合言葉にしてきました。アルコール、アブセント(欠勤)、そしてアクシデントです。本例もアクシデントの典型的な例と考えられました。

  職場では、プライベートで眠れないなどというのは言語道断であり、営業マンとしての適性にまで話がとんでいましたが、産業医が本人に話を聞くと、必ずしもメンタル不調の要因は、プライベートなものだけではないようでした。すなわち、日報などの書類作成が立て込んでいるものの、これまでのような完璧な報告を目指すあまり、家に持ち帰ってまで作成するようになっていたこと、同期の中に出世が早い者がおり、直属の上司からはっぱを掛けられていたこと、当該業界の営業マンは転勤が多いが、近々それが予定されていること、しかも婚約者にはそのことを伝えられないでいること、が打ち明けられたのです。

  産業医は、不眠の程度が軽くなく、実際アクシデントが多発していることから専門医受診を指示し、主治医からは「うつにて3か月要休業」という診断書が出されました。

4 職場の課題

  職場で発生するメンタル不調は、健康管理上の大きな課題ですが、その結果としてアルコール問題やアクシデントが発生すれば、安全管理上も重要な問題となります。運転従事者だけではなく、例えば事務系でも通勤に自動車を使っているような場合には、このことを忘れてはなりません。根性論ではなく、事故傾性の原因の可能性としてメンタル不調などの疾病もあることを周知しましょう。そして、メンタル不調の要因のうち、職場(作業)に関連するものがあれば、それを回避する配慮も望まれます。

5 解 説

  本例も含め、メンタル不調でアクシデントを多発していても、疾病が軽快すれば元に戻ることがほとんどです。薬剤服用中は、その薬剤の作用で眠気が引き起こされることもありますが、この点は主治医などに確認すれば良いでしょう。本例の職場には、復職後にも従前と同じような仕事の仕方を続けた場合、仮にプライベートの問題が解決した後でもいつかは再発する可能性があることを理解いただき、3か月後に復職してきた際に日報などの作成について(必要事項にしぼり記載し時間をかけさせない)も指導していただきました。その結果、結婚、転勤、昇進と順調にイベントをのりこえ、今でも元気に勤務を続けられているようです。ちなみに、その後交通事故は1回も起こしていません。