ご存知ですか?うつ病

3 周りの方の注意も大切

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(1)ご家族の注意

 うつ病は、日本では約15人に1人が、一生のうちに一度はかかる病気といわれています。「誰がいつなってもおかしくない」と言われるほど、身近な病気です。一方で、うつ病のサイン、こころの不調のサインは、自分ではなかなか気づきにくいものです。中には、気づいても、「職場や家族に心配をかけたくない」という思いから、自分自身で抱え込み、誰にも相談できずにいるケースもあります。そこで、身近にいるご家族の方の「気づき」がたいへん重要な対応の鍵となってきます。

 うつ病の治療では、身体の病気と同様に「早期発見」、「早期対応」がとても大切です。早めに対応することで、スムーズな治療へと結びつき、より早期の回復につながります。うつ病は誰でもかかりうる病気であること、早期の対応でスムーズな治療に結びつくことをご理解いただき、こころの不調のサインに気づいたら、いちばん身近な存在であるご家族の方が、ぜひ、話しかけてみてください。もちろん、うつ病では、その治療期だけでなく回復期においても、ご家族の方の理解・サポートがたいへん重要な役割を果たします。心配な点がある場合には、ゆっくりと時間をとって話を聴いてあげることが大切です。

 ここでは、家族でもわかりやすい「気づき」のポイントについてお伝えします。

 まず、ご家族の方の「いつも」の様子を思い起こしてみてください。"いつもの様子と違う"と思ったその時が、対応の時です。話かけてみてください。

《うつ病のサイン》

【体の面】

  • 睡眠の変化:朝早く目が覚めてしまう、夜中に何度も目が覚めて眠れない、寝つきが悪いなど。
  • 食欲・体重の変化:食欲がない、食べてもおいしくない。食欲が急に増えた。体重が減った、または増えた。
  • 疲労がとれない:朝からぐったりと疲れきっている。疲労感がぬけない。
  • その他の変化:頭が重い、肩・首が重い。下痢や便秘が続く。

【こころの面】

  • 憂うつ感:気分が落ち込んでいる、何事にも悲観的になる。憂うつだ。
  • おっくう感:何事にも興味がもてない、何をするにもおっくうだ。
  • 焦り、不安感:イライラして落ち着きがない。不安だ。

【行動の面】

  • 遅刻・欠勤:会社に遅刻することが増えた、欠勤することが増えた
  • 出社拒否:会社に行きたがらない
  • 会話:口数が減る、「自分はだめな人間だ」など否定的な発言が増える。
  • 日常生活:新聞やテレビを見なくなった。人との接触を避けるようになった。

 上に示したような「うつ病のサイン」はひとつひとつは誰もが経験したことのあるものでしょう。しかしこれらの「サイン」が10日から2週間以上続く場合は、要注意です。いちばん身近な存在であるご家族の方が、まず、声をかけてみてください。「大丈夫」、「みんな同じだよ」、「そのうち良くなるよ」などという答えが返ってきても、症状やサインが続いている場合は、要注意です。ご本人が一人で抱えこんでしまうことのないよう、「心配だから、一緒に考えよう」という姿勢で、話しかけてみてください。気になる場合には、メンタルクリニックなどの専門機関に一緒に受診をするなど、専門家に相談をしてみるとよいでしょう。

(2)上司・同僚の注意

 「うつ病」が大半を占める気分障害の患者数は、ここ数年急増し、わが国でも平成20年には、はじめて100万人を超えました(厚生労働省、患者調査報告)。うつ病は、誰でもかかる可能性のある病気です。一方で、うつ病の対応では、「早期発見」、「早期対応」が大切になります。一日の大半を職場で過ごす人たちにとって、職場にいる上司・同僚は、きわめて身近な存在の人びとのうちのひとりです。職場で働く部下や同僚に、うつ病のサインがみられたら、すぐに声をかけてみてください。うつ病のサインは、自分ではなかなか気づきにくいものです。気づいても、なかなか言い出しづらい、周囲に迷惑をかけられないという理由で抱え込んでいる人も中にはいます。身近にいる上司・同僚である方がたには、うつ病のサインに気づいたら、声をかけ、話を聴いてあげてください。

 下記に、うつ病のサインを示します。「自分自身が気づく変化」と、上司・同僚からみても分かりやすい「周囲が気づく変化」の2つを示します。ここでのサインでは、「普段のその人からの変化」がポイントです。その人の変化に気づくためには、普段からの部下や同僚の様子、行動を知っておくことが大切です。

《うつ病のサイン》

【自分自身が気づく変化】

  • 憂うつ感:気分が落ち込んでいる、何事にも悲観的になる。憂うつだ。
  • おっくう感:何事にも興味がもてない、何をするにもおっくうだ。
  • 焦り、不安感:イライラして落ち着きがない。不安だ。
  • 睡眠の変化:朝早く目が覚めてしまう、夜中に何度も目が覚めて眠れない、寝つきが悪いなど。
  • 身体の症状:頭重感、頭痛、めまい、微熱、吐き気、下痢や便秘が続く。
  • 食欲・体重の変化:食欲がない。食欲が急に増えた。体重が減ったまたは増えた。
  • 疲労がとれない:朝からぐったりと疲れきっている。疲労感がぬけない。

【周囲が気づく変化】

  • 遅刻・欠勤:遅刻や早退が増えた、欠勤することが増えた
  • ミスの増加:ミスや事故が増えた。
  • 仕事の能率:判断力の低下、仕事の能率の低下が見られる。
  • 会話:周囲との会話が減った、昼食などでも一人でいることが多くなった、口数が減った。
  • 表情:表情が暗い、元気がない、顔色が悪い。
  • 身体の症状:頭重感、頭痛、めまい、微熱、吐き気などの訴えがあった。

 このようなサインに気づいたら、まず、話しかけてみてください。その際には、「期待してるからがんばれ」、「気合で乗り切れ」などのむやみな励ましや、「そんなことではダメだ」、「自分の立場を分かっているのか」、「誰だってそうだ」などの非難は禁物です。心配な気持ちを伝え、まずは「話を聴く」ことが大切です。

 また、人によってはうつ病の症状が悪化した際に、将来を悲観して、仕事を辞めることを考える人がいます。しかし、症状が回復すれば、考え方が変わることもあるので、重要な決断は、病気が回復してから行うよう促すことも大切です。 また、対応において気になる点があった場合や、心配な場合は、会社の産業医・看護職・心理職などの産業保健スタッフや、人事担当者、また、社外では本サイト「こころの耳」で紹介している専門相談機関に相談するとよいでしょう。

 不調のサインに気づいたら声をかけ、話を聴いてみること、そして、心配であればひとりで抱えずに周囲に相談し、人事や産業保健スタッフ、主治医などと連携をして対応していくことが大切です。

(3)産業保健スタッフの注意

 うつ病は働く人たちがかかる心の病の中で、もっとも頻度の多い病気です。企業で1か月以上の長期のお休みをする方の半数以上がこころの病、中でも、うつ病であると言われています。うつ病にかかると、その症状のために本人がつらい思いをするだけでなく、判断力が低下する、ミスを起こしやすいなど、職場での生産性にも影響が出てきます。この意味で、うつ病は働く人の生活や仕事にとって、大きな影響を与えるといえるでしょう。

 一方でうつ病は、医療的介入が成功しやすい病気とも言われており、予防活動を行うことの効果が非常に期待できる側面も持つと言えます。このことからも、産業医・看護職・心理職などの産業保健スタッフは、うつ病についての十分な知識を持ち、早期発見につとめ、職場上長・人事、そして必要に応じて主治医や家族とも連携を取り、適切な対応をとることが望まれます。産業保健スタッフの注意すべき点について、大きく3つの項目にまとめました。

ア うつ病の知識啓発活動を含めた教育・研修活動

 職場の管理監督者をはじめとする職場の方がたに、うつ病の知識、こころの不調のサインなどを知ってもらい、うつ病についての理解を深めてもらうことは、うつ病の早期発見においては大切なことです。このような機会を通して、産業保健スタッフの役割についても理解してもらい、職場で気になることがあった際に、すぐに、産業保健スタッフや人事と連携がとれる体制がつくれるよう、普段から教育・研修の機会をもつように心がけましょう。

イ うつ病の評価

 うつ病は、より医療的介入が成功しやすい病気でもあることから、産業の現場においても、適切にその評価をすることが望まれます。いくつか開発されている構造化面接のためのツールを活用するのもひとつでしょう。健康診断時や健康相談の際に、あわせてこのようなツールを活用する企業も増えてきています。また、面接・相談を行う際には、健診結果や問診などだけに頼るのではなく、勤務状況・作業能率など、日ごろからの職場の情報についても、必要な収集を行い、判断の材料とするとよいでしょう。

ウ うつ病の方への対応

 健康相談などをしていて、うつ病が疑われる場合には、ご本人のプライバシーに十分に配慮をしながら、主治医や外部の専門機関との適切な連携を行いましょう。今後の支援体制や、フォロー方法について、ある程度の見通しを本人に伝えておくことも大切です。特に、はじめてうつ病になった方の場合には、本人の不安も大きい場合が考えられます。ご本人の心配な点、気がかりな点についても確認の上、対応を進めていくとよいでしょう。また、職場での業務上の配慮、勤務面での配慮が必要な場合、また、職場への理解を求める必要がある場合など、ご本人の了承のもと、職場上長や人事とも連携をとります。

 なお、うつ病により会社をお休みすることが必要な場合には、職場上長や人事担当者、また、必要時、家族とも連携をとりながら、ご本人が安心してお休みに専念できる環境を作れるようサポートします。また、職場復帰後は、本人への支援はもちろんのこと、職場の方がたにも十分な理解が得られるよう、フォロー体制を整えるとよいでしょう。

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