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ひきこもった息子とわたしの共依存

まぁママ 55歳 女性 主婦 既婚

息子が家にいるようになるまで

 現在32歳の息子をもつ母(55歳)です。うちの息子はつい最近まで引きこもり、ニートのような状態でした。その状況が続いてしまったのには、私と息子の間に「共依存」という関係があったからでした。

 息子は中3の時、約1年間不登校になりました。イジメを受けていたわけではありませんでしたが、クラスのにぎやかな雰囲気が合わないというようなことを言っていました。学校もいろいろと力になってくれましたが、最後まで登校することはできないままでした。ただ、勉強は個人塾で補っていたので、成績は落ちたものの、高校受験に差し障りはありませんでした。

 高校は全日制に入りましたが、また休みがちになってしまい、1年の終わりごろに通信制に転入させました。4年かかってなんとか卒業。私も夫も大学に行ってほしかったですが、本人は行きたくないというので知り合いのつてで就職させました。しかし、2か月ほどで職場に行けなくなり、それからは自分の趣味の物の買い物に出かける時以外はずっと家にいるようになりました。

 私も夫も、今までは学校の先生に相談をすることができましたが、卒業してからは相談できる人がいなくなってしまい、煮詰まっていきました。

働けない息子

 息子はときどき、パソコンを使って友達の仕事の手伝いをし、少し収入があったようです。でも私は「そんなの稼いでいるうちに入らない」と思って、本人にもそう言っていました。その収入から少しでも家に入れられるほどではありませんでしたから。私から就職先をいくつかすすめてみましたが、それは拒否されました。息子が自分で探してくる求人情報は、勤務地が遠かったり、仕事内容もハードだったりしたので諦めさせていました。

 そんな毎日が何年も続き、息子も30歳間近、夫の定年も近づき、だんだん将来が不安になってきました。息子が働けない分、私がパートを増やしていました。うちもけっして裕福とは言えませんから、私も夫も将来が見えないことに焦り、イライラしていました。それで、つい「30歳になっても自立できなかったら、もう家においておけないからね!」と言ってしまいました。よく考えれば、働いてもいないのに自立しろだなんて、無理なのに・・・。当時はそれほど気持ちの余裕がなかったのです。

 息子は聞いているんだか聞いていないんだか、よくわからない反応でした。その時とても傷ついたということはだいぶ経ってから知りました。

 ある日、テレビを見ていたら、引きこもりやニートの特集をやっていました。今までならむしろ避けていましたが、その時は何か情報が得られるかもしれないと思い見てみることにしました。それが大きな転機となったのです。

サポートを受けながら

 地域に若者の就職相談施設があることが分かりました。家族の相談も受け付けていたので、まず自分が行くことに。私自身とても疲れていたので、話を聞いてもらえただけで気持ちが楽になりました。

 何回か通ううちに、知らないうちに息子を傷つけていた言葉や行動について、改めて考えさせられました。また、自立をかえって引き止めている共依存の状態も起こっているのではと言われ、ハッとしました。他者―私の場合は息子ですが―に必要とされることで自分の存在意義を見い出し、依存関係を続けてしまっていたのですね。

 自分が行き始めてからしばらくして、息子に「こういうところがあるから、よかったらインターネットで見てみて」と伝えてみました。メール相談も受け付けていたので、息子に合っていると思いました。2日ほどしてから、息子が「予約取ったから来週行ってくる」と。今までの彼からすると行動が早くて驚きました。息子も今の状態に甘んじていたわけでなくて、ずっと出口を探していたのかもしれないと思いました。

 それから、息子は定期的に相談に行くようになりました。職場見学をしながら、どのような仕事につくか具体的に考えるようになったようです。求人情報を自分でも探してきました。「あんたには難しいんじゃない?」と言いそうになったのをぐっとこらえました。相談員さんとも相談し、まずバイトから、社員登用の道もあるところで働き始めることになりました。週3日から始め、最近は週5日通えるようになり、このまま順調に勤務が続けられれば正社員の登用の可能性もあるとのことでした。

 私も今でもときどき親のセミナーに参加しています。相談する人ができて、自分たちの状況をしっかり認められるようになって、道が切り開けてきたように思います。自立を引きとめることがないよう気をつけながら、支えていきたいと思います。