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活用事例1:新しい時代の メンタルヘルスの合言葉は、「こころの耳」見た?

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新しい時代の メンタルヘルスの合言葉は、「こころの耳」見た?

東洋ゴム株式会社健康管理室
看護師 上田美惠子さん

東洋ゴム工業株式会社の設立は1945(昭和20)年8月、まさに新生日本に歩調を合わせるかのようにスタートを切った。以来、自動車用タイヤを中心にウレタン製品や工業用ゴム製品など幅広い商品群を開発、製造してきた。1975年には東京支店を本社に格上げ、大阪と東京の2本社体制で業容を拡大してきたが、急成長するアジアを中心とした海外展開を目指し、この春、東京本社の機能が大阪本社に統合されることになった。(4月末に移転にされました。)組織改編というあわただしさの中にありながら、東京本社健康管理室の看護師上田美惠子さんはにこやかに迎えてくださった。「こころの耳」との出会いから現在の活用状況などを中心に上田さんにお話を伺った。

「健康管理室を担当して18年、長いようであっという間の日々であったような気もします。東京本社の150名ほどの従業員に加え、関東圏の事業所の方たちの心身の健康管理を行い、グループ会社にも気楽に健康相談いただけるように1ヶ月に2カ所回っていました。今回東京本社の多くの従業員が大阪に移ってしまうのはさびしい限りですが、気持ちを切り替え新しい場所での健康管理室開設準備をすすめ、ほぼ整ってまいりました。」

精神科の外来、病棟での勤務や訪問看護などの豊富な経験を生かし、心身の健康への気づきの大切さを丁寧に訴え続けてきた上田さん。従業員の信頼は厚い。

「不安な時代を反映して、メンタルヘルスの大切さが言われるようになってから、会社も予算を組んでくれましたし、私自身の学びの場も増えました。ルーテル学院大付属人間成長とカウンセリング研究所で7年にわたって学べたことは自分自身の成長の場となりました。健康管理室の扉を大きく開け、さまざまな取り組みを進める中で、不調者がいれば周りが知らせてくれるようになりました。また、自身の不調に気づいた人が、健康管理室とはありのままの自分を受け止めてくれるところなのだと信じて、相談に来てくれる人が少しずつ多くなりました。開設当初はこちらから気づきを与えることに必死になっていましたが、決してそういうことではなく、ポンと背中を押すというか、一人で悩まないでという声を心にきちんと届けることこそ必要なのだと思うようになりました」

「こころの耳」とともに

「『こころの耳』は、まずその言葉の響きの優しさに惹かれました。昨年の秋、日本産業カウンセラー協会から、20枚のカードが届いたとき、すぐにメールで各事業所のスタッフに宣伝しました。反応はさまざまで、身近に不安要素があったある工場では、ぱっとカードがなくなったそうです。ポスターは健康管理室や休憩室等に貼っていますが、場所や掲示期間が限られていることもあり、もう一回り小さいポスターがあってもいいねという声もあがっています」

上田さんは名刺大の大きさのカードをいつも手帳にはさんでいる。メンタルヘルス講習会や安全衛生委員会でも配布してきたが、最初は「何?これっ」という反応がほとんどであったという。しかし「悩んでいる本人だけでなく、家族や上司にも役立つ情報が必ずあります。一度ホームページをのぞいてみてください」という上田さんの言葉に、周りも変化してきた。部下の問題に直面していた一人の上司は、ホームページの中で上司としてできることの事例に出会い、とても参考になったと上田さんに報告があった。

「従業員一人一台のパソコンを持っていますから、『こころの耳』は身近な存在です。ある健康管理室では、『こころの耳』のツイッターをチェックしている看護師がいるという話も聞こえてきて、なんだか楽しくなってきました」上田さんの顔が輝いた。

ここから始まる

「昨秋から始まった取り組みなので、正直言って目に見える成果は生まれていません。しかし、この試みはメンタルヘルスにおいてとても有効だと私は思います。ある事業所でカードがぱっとなくなったといいましたが、ここは問題を抱えた現場ではありませんでした。よく聞いてみると、いざというときのために持っていたいという声が多かったようです。自分だけではなく、部下や家族がメンタル不調をきたすかもしれない。その時のために持っていようと。これこそ自身や周りの人の心の健康に対する気づきだと私は思います」ときっぱり。

「メンタル不調者にとって『こころの耳』は力強い味方ですから、その活用の仕方をもっと工夫して、ここから歩き出していきたい。そして目に訴える魅力的なホームページを創出してください。まだ始まったばかりですが、新しい時代のメンタルヘルス対策の一つとして、大いに期待しています。解決の糸口を『こころの耳』がきっと教えてくれるはず。一人で悩まないで。一緒にこれからも!」上田さんの言葉にいっそう力がこもった。