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こころの耳Q&A 検索結果

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仕事のストレスが大きく、体調にも影響が出てきているので休んだ方がいいと思うのですが、職場の人はメンタルヘルス不調への理解がないので、一度休んだら辞めるしかないと思い、踏み切れません。どのように考えたらいいでしょうか?

身体は一つしかありませんので、まずは心身の健康を守ることを優先しましょう。上司や先輩・同僚など、現場で働く人たちにメンタルヘルスへの理解がない場合でも、人事はサポートの重要性を理解している会社が多いと思います。結論を急がず、人事担当者や産業医、もしくは社内の産業保健スタッフ等に相談してみてはいかがでしょうか。10人以上の会社であれば就業規則があるはずですから、休職制度について調べてみても良いでしょう。

管理職にはその職責の範囲で部下の心身の安全を守る義務がありますので、本来であれば真っ先に相談する相手なのですが、メンタルヘルス不調に対する理解が低いようであれば、「うつ」「ストレス」などの用語を避け、「腹痛」「頭痛」「めまい」など、感じている身体症状を切り口にして、相談してみてはいかがでしょう。

夫がうつ病で休職中です。小学生の子どもがいるのですが、仕事をしないで家でゴロゴロしている状況や、日によって優しかったりイライラしやすかったりする夫の様子が、子どもに悪い影響を与えているのではないかと心配です。何か気を付けた方がいいことはあるでしょうか?

うつ病は、自分自身の感情をコントロールできず、思うように行動できなかったり、イライラしたりする病気です。症状の改善のためには、自宅でゆっくり過ごすことが必要で、見守ってくれる家族の存在はとても大きな意味があります。「ご家族にできること」を参考に、お子様と共に、病気への理解を深めて温かく見守っていただくのが理想です。

ただし、うつ病の方と一緒にいることで、ご家族自身の負担も大きくなりますので、ご自身やお子様の感情にきちんと向き合うことも必要かもしれません。時にはご主人と距離を置く時間を設けたり、誰かに相談したりすることも検討しましょう。身近に相談相手がいなければ、お住まいの地域の「精神保健福祉センター」にご相談いただくことも一つです。「精神保健福祉センター」では、こころの健康やこころの病気について電話や面談で相談ができ、ご家族からの相談にも対応しています。

企業の人事担当者です。メンタルヘルス不調の従業員がおり、精神科で休職の診断書をもらってきたので、その従業員の上司に休職制度について説明しようとしたら、「人が足りないから休まれたら困る」とつっぱねられてしまい困っています。どのように説明したらいいでしょうか。

メンタルヘルス不調は症状が悪化すると、自分を傷つけてしまうことがあります。会社として、従業員の不調を把握していながら勤務を継続させ、そのような状況になれば、会社として安全配慮義務違反が問われる可能性があります。また、専門家が休業を要するという判断をしているので、会社はそれに従えないという正当な根拠を示す必要もあるでしょう。

実務的な視点としても、休業が必要な程度のメンタルヘルス不調の状態であれば、適切に業務が遂行できない可能性があります。勤務を継続させたとしても、本来期待される労務提供がなされない可能性があり、その従業員をフォローする方の負担が大きくなったり、大きなトラブルを誘発してしまうことがあるので、直ちに休業させた方がよいでしょう。

産業医に相談して、病状に関する情報を収集してもらって意見をもらったり、上司が職責として業務量のコントロールができる立場にない可能性もありますので、さらに上位の上司も巻き込んで対応を検討することも必要かもしれません。

うつ病のため、主治医から仕事をしばらく休むように言われたのですが、どうすればいいでしょうか?

うつ病から回復するためには服薬と休養が重要です。仕事の心配はあるかもしれませんが、仕事をしばらくお休みして休養を図ることによりうつ病の回復が望めます。うつ病が悪化すると、業務遂行力が低下し、仕事に影響が出る可能性もありますので、早期に職場の上司等に相談をして仕事をお休みさせてもらうことが望ましいでしょう。

なお、仕事をお休みする際には、職場の休暇制度や経済的な保障制度などについても確認をしておくとよいでしょう。

部下がうつ病で休職することになりました。休み中はそっとしておいたほうがいいのでしょうか?

休職の理由がうつ病など精神的な病気の場合、休職中に連絡を取ったほうがいいのかどうか迷われる上司の方は少なくありません。休職している方にしてみると、職場の人から何も連絡がないと、「自分はもう要らないと思われているのではないか」と不安な気持ちになることが多いようですので、連絡をするのは大事なことです。

もっとも、休み始めの頃など、会社や仕事のことを考えるだけで不安になるということもありますので、休まれている方の状況に応じて、連絡の取り方を考える必要はあります。休みに入る時に、休職中の連絡の取り方について決めておかれるとよいでしょう。頻度としては、うつ病の休職の場合は月単位の休みが多いので、1か月に1回とか、診断書の切れる頃などを目安にされるとよいでしょう。

なお、直属の上司の方が窓口になるのが一般的ですが、部下の方との人間関係がこじれているなど、直接やり取りをするのに問題があるような場合は、他の方を窓口にするといった配慮が必要になります。

職場復帰に際して主治医と産業医の間で意見の相違があるときはどうしたらよいですか?

心の健康問題で休業した労働者に対して主治医の判断により復職診断書が発行され、産業医が精査した上で、事業者に職場復帰に関する意見を述べることになります。しかし、必ずしも主治医と産業医の意見がすべて一致するわけではありません。主治医による診断は、日常生活における病状の回復程度から復職の可能性を判断していることが多く、職場復帰後職場で求められる業務遂行能力がまだ回復しているとの判断とは限らない場合があります。

職場復帰は、就業規則等に定められた就業時間内労働を可能とする業務遂行能力が回復していることが前提となります。そのため、適正な睡眠覚醒リズムが確保されており、昼間の眠気がなく、注意力・集中力が持続し、安全に通勤ができ、療養中に業務に類似した行為を遂行したとしても疲労が翌日まで残ることのない程度まで体力が回復していることが必要です。これらの点について産業医は精査を行い(「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」参照)、その結果明らかに職場復帰に必要な準備が整っていないと判断することもあります。このような場合主治医とさらに情報交換を密にして、職場復帰に必要な準備状態の確立に協力してもらえる関係を作っていく必要があります。

より円滑な職場復帰支援を行う上で、職場復帰の時点で求められる業務遂行能力はケースごとに異なることが多いため、あらかじめ主治医に対して職場で必要とされる業務遂行能力の内容や社内勤務制度等に関する情報を提供した上で、就業が可能であるという回復レベルで復職に関する意見書を記入してもらうようなプロセスを踏むのもいいでしょう。

職場復帰の際のリハビリにはどのような点に注意したらいいですか?

精神障害に限らず、病気を治す期間は主に2つに分かれます。前半が療養に専念する期間、後半が復帰に備える期間=リハビリの期間、となります。たとえば重症の捻挫を想像してみましょう。前半は痛くて動けませんので固定・安静、腫れと痛みがひいたら後半は固定して硬くなった関節を動かし可動範囲を広げ、元の生活が可能となります。

つまりリハビリ期間に入るには、日常生活を送る上で症状による支障がほとんどなくなっている状態が必要となります。うつ病を例にしますと、憂うつな気分である、不安や緊張でビクビクする、嫌なことばかり考えて眠れない、など苦痛な症状がほぼ改善している状態ということになります。自覚症状が強く苦痛が大きい時期は、まだ療養に専念する期間と考えましょう。自分がどの期間にあるのか、主治医にも相談するとよいでしょう。

リハビリ期間の過ごし方として重要な点は主に3つあり、ⅰ.睡眠・食事のリズムの確立、ⅱ.就業を想定した日中活動、およびⅲ.これらの継続性、ということになります。

ⅰ.適切な睡眠および食事のリズムですが、久々の就労というストレスの海に飛び込んで泳ぎ続けることになります。そこに必要な体力の維持のための基本中の基本です。

次にⅱ.就業を想定した日中活動ですが、最近はリワークプログラムなどを設置した病院もありますが、ひとりで行うことも可能です。しかし自分の意志が必要になります。たとえば、毎朝図書館に通い、そこでの過ごし方のレベルを段階的に上げていくことも工夫次第でできます。たとえば、新聞のある部分を読むことからはじめ、問題なく出来るようになったら、その部分をノートに書き写す→写すだけでなく要点をまとめる→まとめるだけでなく私見を述べる、といった形で、少しずつステップアップが出来るのです。また特に都市部では独特な緊迫感のある通勤時間帯のラッシュを体験しておくことも役立ちます。通勤訓練などとも呼ばれていますが、この準備なしに復帰して消耗してしまう方も珍しくありません。

最後に、ⅲ.継続性ですが、仕事は1週間後も1か月後も1年後も続きます。就業を想定した日中活動がある程度の期間続けて出来ていることも、復帰の準備としてたいへん重要な要素となるでしょう。ただ、長距離走ですので、短距離走のようなスピードは不要です。

会社によっては、「試し出勤制度」などが設けられている場合があります。基本的には上記のようなリハビリの期間を経過し、業務遂行の準備が整っている上で行うものです。その運用は会社によって異なりますので、上司や人事労務、産業保健スタッフなどにお尋ねください。上手に利用することにより円滑な職場復帰が期待できます。

脳・心臓疾患(脳血管疾患及び虚血性心疾患等)から職場復帰した従業員には、再発防止を含めどのような配慮が必要ですか?

まず、最初に注意しておくべきことは、脳疾患にも脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など多彩な疾病が含まれていること、また、同じ疾病(たとえば脳梗塞)でもその重症度によって後遺症等はさまざまであり、ステレオタイプ配慮では十分ではないということです。診断名即一定の配慮とは限らないので、産業医や主治医のアドバイスを受け、一人ひとりの状況に応じた適切な配慮をすることが望まれます。

なお、一般的には次のような配慮が望まれることが多いようです。

(1)残業禁止などの労働時間に関する配慮
特に、職場復帰直後は直ちに従前のように体調が回復しているとは限らないので、一定の配慮が望まれます。

(2)労務内容に関する配慮
後遺症の程度によっては、高所作業の禁止(平衡能や運動能の障害時)などの就業制限が必要になることがあります。

(3)通院の確保(受診時間や就業場所)のための配慮
リハビリテーションの継続のほかにも、発症の基礎となった高血圧のコントロールなどのために加療継続が必要な場合が多く見られます。

(4)その他の配慮
この中には、薬剤服用中などに必要な特別の配慮が含まれます。たとえば、眠気が強く引き起こされる薬剤服用中の場合には、危険作業は避けたほうが望ましいのですが、これは医師からのアドバイスをもとに行うべきでしょう。

うつ病はどの程度よくなると働けるようになるのでしょうか?

まず、うつ病の症状がよくなっていることに加え、日常生活が問題なく送れるようになることが重要です。朝起きて、食事をとり、身支度を整え、外出したり、身の回りのことをしたりして、夜はきちんと睡眠をとれるなど生活が回るだけでなく、本来の興味や関心も回復している状態です。

そのうえで、勤務時間に仕事に準じた活動(事務職であればPC作業や読書など、体を使う仕事であれば散歩や筋トレなど)ができること、他人とのコミュニケーションを問題なくとれることが必要です。

また、うつ病は再発のすることが多い病気ですので、継続的に仕事を続けていくためには、再発した際に早期に気づき対応し、その影響を最小限に留められるような準備もしておくとよいでしょう。具体的には、病気になった原因や背景を振り返り、どんな時に、どんな変化が自身の心や体に現れるのか、そうなった場合にどんな対処が必要なのかを考え、身につけておくことです。一人で難しい場合は、主治医に相談したり、カウンセリングをうけるほか、リワークプログラムといって職場復帰のためのプログラムを用意している医療機関等があるので利用するのもよいでしょう。

心の病気で休業した場合、その間の生活保障はあるのでしょうか?

健康保険組合の被保険者は、所定の申請書に医師の労務不能という意見及び事業主の不就業日数とその賃金についての証明をもらって申請すると、連続3日の休業(待機期間という)後の4日目から1年6か月(退職後も含む)までは標準報酬日額の2/3に相当する傷病手当金が支給されます。企業の手当や他の公的給付が支給されている場合は、その分が減額されます。業務上疾病の場合は、労災保険からの休業給付があります。身体の病気も同様です。

うつ病から職場復帰するときは自殺のリスクも高くなると聞きました。どうすれば予防できますか?

睡眠障害や食欲が改善してきた段階で、仕事の締め切りや家族や周囲の目を気にして、焦燥感がある状態で復帰の準備を始めてしまうケースがありますが、職場復帰時の自殺を予防するためには、うつ病の症状がきちんと改善されていることを確認して復帰の準備を進めることが必要です。主治医等と連携し、病状を確認するとともに、一定期間、休業中に復帰後を想定した生活を送ってみるなど、段階的に職場復帰につなげていくとよいでしょう。地域によってはリワークプログラムを提供してくれる機関もありますので、それらを利用していくのも有効です。