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[事例1-11] 新入社員が付き合い下手な性格から入社早々より引きこもりがちとなり、仕事上のミスから退職に至った事例

概要

症例:男性・18歳

 男性・18歳。もともと口数が少なく引っ込み思案、人とのつき合いが下手な性格で、TVゲームやファミコンに夢中になって引きこもりがちでした。高校時代一時期不登校に陥り精神科に通院したこともあるようですが詳細は不明です。高校を卒業後に飲料水製造工場に就職。入社後数か月は一応きちんと出社して作業に就いていましたが、親しい友人ができることもなく特に頼りにする上司もありませんでした。次第に「だるさ」や「不眠」を家族に訴えるようになり、帰宅後も自室に閉居しがちで休日もほとんど自室にひきこもったままになりました。それでも欠勤するようなことはありませんでした。入社約半年後、出荷した製品を回収しなければならないほどの作業上のミスを犯し上司から厳しく注意を受けてしまいました。以後ひきこもりが強くなって、数日後より欠勤となりました。上司は産業医(嘱託)と相談した上で、両親とともに再三に渡って本人に出社を促しましたがひきこもりが続き、結局退職となってしまいました。入社約10か月後でした。

ポイント

 入社後職場にとけ込めず次第に落ち込んでいった症例で、「だるさ」や「全身倦怠感」、「不眠」はこのような状況における初期症状と考えられます。「ひきこもり」や「休日も自室にひきこもったまま」といった症状は、さらに悪化した状況で、退職の直接原因となった「仕事上のミス」もそのような半病的な精神状況下での症状の現れとも言えるでしょう。

 このような場合の職域での対処方法としては、「全身倦怠感」や「だるさ」、「不眠」といった初期症状に早く気づき、産業医の面談やカウンセリングなどを受けさせることが重要ですが、職場でのサークル活動やレクリエーションの場を多く設けて積極的に参加させるというのも一策でしょう。ただその場合、積極的には人の輪の中に入っていけない「引っ込み思案」の性格の人間にとっては、疎外感を一層感じさせる結果ともなりかねないことに注意しなければなりません。この職場でも春と秋にはレクリエーションを行っており、彼も入社したその春のバーベキュー大会に一応は参加していました。また、仕事上でミスを犯し引きこもりが強くなった時点で、上司と両親がそろって出社を促したところにも問題があります。このような状況では叱咤激励するのではなくむしろ休養をとらせたほうが良かったと思われるからです。

 新入社員というものは、生活環境が大きく変動し、彼らの被るストレスたるや甚大なものでしょう。入社当初に行う職場教育において作業教育や安全教育のみにとどまることなく、ストレス対処行動や自律訓練法などのセルフケアを中心としたメンタルヘルス教育も同時に行うことが必要でしょう。また、職長クラスの従業員には積極的傾聴法やメンタリング教育を学習させるなど、入社後できるだけ早く新入社員の性格を見抜く眼力と、メンタルヘルスケアに関する知識と理解を持ち、必要に応じて勤務時間の内外を問わず部下に関わることも厭わずという度量を持った職長の育成を行うことも重要です。この会社でも、その後職長クラスの勉強会を何度も開き、「明るく働きやすい職場づくり」と「話しやすく頼りがいのある職長」を目指して研鑽を積んでいます。さらに家族はもちろん、たとえ嘱託であっても産業医との綿密な連携、場合によっては主治医との連絡、主治医と産業医との連携も忘れてはならない点です。