こころの耳
厚生労働省

PDF版について

このコーナーでは、一人でも多くの方に正しいストレスチェック制度を学んでいただくことを目的として、ホームページに掲載された情報と同じ内容のデータのPDF版をご用意しています。PDF版は、ストレスチェック制度を学ぶ、広めるという目的の範囲内において、印刷や内容の部分抜粋など自由にお使いいただくことが可能です。注意事項を良くお読みの上、ご利用ください。

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目次

1.管理監督者とは
2.「いつもと違う」部下に早く気づこう
~部下の健康状態を把握するために~
3.部下からの相談への対応
4.職場組織への対応
~ストレス要因の把握と改善~
5.部下の職場復帰への支援
6.国を挙げてメンタルヘルスケアを推進しています

eラーニングで学ぶ 15分でわかるラインによるケア

ラインによるケアでは、部長・課長等の管理監督者が「いつもと違う」部下に早く気づくことが重要です。ここでは、そのことに加えて、部下からの相談への対応、職場組織への対応、そして部下への職場復帰への支援などについて学んでいきましょう。
※学習時間の目安は15分です。

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1.管理監督者とは

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1.管理監督者の役割

部長・課長等の管理監督者には、使用者である事業主から、労働者である従業員に対して、指揮・命令を行うための権限が委譲されています。この権限に基づいて、管理監督者は、部下に指揮命令をして業務を遂行したり、部下の評価をしたりしています。
さらに、管理監督者には部下である従業員の健康を配慮する役割も求められています。
この役割を果たすためには、まず、部下の健康状態を把握しなければなりません。

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2.「いつもと違う」部下に早く気づこう~部下の健康状態を把握するために~

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1.こんな部下の様子はありませんか?

「部下の健康状態を把握する」上で大切なのは、管理監督者が「いつもと違う」部下に早く気づくことです。
そのためには、いつもの部下のことを知っておく必要があります。「いつもと違う」という感じをもつのは、部下がそれまでとは異なる行動をするからです。日頃から部下の行動パターンや人間関係の持ち方に気をつけましょう。

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2.早く気づくことが大切です

「いつもと違う」部下に対しては、管理監督者には労務管理上何らかの対応をすることが求められます。
ただし、その背後に病気が隠れていることもあるので、それを確認する必要があります。病気の有無の判断は産業医もしくはそれにかわる医師の仕事です。
そのためには管理監督者が部下の話を聞き、産業医のところに行かせる、あるいは管理監督者自身が産業医のところに相談に行く仕組みを職場内に作っておくことが望まれます。
職場によっては保健師、看護師、公認心理師、衛生管理者、産業カウンセラー、臨床心理士、心理相談担当者等の事業場内産業保健スタッフが産業医との仲介を果たす形になっていることもあります。

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3.部下からの相談への対応

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1.話を聴く(傾聴)

現場の管理監督者は、日常的に、部下からの自発的な相談に対応する役割を担っています。そのためには、部下の話をじっくりと聴くことがとても重要です。
日頃からこのような話の聴き方ができれば、上司と部下の関係は良い状態で維持されやすくなります。部下の話を聴けない管理監督者は信頼関係を保つことが困難です。

話を聴く時のポイントは、左の通りで、こうした話の聴き方を、「傾聴」と言います。

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2.産業医等への相談に対して抵抗感がある部下への対応

産業医等への相談を勧めても、中には、「人に悩みを相談することに抵抗がある」、「周囲から変な目で見られるかもしれない」、「忙しい管理監督者に迷惑をかけたくない」といった考えや不安から産業医等に相談することに心理的な抵抗を示す部下もいます。
その場合は、「話してこい」「相談に行け」と無理強いはせず、「それならいいけど、あなたの代わりに私が相談に行ってくるよ」と本人に伝えた上で、管理監督者自身が産業医や専門家に直接相談し、得られたアドバイスに従って対応してみてください。

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3.個人情報の保護への配慮

管理監督者は、部下の健康情報を含む個人情報の保護及び部下の意思の尊重に努めなければなりません。 法令によって、情報の収集・管理・使用に際し、なんらかの方法で本人の同意を得ることが原則とされています。
さらに管理監督者は、これら関連する法令及び職場で定めた社内規則を遵守し、話し合いで得た部下の情報を正当な理由なく他に漏らしてはいけません。

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4.職場組織への対応~ストレス要因の把握と改善~

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1.ストレス要因の把握

「管理監督者として職場でできることは何か」を考える時に大切なのが、左のモデルです。どういったときに職場のストレスが大きくなるかを表しています。
仕事に関するストレス要因を3つの側面から捉えています。
一般的には、管理監督者は、部下の仕事に関して、この3つをある程度調節できる立場にいます。
部下から話を聴く際には、これらの要因を意識しながら、聴きましょう。

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2.ストレス要因の改善

ストレス要因としての職場環境には、仕事の負荷や自由度のほかに、作業環境(温度湿度、照明、騒音など)、作業方法(作業スペースや作業姿勢、身体や感覚器官への負荷など)、人間関係、組織形態(指揮命令系統、責任や権限などの仕組み)などが含まれています。
ストレス要因を特定し、できるものから改善していく努力を続けることは、ラインによるケアとして重要です。

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3.職場環境へのアプローチ

「いい仕事をするには、多少のストレスは必要」と言われるように、新しい課題に挑戦しそれを乗り越えた経験は人を成長させ、職場の活性化にもつながります。
しかしながら、仕事による過度なストレスは疲労を蓄積し、従業員の健康問題を発生させるだけでなく、事故の発生や生産性の低下の要因となります。
こうしたストレスは、職場環境改善上、重要な対象となります。

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4.職場環境改善の5つのステップ

職場環境の改善を実施するためには、職場全体で取り組むことが大切です。
改善を実施する際には、職場の管理監督者として協力し、積極的に取り組みましょう。
左に示す5つのステップで実行します。

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5.部下の職場復帰への支援

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1.職場復帰した部下への思い

管理監督者が部下に対して「復帰した以上きちんと仕事をしてほしい」と考えることは、気持ちとしては自然です。けれども、数か月にわたって休業していた人にいきなり発病前と同じ質、量の仕事を期待するのは難しいことが多いです。

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2.職場復帰した部下への心掛け

復帰者は、「職場では自分はどう思われているのだろうか」、「職場にうまく適応できるだろうか」、「病気がまた悪くなるのではないだろうか」など、様々な心配をしながら出社しています。
そうした復帰者の気持ちを受け止めることが、管理監督者には望まれます。「管理監督者は自分をわかってくれている」と感じることができれば、復帰者の職場での緊張は大幅に軽減されます。
そして、管理監督者と復帰者のそのような関係は、同じ職場で働く他の部下たちの緊張を和らげる効果をもっています。

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3.職場復帰支援3つのポイント

このように従業員の職場復帰支援において、その中心人物となるのが、直属の管理監督者です。
職場復帰支援に際して、管理監督者が知っておきたい3つのポイントは下の通りです。

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6.国を挙げてメンタルヘルスケアを推進しています

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1.安全配慮義務

使用者である事業主には、「従業員を業務に従事させるにあたって、過度の疲労や心理的負担をかけて社員の心身健康を損なうことがないように注意する義務」があり、これを「安全配慮義務」と言います。
「安全配慮義務」は、「労働契約法」において初めて明文化されました。
管理監督者は、事業主から、部下である従業員を管理監督する権限が委譲されていることから、この安全配慮義務の実行責任を負っています。

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2.労災認定の新しい基準

安全配慮義務を履行していても業務に関連した健康上の問題は起こりえます。

労働者災害補償保険法では、従業員が業務上負傷し、疾病にかかった場合には、その状態に応じて休業補償等の保険金を支払うことが定められています。
この業務上外の決定をする役割は、労働基準監督署長が負っています。
その決定を行う際の判断基準が、厚生労働省労働基準局長から通達されています。
2011年12月の「心理的負荷による精神疾患による精神障害の認定基準について」で「業務による心理的負荷評価表」が示されました。
いわゆる過労死ラインと言われるように、直近3か月間に1月あたり100時間超の時間外労働をさせるなどの事情があると、労災認定される場合があります。

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3.4つのケア

「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に定められている、これら4つのケアが事業場の中で1つのシステムとして機能することが効果的です。
この学習ではこの4つのケアのうち、管理監督者が中心的な役割を果たす「ラインによるケア」について学びました。

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これで、「15分でわかるラインによるケア」は、終わりです。
お疲れ様でした。