こころの耳
厚生労働省

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このコーナーでは、一人でも多くの方に職場復帰支援について学んでいただくことを目的として、ホームページに掲載された情報と同じ内容のデータのPDF版をご用意しています。PDF版は、職場復帰支援を学ぶ、広めるという目的の範囲内において、印刷や内容の部分抜粋など自由にお使いいただくことが可能です。注意事項を良くお読みの上、ご利用ください。

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目次

1.心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きとは
2.心の健康問題に関する職場復帰支援の流れ
3.国を挙げてメンタルヘルスケアを推進しています

eラーニングで学ぶ 15分でわかる職場復帰支援

心の健康問題で休業している労働者が円滑に職場復帰を果たし、復帰後も再発しないように十分に職場環境を調整するなどによって、安定した職務の遂行が得られることになります。厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」に記載されている基本的なステップに沿って、学んでいきましょう。
※学習時間の目安は15分です。

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1.心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きとは

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1.基本的な考え方

心の健康問題で休業している労働者が円滑に職場復帰するためには、職場復帰プログラムの策定や関連規程の整備等により、休業から復職までの流れをあらかじめ明確にしておくことが必要です。
厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、実際の職場復帰にあたり、事業者が行う職場復帰支援の内容を総合的に示しています。この手引きに沿って説明致します。
事業者はこれを参考にしながら、衛生委員会等において調査審議し、職場復帰支援に関する体制を整備・ルール化し、「職場復帰プログラム」の策定等を行った上で、教育の実施等により労働者への周知を図っていきましょう。

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2.管理監督者及び事業場内産業保健スタッフ等の役割

管理監督者は、事業場内産業保健スタッフ等と協力しながら職場環境等の問題点を把握し、それらの改善を図ることで職場復帰支援における就業上の配慮を履行します。人事労務管理上の問題については人事労務管理スタッフと連携して適切な対応を図っていきましょう。
人事労務管理スタッフは、人事労務管理上の問題点を把握し、職場復帰支援に必要な労働条件の改善や、配置転換、異動等についての配慮を行います。職場復帰支援においては、産業医等や他の事業場内産業保健スタッフ等とも連携しながらその手続きが円滑に進むよう調整を行いましょう。

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3.プライバシーの保護

労働者の健康情報等は個人情報の中でも特に機微な情報であり、厳格に保護されなければなりません。とりわけメンタルヘルスに関する健康情報等は慎重な取扱いが必要です。
労働者の健康情報等を収集する場合には、あらかじめ本人の同意を得て、本人を通して行うことが望まれます。これらは第三者へ提供する場合も、原則、本人の同意が必要です。

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2.心の健康問題に関する職場復帰支援の流れ

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1.職場復帰支援の流れ(5つのステップ)

手引きによる職場復帰支援の流れは左図の通り「5つのステップ」のようになっています。

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2.第1ステップ 病気休業開始及び休業中のケア

労働者から管理監督者に主治医による診断書(病気休業診断書)が提出され、休業が始まります。管理監督者は、人事労務管理スタッフ等に診断書(病気休業診断書)が提出されたことを連絡します。休業する労働者に対しては、必要な事務手続きや職場復帰支援の手順を説明します。

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3.休業中の情報提供

労働者が病気休業期間中に安心して療養に専念できるよう、左図のような項目について情報提供等の支援を行いましょう。

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4.第2ステップ 主治医による職場復帰可能の判断

休業中の労働者から事業者に対し、職場復帰の意思が伝えられると、事業者は労働者に対して主治医による職場復帰が可能という判断が記された診断書の提出を求めます。診断書には就業上の配慮に関する主治医の具体的な意見を記入してもらうようにします。
主治医による診断は、日常生活における病状の回復程度によって職場復帰の可能性を判断していることが多く、必ずしも職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとの判断とは限りません。このため、主治医の判断と職場で必要とされる業務遂行能力の内容等について、産業医等が精査した上で採るべき対応を判断し、事業者に意見を述べることが重要です。
なお、あらかじめ主治医に対して職場で必要とされる業務遂行能力に関する情報を提供し、労働者の状態が就業可能であるという回復レベルに達していることを主治医の意見として提出してもらうようにすると良いでしょう。

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5.産業医の役割

診断書に記載されている内容だけでは十分な職場復帰支援を行うのが困難な場合、産業医等は休業中の労働者の同意を得た上で、主治医と連携し、左図の判断を行うに当たって必要な内容について主治医からの情報や意見を積極的に収集する必要があります。
この際には、「職場復帰支援に関する情報提供依頼書」を用いる等して、労働者のプライバシーに十分配慮しながら情報交換を行うことが重要です。

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6.主治医との連携の仕方

主治医との連携にあたっては、事前に休業中の労働者へ説明し、同意を得ておきます。主治医に対して、職場復帰支援に関する事業場の制度や労働者本人に求められる業務の状況等について十分な説明を行うことも必要です。
主治医と情報交換を行う場合、労働者本人の職場復帰を支援する立場を基本とし、その情報は職場で配慮すべき事項を中心に必要最小限とします。主治医に情報提供を依頼する場合等の費用負担については、あらかじめ主治医との間で取り決めておきましょう。

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7.第3ステップ 職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成

安全でスムーズな職場復帰を支援するため、最終的な決定の前段階として、必要な情報の収集と評価を行った上で職場復帰ができるかを適切に判断し、職場復帰を支援するための具体的プラン(職場復帰支援プラン)を作成します。

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8.職場復帰支援プランの作成手順

「職場復帰支援プラン」作成にあたっては、事業場内産業保健スタッフ等を中心に、管理監督者、休業中の労働者の間でよく連携しながら進めます。
また、職場復帰の可否及び「職場復帰支援プラン」に関する話し合いの結果については、「職場復帰支援に関する面談記録票」等を利用して記録にまとめ、事業場内産業保健スタッフ等や管理監督者等の関係者がその内容を互いに確認しながらその後の職場復帰支援を進めていくことが望ましいでしょう。

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9.試し出勤制度の例

正式な職場復帰決定の前に、社内制度として試し出勤制度等を設けると、より早い段階で職場復帰の試みを開始することができます。休業していた労働者の不安を和らげ、労働者自身が職場の状況を確認しながら、復帰の準備を行うことができます。 試し出勤制度の導入にあたっては、処遇や災害が発生した場合の対応、人事労務管理上の位置づけ等についてあらかじめ労使間で十分に検討し、ルールを定めておきましょう。
なお、作業について使用者が指示を与えたり、作業内容が業務(職務)に当たる場合などには、労働基準法等が適用される場合がある(災害が発生した場合は労災保険給付が支給される場合がある)ことや賃金等について合理的な処遇を行うべきことに留意する必要があります。

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10.第4ステップ 最終的な職場復帰の決定

第3ステップを踏まえて、事業者としての最終的な職場復帰の決定を行います。また、職場復帰の可否の決定は、労働者にとってもきわめて重要なものであり、また、私法(契約法)上の制約を受けることにも留意の上、社内手続きに従い、適正に行われる必要があります。
この際、産業医等が選任されている事業場においては、産業医等が職場復帰に関する意見及び就業上の配慮等について取りまとめた「職場復帰に関する意見書」等をもとに関係者間で内容を確認しながら手続きを進めていくことが望ましいでしょう。

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11.職場復帰可否の判断基準の例

職場復帰可否については、個々のケースに応じて総合的な判断が必要です。労働者の業務遂行能力が完全に改善していないことも考慮し、職場の受け入れ制度や態勢と組み合わせながら判断しなければなりません。
なお、判断基準の例を左図に示しますので参考としてください。

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12.復職判定委員会の設置

職場復帰に関する判定委員会(復職判定委員会等)が設置されている場合、職場復帰支援の手続きを組織的に行える等の利点があります。
委員会決議についての責任の所在の明確化、迅速な委員会開催のための工夫、身体疾患における判定手続きと異なることについての問題点等について十分に検討しておく必要があります。

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13.第5ステップ 職場復帰後のフォローアップ

職場復帰後は、管理監督者による観察と支援の他、事業場内産業保健スタッフ等による定期的又は就業上の配慮の更新時期等に合わせたフォローアップを実施する必要があります。フォローアップのための面談においては、次ページの図に示す事項を中心に労働者及び職場の状況につき労働者本人及び管理監督者から話を聞き、適宜「職場復帰支援プラン」の評価や見直しを行っていきましょう。
さらに、本人の就労意識の確保のためにも、あらかじめ、フォローアップには期間の目安を定め、その期間内に通常のペースに戻すように目標を立てること、また、その期間は、主治医と連携を図ることにより、病態や病状に応じて、柔軟に定めることが望ましいです。

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14.職場復帰後における就業上の配慮の例

職場復帰は元の慣れた職場へ復帰させることが原則です。 ただし、異動等を誘因として発症したケース等においては、配置転換や異動をした方が良い場合もあるので留意すべきです。その他、職場要因と個人要因の不適合が生じている可能性がある場合、運転業務・高所作業等従事する業務に一定の危険を有する場合や元の職場環境等や同僚が大きく変わっている場合等においても、本人や職場、主治医等から十分に情報を集め、総合的に判断しながら配置転換や異動の必要性を検討する必要があります。
また、復帰後は労働負荷を軽減し、段階的に元へ戻すなどの配慮が重要です。復帰後の具体的な就業上の配慮の例を次のページに示しますので参考としてください。

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15.手引きの対象者

手引きの第3ステップ以降は、心の健康問題による休業者で、医学的に業務に復帰するのに問題がない程度に回復した労働者を対象としています。
この適用が困難な場合には、主治医との連携の上で、地域障害者職業センター等の外部の専門機関が行う職業リハビリテーションサービス等の支援制度の活用について検討することが考えられます。
なお、職業リハビリテーションや、地域保健における医療リハビリテーション(デイケア等)を利用する場合には、それらが何を目的としているかを見極めた上で、事業場の目的に適していることを確認することが重要です。

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3.国を挙げてメンタルヘルスケアを推進しています

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1.「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」の趣旨

2006年「改正労働安全衛生法」に基づき、衛生委員会等の調査審議事項に「労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること」が追加され、また、同年「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針)が策定されるなど、職場におけるメンタルヘルス対策の推進が図られてきました。
一方、心の健康問題により休業している労働者が増加しているという調査結果や休業後の職場復帰支援がスムーズに進まないという調査結果等もあり、職場復帰支援に関する社会的関心は高まっています。そのような中で、新たな経験や知見等を踏まえ、より円滑な職場復帰を支援するために事業者によって行われることが望ましい事項等について検討され、2009年「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」の改訂が行われました。

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2.職場復帰に関するルールの必要性

2013年厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタルヘルス上の理由により休業した労働者の職場復帰に関する職場のルールに関して、なんらかのルール・相談対応がある事業場の割合は、64.2%を占めています。前年2012年厚生労働省の調査と比較すると、9.2%増加しています。「職場復帰支援プログラム」等でルールを明文化することの重要性が統計調査からも現れています。

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これで、「15分でわかる職場復帰支援」は、終わりです。
お疲れ様でした。