一番頼りにしている人
日常生活は妻にお任せ
僕は幼少期からピアノの英才教育を受けていたので、日常生活の基本的なことが何もできないんです。今、30代ですが、恥ずかしながら郵便局や銀行も一人で行って、手続きをしたことがないんです(笑)。だから僕の日常生活で一番頼りにしているのは妻です。必要な手続きを全部やってくれるし、そんな僕のことを本当によくわかっている。この前、一人で電車に乗る機会があったんですけど、東京から横浜まで3時間かかりました。大人としてありえないですよね(笑)。でも、基本的な乗り方を知らないまま大人になって、今でも普段は車かタクシーなので、本当にわからないんです。先日の、東京~横浜移動の時も、妻が「何駅で何線に乗り換える」という情報をLINEで細かく教えてくれました。初めて一人で電車に乗る小学生みたいですよね。そういう対応が丁寧で本当にありがたい。彼女がいなければ僕は今、ピアニ ストとして活動できていないと思います。
ピアノとライオン
西武ライオンズの試合は全てチェック!
小さいころ、所沢に住んでいました。そこを本拠地としている野球チームが西武ライオンズ。当時めちゃくちゃ強かったライオンズが僕にとって最高のヒーローでした。特に好きだった選手は秋山さん、工藤さん、辻さん。当時の僕は1日12時間以上、ピアノばかりやらされていて、辛いことも多かった。その時期に、彼らが支えになっていました。今でもピアノの合間に、西武の試合を見ることがリフレッシュになっていますね。試合は始まりから終わりまで見ますし、さらにプロ野球のニュース番組も全部チェックします。オタクかもしれない(笑) もちろん見るだけじゃなくて、自分でプレーするのも大好きです。打つ方が得意で、毎日のようにバッティングセンターに行くんですよ。思い立ったらいつでも行けるように、車の中や仕事道具の中に、バッティンググローブを常備しています。よく、「ピアニストだから、指を怪我でもしたら...」と言われるのですが、僕の場合は気にしない。ダメでしょ(笑)でもリフレッシュできるし、結果良いピアノの演奏に繋がる。話をしていたら行きたくなって来ました。今日この取材の後に行こうかな。
生まれ持ったものを活かす方法
ゲームは真剣にやるべし!
家ではテレビゲームをすることが良いリフレッシュになっています。テレビゲームは、家で出来る気軽さが好きです。小さい 頃、ピアノ以外は厳しく制限されて、自由にゲームができなかったという反動が今、来ているんだと思います。 真剣にやると、ゲームから学ぶことは結構たくさんあるんですよ。例えば、「メタルギアソリッド」というゲーム。遺伝子操作で生まれた主人公が、その劣勢の運命を背負いながらも戦うという命題があって。このゲームを通じて考えるようになったことは、「生まれ育った環境や、生まれ持ったものに文句を言っても仕方ない。それより、それをどう活かせるのか?」と考えることの大切さ。ね、結構深いでしょ(笑)真剣に遊ぶと、深いんですよ、ゲームは。様々なゲームでリフレッシュしながらも、色々と学んで来ました。 ピア二ストとして活動して、映画やドラマの音楽を作る仕事もしていたのですが、なんと!「メタルギアソリッド」のサウンドトラックを作って、弾かせてもらうという仕事が舞い込んだんです。震えましたね。この世では、そんな奇跡も起こるんだってこともテレビゲームは教えてくれました。
5分あれば見ちゃう!
ネット動画に夢中
ネット動画を見ることもリフレッシュ方法の一つです。特に好きなのはゲーム実況。中でも「2BRO(ツーブロ)」という自分たちが解説しながら、ゲームしている様子を配信しているというグループのYouTubeを見て、リフレッシュしています。僕がその話 をみんなにすると、「人がゲームをやっているのを見て楽しいんですか?」とも言われます。でも人がそう感じるものを、「楽しんで見ることができるレベル」にまで昇華しているところがすごいんです。「2BRO」の人気にはワケがあるんですよ。 彼らはゲームをやる人がどんなところが好きか?というツボを押さえていて、そこをしっかりと踏まえつつ配信をしています。だから、そのゲームのことで知りたいことがしっかり分かるし、満足度も高い。さらに彼らのゲーム中の発言も面白いんです。ツボをちゃんと抑えた上で、会話の技術力で極上のエンタメに仕上げている。 いわばショーとして成立しているから、楽しめるんです。この点がすごい。 「2BRO」の動画は毎日見ています。夜に見る時もあれば、コンサートが始まる直前まで見ていることもある。マネージャー に「もう出番です」って言われても、「まだ5分あるから2BRO見よう」って見てしまいます。あ、これはダメか(笑)。 思わず夢中になる程のこの新しいエンタメは、僕のリフレッシュに欠かせませんね。
人生を楽しむ薬
プレッシャーとの向き合い方
ずっとピアノを弾いてステージに立ち続けて来たので、自分のコンサートでプレッシャーを感じることはありません。ただ、他人名義のコンサートに出る時は別ですね。僕がミスすることによってその人の評判が落ちてしまうことが凄く嫌なんです。いわば、その人の顔に泥を塗ることになっちゃうんです。例えば、高嶋ちさ子さんのコンサートに出る時は、高嶋さんが輝くために自分は何をしたらいいかを考えます。ドラマや映画で曲を作る時や、吹き替え演奏をする時も同じです。先日、綾野剛さん主演のドラマで曲を作らせてもらったのですが、 良い曲でありつつ「綾野さんが輝く曲」ということを常に意識していなければなりません。自分らしさを発揮しながらも、出しゃばらず、主人公や作品を引き立てることはとても難しいんです。相反する要素でしょ?これは、すごく狭いところに隠された“ピンポイントの答え”を探す作業。宝探しみたいですよね。そういう意味で、映画やドラマ、他人名義のコンサートではプレッシャーがかかります。でも、プレッシャーの内容を分析し、理解すれば、解決できないものはない。 最近、プレッシャーは、人生の空虚さを打破してくれるものなのではないか?とも思い始めています。プレッシャーがあるからこそ、 それをなんとかしようと楽しんで、打ち勝てたら嬉しい。僕にとってプレッシャーは、人生を楽しくする上での大切な薬なのかもしれません。
元気をくれる仲間
友人とリフレッシュ
好きな友人に会うことは一番のリフレッシュになりますね。直前まで行きたくないなって思ったりすることもあります。 でも実際に行って、顔をあわせるとそれが一変。僕の話で笑ってくれたりすると楽しい。だから一層盛り上げて、終わる頃には明るい気持ちになっています。気がつくと僕自身、一人では絶対に引っ張り上げられないテンションになっているんです。だからむしろ忙しくて疲れている時や、いろんな仕事の不安がある時ほど、そういう場へ行くようにしています。
僕は高校生までピアノ漬けであんまり遊んでこなかったので、本来は閉じこもりたくなるタイプなんです。出不精という か、家でゲームをやっていたらいいやって思うことも多いんです。でも友人に会いに行くと、元気になって帰ってくる。ここ数年でようやくそれが分かりましたね。外で人に会っても、家でゲームをしていてもリフレッシュできるようになった。それを学んだことがすごく大きいですね。