PDF版について
このコーナーでは、一人でも多くの方に交流分析について学んでいただくことを目的として、ホームページに掲載された情報と同じ内容のデータのPDF版をご用意しています。PDF版は、交流分析を学ぶ、広めるという目的の範囲内において、印刷や内容の部分抜粋など自由にお使いいただくことが可能です。注意事項を良くお読みの上、ご利用ください。
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目次
自分と他人との交流パターン(人間関係)に着目することは、職場などにおける人間関係の改善や自律的な生き方・自己実現に役立ちます。今回は、「4つの人生の立場」を中心に学んでいきましょう。
「15分でわかるはじめての交流分析1」を先に学習すると、より理解が深まるでしょう。
※学習時間の目安は15分です。
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1.はじめに
あなたにとって、今の職場は快適ですか?
人間関係はどうでしょう?
人間関係は、職場の快適度を大きく左右します。
周囲とのコミュニケーション(ストロークの交換)がスムーズで、相互理解ができていると、互いに助け合う雰囲気が醸成されます。チームの成果は上がり、メンバーのモチベーションは高まりやすくなります。もしトラブルが起きても、協力して解決しようという気運が生まれます。
一方で、人にはそれぞれ、長い年月をかけて身につけてきた価値観や思考、感情、行動の癖(傾向)があります。つまり、ストロークの出し方、受け取り方が人それぞれ違うのです。
一般に、自分と異なる言動(ストローク)傾向には違和感を覚えやすいものです。こうした違和感が、いつしか反発や対立、無視へとつながり、時には深刻なコミュニケーション不全を引き起こします。
交流分析の考え方は、こうしたコミュニケーションのねじれの原因をひも解き、各自の違いをよりよく活かすことに役立てることができます。
2.あなたの心に浮かぶのは…?
午後の急ぎの仕事を控えた昼休み、蕎麦屋の列に並んだら、「ちょっと、割り込まないでくださいよ」と後ろから声がかかりました。
まだ列が続いていたようです。
その声に、周囲の人が一斉にあなたを見ました。
その瞬間、あなたの心に浮かぶのは…?
- (話せばわかるはず。)「これは失礼しました」と笑顔で後ろに並ぶ。
- (あ、やってしまった…。)周囲の視線が刺さる。「…どうもすみません」と小さくなって後ろに回る。
- (何だよ、わかるように並んでいないのが悪いんだろう?)チッと舌打ちして相手を見返す。
- (いつもこんな嫌なことばかり。面白くない…。)何も言わずその場を離れる。
あなたの心の中は、どれに近いですか?
1.様々な場面で現れる「人生の立場」
こうした場面で、どのような感情が湧き上がり、どのような言動をとりやすいか。それは、その人の「人生の立場」によります。
「人生の立場」とは、幼いころに親や周囲の人との関わりの中で身につけた「自分や他人、世の中や人生に対する感じ方、捉え方」のことです。
交流分析では、「人生の立場」を4つに分類しています。
【第1の立場】 私もあなたもOK
問題が起きると、「話せばわかりあえる」と相互信頼感をもち、協力して解決しようとします。
次のような感情のときは、「第1の立場」でいる可能性があります。
- 相互信頼感
- 受容と共感
- 満ち足りた喜び
- 本来の素直な感情(喪失への悲しみ、不当な行為への怒り、生命の危機への恐れ)
- 充実感
- 安心感 等
【第2の立場】 私はOKでない、あなたはOK
問題が起きると、自分に自信がなく、自己卑下したり、他者に頼ったりします。
次のような感情のときは、「第2の立場」でいる可能性があります。
- 依存的
- 傷心
- 心配・不安
- 後悔
- 憂うつ
- 罪悪感 等
※身近な人の死を悼むような「喪失への悲しみ」は、本来の素直な感情であり、取り返せない過去に訣別する「第1の立場」の感情です。
【第3の立場】 私はOK、あなたはOKでない
問題が起きると、相手を非難したり、責任を追及したりします。または、相手を子ども扱いして過剰にかばったり、手を出したりします。
次のような感情のときは、「第3の立場」でいる可能性があります。
- 怒り・イライラ
- 優越感
- 独善的
- 他者攻撃的
- 責任転嫁
- お節介 等
※政治家の不正など「不当な行為への怒り」は、本来の素直な感情であり、現在の問題を解決する「第1の立場」の感情です。相手を非難することではなく、問題を解決することを目的に行動選択を行うので、「第3の立場」との違いが分かります。
【第4の立場】 私もあなたもOKでない
問題が起きると、あきらめや虚しさで対人関係を避けたり、あえて拒否されたりするようなことをします。あるいは、我慢の末に、強い憤りを表出したり、逆ギレしたりしてしまう場合もあります。
次のような感情のときは、「第4の立場」でいる可能性があります。
- 落胆
- 恐怖
- 無力感
- 虚しさ
- 孤独感
- 拒絶感 等
※環境問題のような「生命の危機への恐れ」は、本来の素直な感情であり、未来に起こりうる問題を回避する「第1の立場」の感情です。
2.「人生の立場」を意識して過ごす
4つの「人生の立場」には、それぞれ特有の思考や行動、感情のパターンがあります。
例えば、「第3の立場」にいる人同士がぶつかると、非難の応酬になりやすくなります。
また、「第3の立場」と「第2の立場」の人では、一方的に非難する側と委縮する側の関係になりやすく、いじめやパワハラになりかねません。「第3の立場」の人は『自分は正論を言っているだけだ』と自分の攻撃的な態度に気づかないことも多いのです。
普段は「第1の立場」で良好な人間関係を築くことができている人でも、ストレスを感じたり緊張したりする場面では、「第2~4の立場」になることがあります。
自分がどのような状況でどの「人生の立場」に立ちやすく、どのような人間関係のトラブルに陥りやすいかに気づいていると、意識的に「第1の立場」に戻ることができるようになります。
3.交流分析の目指すところは自律性
交流分析を提唱したエリック・バーンは、目指すゴールは「自律性」であると述べています。
「自律性」とは、私達が生育過程で身につけた様々な偏った思考、感情、行動傾向に気づき、他人のせいにして終わらず、下記の3つの能力が自由に発揮できるようになることです。
「自律性」のキーワード
- 気づき…思い込みなどではなく、自分の五感で純粋に感じ取ります。
- 自発性…自我状態を今ここでの状況に合わせて自由に用い、適切な対応を取ります。
- 親密さ…「第1の立場」で自分と他人との間で心を開き合い、感じていること、望んでいることを共有し合います。
自律性を身につけて、『私もあなたもOK』の建設的な人間関係や、自分が望む人生、自己実現を目指しましょう。
これで、「15分でわかるはじめての交流分析2~人生の立場編~」は、終わりです。
お疲れ様でした。