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No.4 ストレスと歯・口腔の健康

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No.4:ストレスと歯・口腔の健康

 働く人々に対して、心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)は近年の労働環境、条件等を鑑み、心の健康の保持増進のために重要である。

 歯科疾患はいまだに高い罹患率を示す国民病ともいわれる疾患であり、個人の日常生活に及ぼす影響は大きい。特に、歯科に関連するトラブル(歯痛、開口障害、口臭、歯の喪失、審美的問題等)は、ストレスの大きな原因となる。そればかりか、全身のストレスは、顎関節症、口腔乾燥症、歯周病等様々な歯科疾患の発症・増悪因子であることが広く知られており、歯科とストレスの関係は極めて深い。

 このなかで特に、顎関節症は、ストレスとの因果関係が強いため、原因を取り除き、できる限り顎に負担をかけない生活を送ることが大切である。例えばパソコンで作業をする時の姿勢は、顎が前に出やすく顎関節へ悪影響を及ぼすため、作業の際は正しい姿勢を意識して、ときどき休憩をとるなどの工夫が必要である。また物を噛むとき以外は、唇を閉じた状態でも上下の歯を離し顔の筋肉の緊張を解くよう心がけなければならない。

ほかにも、偏咀嚼をしない、頬づえをつかないなど、癖や悪習を改めることで、症状改善へつながる。このように、顎関節症は日常業務や環境の中に発症の原因が潜んでいる事が多いため、一度症状が治まったとしても、油断すると再発することがあり、継続した管理も重要である。 発症から完治までには少なくとも数ヶ月はかかるが、ほとんどの人は、外科療法を行わなくても症状が改善するため症状に合わせた治療法を見つけ、根気よく治療を続ける事が大切である。

 今後、ストレスチェックにおいては労働環境、条件等に関連する歯科疾患にも留意され、働く人々にとって、ヘルスプロモーションの一環として歯科定期受診、健診・保健指導、健康相談等が、より身近なものになることが望まれる。

執筆者:公益社団法人 日本歯科医師会 常務理事 佐藤 徹

【出典】平成26年度厚生労働省委託事業「ストレスチェック等を行う医師や保健師等に対する研修準備事業」