用語解説(一般の方向け)
| サービス残業 | 賃金不払残業のことで、就業時間後の残業や休日出勤等の所定外労働時間に対し、所定の賃金または割増賃金の一部または全部を支払うことなく労働させることです。労働基準法違反となります。特に、労働時間の自己申告を行っている企業では、残業規制等を考慮し過少申告をする従業員もおり、管理職は、日常的に部下の労働時間をしっかりと把握する必要があります。厚生労働省では、このようなサービス残業をなくすため、「賃金不払残業総合対策要綱について」(H15.5.23基発第0523003号)を示しています。 |
| 裁量労働 | 業務の性質上、管理監督者の指揮管理が及ばず実質労働時間の把握が困難な業務や業務の進め方等を労働者の裁量にゆだねなければならない業務で、一定の時間を労働したとみなす労働時間算定の特例が認められているものです(労働基準法第38条の3、第38条の4)。このため、短時間労働でも、長時間労働でも一定の賃金しか支払われません。研究開発などの「専門業務型裁量労働制」や創造的・非定型的に従事するホワイトカラーの「企画業務型裁量労働制」などがあります。裁量労働制の導入に当たっては、所轄の労働基準監督署に届出が必要となります。 |
| 作業関連疾患 | 職業病が特定の作業によって出現する特有な病気であるのに対して、一般の人がだれでもかかる日常的な病気のうち、特に、職場の環境、労働時間、作業による負荷などの影響によって、進行や発症の危険性が高くなる病気を作業関連疾患とよんでいます。作業関連疾患は、労働に伴うストレスや過労が直接的あるいは間接的に原因になるため、発症時および発症前の作業の状況によっては、労災補償の対象として認定されることもあります。 |
| 36協定 | 労働基準法第36条に規定されている時間外労働・休日労働に関する協定を言います。使用者が、過半数労働組合もしくは過半数労働者代表と締結し、労働基準監督署へ届け出た場合には、その協定の範囲内で法定労働時間を延長して労働させたり、休日(法定休日)に労働させることができます。ただし、労働時間の延長については、一定の有害業務については2時間までの制限があるとともに、厚生労働省よりその限度(上限)に係る基準(例えば、1か月につき45時間)が定められています。 |
| 産業医意見書 | 過重労働による健康障害やメンタルヘルス不調の予防と改善のために、事業者は産業医による面接指導を実施することが求められています。産業医はその面接結果をもとにして、産業医意見書によって事業者に意見を述べることになります。産業医意見書の内容は、健康障害の予防と改善に必要と考えられる措置に関することで、具体的には労働時間の短縮、就業場所の変更、出張制限など、就労上の配慮に関する産業医としての判断です。 |
| 産業保健推進センター | (独)労働者健康福祉機構が全国47都道府県に設置している機関で、産業医・産業看護職・衛生管理者等を対象とした研修や各種相談対応及び図書・ビデオ/DVD等器材・ホームページなどを媒体とした情報提供などによる支援活動や、事業者等に対する職場の健康確保に関するセミナー開催などによる啓発活動を主な業務としています。利用はすべて無料で、相談者のプライバシーは確保されます。 |
| 仕事の拘束性 | 見かけ上、実質的な作業をしていない待ち時間であっても、拘束性が高ければ、労働者の心理的な負荷(ストレス)は大きい状態が続くと判断されることがあります。また、仕事の自由度(裁量権)が少ないと、仕事上の心理的負荷は高まるといわれています。 |
| 脂質異常症(高脂血症) | 血液中の脂質が過剰もしくは不足している病気です。血液中の脂肪分にはいくつかの種類があり、高LDL-コレステロール血症(140mg/dL以上)、低HDL-コレステロール血症(40mg/dL未満)、高トリグリセライド血症(150mg/dL以上)があります。以前は、高脂血症と呼ばれていましたが、善玉のHDL-コレスレロールは低い方が心血管疾患のリスクファクターとなるため、高脂血症という病名ではそぐわないことから脂質異常症と呼ばれるようになりました。遺伝的素因による家族性脂質異常症、内分泌疾患や腎臓病などによる二次性脂質異常症もありますが、食生活の偏りや運動不足などの生活習慣から起こる脂質異常症が問題となっています。脂質異常症でも普通症状はありませんが、動脈硬化の進行により起こる脳・心臓疾患の原因となります。 |
| 指導区分 | 一定時間以上の長時間労働者に対しては、医師による面接指導を実施することが、労働安全衛生法によって事業者に義務付けられています。これを担当する医師は、面接の結果をまとめ、3つの区分(診断区分、就業区分、指導区分)について判定を行います。指導区分の判定は、例えば「指導不要」「要保健指導」「要医療指導」のいずれかを選ぶ形がとられ、具体的な内容についても記されることになります。 |
| 死の四重奏 | 生活習慣病の中で「内臓脂肪型肥満」「糖尿病」「高脂血症」「高血圧」 が同時に発症している状態をいいます。 この4つの生活習慣病は、お互いに合併しやすく心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる病気を引き起こす可能性が大きくなります。アメリカの医師、カプランにより1989年に提唱されました。その後、インスリン抵抗性症候群やマルチプルリスクファクター症候群、内臓脂肪症候群などと呼ばれてきた病態とともに統合整理され、今日のメタボリック症候群の概念に連なっています。 |
| 就業規則 | それぞれの事業場における労働条件を定めた規則で、10名以上の労働者を雇用する事業場では、就業規則を作成し、労働者代表の意見を聴取したうえで、労働基準監督署に届け出る必要があります。規則には、始業、就業の時刻や休憩時間、休日、休暇、賃金、賞与、退職(解雇事由を含む)などについて書かれています。 |
| 就業区分 | 定期健康診断などの結果を基に、治療の要否など示す医学的な区分とは別に、就業の可否や、就業の制限などを示す区分を就業区分といいます。例えば、通常通り勤務を行ってよい「通常勤務」、労働時間の短縮や時間外労働の制限、深夜業の回数の変更、勤務場所の変更などを行う「就業制限」、療養のために勤務を休む必要のある「就業禁止」などの区分があります。 |
| 出向 | 他の会社や団体に配置転換を行い、将来元の会社に復帰する在籍出向とそのまま出向先に転籍する転籍出向とがあります。出向の目的は、①出向先の新技術などの習得、②出向先に新技術や経営管理などを指導する、③人事交流、④人員削減などです。 |
| 職業性ストレス | 職業性ストレスとは、職場におけるストレスを指します。人間関係、仕事のコントロール度、仕事量・時間外労働、仕事の将来性、仕事への適性、交代制勤務・出張等の勤務体制、職場環境(NIOSH職業性ストレスモデル参照)などにより、労働者に生じてくるものです。個人的な要因や仕事以外の要因等にも影響を受けるため、人によってストレスの受け取り方はさまざまなものになります。 |
| 所定労働時間 | 労働契約や就業規則などで定められた労働時間をいい、始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間で求められます。所定労働時間は、法定労働時間(1日8時間、1週40時間))の範囲内で定められます。 |
| 心筋梗塞 | 心臓の筋肉は、心臓の表面を流れる3本の冠状動脈という血管から酸素を送られて動いています。 動脈硬化やストレスが原因で、この動脈がつまると酸素が送られなくなり、筋肉が窒息死した状態を心筋梗塞と呼びます。大抵は、突然の激しい胸痛を生じます。窒息死した筋肉の量が多いと心不全となり、ひどい場合は急性心不全で血圧が急激に低下しショック状態で死に至ります。 不整脈も出やすくなり、AED(自動体外式除細動器)や心臓マッサージが必要になる場合があります。 激しい胸痛が出た場合には、心筋梗塞を疑い速やかに救急救命センターを受診することが必要です。 |
| 診断区分 | 健康診断の結果の判定を指します。通常は、「異常なし」、「要観察」、「要再検」もしくは「要精密検査」、「要医療」と分けられます。 「要観察」は、治療の必要性がそれほど高くなく、生活習慣の改善等で経過を観察するものです。「要再検」もしくは「要精密検査」は、診断区分を最終確定するために、異常値に対して再検査を行うもの、もしくは精密検査を行うものです。「要医療」は、治療の必要性を指すもので、生活習慣の改善とともに、一般的には薬物療法が必要なものを指します。 事業者は、診断区分に基づき、産業医の意見を聞きながら、必要な場合には就業上の措置を行います。 |
| 心房細動 | 心臓では電気信号が一箇所から生まれ、信号が定められた電気系統を順次伝わって、その刺激の下に心房と心室が連携して規則正しい間隔で動きます。動脈硬化やストレスが原因で、この電気系統が乱れたものを不整脈と呼びます。 心房細動は、よく見られる不整脈の一つで、心房のあちこちから電気信号が生まれ、心臓はまったく不規則な間隔の動きとなってしまいます。不規則な動きで心房と心室の連携が乱れ、心臓の中では血液がスムーズに流れなくなり、心臓の中に血栓(血液のかたまり)ができやすくなります。心房細動の最大のリスクは、この血栓が心臓から飛び出し、脳の血管につまり脳梗塞を起こすことです。 |
| 時間外労働 | 法的には労働基準法で定められた労働時間(法定労働時間)を超えて行う労働をさし、一般には就業規則などで定めた所定労働時間を超えて行う労働のことをいいます。法定外の休日に働くことも含まれます。時間外労働が認められるのは、労働基準法第36条に基づく協定の届出が行われている場合などに限られています。 |
| 事後措置 | 健康診断の結果異常の所見があると認められた労働者あるいは長時間労働者への面接指導の結果必要があると認められた労働者に、医師や歯科医師の意見を十分聞きながら、事業主が行う対応策のことを指します。必要な場合には、労働者の生活環境や働く環境を十分考慮しながら、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換などを行うものです。作業環境の測定結果により施設や設備の適切な整備や設置を行い、衛生委員会や安全衛生委員会への報告を通じて、作業環境や作業の改善策を講じていきます。 |
| 自発的健康診断 | 6か月平均で4回/月以上深夜業に従事する人は自発的に受診してその結果を事業者に提出することができる健康診断です。労働安全衛生法第66条の2に定められているもので、過労死対策の一環としての健康管理の充実を図るため、平成11年に制度化されたものです。 なお、深夜業従事者健康診断助成金(自発的健康診断受診支援助成金)の制度があります。希望者は、都道府県産業保健推進センターに申請します。 |
| 睡眠時間 | 睡眠は、心身の健康を維持するために非常に重要であり、逆に心身の健康(特に精神面の健康)が損なわれると、睡眠に影響が出やすくなります。精神疾患の労災認定において、長時間労働の有無が重要な判断材料になるのは、それによって必要な睡眠が確保されなくなるという理由によるところが大きいと言えます。適切な睡眠時間は、個人差があり、日中に強い眠気を催さないことが目安のひとつとされています。 |
| 睡眠時無呼吸症候群 | 睡眠中に呼吸していない(あるいは呼吸していることがわかりにくい)状態が頻回にみられもので、日中に強い眠気が出現し、仕事や学業に支障が出ます。交通事故の原因のひとつとして社会的な注目を集めました。不整脈、心臓病、脳血管障害などの病気の発症にも影響すると指摘されています。耳鼻咽喉科を中心として、診断と治療を専門的に手がけている医療機関があります。 |
| 生活習慣病 | 毎日の生活習慣、とくに過食、運動不足や喫煙によって引き起こされる病気です。 生活習慣病は、健康長寿の最大の阻害要因で、国民の3分の2近くが生活習慣病で亡くなっています。 平成12年からは、国を挙げての生活習慣病対策「健康日本21」としての取り組みが始まりました。平成20年からは、特定健診・保健指導として内臓脂肪型肥満に焦点を当てた予防啓発活動が行われ、「適度な運動」、「バランスのとれた食生活」、「禁煙の実践」を軸に、動脈硬化やがんの予防に、さらに積極的な取り組みが開始されました。 |
| 精神障害 | 国際疾病分類であるICD-10の第Ⅴ章「精神および行動の障害」に分類されているものを指します。代表的なものにうつ病等の気分(感情)障害、統合失調症、ストレス関連障害やアルコール等の薬物依存、睡眠障害も含まれます。 |






