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自殺予防対策関係

ア行

アルコール依存症

薬物依存症の一種です。常習飲酒の結果、飲酒によって得られる精神的・肉体的な薬理作用にとらわれてしまい、自らの飲酒行動を制御不能になった状態です。血中のアルコール濃度を保とうとする身体的飲酒欲求(渇望)が強く、意志の力では飲酒をやめられません。その結果、病的な飲酒パターン、社会的・職業的機能障害、身体的依存などが生じます。

安全配慮義務

労働者は、通常の場合、指定された場所で、提供された設備、器具等を用いて労働に従事しますので、労働契約の内容として具体的に定めていなくても、労働契約を結ぶことに伴って信義則上当然に、使用者は、労働者がその生命、身体等の安全(心身の健康を含みます。)を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をすべきこととされています。このことは、陸上自衛隊事件の最高裁判決(昭和50年2月25日)などの判例で確立した考え方となっており、労働契約法第5条に定められています。

縊死

死因の一つで、紐状のもので頸部を圧迫することにより呼吸や血流を止め、脳や身体の臓器に回復不能なダメージを与えることで死亡することです。

いのちの電話

さまざまな悩みをひとりで抱え込み、その結果死ぬことまで考える人がいます。いのちの電話はいつでも電話をうけられる体制をとり、相談員としての認定を受けたボランティアが誰にも相談できずに悩んでいるひとの話し相手になることで、再び生きる活力を与えようとする組織です。名前は告げる必要はなく、相談内容の秘密は守られます。相談は無料ですが、金銭的な援助は受けられません。

いのちの日

心の健康問題に関する正しい理解の普及・啓発を行うための日です。厚生労働省の健康日本21の自殺予防活動の一環として2001年に設定されました。

カ行

群発自殺

ある人物の自殺が他の複数の自殺を引き起こす現象です。最初の自殺が著名人で、マスメディアを通じて大々的に報道されたような場合には、群発自殺が拡大する危険が高まってしまいます。なお、すべての人が影響を受けるというのではなく、群発自殺に巻き込まれる危険の高い人とは、若者、精神疾患にかかっている人、これまでにも自分も自殺未遂に及んだことがある人、自殺者と同じような問題を抱えている人などです。

国連自殺予防ガイドライン

1991年のUN(国際連合)総会で自殺の問題の深刻さが認識され、国家レベルで自殺予防のための具体的な行動を開始することが提唱されました。この提唱に基づき、WHO(世界保健機関)は1993年にカルガリーで開催された専門家会議をもとに、UNとWHOは「自殺予防:国家戦略の作成と実施のためのガイドライン」を公表しました。このガイドラインの特徴は、それぞれの国に応じた包括的アプローチを提唱している点にあります。

サ行

失踪

社員が突然行方不明になるといった事態が起きることがあります。無責任な人が突然職場を放棄したなどととらえられて、処分の対象とされたりすることもあります。しかし、うつ病を発病している人が失踪したような場合には、自殺の代理行為と考えなければならない場合もあります。まず本人の安全を確保することを最優先してください。そして、本人を発見できたならば、専門の精神科医の診察を受けられるようにしなければなりません。

失業

職を失うこと。わが国では1990年代にバブル経済が崩壊した頃から、失業が深刻化しました。第二次世界大戦以後、終身雇用制は経済発展を牽引してきた側面がありましたが、それを維持できなくなりました。一旦就職したら、定年退職まで同じ会社で勤め続けるのが理想的だと思ってきた人々にとっては、会社の業績悪化に伴い、失業の危機が襲ってきたことは、自己の存在価値を根底から揺さぶられる、心の危機をもたらしたのです。

社会的支援

精神障害者に対して、安定した地域生活を保障するため、医療・福祉の両面からの支援をいいます。医療面では障害者自立支援法に基づく自立支援医療(通院医療費助成)、障害福祉サービスとしての介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業などがあります。相談・支援体制を強化するとともに、区市町村を中心に、住居の確保や就労支援の強化など、地域での受け皿の充実を図っています。さらに、障害者手帳、障害年金などの制度があります。また、精神科救急医療体制の充実も重要です。

職場復帰支援

労働者のメンタルヘルス不調はうつ病を中心に増加傾向にあり、そのための休職者も増加していると同時に、順調に復職できないケースも増えています。経営者・管理監督者・人事労務担当者・産業保健スタッフら事業場関係者が、休職者を休職開始から通常業務への復帰までの一連のプロセスを支援するための指針として、2004年に厚生労働省は「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(2012年7月一部改訂)を策定しました。病気休業開始から職場復帰後のフォローアップまで5つのステップで構成されており、メンタルヘルス対策推進の1つとなっています。

心理学的剖検

心理学的剖検とは、自殺者遺族へのケアを前提として、自殺者の遺族や故人をよく知る人から故人の生前の状況を詳しく聞き取り、自殺が起こった原因や動機を明らかにしていくことです。

事故傾性

自殺はある日突然何の前触れもなく起きるものと一般には考えられていますが、それに先立って、自分の健康や安全を守ることができないという問題がしばしば現れてきます。それが無意識的な自己破壊傾向を示している場合があります。持病の管理ができなくなる、失踪、繰り返す自損事故、酩酊したうえで喧嘩に巻き込まれるなどといったことが、自殺に先立って生じることがあります。

自殺企図

自殺とは自ら自分の生命を絶つ行為ですが、首つり、リストカット、大量服薬など様々な手段により、実際に自殺を企てることを自殺企図と言います。うつ病などのメンタルヘルス不調により自殺企図に至ることも多く、すぐに医療に結びつける必要があります。

自殺者数の推移

日本の自殺者数は、昭和33年(23,641人)と昭和61年(25,667人)に山がありますが、平成10年に前年より8,261人(35.2%)増加して31,755人と初めて3万人を超えました。以後平成21年まで3万人以上となっています。最も多かったのは、平成15年の32,109人です。労働者の自殺者数に着目すると、最近数年間は全体の27%台で推移しています。

自殺対策基本法

年間の自殺者数が3万人を超える日本の状況に対処するために平成18年に制定された法律で、自殺対策に関する基本的な理念、国や地方公共団体などの責務を明確にするとともに、自殺対策の基本的な事項を定め、総合的な自殺対策を推進して自殺の防止を図り、併せて自殺者の親族等への支援を充実し、これらにより、国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会を実現しようとするものです。

自殺の危険因子(自殺未遂歴、喪失体験、自己傾性)

次にあげるような項目を数多く満たす人は潜在的に自殺の危険が高い人と考えられます。①これまでに自殺未遂に及んだことがある、②十分にコントロールされていない精神障害、③周囲から十分なサポートが得られない、④中高年の男性、⑤喪失体験(自分にとって重要な関係にある人や価値あるものを喪う)、⑥自殺の家族歴、⑦事故傾性(自己の安全や健康を守れない)。

自殺の原因

平成20年における自殺の原因・動機は、健康問題によるものが最も多く、48%を占めています。次いで、経済・生活問題が23%、家庭問題が12%と続いています。不況と自殺者数の増加には関連があり、平成10年以降の自殺者数増加にも経済・生活問題による自殺の増加が影響しています。

自殺のサイン

自殺の直前に現れるサインで、一部は自殺の危険因子と重なります。とくに、大切にしていたものを整理したり、誰かにあげたりする、死にとらわれる、自殺をほのめかす、自殺についてはっきりと話す、遺書を用意する、自殺の計画を立てる、自殺の手段を用意する、自殺する予定の場所を下見に行く、実際に自分の身体を傷つける、といった点に気づいたら、自殺を示すサインと考えて、ただちに適切な対処をしなければなりません。

自殺の性差

自殺率は多くの国で男性が女性の2~3倍高いようです。自殺率の国際比較において、日本は男性も女性も自殺率順位は上位です。特に女性の自殺率順位は男性に比べ高いのですが、これは男性の自殺率が旧ソ連諸国で高いためです。

自殺の年齢層による特徴

年齢層別に自殺の原因や動機などについて検討すると、40歳以上60歳未満では経済・生活問題が、60歳以上では健康問題が最も多いなどの特徴があります。これを男女別に見ると、男性では経済・生活問題の割合が最も高くなっており、特に40歳以上60歳未満の層では5割を超えています。一方、女性はすべての年齢層で健康問題が最も高い割合を占めています。

自殺未遂

自殺とは自ら自分の生命を絶つ行為ですが、死に至らなかった場合、自殺未遂といわれます。自殺未遂者は自殺者の10倍以上存在すると考えられています。自殺者は女性より男性が、自殺未遂者は男性より女性が多いとされています。

自殺予防総合対策センター

自殺予防総合対策センターは、自殺予防に向けての政府の総合的な対策を支援するために平成18年10月1日に国立精神・神経センター精神保健研究所に設置されました。設置要綱によると、その業務は、(1)自殺予防対策に関する情報の収集及び発信、(2)自殺予防対策支援ネットワークの構築、(3)自殺の実態分析等、(4)自殺の背景となる精神疾患等の調査・研究、(5)自殺予防対策等の研修、(6)自殺未遂者のケアの調査・研究、(7)自殺遺族等のケアの調査・研究です。

自殺予防の3段階

自殺予防は次の三段階があります。①事前予防:原因を事前に取り除いて、自殺が起きるのを予防します。②危機対応:今まさに起こりつつある危険な行動に対応して、自殺を防ぐことです。たとえば、薬を多量に服用して自殺を図った人に対して、胃洗浄をして、救命し、自殺が起きるのを防ぐといった対応です。③事後対応:不幸にして自殺が生じてしまった場合に、遺された人々への心理的影響を可能な限り少なくするためのケアです。

自殺予防の十箇条

自殺の危険が迫る可能性について解説したもので、自殺の危険因子をわかりやすく説明した十箇条です。①うつ病の症状に気をつける。②原因不明の身体の不調が長引く。③飲酒量が増す。④安全や健康が保てない。⑤仕事の負担が増える、大きな失敗をする、職を失う。⑥職場や家庭からサポートが得られない。⑦自分にとって価値あるものを失う。⑧重症の身体疾患にかかる。⑨自殺を口にする。⑩自殺未遂に及ぶ。

自死遺族

自殺によって家族を亡くされた遺族の呼称です。自殺対策基本法では「自殺者の親族等」と表記されています。従来、論文などでは「自殺遺族」「自殺者の遺族」といった表記が用いられていましたが、当事者遺族らが「自殺」ではなく「自死」という呼称を望み、自らの立場を「自死遺族」と位置づけたことから、特に遺族に対する支援や相談場面においては、この呼称が用いられることが多くなりました。

自傷他害

自傷とは主として自己の生命・身体を害する行為を言い、単に浪費や自己の所有物の損壊などの行為は含みません。他害とは、他人の生命、身体、自由、貞操、名誉、財産等に害を及ぼす場合と決められています。精神障害のために自傷他害の恐れが強く、精神保健指定医二人以上の診断結果にもとづき、都道府県知事の命令によって強制的に入院させることを措置入院といいます。

じん肺

じん肺とは、「粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」(じん肺法)です。じん肺では、病変の進展に伴って種々の疾病が合併または続発してきます。肺結核、結核性胸膜炎、続発性気胸、続発性気管支炎などです。胸部エックス線像は、けい肺等に認められる粒状影からやがて結節が融合して塊状巣を形成するものと、石綿肺のように下肺野から線状・網状影を主体とする不整形陰影を呈するものがあります。

精神科救急

精神疾患に対して緊急の処置ならびに対応の必要がある場合に行われる医療体制です。精神的な混乱や突拍子もない言動、自殺未遂などが自分や家族に急に起こったときに119番に電話すると、精神科専門の電話相談窓口や精神科救急の当番病院(精神科救急病院)を教えてくれます。当番病院は輪番制のことが多いようです。

精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは各都道府県と政令指定市に1か所ずつ(東京都のみ3か所)設置され、精神保健福祉に関する総合技術センターとして位置付けられています。精神科医をはじめ、保健師・看護師、精神保健福祉士、心理相談判定員、作業療法士など多くの専門職種が活躍しています。業務内容は個別相談をはじめ、教育・研修、地域組織育成など多岐にわたります。医療機関として精神科外来診療などを実施している所と、相談業務のみを実施している所とがあります。

世界自殺予防デー

2004年にWHO(世界保健機関)とJASP(世界自殺予防学会)は、9月10日を世界自殺予防デーと定め、「自殺は大きな、しかし予防可能な公衆衛生上の問題である」として自殺対策への関心を喚起しています。わが国では、世界自殺予防デーにちなんで、毎年9月10日からの一週間を自殺予防週間と設定して、国、地方公共団体などが連携して、幅広い国民の参加による自殺予防の啓発活動を推進しています。

タ行

中高年自殺

1998年以来、わが国の年間自殺者数は3万人台という緊急事態が続いていますが、40~50歳台の自殺者が全体の約4割を占めています。とくに中高年の男性の自殺が増えたことが社会問題化しています。大きな社会変動が生じた際に、若年男性の自殺率が増えるというのが世界的に一般的に認められる特徴ですが、中高年の男性の自殺が急増したことは最近のわが国の自殺の大きな特徴と言えます。

デブリーフィング

事故や災害、犯罪被害などの後で、将来のPTSDを予防するために、36時間以内に体験の恐怖を集中的に聞き出すというカウンセリングの方法です。しかしその効果は国際的に否定され、この方法を考えた心理学者も誤りを認めました。多くの被災者、被害者は、暖かなケアと保護によって数か月以内に自然に回復します。不安や不眠が強いときや、回復が思わしくないときには、精神科医による相談窓口が必要です。

電通事件

電通の新入社員(男性、1990年入社)が常軌を逸する長時間労働の結果、うつ病にかかり、翌年8月に自殺するに至ったことから、遺族である両親が会社に対する損害賠償請求訴訟を起こしたものです。
2000年3月に最高裁判所は仕事とうつ病の因果関係を認めたうえで、東京高等裁判所に差し戻す判決を出し、東京高等裁判所において和解が成立し、会社が1億6800万円余(遅延損害金を含みます。)を支払うことになりました。
本件は、仕事と精神障害の因果関係を最高裁判所が初めて認めたものとして意義があり、また、損害賠償額が多額になったことは社会に警鐘を鳴らすものとなりました。

ナ行

ネット自殺

まったく見知らぬ人たちがインターネットで連絡を取り合い、同じ場所で一緒に自殺するという現象が2003年春頃から起きました。多くは20~30歳代の複数の男女で、自動車の車内で七輪で練炭を炊き、一酸化炭素中毒で自殺するという方法まで同じでした。この新奇な自殺が社会的な関心を呼び、マスメディアが大々的に報じたために、同様の自殺が連鎖するという結果になってしまいました。

ハ行

非定型精神病

ドイツや我が国で発展した疾患概念で、統合失調症と躁鬱病の両者が混在しているようにみえますが、そのいずれとも特定できない一群の精神疾患の総称です。急性ないし亜急性に発症し、女性に多く、症状は多彩で、感情の起伏が激しく、うつ症状、躁症状、幻覚、妄想、精神運動性興奮症状のほか、昏迷状態、錯乱、幻覚を伴うせん妄状態、夢幻状態など意識障害としての症状が見られることがあります。またてんかん性の脳波異常が認められることもあると言います。比較的短期間に軽快し予後は概して良好ですが再発傾向が強いものです。

保健所

保健所は、地域保健法第5条により、都道府県、政令指定都市、中核市その他の政令で定める市または特別区に設置されている、公衆衛生活動の中核となる公的機関です。保健所の業務は、保健指導や相談をはじめとして、感染症の予防、食品衛生、環境衛生など多岐にわたりますが、設置主体などによって、その役割と業務は大きく異なります。自殺予防においても、公衆衛生活動との拠点としての取組みが期待されています。

ポストベンション(事後の対応)

自殺予防の3段階のひとつです。この第3段階目が「ポストベンション(postvention)」と呼ばれる対応です。不幸にして自殺が生じてしまった場合、遺族を筆頭に、親しかった友人や職場の同僚、あるいは目撃者にも多大なショックが刻まれることになります。このように遺された方や関係者の方たちに対して適切なケアを行い、心理的ダメージを最小限にする対応をポストベンションといいます。

マ行

メディカルモデル・コミュニティーモデル

自殺予防のためのアプローチを示したものです。自殺既遂者の多くは死亡時に何らかの精神疾患に罹患していたことがわかっています。メディカルモデルでは、自殺につながる可能性のある精神疾患を早期に発見し、適切な治療を行い、自殺を予防します。コミュニティモデルでは、地域社会あるいは特定の集団の問題解決能力を高め、自殺予防を実現していきます。例えば、地域や家庭、学校の中で、精神疾患への偏見を取り除くことや、必要なときの支援の求め方を教えます。また、自殺に関連する社会的要因に働きかけ自殺予防を実現していきます。

ヤ行

薬物依存

薬物依存とは、耐えがたい欲求のために連続的ないし周期的にその薬物を摂取することをいいます。薬物の種類としては、睡眠薬、非麻薬性鎮痛剤、抗不安薬、麻薬、幻覚発現剤(LSD-25、大麻など)、覚せい剤(ヒロポンなど)、有機溶剤(シンナー、接着剤など)、コカイン、喘息薬など多岐にわたります。治療行為から派生した医原性ともいえる側面や、反社会的(違法性)といった側面から理解していく必要もあります。なお、反復使用することで薬物の効果が減り、使用量が増加する現象を耐性と呼び、使用中断による心身の病的症状を離脱症状(禁断症状)と呼びます。精神科医療施設での治療に加えて、以下のような自助組織の活用が考えられます。
AKK(アディクション問題を考える会)、NA、Nar-Anon(ナラノン)