用語解説

メンタルヘルス関係

  • 働く方へ
  • ご家族の方へ
  • 事業者・上司・同僚の方へ
  • 支援する方へ

ア行

医療保護入院

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第33条に規定されている入院形態で、1名以上の精神保健指定医の診察により医療及び保護のため入院が必要と判断され、かつ精神障害者本人の同意が得られない場合、保護者の同意によって成立します。なお、保護者とは後見人、配偶者、両親(患者が20歳以上の時は裁判所の選任が必要)、居住地の市長村長などから決められます。

飲酒教育

飲酒教育とは、学校、地域、職域等において過度の飲酒の弊害や「適正飲酒」の知識を広げることであり、アルコール関連障害の予防に重要です。

うつ病

精神活動が低下し、抑うつ気分、興味や関心の欠如、不安・焦燥、精神運動の制止あるいは激越、食欲低下、不眠などが生じ、生活上の著しい苦痛や機能障害を引き起こす精神疾患です。診断としては、ICD-10(国際疾病分類第10回修正)やDSM-Ⅳ(米国精神医学会)といった診断基準により、症状のそろった状態像を操作的に診断することが一般的です。治療としては、「休養」「薬物療法」「精神療法」を組み合わせます。最近では、生物学的な観点からの研究も多く、薬物療法はセロトニンやノルアドレナリンといった脳内神経伝達物質の働きの促進を目的とした抗うつ剤が開発され、現在の治療の主流となっています。精神療法としては認知行動療法が有効とされています。その他、経頭蓋磁気刺激法、断眠療法、光療法、電気けいれん療法などがあります。

うつ病の自己評価尺度(SDSなど)

SDS(Zung Self-rating Depression Scale)などが自己評価尺度としてあります。これらはスクリーニング用に使用されることがありますが、いわゆるカットオフ値を超えてもあくまでうつ病の「疑い」であり、診断を下すためのものではないということが大切な点です。逆にカットオフ値以下でも「疑い」がないわけではありません。臨床場面では診断をする際に補足的に用いられます。

All or none

物事をとらえる際に「全か無か」の二分法でしか考えないという思考の癖のことを指します。たとえば、少しでもミスがあればそのミスを過大に取り上げ、80点~90点の出来だったとしてもそれを認めることができず、全体としては完全な失敗だと理解してしまう傾向をいいます。このように認知が歪んでいる状態は、自分自身ばかりか相手を傷つけることにもなり、やがて心の病気を引き起こす遠因となることが指摘されています。

安全配慮義務

労働者は、通常の場合、指定された場所で、提供された設備、器具等を用いて労働に従事しますので、労働契約の内容として具体的に定めていなくても、労働契約を結ぶことに伴って信義則上当然に、使用者は、労働者がその生命、身体等の安全(心身の健康を含みます。)を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をすべきこととされています。このことは、陸上自衛隊事件の最高裁判決(昭和50年2月25日)などの判例で確立した考え方となっており、労働契約法第5条に定められています。

ICD-10

「疾病及び関連保健問題の国際統計分類 (International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems )」のことであり、死因や疾病の国際的な統計基準として世界保健機関(WHO) によって公表された分類です。略称はICDで、現在は2003年に改訂され第10版(ICD-10)となっています。

IT産業

IT産業とは、コンピュータメーカーや通信事業者、ソフトウェアメーカー、システムインテグレータなど、情報・通信技術に関連する産業を総括した名称です。コンピュータやその周辺機器の製造・販売、ソフトウェアの開発や販売、ネットワークの構築、通信サービス、企業の情報システムの構築など、非常に幅広い分野を含みます。

青い鳥症候群

現実の自分や、取り巻く環境、待遇などを受け入れられず、自分にはもっと力があり、もっと能力を発揮できる場所があるはずだ、という考えを捨てられず、理想の職場を求めて転職を繰り返す人のことをメーテルリンクの童話「青い鳥」にちなんで”青い鳥症候群”と呼ぶことがあります。今の自分は本当の自分ではないと思い込み、本当の自分という青い鳥を探し求めて、右往左往します。具体的な目的がないため転職を繰り返が、理想の職場は見つからず、最終的に絶望感にさいなまれうつ病像に移行することもあります。

空巣症候群

子どもが成長し巣立って、巣(家)が空っぽになってしまったことが、一種の喪失体験となり、寂しさなどを感じることを空の巣症候群といいます。精神医学的にはうつ状態、うつ病の一種であることが多いものです。特に内向的で人付き合いが苦手、外出より家にいる方が好きで、子育てを生きがいとしてきた専業主婦に多くみられます。空の巣症候群には更年期によるホルモンバランスの変化や、夫が仕事人間、あるいは単身赴任のため不在といった家庭的要因の影響も関係していることが多いものです。

アサーション訓練

相手の気持ちや考えを尊重しながらも、自分の気持ちや考えをその場に適切な表現で相手に率直に伝える訓練です。

アスペルガー症候群

自閉症の一種で、高機能自閉症と呼ぶこともあります。通常の自閉症と違い知的障害はありませんが、相手の感情や雰囲気を察することができず、人や社会とのコミュニケーションに支障をきたしやすいという特徴があります。

EAP

EAPは、「Employee Assistance Program」の略であり、「従業員支援プログラム」と訳されています。元々は米国で発展したもので、その目的は従業員が業務に影響する個人的な問題を解決するために専門的サポートをタイムリーに提供することによって、職場でのパフォーマンス(業績、生産性)の向上・維持をすることです。こうした米国型(パフォーマンス型)EAPに対して、「産業保健を基盤とし、職場との連携を重視する」産業保健型(医療併設型)EAPが我が国にはなじむようです。

一次予防

疾病予防や健康増進を行うことで、健康診断など(二次予防)と異なり、原因の排除やリスクの低減を図ることをいいます。具体的には、生活習慣の改善や生活環境の改善、健康教育による疾病予防や健康増進を図ったり、予防接種等による疾病の発生予防、事故防止による傷害の発生を予防することです。過重労働対策としては、時間外労働の短縮や年次有給休暇の取得促進が一次予防となります。

カ行

寛解と治癒

精神科領域では、対象となる障がい特性を考慮して、回復度合いを定義しています。症状が完全に消失し精神的に安定した場合は完全寛解と呼ぶことが一般的で、身体医学の治癒に相当する。アメリカ精神医学会による「DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の分類と診断の手引」によれば、「完全寛解とは、その疾患の症状や徴候はまったく存在していないが、なお、その疾患を記しておくことに臨床的意味があるー例えば、以前に双極性障害のエピソードのあった人がこの3年間リチウム投与で症状が消失している場合、完全寛解が一定期間続いた後には、その人が回復してしまっているため、その疾患を現在の診断としてコード番号をつける臨床家はいないであろう。完全寛解と回復との区別には多数の因子を考慮することが必要であり、例えば、その疾患の特徴的経過、障害の最後の期間からの経過時間、障害の全持続期間、経過観察または再発予防治療の必要性などがある。」と記載されています。さらに、症状が多少残っていても精神状態は安定し社会生活がある程度可能な場合は不完全寛解などと呼ばれ、社会生活を営めるほどには症状が消失してない場合は軽快、症状が不変、増悪している場合は未治と呼ばれています。

健康教育

健康教育とは、健康に関る諸問題に対して正しい知識を与え、健康増進につながるようなライフスタイルをとるように個人の行動を変化させることです。健康教育により健康状態に影響を及ぼす個人の習慣や個人の行動、組織における変容を引き起こします。メンタルヘルス対策における労働者、管理監督者等への教育も健康教育の一環といえます。

過労自殺

→精神障害等を参照してください。

感情鈍磨

統合失調症にみられる陰性症状のひとつで、感情表現が乏しくなり、情緒性や道徳感などが低下する程度から、快・不快、喜怒哀楽の感情反応が消失するものまでさまざまです。

健康保険組合

健康保険組合は、仕事と無関係に起きたケガや病気(私傷病)などに対して保険給付を行う組織で、主に大企業の社員が加入します。主な保険給付には医療機関で診察・治療を受けたときの費用負担や、私傷病で休んでいるときの生活保障(傷病手当金)などがあります。なお中小企業の社員は全国健康保険協会に加入します。

業務上疾病

業務上疾病とは、仕事が原因となってかかった疾病をいいます。負傷と異なり、疾病の原因は分かりにくいため、どのような疾病が労災補償の対象なるのかを労働基準法施行規則別表第1の2と関係の告示に列挙しています。具体的に掲げられていない疾病であっても、業務起因性の認められたものは労災補償の対象となります。

希死念慮

自殺念慮とほぼ同一の思考内容をさしています。これらの意味の差異としては、自殺念慮の場合、強い感情を伴った自殺に対する思考あるいは観念が精神生活全体を支配し,それが長期にわたって持続するのに対し、希死念慮では、思考あるいは観念として散発的に出現する場合を指すことが通例であり、「消えてなくなりたい」、「楽になりたい」などが希死念慮の具体的な表現型です。

現職復帰の原則

メンタルヘルス不調で休んでいた人が職場復帰する場合には、まずは元の職場(休み始めたときの職場)に戻すのが原則です。新しい環境に適応することが心理的な負担になるためです。ただし異動がきっかけで発症したような場合は、適応できていた以前の職場などへの復帰が良い場合もあります。なお、職場復帰については、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(平成24年7月改定。厚生労働省発表)を参考とするとよいでしょう。

業務起因性

業務起因性とは、仕事と負傷、疾病、障害又は死亡との間に因果関係がある状態をいい、仕事中(事業主の支配下にある状態)に原因を受けて負傷、疾病、障害又は死亡に至ったと認められることをいいます。労働者の不注意などがあっても、故意がある場合を除き、因果関係の否定材料にはなりません。

季節性うつ病

ある季節のみうつ病になるものを指します。季節性感情障害、季節性気分障害などとも言われます。日照時間の短縮が関与しているといわれている「冬季うつ病」の治療には、早朝の数時間にわたって5000ルックス以上の光を照射する光療法が有効とされています。冬季のみでなく、夏季や雨季などの季節性うつ病も存在します。

行為障害

反抗的で攻撃的な非行行為を繰り返す状態をいいます。この非行行為は年齢相応に必要な社会的規範や規則から著しく逸脱しています。その非行行為を引き起こす原因としては脳の障害、精神的な障害、人格発達のゆがみ、家庭環境や社会的環境の影響などがあります。

業務遂行性

業務起因性が認められるためには、その前提として原因を受けたのが仕事中であることが必要になりますが、その状態を業務遂行性があるといいます。業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態をいうもので、一般にいう「仕事中」より広く、業務に従事している状態のほか、休憩時間において事業場構内でスポーツをしているとき、休憩室での休憩中、用便中などは事業主の支配・管理下にあるとされ、業務遂行性が認められます。

気分障害

感情障害ともいわれ、うつ病、躁うつ病などが含まれる分類を意味します。抑うつあるいは高揚といった気分の変調が持続することにより、生活上の苦痛や機能障害を呈する精神疾患の総称といえます。気分変調性障害、気分循環性障害も含まれます。

抗うつ薬

抗うつ薬には、気分の落ち込みの解消、意欲の亢進、不安興奮鎮静の3つの薬理作用があります。代表的なものには、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬などがあります。近年は、「第3世代抗うつ薬」と呼ばれるSSRIやSNRIによる治療が主流ですが、従来からの薬も見直されつつあります。効果が出るには、1~2週間かかり、少なくとも薬効の評価には1か月間は定期的に服薬することが必要です。

気分変調症

典型的なうつ病ではありませんが、うつ病性の障害とされており、それほど重篤でないもののより慢性的持続的(一般的に2年以上)なものをさします。従来、抑うつ人格、抑うつ神経症、神経症性うつ病などと呼ばれています。最近、新型うつ、などと呼ばれるディスチミア親和型うつは気分変調性障害と類似しているものとも言われます。

高照度光療法

整えられた環境の下、蛍光灯に似た2500ルクス~10000ルクスの照射を、読書や食事をとりながら1分ごとに数秒は光源を見る、一日1時間~2時間、1週間~3週間行います(一般家庭の蛍光灯の照度は数百ルクス)。なお、曇り空は約10000ルクスと光療法としての照度は十分あると言われています。一部のうつ病や睡眠障害に有効といわれています。

記銘力障害(記憶障害)

精神機能としての記憶は、記銘、保持、追想、再認の四素からなっています。この四要素のどれが障害されるかによって記憶障害が起こり、それぞれ記銘力障害、記憶保持障害、追想障害、再認障害と分類されています。一般に記憶障害は器質性脳障害の症状ですが、心因反応でも解離性障害でも起こることがあります。記銘障害とは、新たに知覚し、体験した情報を記憶の中に取り入れ留めておくことの欠損のことですが、具体的な障害としては、さまざまな認知症の中期から後期にしばしば現れ、特に、コルサコフ症候群においては記銘力障害、逆行健忘、作話、失見当識が主症状です。

向精神薬

主に脳の中枢神経系に作用し、その薬理作用が思考・感情・意欲などの精神機能にある薬剤を向精神薬と呼んでいます。精神医学の用語としては、向精神病薬は、その薬理作用に応じて、抗精神病薬(主に幻覚・妄想の治療に用いられる)、抗うつ薬、抗不安薬、気分安定(調整)薬、睡眠薬(または睡眠導入剤)、抗痙攣剤(主にてんかんの治療に用いられる)などに分けて使われています。

ギャンブル依存症

ギャンブル依存症とは、パチンコ、パチスロ、競輪、競馬、競艇などのギャンブルによって経済的、社会的、精神的に自分の生活に支障をきたしていることに気がついていても、ギャンブルをやめることができない状態のことを言います。

行動療法

人間の問題行動は誤った学習から生じたものとみなし、その学習を消去し正しい行動へ導くという考えに基づいた療法の総称です。個人の内面よりも具体的行動やそれを引き起こす条件を重視します。弱い不安から段階的に、不安に直面させ不安な出来事は起こらないことを学習させる、問題行動のたびに嫌悪刺激を与えて抑制する、望ましい行動を強化する、対人関係において適切に行動できるよう訓練することなどがあります。

介護ストレス

介護における身体的な負担とともに精神的な不調によってストレスを感じることをいいます。腰痛や肩こりといった健康面での不調や、自分ひとりで介護を抱えてしまうことで不安やイライラを感じたり、疲れやすいなどの症状が現われます。対処方法としては、社会的支援を活用して自分の時間を持ったり、健康づくりを習慣にして健康管理を行うなどのほか、自分自身の考え方を切り換えるなどしてストレスを軽減することが大切です。

急性ストレス反応

主に生死に関わるような要因でトラウマ(心的外傷)を経験した後、これによるフラッシュバック(トラウマの原因となった出来事が繰り返しはっきりと思い返されたり、悪夢を見たりする)、回避(トラウマに関する出来事や、関連する事柄を避けようとする傾向)、過覚醒(神経が高ぶった状態が続き、不眠や不安などが強く現れる)なの症状が出現します。ただし、これらの症状は一過性であり、通常数時間から数日以内でおさまります。

抗不安薬

不安や緊張などを改善し、自律神経を安定させる効果があります。身体疾患に基づく不安にも用いられます。程度の差はありますが、眠気を誘う、筋肉のこわばりを緩める作用もあり、車の運転などは避けたほうがよろしいでしょう。向精神薬の中でも安全性は高く副作用も少ないのですが、連用による依存性が生じることがあり、処方医の指示を守ること、漫然とした長期投与は常用量依存を生じることがあり、避けることが必要です。

快適職場づくり

労働者は生活の3分の1を職場で過ごし、職場はいわば労働者の生活の場の一部ともいえます。そこで、事業者は作業環境や施設設備についての現状を的確に把握し、職場の意見・要望等を聞いて計画的に着実に職場の改善をすすめることを示します。労働安全衛生法第71条の2において、事業者は快適な職場環境を形成するように努めなければならないとされており、疲労やストレスの少ない職場づくりを目指すこととされています。

共感

カウンセリングでいう共感とは、あたかもこのように感じていたり考えていたりするのだろうと、相手の気持ちを慮って理解しようとすることをいいます。相手と感情を共有するということではなく、同情とは区別されます。

交流分析

人間行動に関する理論体系およびそれを応用した心理療法の手法の1つです。自分の考え方や行動、他人との交流パターン、無意識に繰り返される悪い癖、人生のシナリオの4つを自己分析した上で、よりよいセルフコントロールの手がかりを得ます。ありのままの自分を生かす方法について、自分自身で答えを見いだせるように促すことが特徴です。心療内科などの医療分野、学校、企業内研修などで活用されています。

買い物依存症

ひとは自分の収入の範囲内で買い物をしていますが、ストレス発散などの言い訳のもと、次第に買い物をする回数も増え、必要のないものまで買ってしまうことがあります。高額な買い物を繰り返し借金もかさみ、自分でも生活に支障をきたしていることに気づいても買い物をやめることができない状態のことを買い物依存症といいます。

強迫性障害

不安をベースとする精神障害(不安障害)の一つです。自分でもそんなことはない、とわかってはいても拭い去れない考え(強迫観念)に基づいた行動(強迫行為)を繰り返し、日常生活に支障をきたします。例えば、何かに触れた直後から、“~病になってしまうのではないか”→“そして誰かにうつしてしまうのではないか”という心配から抜け出せずに手洗いを止められない、など。自分の不完全さに基づく確認強迫も代表的です。

コーチング

相手が目標を達成する際に必要なスキルや知識を特定し、それが身につき、目標を達成するまで質問したり、具体化するなど戦略的な会話を中心に継続的に関わり続けることです。コーチングはもともと、相手の能力や才能をうまく引き出している人が実際にどういう会話をしているのか、その方法やコミュニケーション量を観察し体系化されました。

カウンセラー(産業カウンセラー、臨床心理士)

何らかの問題を抱えている人から相談を受け、適切な援助を与える職種をいいます。職域においては(財)日本臨床心理士資格認定協会の認定資格である臨床心理士や(社)日本産業カウンセラー協会の認定資格である産業カウンセラーなどが活躍しています。

拒食症

痩身が美しいとされる現代の社会的風潮に相まって、ここ数十年、激増している心の病気です。9割以上は女性です。強いやせ願望と肥満恐怖、そのために極端なダイエットを敢行します。著しい痩身なのに、やせていると自覚していないのも大きな特徴です。相当やせてもなお活発です。生理はほぼ止まります。過食症に移行することも多い一方で、やせが進むと身体の合併症も伴い、死の危険も生じる、決してあなどれない病気です。

心の健康づくり計画

メンタルヘルスケアは、中長期的視野に立ち継続的・計画的に行うこと、事業者が労働者の意見を聴きつつ事業場の実態に則した取組みを行うことが必要です。このため衛生委員会などで十分調査審議を行い、事業者が同ケアを積極的に推進する旨の表明に関すること、事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること、事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関することなどを計画することが必要です。

カウンセリング

何かしらの問題・悩みを抱えた人を対象に、専門的な技術や知識を用いて、言語的または非言語的コミュニケーションによって行われる相談・援助活動一般のこと。ガイダンスの一方法としての相談・助言から、心理療法としての治療的援助活動まで幅広く含まれることが多い。

傾聴

「こちらの聞きたいこと」を「聞く」 (Hear)のではなく、「相手の言いたいこと、伝えたいこと願っていること」を受容的・共感的態度で「聴く」 (Listen)ことであり、相手が自分自身の考えを整理し、納得のいく結論や判断に到達するよう支援することです。つまり、「聴く」の文字が表しているように、「耳と目と心できく」のが「傾聴」の基本です。

心の健康づくり専門スタッフ

事業場内における心の健康の保持増進に関する専門スタッフであり、教育研修の企画や実施、職場環境等の評価と改善、労働者及び管理監督者からの専門的な相談対応等を行います。心理相談担当者(心とからだの健康づくり(THP)専門スタッフ)もその一つです。

過換気症候群

精神的な不安によって過呼吸になり、その結果、手足や唇のしびれやどうき、めまいなどの症状が引き起こされる心身症の一つです。若年者や女性でストレスを受けやすい人によくみられます。発作が起こったときは、小さめの紙袋を口に当てて反復呼吸させます。必要ならば抗不安薬を内服します。発作を繰り返す場合、安定期に心理療法、行動療法を行うとよい場合があります。

月経前症候群

排卵から月経がくるまでの2週間ないし1週間くらいの間に、イライラ、落ち込み、腹痛、乳房緊満感、腰痛、頭痛・頭重感、眠気などの症状が繰り返し出現し、人間関係や日常生活に支障をきたす障害のことをいいます(症状は月経開始とともに殆どが消失します)。出現頻度は、月経のある人のうち数%とする報告から約80%とする報告まで様々あります。薬物療法や食事療法などによる治療が試みられています。

個人情報保護

氏名、生年月日等により特定の個人を識別できる情報に係る個人の権利利益を保護することをいいます。職場におけるメンタルヘルス対策を含む健康管理におきましては、種々の健康情報があり、個人情報のうちでもとくにセンシティブ(機微)な情報として保護すべきもので、「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について」(平成16年10月29日付け基発第1029009号)が示されています。職場でメンタルヘルスケアを円滑に行うためには、個人情報保護への十分な配慮が必要です。もし配慮が不十分なら労働者が事業場内のメンタルヘルスケアに安心して参加できません。

過食症

拒食症とともに摂食障害のひとつで、ほとんど女性に発症します。拒食症に伴うことも、拒食症から移行することも、単独で起こることもあり、最近、拒食症以上に激増しています。自分で制御できないほどのむちゃ食いの後、体重増加の恐怖から、自ら吐いたり、下剤を乱用したり・・・その後、気分が落ち込み、無気力となり、自分をだめな人間だと思う・・・これを繰り返します。治療はカウンセリング、さらに必要に応じて薬も用います。

幻覚

実際にはない刺激を知覚することをいい、錯覚とは区別されます。幻覚の種類には幻聴、幻視、幻味、幻臭、体感幻覚などがあります。幻覚は統合失調症、アルコール依存症、薬物依存症、器質性精神病、心因反応、躁うつ病などに見られますが、統合失調症で最も多くみられる症状です。

現代型うつ病

正式な医学病名ではなく、従前からの典型的なうつ病と違うものを意味する総称として名前が一人歩きしている傾向があり、専門家の間でも見解は一致していません。「新型うつ病」などとも言われ、あたかも最近新しく生じたうつ病のようですが、実は古くから「ディスチミア親和型」「逃避型うつ病」「アパシー」「退却神経症」「パーソナリティ障害(境界性、自己愛性など)」「甘え、怠け、わがまま、自己中心的な性格の問題」など専門家の間では様々な見方をされてきています。本人だけの問題と考えられがちですが、社会が生んでいるという観点も重要と思われます。DSM-Ⅳ-TR(米国精神医学会)にはメランコリー型に対し非定型うつ病の診断基準の記載があり、1)気分の反応性:楽しい出来事には気分が明るい、2)食欲の増加、体重増加、3)過眠、4)鉛様の麻痺(身体が鉛のように重い)、5)拒絶過敏性(他人の言動にひどく敏感)、などを特徴としています。

仮面うつ病

うつ病は、精神症状が一般的ですが、なかには身体症状の方が前景にたつケースも少なくありません。身体疾患の仮面をかぶったうつ病という意味で、仮面うつ病と呼ばれています。主体となる苦痛が身体症状となると、内科、産婦人科、などの心の専門医以外の診療科を受診し誤診されてしまうこともあります。

健康管理

健康管理は、健康診断およびその結果に基づく事後措置、健康測定結果およびその結果に基づく健康指導ならびに面接指導およびその結果に基づく事後措置まで含めた幅広い内容を有しています。メンタルヘルス対策も健康管理が中心です。健康管理は、健康診断、健康測定あるいは面接指導を通じて労働者の健康状態を把握し、作業環境や作業との関連を検討することにより、労働者の健康障害を未然に防ぐこと、さらに健康の増進につながるようなことが含まれます。

過労死

長時間労働などの過重な仕事に就労したことにより、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患(心臓の筋肉の血管が詰まることによる疾病)等にかかったり、その結果死亡に至ることがあり、これを過労死と呼んでいます。一般の人にも仕事に関係なく起こることの多い疾病ですが、過重な仕事に従事することにより、血管がもろくなったり、詰まりやすくなり、あるいは血圧が高くなることなどがあって発病することがありますので、業務上の疾病として労災補償の対象となります。

サ行

CAGE

アルコール依存症を自己判断する質問紙の一つです。酒量を減らさなければいけないと感じたことがあるのか(Cut down)、周囲の人に自分の飲酒について批判されて困ったことがあるのか(Annoyed by criticism)、自分の飲酒についてよくないと感じたり、罪悪感をもったことがあるのか(Guilty feeling)、朝酒や迎え酒を飲んだことがあるのか(Eye-opener)、という4項目中2項目以上当てはまった場合可能性が高いとされています。

職場巡視

職場巡視とは、作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態が働く人に有害な影響を及ぼすおそれがないか確認して行く行為で、労働安全衛生規則では、衛生管理者には週に1回、産業医には月に1回の実施が義務付けられています。無論、有害な影響を及ぼすおそれがある場合、健康障害を防止するために必要な措置を講じる必要があります。

心身症

体の病気ですが、その発症要因や慢性化にストレスが関与している病気の総称で、病名ではありません。心療内科医による診断や治療が中心になります。胃・十二指腸潰瘍、過敏性大腸炎、本態性高血圧症、神経性狭心症(狭心症)、過呼吸症候群、気管支喘息、甲状腺機能亢進症、摂食障害、メニエ-ル症候群、更年期障害が代表的なものです。治療は身体疾病の治療、心身相関のメカニズムへの気づき、ストレスへの対応などが中心になります。

ストレス耐性

ストレスに対する抵抗力のことで、次のような要素があります。 ストレスに気づくか気づかないかという「感知能力」、ストレスを作りやすい性格かどうかという「回避能力」、ストレッサーをなくしたり、弱めたりする「根本の処理能力」、ストレス状態に陥ったとき、そのストレスの意味を良い方向に捉え直すことができる「転換能力」、ストレスそのものの「経験」、ストレスをどのくらいためていられるかという「容量」です。

専属産業医

専属産業医とは本務としての仕事が産業医であり、一つの当該事業場のみに属している者をいいます。労働安全衛生規則により、常時1000人以上の労働者を使用する事業場および一定の有害業務(安衛則第13条第1項第2号に定める業務)に常時500人以上の労働者を従事させる事業場においては、専属産業医の選任が義務付けられています。

GHQ

精神健康調査票の1つです。心身の健康状態を“精神健康度”から評価する自己記入式の質問紙で神経症を早期に発見するための質問紙として国際的に広く使用され,その有効性が実証されています。60項目から構成される原版の他に,いくつかの短縮版が開発され,短縮版では,身体的症状や不安,不眠,社会的活動の障害,うつ傾向といった下位分類が用意され,多面的に“精神健康度”を検討できます。

職場ストレス

職場で生じるストレスの総称です。係長や課長などへの昇進、支店から本社への抜擢、通常の転勤、仕事の内容の変化、同じ部内での配置換え、上司や同僚、部下との対人関係葛藤、リストラ、単身赴任など多彩なものがあります。適応障害や職場不適応症の発症要因の1つになっています。明らかに職務適性がない場合やパワーハラスメント、セクシヤルハラスメントなどのケースに対して、治療的配置転換(原則1回限り)は有効です。

身体表現性障害

従来は神経症の概念に含まれていましたが、国際的な診断基準であるDSM-Ⅳ-TRやICD-10では、ひとつの診断カテゴリーとして採用されています。身体の病気がないのに、身体の症状が出るのが特徴です。例えば、歯は健康なのに歯が痛む、足腰は問題ないのに立てない、歩けない、声帯には問題ないのに声が出ない、などです。身体の症状を極端に気にして、何か重大な病気に罹ったと思い込む心気症も、このカテゴリーに含まれます。

ストレス反応

外からの刺激を受けて引き起こされる様々な反応で、抑うつ、不安、職務不満足感などの心理的反応、血圧上昇や心拍数増加などの生理的反応、過食や過飲、喫煙や薬物使用、事故などの行動面での反応があります。

躁うつ病

双極性障害ともいわれます。躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患です。躁状態の程度により大まかに双極Ⅰ型(顕著な躁状態)、双極Ⅱ型(軽躁)に分類されます。いずれも気分が高揚し開放的で、頭の回転が良くなった感覚を覚え、思い立つと行動に移すのも早いなどの特徴があります。睡眠欲求が減少(寝てる時間が惜しい、寝なくても疲れない)するのも特徴的です。職場では、軽躁状態では仕事の生産性が高まることがありますが、顕著な躁状態では、自尊心も肥大し、周囲と激しい口論をするなどトラブルを起こし、かえって仕事の生産性が落ちます。この時期は乱費、性的逸脱行為も増えやすい。躁状態のあとのうつ状態では自殺のリスクが高いため、積極的に専門家の治療を受けるべきです。

事業場外資源によるケア

メンタルヘルスケアを行う上で、事業場が抱える問題や求めるサービスに応じて、メンタルヘルスケアに関し専門的な知識を有する各種の事業場外資源を活用することをいいます。労働者が相談内容等を事業場に知られることを望まないような場合にも、事業場外資源を活用することが効果的です。事業場外資源とは事業場外の医療機関や地域保健機関、従業員支援プログラム(EAP)機関などのことを指します。

職場復帰

心の健康問題により休業している労働者が増加しているとする調査結果や休業後の職場復帰支援がスムーズに進まないという近年の調査結果等もあり、職場復帰支援に関する社会的関心が高まっていいます。事業場向けマニュアルとして、平成16年に厚生労働省により「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」が作成され、平成21年には改訂が行われ、それが利用できるようになっています。

深夜業

午後10時から午前5時までの業務のことをいいます。労働基準法により満18歳未満の年少者や妊産婦を深夜業に就業させることが禁止されており、また、従事者に対する割増賃金の支払いが義務付けられています。労働安全衛生法により特定業務の一つとして深夜業従事者の健康診断(年2回)や一定要件を満たす労働者の自発的健康診断などが定められています。

ストレスマネジメント

ストレッサーを取り除いたり、ストレスを大きくしないための工夫や、ストレスによって生じている緊張状態やストレス反応の緩和など、ストレス生成のあらゆるプロセスに包括的に働きかけることを言います。

双極性障害

この障害の基本障害は気分あるいは感情の変化であり、抑うつや高揚気分へと繰返し変化します。またほとんどに再発傾向があり、発症の多くはストレスとなる出来事や状況と関連します。躁的状態は平均4か月間、うつ的状態は平均6か月間とされています。

事業場内産業保健スタッフ等によるケア

事業場内産業保健スタッフ等が、労働者や管理監督者に対する支援を行い、具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案、メンタルヘルスに関する個人の健康情報の取り扱い、事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口となること等、心の健康づくり計画の実施にあたり中心的な役割を果たすことです。事業場内産業保健スタッフとは産業医や衛生管理者、保健師、心の健康づくり専門スタッフなどを指します。

職場復帰支援プログラム

メンタルヘルス不調による長期休業者の職場復帰は簡単ではなく、再発や離職もなく少なくありません。長期休業者のスムースな職場復帰は本人のみならず企業や職場にとっても重要な課題になっています。しかし、人材確保とスムースな職場復帰を可能にするため、多くの企業で職場復帰支援プログラムが用意されています。主治医と産業医の意見をもとにして、管理監督者、人事労務担当者、産業保健スタッフなどが、職場環境や作業の内容、作業時間などの調整をしたり、健康面のケアをしたりして、職場復帰を総合的に支援するためのものです。

心理検査

心身の健康状態や認知・思考(受け止め方や考え方など),行動・性格傾向など,対面するだけでは分かりにくい様々な心理状態・傾向について,インタビューや自己記入式の質問紙などを用いて精査することです。心理検査により,適切な治療や支援のための情報を整理し,結果を被検者に説明することで,自己理解を深めることができます。一方で、心理検査のみで病気などの診断を下すためのものではありません。

ストレス要因

ストレス要因とは、一般的にストレッサーとなる可能性のあるものを指します。それが実際に各個人のストレッサーとなるかは、各個人の性格や状況により異なってきます。

早朝覚醒

睡眠障害の一つの形で、朝早く目覚め、再度眠ることができない状態をいいます。老化現象の結果として起こる場合もありますが、ストレス過多でも出現します。特にうつ病では比較的早期からみられる症状でもあります。朝の気分が憂鬱であれば、その可能性があるので注意が必要です。

仕事のストレス判定図

仕事のストレス判定図は、職業性ストレス簡易調査票の一部の項目(12項目)を利用して作成したものです。仕事の量的負荷、仕事のコントロール、上司・同僚の支援などの調査結果から、職場ごとの健康リスクを判断することができます。職場環境の改善を通じたストレス対策に役に立ちます。

職場不適応

職場ストレスと個人要因の関連性から発症し就業への不安や恐怖、緊張、焦燥症状を呈し、うつ気分や意欲の低下も認められます。職場不適応には以下の4つの意味があります。すなわち
1. 軽い不適応状態を示す場合
2. 職場不適応症を指す使い方
3. 職場ストレスと個人要因の関連性を示している場合
4. 状態を示す使い方
1-4のどれに該当するかを知ってほしいです。

心理相談担当者

働く人の心とからだの健康づくりを推進するため、事業者の努力義務として昭和63年からTHP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)が展開されています。このなかで、産業医の指示のもとに必要な対象者にメンタルヘルスケアを提供するのが心理相談担当者です。心理相談を通して、ストレスに対する気付きの援助、リラクゼーションの指導等を行います。受講資格者が中央災害防止協会主催の研修を受講して担当者になることができます。

ストレッサー

ストレス反応を起こす外部環境からの刺激をストレッサーと呼びます。
 ストレッサーは、物理的ストレッサー(寒冷、騒音等)、化学的ストレッサー(酸素、薬物等)、生物的ストレッサー(炎症、感染等)、心理的社会的ストレッサー(人間関係の葛藤や社会的行動に伴う責任、将来に対する不安等)に分類されます。

ソーシャル・スキル・トレーニング

社会適応能力を改善することを目的に行う技法訓練です。精神障害や人格障害の再発を防ぎ、社会適応や職場への復帰を円滑に進めるために、必要とする技術を訓練によって段階的に得ていきます。

仕事要求度-コントロールモデル

仕事のストレスを説明する理論の1つです。仕事の要求度(仕事量や責任)が大きく、それに比べて仕事のコントロール(自由度や裁量権)が低い場合にストレスが生じやすいとされています。

自律訓練法

注意の集中、自己暗示の練習により、全身の緊張を解き、心身の状態を自分でうまく調整できるようにした段階的訓練法です。
具体的方法は、(1)目を閉じて、上を向いてゆっくりと体を横たえる。(2)気持ちが落ちついているという、決められた暗示の言葉を頭の中でくりかえす。(3)さりげない集中(受動的注意集中)を行い、段階的に練習していく。
 この方法は広く、心身症、神経症、などの治療の他に、ストレス解消や健康増進を目的に行われています。

心療内科

身体疾患を身体的側面だけでなく、心理面、社会面をも含めて総合的にみてこうとする診療分野です。扱う代表的なものに、気管支喘息、ストレス性心疾患や胃潰瘍、アトピ-性皮膚炎などがあります。

成果主義

昇進・昇給の基準を「仕事の成果」におく人事評価制度のことをいいます。年齢や勤続年数に応じて報酬が増えていく年功賃金制に代わり、各労働者が達成した成果に応じて報酬を支払うことで年齢や階級によらない思い切った処遇ができるようにし、労働者の意欲を向上させることを目的としています。短期的な視野に立った仕事振りが目立つなどのデメリットにも注目されつつあります。

ソーシャルサポート

個人を取り巻く有形、無形の社会的支援のことをいいます。特に、家族、友人、上司、同僚、部下など人的支援を意味することが多く、ソーシャルサポートが多くあることがストレス軽減につながると言われています。

自助グループ

同じような病気や体験を抱えて悩み苦しんでいる人たち自身やその家族同士が連帯することで、互いに支え合うグループのことです。断酒会やA.A(Alcoholic Anonymousアルコール依存症者匿名協会)などは、その典型例で、アルコール依存症を患う人々の職場復帰・社会復帰の大きな支えとなるものです。家族(遺族)の例としては、犯罪被害者家族の会や、自殺者の家族が支え合う自死遺族のつどいなどがあります。

自律神経失調症

一般内科で不定な症状を訴え、それに見合った所見の得られない病態に対して用いられている用語です。
 神経症型、心身症型、本態性自律神経失調症、それに抑うつ型にわけて治療します。身体症状として、全身倦怠感、めまい、頭痛、動悸など、それに種々の臓器の機能障害をきたし、心理的ストレスにより症状が変動もしくは増悪をきたしやすい特徴があります。
 治療は心身両面から行い、生活指導として健康習慣を身につけ、心身のリラックスを図ります。精神安定剤などの薬物療法などがあります。また自律訓練法も改善に役立ちます。

心理療法(サイコセラピー)

主に対話を通して専門家によって行われる心理的問題の解決を図る方法です。カウンセリングと同じ意味で使われることが多いですが、カウンセリングよりも治療的な意味合いが強くなります。精神療法ともいいますが、心理士が行う場合は特に心理療法ということが多いようです。

精神科専門医

精神科専門医とは、社団日本精神神経学会の精神科専門医制度によって精神科医療に関する学識および経験を有する医師として認定された者です。

組織公平性

1987年にGreenbergによって提唱された概念で、「自分の属している組織がどれほど公平であると感じるか」の尺度です。手続き公平性、分配公平性、人間関係公平性などを含み、自分の評価(給料、昇進など)がどの程度公平に行われたと感じたか、自分を一人の人間として尊重してもらっているとどの程度感じたか等で評価します。

嗜癖

ある特定の物質・行動過程・人間関係を、特に好む性向をいいます。酒やタバコの物質嗜癖、パチンコやショッピングの過程嗜癖、家族や恋人と生じる関係嗜癖などがあります。

事例性

職場関係者や家族はメンタルヘルスの専門家ではないので、メンタルな問題を感じた際には事例性と疾病性との2つに分けて把握すると理解しやすいでしょう。事例性とは業務を推進するうえで困る具体的事実で、「就業規則を守らない」「仕事の能率が低下している」「同僚とのトラブルが多い」など関係者はその変化にすぐに気がつくことができます。一方、疾病性とは症状や病名などに関することで、「幻聴がある」「統合失調症が疑われる」など専門家が判断する分野です。職場での問題把握の第一歩は、病気の確定(疾病性)以上に、業務上何が問題になって困っているか(事例性)を優先する視点が求められます。

睡眠覚醒リズム障害

ヒトの体内時計の周期は約25時間で、私たちは毎日これを24時間に調整して生活しています。睡眠・覚醒のリズムがうまく調整できなくなった状態を概日リズム障害といい、海外出張(時差ぼけとなる)や、交替勤務でも起こります。他に、就寝と起床がどんどん後ろにずれ込む睡眠相後退症候群があり、職場ではだらしない朝寝坊の遅刻魔と見なされがちです。このタイプの治療には、明るい光の照射や、ビタミンB12などが用いられます。

精神分析

フロイトによって創設されたもので、神経症やパーソナリティー障害などのケースに対し、自由連想法を用いて行う系統的精神療法の1つです。精神分析医や分析家によって行われます。発祥の地であるヨーロッパよりアメリカで最も普及しています。自分で知ることができない無意識(深層心理)の世界と現実的、かつ理性的に働く「自我」や親から受け継いだ「超自我」の相互作用、特に無意識の世界の内容を受診者に意識化させるのがポイントとなります。

組織心理

社会的環境の中で、「人」と「環境」は相互に作用しあって行動を引き起こしています。組織心理では、個人が組織の中でどのように考え、どのように行動し、どのような態度を形成するかに焦点を当てます。

3A(absenteeism、alcohol、accident)

メンタルヘルス不調は血液検査などで明らかな異常値がでるわけでもないため、早期発見は困難と思われています。しかし、Absenteeism Accident、すなわち勤怠状況の変化、飲酒問題、様々な事故の発生に注目することにより、メンタルヘルス不調を早期に発見できるとされ、頭文字をとって「三つのA(3A)」と言われています。

社会的再適応評定尺度

アメリカのホームズ(Holmes,TH)らが開発したストレス測定法の1つです。ライフイベント(生活の出来事)法と呼ばれ、結婚に対するストレス度を50点とし,それを基準に0~100点の範囲で、ストレスに対して再適応に要するエネルギー量を評価します。すなわち点数でストレスの程度を示します。厚生労働省の「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」の心理的負荷の強度基準(強度、中程度、軽度)の根拠の一つとして使われています。

新型うつ病

→「現代型うつ病」を参照。

睡眠教育

睡眠は一定時間唯寝ていれば良いというものではなく、質の良い睡眠をとる必要があります。睡眠のメカニズムや快眠法などに対する正しい知識を持ち、生活習慣を工夫することが重要であり、そのための教育を睡眠教育といいます。発育途上で睡眠が重要な課題である学校や、仕事が忙しく睡眠が規則正しく取れない職場において実施されています。

精神保健指定医

精神保健指定医は、厚生労働大臣が指定する特別の国家資格に準ずる法的資格制度(精神保健福祉法第18条)であり、医学の各分野に学会等が設けている専門医制度とは異なります。その職務は、措置入院や医療保護入院、隔離や身体拘束など行動制限の判定等があります。

措置入院

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第29条に規定されている入院形態で、自傷他害(自殺や他者に危害を加えるなど)の恐れのある事例に対し、2名以上の精神保健指定医の診察結果の一致により成立します。一番強制力のあるもので、警察官通報によるもの(同法第24条)が多いようです。
 なお、緊急避難的な制度として、72時間を限度に精神保健指定医1名による緊急措置入院があります。

作業環境管理

作業環境管理は、作業環境中の種々の有害要因を取り除いて適正な作業環境を確保するもので、職場における労働者の健康障害を防止するための根本的な対策の一つです。たとえば、作業環境測定とその結果の評価を行い、その評価結果から局所排気装置など各種の設備の改善や適正な整備を行い、作業環境を適正に維持することです。

社会不安障害

不安とは、明確な対象を持たない恐怖の事を差します。社会不安障害(social anxiety disorder、SAD)は、社会や人前で嫌な思いをしたり、他人に辱められることに対する不安が強く、行動などに障害を及ぼすものです。

心気症

神経症もしくは身体表現性障害の一種です。心身の些細な不調にとらわれ、検査などによっても所見が得られず、医学的な保証によっても納得できず、重大な病気の兆候ではないかと恐れ、執拗に訴える状態です。

睡眠障害

日本人は、最近50年間で急速に、睡眠時間減少、かつ宵っ張りに傾いています。睡眠の問題を訴える労働者も増加中です。睡眠障害にはさまざまな種類があり、単純な不眠のほか、日中に強い眠気を呈する「睡眠時無呼吸症候群」や「ナルコレプシー」、交替制勤務や海外出張などに伴う「睡眠覚醒リズム障害」、さらに、睡眠時随伴症として、寝ていると脚がむずむずして眠れなくなる、高齢者に多い「脚むずむず症候群」などがあります。

精神療法

薬物を用いた薬物療法や身体に物理的に働きかける身体療法などに対し、精神療法は治療者が心理的な手段を用いて患者の心身に働きかける療法です。カウンセリング等の簡易精神療法、行動をよりよい方向に改善していく行動療法、患者の誤ったものの見方を改める認知療法、こころの奥底を分析していく精神分析療法、集団精神療法、自律訓練法、箱庭療法、遊戯療法、森田療法等があります。

就業規則

それぞれの事業場における労働条件を定めた規則で、10名以上の労働者を雇用する事業場では、就業規則を作成し、労働者代表の意見を聴取したうえで、労働基準監督署に届け出る必要があります。規則には、始業、就業の時刻や休憩時間、休日、休暇、賃金、賞与、退職(解雇事由を含む)などについて書かれています。

作業管理

有害な物質やエネルギーが人に及ぼす影響は、作業の内容や作業の方法によっても異なりますが、これらの要因を適切に管理して、労働者への影響を少なくすることが作業管理です。たとえば、作業に伴う有害要因の発生を防止・抑制したり、ばく露が少なくなるように作業の手順や方法を定めたり、作業方法の変更などにより作業の負荷や姿勢などによる身体への悪影響を減少させたり、保護具を適正に用い、暴露を少なくすることなどがあります。

主治医と産業医の連携

心の健康問題を有する労働者を治療する主治医と主治医の判断に基づいて就業上の措置に関する意見を事業者へ述べる産業医が、お互いに医学的な情報を交感し、密に連携することによって労働者がその病状を悪化させることなく、円滑な業務の遂行を支援することが可能となる。主治医からの不十分な情報や不適切な復職支援や就業上の措置に関する意見は、結果として労働者の不利益となり、さらに職場の生産性低下に直結することになる。

神経科

神経疾患を扱う専門分野です。脳と脊髄などの中枢神経系、末梢神経系、自律神経系、それに筋肉系などの神経疾患を扱います。神経科では中枢神経系の障害による身体や神経の麻痺、知覚障害、筋萎縮、歩行や言語障害などを扱うのに対して、精神神経科では思考や感情などの精神面や行動面を人間関係や社会との関連で扱います。

睡眠薬

寝つけない、途中何度も目が覚める、朝早くに目が覚める、深く眠れない、これらを不眠と呼びますが、睡眠薬には作用時間の長さなどによって4つのタイプがあり、症状に合わせて処方されます。何を飲むにしても、計画的に減らすにしても医師の指示を正しく守ること、話し合うことが必要ですが、副作用や止められなくなることへの必要以上の心配はいりません。寝る前の飲酒は良好な睡眠の妨げになるだけです。

セカンド・オピニオン

治療は主治医(かかりつけ医)と患者さんの間でなされます。しかし主治医の判断が絶対ではありませんし、患者さんにとって主治医の見立てなどに不安が生じやすい傾向があります。そこで患者さんが主治医以外の専門家に相談や受診し、その診断や治療、経過、予後などについて判断や意見を求めます。このようにして得られる主治医以外の専門家による一般的な意見をセカンドオピニオンといいます。アメリカで癌の診断や治療に関して使われた方法であり、精神科や心療内科でも使われています。

産業医

産業医とは、労働者の健康を保持するため労働者の作業環境や作業管理、健康管理に関して専門的立場から助言・指導を行う医師のことを示します。産業医は労働安全衛生法に基づき常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任する事業者の義務があります。

守秘義務

医師、保健師、看護師等の医療職は職務を通して他人の秘密を聞いてしまうことがあるので、刑法や身分法が正当な理由なくその秘密を漏らしてはならないことを罰則付きで規定している。医療職以外でも職場で実施される健康診断に関係した者には、労働安全衛生法が同様に規定している。なお、個人情報保護法は、生命、身体の保護や公衆衛生の向上等に必要な場合で本人の同意取得が困難なときは、目的外利用や第三者提供を認めている。

神経症

心理的要因による精神の機能障害ですが、脳や神経の解剖学的変化はなく、特有な症状群ないし状態像をもち、精神病、心身症、性格障害などを除外したものをいいます。
 代表的なものには、不安神経症、心気症、神経衰弱、ヒステリ-、抑うつ神経症、強迫神経症、恐怖症、離人神経症などがあります。

ストレス

ストレスとは、もともと金属学で用いられていた言葉で、歪み(ゆがみ、ひずみ)のことです。ストレスは、ストレス刺激となるもの(ストレッサー)と、ストレス刺激を受けて生体に歪みが生じた状態(ストレス反応)とに分けて考えることができます。元来は後者のみをストレスと称していましたが、現代ではストレス刺激となるものを指してストレスという場合もありますし、ストレス反応とあわせて全体を称してストレスという場合もあります。

セクハラ

セクシュアルハラスメントの略で、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること」又は「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること」をいいます。男女雇用機会均等法により事業者にその対策が義務付けられています。

産業保健スタッフ

事業場内の産業保健スタッフとは産業医等、衛生管理者等、保健師等あるいは心の健康づくり専門スタッフなどを指し、人事労務管理スタッフや事業場外資源などと連携して、メンタルヘルスケアに取り組みます。産業医と衛生管理者は労働者数50人以上の事業場で選任が義務付けられています。保健師等は選任義務はありませんが、身近な専門職として重要です。

昇進うつ病

正式な医学病名ではなく、昇進に伴う環境の変化により誘発されたうつ病をいいます。嫌なストレスがうつ病に結びつきやすいというのはイメージしやすいが、本来喜ばしいこともうつ病のきっかけとなり得ます。昇進は出世と同時に職場での責任や役割の変化を伴います。最近は責任が重くなるので出世を拒む人も見られます。

神経伝達物質

神経細胞から他の細胞への情報伝達は、そのほとんどが化学物質により行われており、神経伝達物質とよばれています。神経伝達物質と推定されている脳内活性物質には、アセチルコリンのほかに、セロトニン、ド-パミン、ノルアドレナリン、アドレナリンなどがあります。精神神経疾患との関連では、統合失調症や躁うつ病、それにパ-キンソン病やアルツハイマ-型老年認知症などとの関連が研究されています。うつ病は脳内のセロトニンやノルアドレナリンの不足が想定されています。

ストレス・コーピング

「コーピング」は「対処する」「切り抜ける」という意味を持ちます。
ストレスコーピングとは、特定のストレスフルな問題や状況に対するストレス対処方法のことで、問題解決型(状況を変化させる、問題を明確にする、別の解決方法を見つけてそれをあわせて評価する)と情動焦点型(問題に対する情動的な反応をコントロールしたり変化させたりする、逃避したり最小化したりする、情動的な苦痛の軽減を目指す)があります。

積極的傾聴法(アクティブ・リスニング)

心理相談の技法の一つです。メンタルヘルス対策のなかでも相談しやすい体制づくりとともに、重要視されています。来談者の話を受容し共感しながら聴き、本人の表現する言葉の本当の意味をとらえ、真の問題を理解しようとすることが重要となります。

産褥期うつ病

産褥期とは分娩後、母体が妊娠前の状態に回復するまでの期間をさし、通常6~8週までの期間をいいます。この期間にはうつ病を発症しやすく、産後うつ病とも呼ばれます。急激な身体的変化、ホルモンの変化のみならず育児といった心理社会的変化も同時に起こるため、時に自殺や無理心中などのおそれもありますので注意を要します。育児を抱え込ませない社会的サポートが重要です。

職業性ストレス簡易調査票

職業性ストレス簡易調査票は、職場で簡便に使用できる自己記入式のストレス調査票です。仕事のストレス要因、ストレス反応、修飾要因の3つで構成されています。仕事のストレス要因では、仕事の量的負担、質的負担、身体的負担、コントロール、対人関係によるストレスなどが、ストレス反応としては、抑うつ、イライラ感、疲労感、活気、身体愁訴などが評価できます。あらゆる業種の職場で使用でき項目数は57と少なく約10分で回答が可能です。

神経内科

神経疾患を扱う専門分野です。脳と脊髄などの中枢神経系、末梢神経系、自律神経系、それに筋肉系などの神経疾患を扱います。中枢神経系の障害による身体や神経の麻痺、知覚障害、筋萎縮、歩行や言語障害などを治療対象とします。

ストレス関連疾患

心理的・社会的ストレスから生じる病気や、ストレスによって経過が悪くなると考えられる病気をストレス関連疾患と呼びます。胃・十二指腸潰瘍、本態性高血圧症、過換気症候群、片頭痛、心臓神経症、神経症、自律神経失調症その他多くの疾患があります。

摂食障害

強い肥満恐怖からダイエットに走る拒食症と、むちゃ食いで特徴づけられる過食症。摂食障害にはこの2種類が挙げられ、両方とも女性が圧倒的多数です。最近数十年間に激増しており、特に過食症に著しい増加がみられます。従来は若い女性の病気とされてきましたが、最近では、小学生から結婚後の年齢層まで広がり、職場でも増加しています。拒食症から過食症への移行もよく見られます。

三次予防

すでに疾病が発病し、疾病として完成した後に、リハビリテーションや再発防止をすることで、社会復帰できる機能を回復させ、またそれを維持することをいいます。

嘱託産業医

産業医の選任形態のひとつで、専属産業医以外で非常勤で勤務する産業医のことをいいます。常時50人以上かつ999人以下の労働者を使用する事業場の産業医のほとんどが嘱託産業医としての選任であり、開業医や勤務医が診療業務の傍ら産業医業務を担ってます。

新健康フロンティア戦略

国民の健康寿命の延伸に向け、予防を重視した健康づくりを国民運動として展開するとともに、病気を患った人や障害のある人も持っている能力をフルに活用して充実した人生を送ることができるよう、技術と提供体制の両面から支援することを目的につくられた国策です。新健康フロンティア戦略賢人会議(平成19年4月)にて策定され、新健康フロンティア戦略アクションプランで具体的な取り組みについて施策を掲げています。

ストレスコントロール

生活上のストレッサーを認識し、ストレスの影響を知り、ストレスレベルをコントロールすることをストレスコントロールといいます。これによって、ストレッサーに適切に対処し、リラックスすることができるようになります。

セルフエスティーム

自尊感情ともいい、自分自身を価値あるものとして尊重する感覚をいいます。基本的な価値を実感することにより、自分自身を信頼し、様々な事柄に前向きに取り組む意欲や満足感につながります。このような自己の尊重は、自分自身だけでなく、周囲の人々のありのままを受け入れる上でも重要となり、環境への適応や精神的健康と密接に関連しています。

CES-D

このスケールは米国国立精神保健研究所の疫学研究センターが一般集団におけるうつ病の疫学研究用に開発した20項目の自己評価尺度です。1週間の症状の頻度を4段階で尋ねています。各回答には0点から3点の得点が与えられ、総得点が0点~60点で示されます。開発者らはカットオフ値を16点以上とし、得点が高い場合は抑うつ状態を疑います。日本語版(島悟)があり、正常対照群、感情障害群、神経症群、精神病群を対象に臨床的有用性が検討されています。

職場環境改善

職場環境とは、職場における化学的・物理的な有害要因のみではなく、職場のストレス、労働条件、休憩室などの設備等の働く人を取り巻く全ての事象を指します。この職場環境を改善することは、労働安全衛生法の目的の一つである「快適な職場環境形成促進」につながります。

人事労務管理スタッフ

企業の経営資源には、労働力、生産手段及び資本の3つ要素から成り立っています。このうち労働力を対象とする管理活動を人事労務管理と言い、具体的には、雇用管理(採用、人材配置、人事考課)、雇用条件(労働期間や賃金)の管理、人材教育、福利厚生、組合対策などを行うことで、これらの業務を行う人々を人事労務管理スタッフと呼びます。

ストレス脆弱性

その人の生まれ持った素質(先天的な要素)と学習・訓練などによる生まれてからの能力やストレスへの対応力(後天的な要素)などに関連してその人が持っている病気のなりやすさを意味します。

セルフエフィカシー

自己効力感ともいい、自分が周囲の期待や要請に対して、十分に対応できているという確信・自信をいいます。自らの意志で、主体的に行動しているという確信のもとに得られる感覚であり、その後の目標設定や自身の行為の結果の見通しに影響を与えます。自己効力感は、目標を達成するための努力を促し、結果的に成功の可能性を高め、自分自身の生き方を肯定的にとらえるためにも重要な要素として位置づけられます。

タ行

通勤ストレス

通勤ストレスという特別な用語はありませんが、ここでは一応「通勤に伴う様々なストレス要因」と定義します。具体的には、①寒暑、風雨などの物理的障害、②歩行等による肉体的疲労、③運転等(事故防止の注意等)による精神的疲労、④混み合う乗り物の中の圧迫感や周囲との軋轢、⑤家庭という保護された空間から離れる不安・恐怖、などが想定されます。

DSM-IV

「精神障害の診断と統計の手引きDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM)」として、米国精神医学会American Psychiatric Association(APA)により定められた診断指針です。米国だけではなく、全世界の精神科医療で幅広く使用されています。現在は第四版修正版 (DSM-IV-TR) となっており、2013年5月に第五版 (DSM-V) の発表が予定されています。

デイケア

施設への通所によって行う治療訓練です。精神障害などで治療により病状が改善し安定状態となると、日常生活を行いながら社会復帰や職場復帰を目標に行う、計画的段階的な訓練です。再発を防ぎ、必要とする対人関係能力や社会適応能力、職業能力などの改善を目指します。

適応障害

ストレスと個人要因の相対的関係で、主として職場や学校などの「場」における適応が上手くいかなくなり臨床症状を呈した状態です。ICD-10によれば、強度のストレスがあるのが診断の前提になっており、個人的素質あるいは脆弱性は適応障害の発症の危険性と症状の形成においてより大きな役割を演じているとされています。症状は多彩であり、抑うつ気分、不安、心配(あるいはこれらの混合)などがあります。DSM-4にも診断基準があります。

適正配置

職場(作業環境や作業内容)と労働者(技能や健康状態)の最適な組み合わせを図ることをいいます。事業者は、健康障害防止の観点から、健康診断や長時間労働者に行う面接指導の結果に基づいて、医師(産業医等)から意見を聴き、就業場所の変更、作業の転換等の必要な措置を講じることが求められています。

テクノストレス症候群

1984年にアメリカの臨床心理学者クレイグ・ブロードが名づけた。『テクノ不安症』と『テクノ依存症』に分けられます。『テクノ不安症』は、中高年に多く見られ、コンピューターへの苦手意識から、パソコンの前に座っただけで不安になり、冷や汗、震えなど、拒否反応を示し、高じるとイライラ、強い絶望感、抑うつ状態に陥ることもあります。『テクノ依存症』は、OA環境に没頭しパソコン、インターネットなどにのめり込み、部屋に閉じこもって対人関係を嫌い、実生活にも支障をきたすものを指します。精神医学的には多くは適応障害の範疇に属するが高じると不安障害、気分障害にもなり得ます。

てんかん

悩が反復的に電気的に異常興奮するためにてんかん発作が出現する疾患です。発作時に脳波を記録すると、てんかん性突発波が記録されることが多いとされています。てんかんの出現頻度は一般人口のおよそ0.3%で、基本的には小児科疾患で,多くが小児期から思春期にかけて発症します。てんかんは臨床発作型を基礎に,全般てんかんと部分てんかんに分けられます。全般てんかんは全般発作をもつもので,部分てんかんは部分発作をもつてんかんのことを指します。また、てんかんの基礎となる脳障害が見出されない場合を特発性全般てんかんといい,基礎となる外傷等の脳障害が見出されるものを続発性全般てんかんといいます。さまざまな抗てんかん薬の定期的な服用によって、てんかん発作はコントロールされることが多くなり、日常生活や社会生活に支障が出ることは多くはありません。

統合失調症

かつて本邦では、英語ではschizophrenia、ドイツ語ではSchizophrenieという障害名を,精神分裂病と訳してきました。しかし,この病名は、患者に対する社会的な偏見や差別を生み出し,また患者や家族もその病名に不快さを感じるということもあって,2002年8月に,統合失調症という病名に変更することが決められました。厚生労働省もすぐにこの決定に対応し,行政レベルでも本病名の使用が公認されました。統合失調症の症状としては、幻覚、妄想、興奮、意欲障害、思考障害、睡眠障害等が認められます。しかし、最近では、副作用の少ない向精神薬の使用が可能となり、日常生活や社会的生活に支障が出ることは少なくなっています。また、リハビリテーション等によって社会参加が可能になる場合も多くなり、障害者雇用促進法でも一定の配慮がなされ、就労する機会も多くなっています。

Total Health Promotion Plan (THP)

「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づくすべての働く人を対象とした心とからだの健康づくり運動のことをいいます。健康測定を行い、その結果に基づいた運動指導、保健指導、栄養指導、メンタルヘルスケアを行うことが基本です。

逃避型抑うつ

うつ病により、職場不適応が生じると、些細な失敗を恐れて「ひきこもり」が生じることがあります。しかし旅行に行く、仕事以外の社会活動には活発、というような現実問題から逃避しているかのような状態をさします。いわゆる「現代型うつ病」のひとつの類型と考えられています。

退却神経症

退却神経症は精神科医の笠原嘉博士によって提唱された概念です。適応障害の1つとも言えます。博士はウオルーターズが定義した学生アパシー(選択的無気力)の研究から退却神経症を考えました。「『本業』とでもいうべき生活部分がある。サラリーマンならサラリーマンの、大学生には大学生の、主婦には主婦の本業がある。そこからの選択的退却である。そのことだけに無気力、無関心になる。そういう神経症(ノイローゼ)である」と定義しました。

ドメスティック・バイオレンス

家庭内で行われる家族間での暴力行為をさします。例示しますと、親による子どもへの虐待,配偶者による暴力,子どもによる親への暴力,老人への虐待などがよく知られています。子供に対する暴力は、児童相談所で対応され、配偶者間等のいわゆるドメスティク・バイオレンスは女性相談センター等で相談されます。また、被害者やその事実を知ったものが通報し、警察等の公権力の支援を受けることも可能で、加害者からの保護が必要な場合には接近禁止等の処分が下されることがあります。また、最近では、離婚しても配偶者に対する対処と同様に扱われるようになりました。精神科的対処としては被害者本人に対する精神療法と必要であれば薬物療法によりますが、加害者に対する心理的指導も必要であることも理解されるようになり、場合によっては家族療法的対応が行われる場合もあります。

タイプA

タイプAは「タイプA行動パターン」ともいい、競争心が強く、仕事に熱中し、攻撃的で,イライラし易く、他人とよく対立するといった行動様式です。タイプAの人は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に罹る率が高く、頭痛,消化器症状、睡眠障害などの訴えも多いといわれます。タイプAの人は怒りを感じやすく、血圧や心拍数が増加することが多く、心臓などに負担がかかりやすいためと考えられています。

トラウマ(心的外傷)

個人が一般の生活では経験しないような死に直面するような心理的に強い負荷となる出来事のことを指します。この出来事には、戦争や交通事故等による生命の危険、他者からの個人の尊厳の強い毀損等があります。心的外傷は突然の出来事によっても、慢性的に反復的に加えられる場合にも発生します。突然の出来事によって心的外傷が起こった場合には、急性ストレス反応として、感情麻痺、関心の喪失、現実感の喪失、解離性健忘などが起こりえますが、多くの場合、1か月以内に症状は消失するといわれています。心的外傷の後遺症として外傷後ストレス障害がみられることがあり、フラッシュバック、反復的な苦痛な夢、再体験、睡眠障害等の過覚醒、回避行動などが多くの場合では、出来事から半年以内に起こってくるとされています。治療としては、精神療法と薬物治療としては選択的セロトニン再取り込み阻害薬や睡眠導入剤の投与などがあり、多くの場合回復可能ですが、さまざまな要因により慢性化することもあります。

試し出勤

病気のため長期にわたって休業した労働者が職場復帰をする際に、正式な職場復帰に先がけて、出勤あるいはそれに近い取組みを行ってみる制度をさします。「リハビリ出勤」などと称されることもあります。労働者本人にとっては、職場復帰に対する不安を軽減できるという効果が期待でき、職場の側にも労働者が勤務可能かどうかをある程度見極められるという利点があります。

努力-報酬不均衡モデル

ドイツの社会学者Siegristらによって提唱された職業生活における「努力」と「報酬」の二つの軸をもとに慢性的なストレス状況を把握する理論的モデルのことをいいます。「職業生活において費やす努力と,そこから得られるべき,もしくは得られることが期待される報酬がつりあわない」(高努力 / 低報酬)の状態をストレスフルと定義しています。

断酒会

断酒会とは、アルコール依存症にかかった人たちが集まり、お互いに励まし合い酒害からの回復と人としての成長を目指す集団です。また、同じ酒害者としての立場から酒害問題に悩んでいる人への援助活動も行っています。体験談を語る場である「例会」への出席と組織活動である様々なプログラムに参加することで断酒を続けます。

注意欠陥性多動障害

DSM-Ⅳ(アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル)によって初めて注意欠陥多動性症候群という診断名が使われることになりました。DSM-Ⅳ-TRによれば1.不注意、2.多動性―衝動性のうちどちらかが、さらには症状のうち6つ以上がすくなくとも6か月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないものをいいます。対象者に特別支援教育が行われるようになってきました。

中途覚醒

夜中に何回も目覚め、再入眠が困難な場合がしばしばあります。一般的に睡眠は眠りについて最初の3時間くらいがもっとも深く、その後、明け方に向かって浅くなっていきます。ストレスなどで脳の覚醒水準が高くなると、その人の睡眠が全体として浅くなり、睡眠最初の深い眠りの時期にはなんとか眠れても、入眠後3時間くらいの睡眠が浅くなる時期になると目が覚めてしまうのです。

通勤訓練

通勤訓練は、メンタルヘルス不調により休業した労働者が職場復帰に向けて一般的に行う訓練の一つです。自宅から職場の近くまで通常の出勤時間、出勤経路で出勤をシミュレーションします。通勤に必要な体力の確認や生活リズムを整えるといった効果が期待できます。

ナ行

年次有給休暇

労働基準法第39条により、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10日の有給休暇を与え、その後1年ごとに1~2日追加し、最大年間20日の有給休暇を与えなければならないこととされています。有給休暇は原則として自由利用が認められます。

脳・心臓疾患

→過労死を参照してください。

NIOSH職業性ストレスモデル

米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が作成したもので、仕事上の要因(仕事量や質、人間関係、裁量度、温度や騒音等)をうけて急性ストレス反応(心理面、生理面、行動面への変化)がおき、やがてストレスに関連した病気や作業能率低下などの問題が生じる、という一連の流れを示します。その流れに影響を及ぼすものとして、仕事以外の要因や年齢・性別・性格といった個人要因、上司・同僚・家族からの支援などの緩衝要因が挙げられます。

内因性精神障害

精神障害の病因は内因・外因・心因の3つに分類されてきました。これらの分類は1994年以前に用いられていたもので、現在は公式には用いられません。遺伝や脳の働き方(素因)といったもともとの個人の病気のなりやすさ(脆弱性)を内因といい、これを病因とする精神障害を内因性精神障害といいます。診断名でいうと、統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害(躁うつ病)などが含まれます。外因は脳に直接影響を与える物質や外傷、全身疾患などを、心因は社会生活上の出来事を指します。

難治性うつ病

うつ病のタイプや重症度を意味するものではなく、様々な治療(薬物療養、精神療法など)を一定期間以上行っても改善しない状態を意味するものです。必ず専門家に相談する必要がありますが、抗うつ剤と違う「甲状腺ホルモン薬」や「ドーパミン作動薬」などを用いたり、薬物以外として、通電療法(電気けいれん療法)、磁気刺激療法(経頭蓋磁気刺激法)、光療法、断眠療法などがあります。

二次予防

すでに健康異常が出現している段階で、早期発見、早期治療を行うことで、疾病や障害の重症化を予防することです。たとえば発生した疾病や障害を検診などにより早期に発見し、早期に治療や早期に保健指導などの対策を行うことにより疾病が重症化することを予防します。具体的には、健康診断による有所見者への事後措置、面接指導により必要とされた者に対する事後措置、これらにより疾病が見出された者への早期治療などがあります。

任意入院

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第22条の3に規定されている入院形態です。精神障害者本人の同意のうえで入院するもので、原則的には開放的な環境での処遇が求められています。

認知行動療法

認知療法とも言い、人間の感情や行動が認知のあり方の影響を受けることから、認知に働きかけて気分や行動を変化させることを目的とした短期の精神療法です。認知行動療法は、うつ病に対する治療法として開発され、薬物療法に匹敵する効果があり、再発予防は薬物療法以上であることから注目されました。その後、不安障害、ストレス関連障害、双極性障害、統合失調症、不眠症、ストレス対処など、適用範囲は広がっています。

認知症(痴呆症)

脳器質性疾患によって慢性的に生じた認知機能障害によって日常生活や社会生活が障害されることを指しています。65歳以上の老人の約4~5%に認知症症状がみられるとされていますが、最近では若年性アルツハイマー型認知症等の存在にも注意が払われるようになりました。認知症の分類としては、アルツハイマー型認知症として、初老期(65歳以前)に発症するアルツハイマー病(初老期認知症)と,老年期(65歳以後)に発症するアルツハイマー型老年認知症があります。また、虚血性脳血管障害によって起こる認知症として、脳卒中後認知症,多発梗塞性認知症等を合わせて血管性認知症と呼びます。アルツハイマー型痴呆が女性に多いのに比べて血管性痴呆は男性に多いとされています。アルツハイマー型認知症では認知機能障害が認知と行動に全般的に認められるのに対し、血管性認知症では、認知機能障害は、まだらであり、動揺性で階段に増悪することが特徴的です。現在では、アルツハイマー型認知症の薬物治療としてドネペジルなどが投与され、一定の効果が期待されますが、介護施設や介護に従事する人的資源などか不足していることが問題となっています。

脳神経外科

大脳、小脳、延髄などの脳神経障害を外科的に扱う診療科です。おもに頭部外傷、それに脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、脳腫瘍などの治療をします。

ハ行

非定型向精神薬

抗精神病薬には、1950年代に開発された定型抗精神病薬と1980年代後半から(日本では1996年から)使用されている非定型抗精神病薬の2つのタイプがあり、特に統合失調症の治療の中心になっています。主に幻覚や妄想などの症状に有効です。非定型抗精神病薬は、現在では統合失調症治療の第一選択薬となっています。

病識

自分自身の異常体験や行動が病気あるいは病気であったことを判断し、自覚していることです。統合失調症、アルコール依存症などのメンタルヘルス不調の場合は病識がないことも多く、そのために治療がうまく進まないこともあります。

不安障害

不安とは、明確な対象を持たない恐怖のことを指します。不安により発汗、動悸、頻脈、胸痛、頭痛、下痢などといった身体症状も現われますが、不安そのものや不安による身体症状が強く生活に支障がある病的な状態を不安障害と呼びます。治療には、薬物療法・認知行動療法などがあります。

不安神経症

不安を主症状とする神経症が不安神経症ですが、現在では「神経症」という用語は使われなくなっています。不安神経症は現在の「パニック障害」か「全般性不安障害」になります。

不定愁訴

身体の状態について、何となく体調が悪いという感覚や様々な自覚症状を訴え、検査をしても原因となる病気が見つからない場合を指します。「頭が重い」、「目の奥が痛い」、「疲れが取れない」、「よく眠れない」などと訴えることも多くあります。

プライバシーの配慮

プライバシーの範囲は個人ごとに異なりますが、健康情報は特にセンシティブな情報ですから、セキュリティを確保して取り扱います。病名や検査値などの生データは、医療職以外が不用意に取得や利用をしないようにします。また、目的外使用や第三者への提供の際には、本人に事情を説明して同意を得ます。ただし、本人の生命や健康を守る必要がある場合は、積極的に活用しましょう。研究や公表のための利用では、匿名化しましょう。

ブリーフサイコセラピー

短期間、あるいは少ない面接回数で行おうとする心理療法です。ブリーフサイコセラピーにはいくつかの流派があって、面接の進め方は様々です。必ずしも短期であることを強調しているわけではなく、効率的、効果的な方法を目指していると言った方がよいでしょう。

ブルーマンデー

休み明けの月曜は「また1週間仕事か」と思い、気分がのらず、憂鬱な気分で迎えることを表現しています。世界的にBlue Mondayは休日明けの物憂い月曜日として誰しも経験し広く認識されており、このレベルではうつ病、うつ状態とはいえません。

発達障害

障害の原因が、精神あるいは身体的、またはその両面にわたっており、自立した生活能力や言語機能、学習などいくつかの領域で、機能的に制限があります。子どもの発達の側面は多様であり、それらは相互に関連性を持っているため、ある側面に何らかの障害が見られる場合は、ほかの側面にも悪影響を及ぼしている可能性を考えなければなりません。

ペットロス症候群

「ペットを失う」ことによりさまざまな心身の症状が生じるものを指します。愛情を持って接していた飼い主ならだれもが経験する正常な感情体験であり、症状の程度は個人差が大きいものです。様々な症状が生じますが、ペットロスをきっかけにうつ状態、うつ病に至ることもありますので、その場合には治療が必要となります。

パニック障害

強い不安感を主な症状とする精神疾患のひとつでパニックディスオーダー(panic disorder)とも呼ばれ、従来不安神経症と呼ばれていた疾患の一部です。パニック発作と呼ばれる状態が繰返されます。

保健指導

健康診断の判定結果に基づいて精密検査の受診、医療機関での治療、生活習慣の改善などの指導を実施することを指します。
労働安全衛生法により、健康診断の結果が有所見である労働者に対して、事業者が医師または保健師により実施させるよう努めなければならないこととされており、実際は「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」を参考に行われています。

パニック発作

突然強いストレスを覚え、動悸、息切れ、めまいなどの自律神経症状と強い不安感に襲われるものです。「死ぬのではないか?」などの恐怖感もよく感じます。手足のしびれやけいれん、吐き気、胸部圧迫感、息苦しさなども生じ、症状を抑えようとしても抑えられず、逆に症状は悪化し、救急搬送されることも多いようです。しかも、これらの症状は、特別な処置がなくとも、しばらく安静に過ごしていれば多くは回復します。

ハラスメント

いやがらせやいじめのことをいいます。職場においては、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)、モラルハラスメント(モラハラ)が問題となることがあります。

パワハラ

パワーハラスメントの略で、職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く関係を悪化させ、あるいは雇用不安を与えることをいいます。うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります。

半構造化面接

診断の確定や治療効果の研究のために用いる一連の順序だった、決められた質問によって構成された面接のことを構造化面接といいます。これに対し、あらかじめ面接の目的や質問をある程度決めておくけれども、状況や相談者の反応によって面接者が自由に質問を変えていくものを半構造化面接といいます。質問を何も決めずに行う面接を自由面接(非構造化面接)といいます。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

強烈な精神的衝撃を受け、数週~数か月の潜伏期間の後に、長期にわたり恐怖感、無気力、睡眠障害、悪夢など様々な症状を示す障害です。地震、洪水、火事のような災害、または事故、戦争といった人災、監禁、虐待、強姦など犯罪など、多様な原因によって生じます。

非定型うつ病

専門家の間でも見解は一致していない「現代型うつ病」のひとつの類型と考えられています。DSM-Ⅳ-TR(米国精神医学会)にはメランコリー型に対し非定型うつ病の診断基準の記載があり、1)気分の反応性:楽しい出来事には気分が明るい、2)食欲の増加、体重増加、3)過眠、4)鉛様の麻痺(身体が鉛のように重い)、5)拒絶過敏性(他人の言動にひどく敏感)、などを特徴としています。

マ行

森田療法

1920年ごろ森田正馬が創始した精神療法で、不安、葛藤、恐怖という症状を取り除くことに主眼をおかず、人間本来が持っている心理との共存を目指す。不安などを心の異物として除去する多くの心理療法とは異なります。症状を完全になくしてから行動するのでなく、「あるがまま」に感じながら、現実的な「本来の欲望」に向かって行動に移すことを目的とします。見方によっては認知療法、行動療法的側面を持ち合わせますが、森田療法の方が歴史的には古いことになります。

慢性疲労症候群

原因不明の強い疲労が長期間(一般的に6か月以上)続く病気です。治療による完治は5?10%ですが、症状はある程度改善すると言われています。病気の知識が広まっていないため、適切な診断を受けていないか、うつ病・更年期障害・自律神経失調症などと考えられていることも多いようです。

無断欠勤

職場に事前に届け出なく休むことです。単に届け出がない場合だけでなく、届け出があってもその理由が正当なものと認められないときも同様に無断欠勤という扱いにしている企業もあります。企業ごとに、就業規則によって定義を明確にしておくことが必要です。

メンタリング

メンタリング(mentoring)とは、知識や経験の豊かな人々(=メンター)が現時点で経験の少ない人々(メンティ)に対して、キャリア(成功体験)の実現のために、個別にキャリアや心理・社会的な側面から一定期間継続して行う支援行動のことです。

メンタルヘルス教育

メンタルヘルス教育とは,メンタルヘルスケアが適切に実施されるために,労働者等にメンタルヘルスに関する知識等を付与することです。「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では,労働者には「セルフケア」を促進するための教育を,管理監督者には「ラインによるケア」を促進するための教育を行うものとされています。また,「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」を促進するため,それらスタッフにも教育を行うものとされています。

メンタルヘルス指針

2006年3月に厚生労働省から公表された「労働者の心の健康の保持増進のための指針」のこと。事業場で推進されるべきメンタルヘルス対策のあり方を包括的に記しており、2000年8月に示された「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」の増補改訂版にあたる。労働安全衛生法第70条2第1項に基づくものと位置づけられており、この指針に沿った取り組みを行うことは、事業者の努力義務となっている。

メンタルヘルス推進担当者

メンタルヘルス推進担当者とは、産業医等の助言、指導等を得ながら事業場のメンタルヘルスケアの推進の実務を担当する者であり、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、メンタルヘルス推進担当者を「選任するよう努める」ことが事業者に求められています。メンタルヘルス推進担当者としては、衛生管理者や常勤保健師等が望ましく、人事労務管理スタッフからの選任も考えられます。

燃え尽き症候群

アメリカの心理学者フロイデンバーガーが1980年に提唱した概念で、それまで人一倍活発に仕事をしていた人が、なんらかのきっかけで、あたかも燃え尽きるように活力を失ったときに示す心身の疲労症状をいいます。主要症状として、心身の疲労消耗感のほか、人と距離をとり感情的接触を避ける、達成感の低下などが認められています。精神医学的にはうつ病と診断されることもあります。エネルギッシュで高い理想をもって仕事に取り組む性格特徴の人に多いと言われています。

モラルハラスメント

言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることをいいます。パワハラと同様に、うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります。

ヤ行

薬物療法

化学的に作られた物質で、特にヒトや動物に投与したときに何らかの生理的な作用を及ぼすものを薬物といいます。その中で病気の治療、予防、診断といった用途に使用されるものを医薬品といい、医薬品を使用して病気や症状の改善を目指すことを薬物療法と言います。

要求度-コントロールモデル

仕事の量が多ければ多いほど、また質的要求も高ければ高いほど(主観的に感じる仕事の要求度)労働者のストレスは高まりますが、一方で労働者側に仕事のコントロール能力や裁量権が与えられていれば(主観的に感じる仕事の裁量権)、仕事ストレスは緩和されることが分かっています。この両者の関係を用いて、職場を分析したり(仕事ストレスの要求度が高い低い×仕事の裁量度が高い低い)、改善に役立てたりすることができます。

抑うつ状態

気分が落ち込み、憂うつになる状態をいいます。抑うつ状態を呈する代表的な疾患としては、うつ病が知られていますが、不安障害、統合失調症、適応障害、パーソナリティ障害、などあらゆる精神疾患の併発症状となり得ます。

4つのケア

4つのケアとは、「労働者の心の保持増進のための指針」において示されたメンタルヘルスケアのことで、労働者が自らのストレスに気付き予防対処する「セルフケア」、管理監督者が心の健康に関して職場環境等の改善や労働者に対する相談対応を行う「ラインによるケア」、事業場内の産業医等の産業保健スタッフ等が心の健康づくり対策を提言・推進し、労働者、管理監督者等を支援する「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、事業場外の機関及び専門家を活用し、その支援を受ける「事業場外資源によるケア」のことを指します。

薬物依存

薬物依存とは、耐えがたい欲求のために連続的ないし周期的にその薬物を摂取することをいいます。薬物の種類としては、睡眠薬、非麻薬性鎮痛剤、抗不安薬、麻薬、幻覚発現剤(LSD-25、大麻など)、覚せい剤(ヒロポンなど)、有機溶剤(シンナー、接着剤など)、コカイン、喘息薬など多岐にわたります。治療行為から派生した医原性ともいえる側面や、反社会的(違法性)といった側面から理解していく必要もあります。なお、反復使用することで薬物の効果が減り、使用量が増加する現象を耐性と呼び、使用中断による心身の病的症状を離脱症状(禁断症状)と呼びます。精神科医療施設での治療に加えて、以下のような自助組織の活用が考えられます。
AKK(アディクション問題を考える会)、NA、Nar-Anon(ナラノン)

ラ行

労災補償

労働者災害補償保険(労災保険)は、労働基準法に定める使用者の災害補償義務に基づいて、仕事が原因で起きたケガや病気、障害、死亡などに対して保険給付を行う制度です。原則的に、パートや日雇い労働者などを含め全ての労働者が対象になります。精神障害や自殺が労災に該当するかどうかは、厚生労働省から出されている指針に基づいて労働基準監督署長が判断します。

労働衛生教育

労働者が働くに当たり必要な安全衛生に関する知識を与えるための教育をいいます。
安全衛生規則等の法的な教育として、雇い入れ時教育、作業内容変更時の教育、一定の有害業務への配置時の特別教育、職長等教育を規定しています。安全衛生業務従事者や有害業務従事者に対する能力向上教育(努力義務)、安全配慮やリスクアセスメントのための教育など、その領域は拡大しています。

来談者中心療法

相談者の考え方や感じ方をカウンセラーが共感的に理解していくことで、相談者自身の気付きや成長を促し、問題解決を目指していくカウンセリングの方法です。相談者のことを来談者(クライエント)と呼ぶためこのような名称になっていますが、最近はパーソン・センタード・アプローチと言われるようになっています。

ライフイベント

ホームズとレイは人生に起こる代表的なできごとを抽出し、それぞれのストレス度を点数化しました(Holmes and Rahe stress scale)。一般に、大きなライフイベント(家族との死別、結婚等)は大きなストレスとなり病気を招くと考えられていますが、日常のささいなライフイベント(職場のトラブル等)もそれらが重なったり続いたりすると、同様のメカニズムにて体調に影響があると考えられています。

ラポール

相談などに際しての心の繋がりのことです。受診や相談などで安心して話せる環境が重要ですが、特にラポ-ルは問題解決に向けて相談などを継続して進めるための基本となります。初回でのラポ-ル形成はその後の成果に大きく影響します。

リストカット症候群

1960年代にアメリカで大流行し、その後、西欧、日本へとひろがりました。自分の手首をカッターナイフや剃刀などで傷つける自傷行為をさす、手首(wrist)と切る(cut)を合わせて作られた和製英語です。10~20代、未婚の女性に多く、何度も繰り返し行い習慣化する傾向があります。手首の他には、腕、足、顔、腹部などを切ることもあります。情緒的には慢性的な空虚感や抑うつ感を抱いていており自己愛が傷つきやすいと言われています。自分が生きているという実感が薄いため、自傷行為に伴う痛みや出血によって実感を取り戻すという嗜癖行為であるとの指摘もあります。

リスナー教育

職場のメンタルヘルスケアの一つとして、管理監督者が部下の悩みを上手に聴くことが求められています。メンタルヘルスの問題の多くは、話を聞いてもらう過程で、自分自身で自然に解決できるからです。話の聴きかたとしては、批判的あるいは指示的な態度ではなく、相談者の気持ちを受け入れ、共感し、支持する態度がより効果的です。職場の風通しがよくなることなども期待できるため、企業では管理監督者に対して、話の聴きかたについて「リスナー教育」が行われています。

リハビリ出勤

一般には「試し出勤」として職場復帰前に職場復帰の判断等を目的として、無給で本来の職場などに試験的に一定期間継続して勤務することを指します。「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」によると、通常の勤務時間と同様な時間帯で時間を過ごす模擬出勤、通勤訓練などがあります。この制度の導入に際しては、「試し出勤」の際の人身事故時の対応や人事労務管理上の位置づけ等を、あらかじめ検討し、就業規則等で定めておく必要があります。

労災病院

労働者災害補償保険法に定められている「社会復帰促進等事業」の一環として、(独)労働者健康福祉機構が設置・運営している病院です。全国に34病院(総合せき損センター、吉備高原医療リハビリテーションセンターを含みます。労災病院としては30です。)あります。これらの病院は、働く人々を取り巻く多様なニーズに対応した勤労者医療を展開していますが、労災保険以外の各種保険も取り扱っており、誰でも受診できる地域の中核病院としての役割も果たしています。

労災病院勤労者メンタルヘルスセンター

労災病院のうち、12病院に勤労者メンタルヘルスセンターが設置されています。
近年増加している勤労者のメンタルヘルスに関する需要に総合的に対応するため、健康セミナーをはじめ、ストレスドックの実施による健康管理を含めた心身医学分野の総合的医療を提供しています。

ワ行

ワークエンゲイジメント

職場の活性化、個人の活性化、の観点から、仕事と個人との関係性をもっと積極的にとらえ直そうという概念として提唱されています。ワークエンゲイジメントは、活力(仕事に対して積極的に努力する高いエネルギー)、献身(熱意、プライド)、没頭(集中し夢中になっている)、で構成されており、「仕事にやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て職場でもプライベートでも活き活きしている状態」をさす概念です。

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