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[事例2-5]配置転換が必要と考えられたが異動先がなく、復職が遅れていた労働者の職場復帰支援

復職にあたって配置転換が適切と考えられながら、事業場の事情で適切な異動先が見つからないまま、休職期間が延びるという困難な状況に、支援専門家が支援することで、条件が整えば元の職場への復帰も可能との解決先を見出すことができた事例です。

1.事業場の情報

事業場規模 約300名
業種 電気関連機器の製造
産業保健スタッフ 嘱託産業医1名(支援機関から派遣)、常勤保健師1名
事業場担当窓口 人事労務担当者

2.労働者本人の情報

性別(年齢) 女性(30歳代)
家族 未婚
職種・職位 事務部門一般職
休業時の診断書病名 うつ病、不眠症

3.事例の経過

1)支援前の事例の状況
 Bさんは、責任感が強く、頼まれると断れない性格です。上司からその仕事ぶりを見込んでたくさんの業務をまかされ、本人も何年間にもわたって懸命に努力して期待に添おうとしてきましたが、ついに疲れ切って、「うつ病、不眠症」の診断書で休職することになりました。職場で上司から過重な業務を指示され、これを本人が断れないという状況が誘因と考えた本人および主治医は、職場復帰の際には配置転換が望ましいという意見でした。しかしこの地域の支部には他に事務部門がなく、Bさんにとって適切な異動先をみつけられませんでした。またBさんの上司はメンタルヘルスについての知識が乏しく、Bさんは復職直後から以前と同じ業務ができると考えていました。異動先が決まらず休職期間が延びるうちに、本人の意思が「元の職場への復帰」に変わり、しかし主治医は異動を求めており、人事労務担当者が困惑して復職に向けての調整がさらに困難になっていました。

2)休職中の支援
 主治医の了解を得た上で、支援専門家は休職中の本人と面談し、本人の回復状況、本人の復職に向けての希望を聞き取りました。本人の病状は安定しており、復職は可能な状態であると考えられました。人事労務担当者との面談では、適切な職場はないが、しかし元の職場に復帰すると再発の可能性があるとの懸念を示されました。支援専門家も、当初はBさんを別の職場に復職させる方向で調整をしようと考えていました。しかしBさんと面談し、Bさんが不調になった状況を再分析し、元の職場に戻るにあたって再度不調にならないために具体的にどう対応できるかについて相談し、本人の仕事への考え方を変えること、また上司に十分な助言を産業医が行うことで、対応できるという印象を持つようになりました。そこで、支援専門家は、主治医にこのことを相談し、理解してもらいました。さらに産業医とも相談の上、人事担当者に職場の受け入れ態勢を整えることで元の職場への復帰も可能であると報告しました。また、Bさんの上司に対しては、復職の手順や留意して欲しい点について説明、理解を得ました。

3)復職および復職後の支援
 産業医との復職前面談により、Bさんには、当面は一定期間、時間外労働・休日出勤禁止の就労上の措置を行い、2週間ごとに産業医が面談して状態を確認し、段階的に就労上の措置を解除するという復職プランが立てられました。復職後3ヶ月で、就労上の措置は全て解除され、その後復職後1年4ヶ月後まで良好に経過しています。

4.解説

 復職にあたって配置転換が適切と考えられながら、事業場の事情で適切な異動先が見つからないまま、休職期間が延びるという困難な状況にあった事例です。しかし支援専門家が関わり、支援専門家の専門性を活かした見立てを行い、これを主治医とも相談することで、条件が整えば元の職場への復帰も可能との解決先を見出すことができました。また元の職場への復帰にあたって重要な条件であった、本人の仕事に対する意識の変化、上司の理解を、支援専門家の支援により成し遂げることができました。もちろん復職にあたって本人の意見や主治医の意見は十分に尊重されるべきですが、本事例のように、慎重に本人から情報を収集して再構成し、率直に主治医と意見交換することで、新しい解決策が見つかる場合もあります。本人もさることながら、人事労務担当者もきっと安堵したことでしょう。こうした役割は、支援専門家だからこその支援とも言えるでしょう。

図2 Bさんの経過と支援専門家の支援の概要
支援期間(回数) 3ヶ月( 5回)
支援時期 休職開始後4ヶ月目から復職前1ヶ月まで
職種・職位 医師(心療内科医)、保健師(各1名)
経過
[休職期間と支援期間の関係、及び終了後のフォロー状況等の関係]
* 本専門家派遣事業で支援専門家が支援を行った期間。

【出展】メンタルヘルス不調の労働者の再チャレンジ支援のための専門家派遣事業に係る総括報告書(手引編)-事例2-