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[事例1-4] うつ病(非自殺例)の典型的な事例―主婦―

1 概要

年齢・性別:45歳女性
職業:主婦
疾患名:うつ病
主訴:抑うつ気分
既往歴:特になし

2 症状の経過

 X-9年に保育士を退職。その後、母親の死亡や同胞の入院などのストレスが重なり、抑うつ気分が強くなり、Aクリニックを受診。言動のまとまりがなく、症状が改善しないために当科へ紹介されました。X年当科初診時には、家事がまったくできないと言われ、夜間も不眠傾向が続き、食事がとれないことを訴えられました。甲状腺機能などの内分泌検査は正常範囲。

 当初は、食欲改善を目的としてスルピリドを中心として薬物療法を開始し、症状の改善がみられたものの乳汁分泌などの乳腺刺激による副作用があらわれたため、スルピリドを中止、炭酸リチウムにて経過を観察していました。しかし、一時改善した抑うつ気分が再燃し、抗うつ剤として、セルトラリンを試みるも嘔気、食欲低下などのために継続が困難となったため、モサプリド(ガスモチン)を併用するも消化器症状は軽快しませんでした。そのために、抗うつ剤をミルタザピンに切り替えた後は、消化器症状も出現せずに抑うつ気分も改善し、パートタイムでの仕事が可能になりました。

3 考察

 ストレスにより、抑うつ気分が引き起こされた症例です。抗うつ剤の選択が難しく、さまざまな副作用のために回復までの経過が約1年間かかりました。本症例のように現在、色々な抗うつ剤の選択が可能となってきていますが、本人に適合する抗うつ剤の選択は案外難しいことがあります。特に多種、大量の投薬傾向が抗うつ剤においても認められるような現状において、できるだけ単独の薬剤でストレスに対するコーピングを一緒に考えていく精神療法も合わせながら薬剤の選択を行っていくことが望ましいと考えます。

 前医からの紹介時には、薬剤投与量も比較的多く、本人も、ぼーっとした感じという訴えをしていました。そのような時に本来の疾患が修飾され、別の疾患のように見えることもあり、薬剤の副作用には注意を要します。

  本症例は、うつ病の治療経過としては、薬剤の変更はあったものの比較的順調に回復をされた症例と考えています。特に、治療経過中、明らかな幻覚妄想状態になることもなく、自殺念慮なども出現せずに、外来通院を1~2週間に一度きちんと継続されていたことが、十分な症状改善につながったものと思われます。