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[事例1-6] 幻聴、妄想などによる意味不明な言動をした女性社員の統合失調症の事例

概要

24歳、女性

勤務2年目の公務員、人事異動で4月に人がかわり、職場が落ち着きを取り戻した6月頃から勤務態度に落ち着きがなくなり、OA機器と自分の席を行きつ戻りつしたり、引き出しを激しく開け閉めして大きな音を立てるようなことが目立つようになってきました。仕事の面でも、単純な確認行為を怠り間違った支出行為を行ったり、計算ミスも増えてきました。課長が本人に確認したところ、「この職場は、とても私語が多く、嫌がらせをする、自分は誰かに監視されているようだ、自分が考えた内容が職場に漏れている、職場は仕事をするところで、冗談や私生活のことを話すのは不謹慎だ」と主張して譲らず、意味不明なことを言ったり、目が離せなくなりました。

ICD-10による主要症状

  1. 1 思考反響、思考吹入、思考奪取、思考伝播
  2. 2 支配、させられ体験
  3. 3 幻聴、妄想の存在
  4. 4 的外れ会話、思考途絶、支離滅裂
  5. 5 興奮、拒絶、緘黙、昏迷
  6. 6 意欲低下、会話の貧困、情動の平板化

ポイント

対応の留意点:

  1. 1 精神疾患があるとみるか、本人の話を聞く。
  2. 2 幻聴、妄想に起因した言動を否定しない。
  3. 3 本人の困っていることを確認する。
  4. 4 異常言動の程度で、職場全体の問題と捉える。
  5. 5 精神科への受診を勧める。
  6. 6 家族に連絡、受療への協力を求める 。

治療の留意点:

 原因は確定していないが、1970年代にはドーパミン受容体感受性亢進、最近では遺伝子説など、統合失調症の人の脳の機能的な異常、さらに特有な遺伝子の異常が推測され、脳の病気として解明されてきています。幻聴(幻の声でその人だけにしか聞こえない声)、被害関係妄想(誰かに命を狙われている、毒を盛られた、追われているなどの根拠のない観念)、思考障害(誰にも話していないのに周囲に自分の考えが伝わっているという思考伝播、考えを抜き取られるという思考奪取等)、作為体験(幻聴に支配された行動)などの急性期の病像と自閉的で能動性が低下し、周囲に対しての溌剌とした感情が鈍麻した慢性期の病像に分けられます。統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害が該当します。幻覚、妄想を主体とする急性期の精神病状態に陥っているときは、できるだけ早く、精神科医療へ繋ぐことが必要です。時期を逸すると事故、自殺の危険性があり、職場の状況を話し、家族の協力を求めることも検討します。また、治療が終わり、職場復帰の段階では、復帰可能との診断書が出てきますが、本人の従来の業務に通常勤務可能かどうか、検討を加えた上で復帰の時期を決めます。職場関係者と受入れに関して十分検討した上で復帰させますが、場合により軽勤務からの段階的な復帰も考えます。

 DSM-Ⅳ(アメリカ精神医学会)によると 1) 妄想、2) 幻覚、3) 解体した会話、4) 解体した行動、5) 感情の平板化や思考の貧困、意欲欠如等のうち2つ以上の症状が1か月持続している場合に統合失調症と診断されます。