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[事例1-30] 部下の欠員を契機に発症したうつ病の事例

概要

 46歳、男性、事務職

  今まで仕事は几帳面にこなし、無難に過ごしてきました。しかし、数年に1~2回は職場の状況によっては食欲がなくなり、胃腸の調子が悪いことがありました。そういうときは内科医に診てもらい、胃腸薬をもらうことで済ませていました。ある年の秋から部下が一人いなくなり、職場全体で仕事をカバーしたものの、残業が重なり、次第に疲労感を覚え、夜も寝付きが悪く、夜中に目がさめるようになりました。「頑張らなければいけない」と思い、とにかく働こうとしましたが、身体がだるく、朝がおっくうとなり、出勤できなくなりました。

ICD-10による主要症状:

  1.  うつ病エピソードは2週間以上継続していること。
  2.  午前中の抑うつ気分、焦燥
  3.  体重減少、食欲減退
  4.  睡眠障害 (早期、中途覚醒等)
  5.  興味や喜びの喪失
  6.  性衝動の減退
  7.  自信喪失、自責、罪悪感
  8.  思考制止、行動制止
  9.  希死念慮

ポイント

対応の留意点:

  1.  出社できない状況の確認をする。
  2.  欠勤の連絡が職場にない場合は、家族に連絡を取り、家庭内の状況を確認する。
  3.  精神科受診を勧め、受診後は精神科医の指示に従う。
  4.  睡療養期間、治療に関する診断書を提出してもらう。
  5.  本人に対しては、十分休むように伝える。
  6.  焦らしたり、励ましたりしない。
  7.  復帰の際には、関係者面談で復帰の段取りを検討する。

治療の留意点:

 うつ病は、最近は生物学的研究が進み、脳内アミンの減少によって引き起こされることがわかってきましたが、そのきっかけになるのは、ストレスの関係が大きいと言われています。ストレスが大きく関係してうつ病が発症した場合を反応性のうつ病といい、むしろ本人の側にうつ病にかかりやすい状態(素因を基礎として発症)があって発症した場合を内因性のうつ病ということがあります。治療の基本は、本人を焦らせず、十分休息を取らせることが肝要です。抑うつ気分、思考制止、行動制止などの三つの精神症状を特徴とする病態を指します。

 DSM-Ⅳ(アメリカ精神医学会の構造化面接)では下記の2点が認められることが、うつ病診断のポイントとなります。

A1:この2週間以上、毎日のようにゆううつだったり、気分が沈んでいましたか?

( はい いいえ )

A2:この2週間以上、ほとんどのことに興味がなくなっていたり、大抵いつもなら楽しめていたことが楽しめなくなっていましたか?

 うつ病治療に関して90%に至るうつ病患者は、多様な治療が試みられれば、1つあるいは組み合わせた治療的な介入に反応する可能性があり、うつ病患者の2分の1は当該うつ病エピソードの6か月以内に回復し、4分の3は2年以内に回復する可能性があるといわれています。うつ病の背景にある仕事に係わる要因(仕事の量や内容、職場の人間関係、昇進、異動、単身赴任などの環境の変化)だけでなく、仕事以外の要因(家庭問題、その他)を診察で整理・調整することが肝要であり、うつ病の治療に使用される抗うつ薬には近年開発されたセロトニン系に選択的に作用する薬剤SSRI等は副作用が比較的少なく、最近は第一選択薬として投与されています。またスルピリドも身体症状が中心のうつ病に投与されています。