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[事例1-10] 都会と業務に馴染めなかった公務員・研究開発職の適応障害の事例

概要

 24歳、男性、公務員・研究開発職

現病歴:

  郷里の大学卒業後、実家から離れて職場の寮に入るが、通勤電車の混雑とか、今まで都会に住んだことがなかったため、都会が何となく肌に合わないと感じました。学生時代からプログラムを作るのは嫌で、この公務員であれば大丈夫だと思って公的研究所へ就職しました。就職して研修・試用期間が終わり職場に配属されたものの、入社前に自分が思っていた業務内容と違うこと、都会の生活に馴染めないこと等から人に説明してもらっているときに緊張し、集中できなくなり、入社3週目頃から食欲もなく、職場のことを考えると憂鬱になりました。翌年から職場に行くのが嫌になり、職場近くの駅まで行って、逆方向の電車に乗り、M駅まで行ったり、時に数日間続けて出勤できなくなりました。上司に「どうしたのか」と理由を聞かれましたが、「体調が悪かった」と答え、本当のことは言えませんでした。寝つきが悪くなり、研究所を辞めることも考えるようになって、診療所へ相談に来ました。

ポイント

ICD-10による主要症状:

  1. 1 症状発生前の1か月以内に心理社会的ストレス因の体験の確認
  2. 2 症状は感情障害、神経症(ストレス、身体表現性)、行為障害。
  3. 3 原則としてストレス因の停止後6か月以上症状は持続しない。

対応の留意点:

  1. 1 本人がいつから、何を悩んでいたか、受け止める。
  2. 2 現在、困っていること。
  3. 3 身体症状があれば身体科への受診も検討
  4. 4 了解のもとに職場上司へ連絡、状況の確認
  5. 5 精神科受診を勧める。

診断と治療の留意点:

 入社1か月も経過しないうちに都会が苦手と思いながらも生活をしなければいけないこと、コンピューター業務にどうしても馴染めないこと、職場での対人関係における緊張がとれないこと、など職場への不適性感が強く、この職場の中で将来も生活するという同一性が確立されていませんでした。したがって、治療は今後、この職場で生活していくのか、別の就職を考えるのか、仕事に対しての気持ちの整理をすることから始め、郷里で療養しながら通院するという形を取り、ゆっくり療養させることにしました。本人との面接、1か月に1回は家族面接、家族と共に今後の方向性を模索しました。本人は療養途中から「現在の仕事は合わない」という結論を出し、郷里で酒造会社の研究職の仕事を見つけ、療養3か月目に退職しました。