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[事例1-11] 倒れて救急外来を頻回に受診した女性公務員の解離性障害(ヒステリー性障害)の事例

概要

 30代、女性、公務員事務職

現病歴:

  2歳年上の会社員の夫と小学生の長女、長男の4人暮らし。T市生まれで、高校卒後、小さい頃から教員になりたかったため大学へ入学。大学時代に現在の夫と知り合い、公務員となった後、恋愛結婚。数年前から喘息が発症し、近くのA医院に通院していましたが、職場の歓送迎会の帰りに倒れてB大学病院に運ばれ、身体的には異常がないため精神科を紹介されました。2年経過した頃から再度、A医院を朦朧状態で受診するようになりました。その都度B大学病院を紹介しましたが、B大学病院では十分な対応ができず、それに恋愛感情を主治医に抱いていると断られました。夫も通院を好ましく思わず止めさせてしまいました。その後、朦朧発作が頻回となり、駅で倒れて身元不明で診察券を持っていたためA医院に連絡されて来たこともあって、A医院からC総合病院の精神科を紹介されて来院し、解離性障害(ヒステリー性障害)と診断されました。

ポイント

ICD-10による主要症状:

  1. 1 身体症状を説明しうる身体的障害が証明できないこと
  2. 2 症状発生とストレスフルな出来事や問題との間に時期的な関連性を認めること
  3. 3 症状は健忘、遁走、昏迷、運動障害(失声、麻痺など)

対応の留意点:

  1. 1 記憶障害としての健忘の精査(脳波、CT等)
  2. 2 発症状況となった心的因子の整理
  3. 3 職場における人間関係の整理
  4. 4 本人の性格傾向の分析
  5. 5 職家族調整

診断と治療の留意点:

 恋愛結婚したものの出産後から通勤途中や行事の前に倒れるようになり、救急で身体科に運ばれたものの、身体的検索をしても異常は見当たらず、B大学病院精神科へ紹介され、通院治療を受けるようになりました。

 しかし、B大学病院の救急外来を頻回に受診しているうちに、主治医に対して依存的になっていきましたが、その頻回受診の背景に、患者が主治医に恋愛感情を抱いているという理由があったため、B大学病院への通院治療は中断となりました。その後、A医院から現在のC総合病院精神科を紹介されましたが、治療過程の中で夫に愛人がいることがわかり、B大学病院精神科の主治医への依存は、実は本人と夫との夫婦関係の問題が主治医へ投影されていることがわかってきました。このように患者が治療関係の中で主治医へ好ましい感情を抱くことを陽性転移といい、その逆を陰性転移と言います。この事例の場合は、身体に転換されて倒れるという転換ヒステリー(解離障害)と思われますが、その背景にある心的葛藤を分析して治療にあたることが肝要です。