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[事例1-29] 職場での対応が困難になった躁病の事例

概要

 23歳、男性、事務職

 入社し総務課に配属された当初から、上司に対して仕事をしていないと批判するようになりました。そのため、3か月もしないうちに別の課へ異動となりました。配置換された課でも、同僚や後輩へ執拗にお節介をするようになりました。呼びつけては「髪が長すぎる。服装が悪い」というような、取るに足らないようなことをいちいち説教するようになりました。そのため、みるに見かねた上司が数か月後に「他人に迷惑をかけるような言動・態度は慎むように」と文書で忠告した。しかし、いっこうに他人に対してのお節介はおさまる気配がなく、会社内では次第に多弁で落ちつきがなくなり、上司に対しても傲慢な言動・態度を取り、すぐ怒るようにもなりました。

ICD-10による主要症状:

  1. 1 明らかに異常な気分の高揚、易刺激的な気分が4日間以上連続
  2. 2 多弁、多行動、落ち着きなく、日常の仕事に支障をきたしていること

ポイント

対応の留意点:

  1. 1 本人の言動の理由を確認する。
  2. 2 本人の行為について、やみくもに注意しない。
  3. 3 本人が自分の状態について、どのように考えているか確認する。
  4. 4 今の言動を続けるようであれば、職場としても困ることを伝える。
  5. 5 精神科受診を勧める。
  6. 6 家族へ職場の状況を説明し、治療への協力を求める。

診断と治療のポイント:

 躁病は基本的に気分の高揚、思考も次から次に考えが浮かび(観念奔逸)、それに起因する多弁、多行動があり、夜はそれほど眠らなくとも元気であり、疲れを知らない状態です。感情の高揚を主体とする躁状態が単一に出現することは少なく、躁状態と感情の抑制を主体とするうつ状態とが周期的に出現する躁うつ病の一つとして躁病が出現することが多いものです。躁病には社会活動や人間関係に著しい障害を起こすほどでもないものを軽躁病と呼びます。最近は、著しい誇大妄想や興奮を伴った躁状態は少なくなったと言われています。治療には薬物療法として炭酸リチウムを基本に投与することが多く、自分自身の行動に抑制がきかず対人的トラブルや浪費が激しく次から次に高価なものを買ったり、借金したりと日常生活そのものを維持することが困難となり、本人を放置しておくと社会的に不利益な状況が生まれる場合には、精神科専門病棟へ入院させて治療を行うことも必要です。