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[事例5-4]離婚によるうつ病の事例

1 概 要

年齢・性別:26歳、女性
職業:商社
職種:事務職
主訴:仕事に意欲が沸かない
その他:同胞2人の長女、本人は2歳年下の妹、母親と同居しています

2 経 過

  某私立大学経済学部卒業、優秀な成績で総合職として大手商社に入社しました。2年後、社内恋愛の後、結婚しました。負け嫌いで、完璧主義なところがあり、夫にも負けないくらい仕事をしていました。共稼ぎのため結婚後、本人は別の遠方の支店で仕事をするようになりました。同じ職場の時には、お互いが仕事や家事などを分担できていましたが、次第に帰宅時間が遅くなり、会話も少なくなっていきました。新しい職場での適応もうまくいかず、いらいらすることが多くなり、帰宅後、次第に些細なことで意見の衝突が起こるようになりました。

  以前は家事のために、ある程度のところで仕事を残すこともありましたが、家の中が面白くないこともあって、仕事があるとそれが終わる深夜まで働くようになりました。家事もだんだんいい加減になり、家の中の掃除も十分でないことが多くなりました。夫は、妻の変わりように不満が増大していましたが、本人は仕事をしているのにどうして叱られなければならないのかと理解できませんでした。

  半年後、夫から突然離婚の申し出があり、数か月後、本人は納得いかないまま実家に戻りました。そして、数か月経って離婚が成立しました。家事は、母親が主に行い、負担は減り、本人は仕事だけの毎日になりました。そして、相変わらず仕事は頑張っていましたが、次第に仕事上のミスが起こるようになり、能率も低下していきました。寝つきが悪く、途中覚醒することもあり、朝起きるのが億劫になりました。休日は、一日中横にならないと疲れがとれない状態となりました。近くの内科で検査を受けましたが、何も身体疾患はないということで精神科を紹介されました。気分は、朝が悪いという日内変動があり、何をするのも億劫で興味が湧かないといい、典型的なうつ病と診断されました。十分な休養と抗うつ薬を服用するように指導され、3か月間の休職後、職場復帰を果たしました。

3 考 察

  うつ病の発症には、契機となるさまざまな要因があります。近年、職場ストレスの増大が指摘されて、勤労者のうつ病を診る機会が増加していますが、実際の臨床では、職場以外のストレスと仕事のストレスが相乗的に働いてうつ病になる人が多いのです。本事例は、几帳面な執着気質の人に離婚という喪失体験が誘因となってうつ病を発症したと考えられます。ストレス因の安易な解釈は労災認定の観点からも慎重であるべきです。