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[事例3-4]過重な業務と長時間労働が重なりメンタルヘルス不調になった建設会社員

1 概 要

年齢・性別:31歳、男性
業種:建設業
職種:設計士
主訴:夜が眠れず、朝早く目が覚める。判断力が落ちて仕事に行くのがつらい。
既往症:肝機能障害

2 経 過

  作業が中心の業務ですが、元々まじめで責任感が強く、合理的に物事を考えてコツコツと仕事をするタイプです。人間関係も密なものはどちらかというと苦手で、自分の生活のリズムを崩したくない性格でした。大学卒業後、現在の建設会社に入って8年目になりますが、公共事業を中心とした部署に在籍していました。

  平成21年より政権が替わり、公共事業の受注が大幅に減りました。しかし公共団体から建設工事を受注するときは、建設業務の内容は今までとあまり変わらないにもかかわらず、受注額が減額されているため、少ない予算で同じ業務をこなさなければならず、利益率が低くなりました。そのため、部門の人員が整理され上司も複数業務を担当するようになり、相談できる上司が身近にいなくなりました。

  また、業務量は変わらないのに設計業務だけでなく、現場での建設の作業管理も少ない人数でしなくてはならなくなりました。利益を上げるために複数業務を同時にこなさなければならず、建設業務の期限となる3月末に同時にデッドラインが重なるため、1月から3月の期末には100時間前後の残業が続きました。さらに、建設現場の作業状況の確認をするために10日前後は現場に泊まり込みで業務をこなさなければならない出張業務も避けられませんでした。現場の事業は多重請負になっており、指示命令系統が複雑で誰にどう指示すればよいかわからず、現場作業員から暴言を吐かれることもしばしばで、神経をすり減らしながらの作業でした。また、出張中は現場での慣例として仕事が終わった後に飲み会があり、断ることもできず深夜まで付き合わされ、自分の時間も持てませんでした。

  3月末に現場でトラブルが発生し、ほとんど単独でその処理に追われて残業も重なりました。4月中頃より、夜に眠ろうとしても仕事が頭から離れなくなり、動悸が出現し眠れず、また朝に起きて仕事に行こうとすると吐き気、めまい、頭痛が出現し、会社に行けなくなりました。内科を受診しましたが身体的には異常がなく、上司の勧めで精神科医を受診しました。

3 解 説

  本症例は本人のみの問題ではなく、建設業界の構造的な問題が大きく関与してメンタルヘルス不調が発生した事例です。政策により公共事業の発注が大きく減り利益率が減ったために、部門のリストラが行われ、人員が減っても納期がほぼ同時期の複数業務をこなさなければならず、業務量が過大になりました。しかし、本人は何とか現場の業務をこなすために人間関係も重要と考え、飲み会なども断らず、出張中はほとんど自分の時間も持てませんでした。

  また相談できる上司が身近におらず、トラブルが発生したときには指示命令系統が複雑な現場で単独で対応せざるを得ず、過重な業務負担と長時間労働が重なりメンタルヘルス不調を引き起こしました。